令和7年度の研修内容
令和7年度の研修内容
令和7年度の高等学校等情報教育継続研修開講式を行いました。
開講式では所長からの激励を受けて,研修者代表が一年間の抱負について述べました。いよいよ本日から研修が始まりました。今年度は8人の先生方が参加されます。
開講式後に第1回の研修を次の内容で行いました。
【第1回】 共通研修「教育DXに向けた情報化の推進」 「課題研究に向けた協議 」
Ⅰ オリエンテーション,施設見学
Ⅱ 教育DXの推進について
1 今,求められている教育DXの推進
2 本県における取組
Ⅲ 課題研究に向けた協議
1 テーマ別選択科目の説明
2 テーマ別選択科目の希望調査
【受講者の声】
・研修において,自分自身の情報技術や情報処理に関するスキルの向上だけではなく,専門教科との融合,他校の先生方との交流など日常生活では経験できない研修内容を行っていきたいと感じました。そして,情報活用能力を身に付け,しっかりと生徒や教職員に還元できるよう努力していきたいと思います。1年間よろしくお願いいたします。
・学習者主体になるように,授業の構造を考えなければならないと再認識しました。生徒自身がゴールを見定めて,学び方を決めていくという自由進度学習を少しでも授業に取り入れることができれば,生徒自身も主体的に学習と向き合ってくれるのかなと感じました。
・教科のことをじっくり考える時間を確保できて充実感で一杯です。この研修を通して自分自身のスキルアップはもちろん,鹿児島県の共通教科情報にいかに貢献できるか頑張ります。
【第2回】「研究テーマの発表」「課題研究に向けた協議 」
【受講者の声】
・他の先生の研究テーマを知り,お互いにコメントし合う中で新たな視点で課題を見つめることができました。自身の専門性を生かしながら,教育DXの実現に向けた授業や校務の改善を図ることで,より良い環境が生徒にも職員にも提供できると考えることができました。また,各先生の情報やこれまでの試行錯誤を共有することでワクワクする学校現場が見えてくるのではないかと感じました。
・各先生方の研修構想を聞かせていただき,先生方の現在の取組やチャレンジしてみたい点などを聞くことができました。教科は異なっていながらも共通する課題もあり,興味深いと感じました。またTeamsでの共同編集などについても実際に体験的に学ぶ事ができた点がよかったです。次回以降,テーマ別選択研修が研究の基礎となっていくので積極的に取り組みたいです。
・共同編集機能を使ってプレゼンテーションを作成することができ良い経験になりました。課題研究の発表用プレゼンを生徒が作成する際の指導に生かしたいと思います。校務の上でも先生方の研修で実施していけたらと思います。また,各先生方の実践例をお聞きすることができ,自身の研修の幅も広がりそうだなと感じました。
【第3回】「プログラミング基礎」「オブジェクト指向プログラミングⅡ 」
Ⅰ「プログラミング基礎」
①講義
・プログラミング教育の必要性
・プログラミング教育とは
②演習
・Scratchを使ったプログラミング
・アンプラグドプログラミング
Ⅲ「課題研究」
・各自で研究テーマの設定や内容の取組
Ⅱ 「オブジェクト指向プログラミングⅡ」【Python言語の基礎】
①講義
・学習指導要領における共通教科情報科について
・高等学校におけるプログラミング教育の実践
②演習
・GoogleColaboratoryを活用したPythonプログラミング
今回から本格的にテーマ別選択科目が始まりました。
「プログラミング基礎」では,プログラミング教育の必要性に関する講義や「Scratch」を使った演習が行われました。
「オブジェクト指向プログラミング」では,共通教科情報科に関する講義や「Google Colaboratory」を使った「Python」のプログラミングを行いました。
【受講者の声】
・今回の研修では,オブジェクト指向プログラミングを受講しました。初めてプログラミングに取り組んだのでとても難しく感じましたが,様々なデータ解析に活用できそうなので苦手分野ではあるが挑戦してみたいと思います。
・Python言語の基礎について少し知ることができました。ついていくことが大変だったが学校等で復習して授業や研究に生かしたいです。
・今回の研修でプログラミング思考からPythonまで学ぶことができました。小学生の子をもつ親として,小学校低学年からプログラミングの基礎を体感させることができればと感じました。また,高校では資格取得に結び付けたいと思います。
【第4回】「マクロ・VBAの基礎」「KotlinでAndroidアプリ開発 」
Ⅰ 「マクロ・VBAの基礎」
①講義
・マクロ・VBA
・「マクロの記録」機能によるマクロ作成
②演習
・VBAのコマンド記述によるマクロ作成
・変数を用いた処理
Ⅲ「課題研究」
・各自で研究テーマの設定や内容の取組
Ⅱ 「KotlinでAndroidアプリ開発」
①講義
・Androidアプリの構成について
・Android Studioのインストールと基本的な使い方
②演習
・ボタンのタップ数に応じてテキストと画像が変化するアプリケーションの作成
【受講者の声】
・今回の研修で,マクロ・VBAについて初めて学ぶことができました。命令の意味が分からず大変でしたがいろいろな機能を知り,驚きました。手作業で行う操作をマクロで記録してボタン1つで自動化できるのは作業効率アップにつながるので,これからも活用していきたいです。
・マクロ・VBAの基礎ではマクロの記録により簡単に操作できるのは非常に便利だと感じました。プログラミングに苦手意識を持っている生徒に一度取り組ませてみたいと思います。
・Kotlinのアプリ制作では,手順を追いながらコードの意味を踏まえて学習することができました。生徒の作品作りの手段として,非常に興味深いツールだったので実用に向けて検討していきたいと思います。
【受講者の声】
・Raspberry Piの活用では,センサーやカメラの自動的な活用ができることを知ることができました。生成AIの活用ではプログラムのコードエラーを簡単に修正できることを学んだので,自分自身でも自由に活用できると感じました。多様に生成AIを活用しながら積極的に多くの新しい技術に触れていきたいと思いました。
・初めてRaspberry Piを使い,思っていたよりも本体が小さく様々なことができることを知ることできました。Obnizについて知ることができ,農業分野では温度管理センサーや見守りカメラなど様々な場面で活用できそうだと思いました。
・生成AI活用の講座では,プロンプトの入力のポイントを知れて勉強になりました。
・今回,久しぶりに生成AIを活用して改めて業務改善につながるツールだと感じました。Canvaはこれまで使ったことが無かったのですが,これほど簡単に動画作成やコードの生成ができることを知り驚きました。少しずつ使って,視覚に訴えるものを作成できるようになりたいと思っています。
【第6回】「GAS(Google Apps Script)の基礎」「画像処理プログラミング」「オブジェクト指向プログラミングⅠ」
Ⅰ 「GAS(Google Apps Scripot)の基礎」
①講義
・GASとは
・プログラムの作成と準備
・プログラムの手順
②演習
・GASによるプログラムの例
・GASによるクラウドツール操作
Ⅲ「オブジェクト指向プログラミングⅠ」
①講義
・JAVA言語の基礎
②演習
・変数の利用
・データの入力と表示
・判定処理
・繰り返し処理
・配列
Ⅱ 「画像処理プログラミング」
①講義
・Pythonを使った画像処理
②演習
・環境構築(Python,PyChrm,OpenCV)
・画像生成プログラミング(カメラや画像から編集)
Ⅳ 課題研究
【受講者の声】
・GASの研修では,スプレッドシートやフォームを自動化してアクションを起こす方法について学びました。生徒や保護者とのやり取りを円滑に行うなど多くの活用について考えられ,今後さらに操作を学んでいきたいと思います。画像処理プログラムについては,Pythonを用いて様々な活用ができました。特にカメラと連携した表示には興味をもちました。
・画像処理プログラミングについて,Python,PyCharmを活用して実際に作成してみましたが,このようなプログラミングについても前回の生成AIの技術を活かす事が出来たように感じられました。現在,介護現場において導入が進められている見守りシステムについても,今回の画像処理技術を応用することによって可能になるということがわかりました。福祉情報のプログラミング学習においても,現場での活用事例として説明をすることで,意欲的に取り組めるのでないかと感じました。
・オブジェクト指向プログラミングⅠの講座で初めてJavaを使いました。大変いい勉強ができました。
【第7回】「Power Automateの基礎」「ITパスポート試験の概要と指導法」「obnizの基本的な活用」
Ⅰ 「Power Automateの基礎」
①講義
・Power Automateの基礎
②演習
・トリガー・アクション・コネクタの利用
・条件分岐・繰り返しの処理
・フロー
Ⅲ「obnizの基本的な活用」
①講義
・IoTデバイスの基礎知識
②演習
・obnizの特長
・obnizの環境構築
・LED制御
・モータ制御
・温度センサからグラフの作成
Ⅱ 「ITパスポート試験の概要と指導法」
①講義
・ITパスポート試験の概要
・CBT方式の導入について
②演習
・ITパスポート試験の演習
ストラテジ系 マネジメント系 テクノロジ系
Ⅳ 課題研究
【受講者の声】
・arduinoよりも安価でWi-Fi経由で専用のクラウドに接続できるobnizを活用することで,温度センサーを用いてハウスや畜舎内の温度湿度管理など様々なことができそうだと感じることができました。
・ITパスポートは大学の時に授業を受けたきりで,久しぶりに学習することができました。普段,商業の授業で触れることのない内容を学ぶことができたので,いい刺激になりました。
・Power Automateでは学校での起案(紙ベース)をMicrosoft Teamsに活用し,ペーパレス化につなげることができそうだと感じました。ITパスポートではこれまで学んだことのなかった「商業」分野の学びができて,工業のものづくりの考え方に変化をもたらすことができそうです。
【第8回】「RESASで学ぶデータサイエンス」「課題研究」
Ⅰ 「RESUSで学ぶデータサイエンス」
①講義
・RESASとは
・RESASの基本操作
・RESASの活用事例
②演習
・RESASの基本操作
・授業づくりの実践
Ⅱ 課題研究
・9月12日中間発表に向けた資料作成の説明
【受講者の声】
・先週学んだ画像処理プログラムを使い,物体の計測をしてみました。PyCharmのインストール,カメラに物体を映す,物体の実寸の入力して計測させるところまで試みました。日本語表記ができずに英語表記にしてみましたが,カメラの画素数などで正確な数値が表示されませんでした。改善を図りながら中間発表に向けて取り組んでいきたいと思います。
・RESASは以前から存在を知っていましたが,なかなか活用できずにいました。今回はじっくりと触ることができて非常に良かったです。総合的な探究の時間や情報Ⅰの授業でデータを活用した課題解決力を育成するための授業実践に役立てたいです。
・今回は終日,課題研究の時間に充てることができました。VBAを使って教材を作れたら,と考えていますが1つがクリアできても,他でエラーが起きてしまい,一筋縄ではいかないと感じています。夏休みも研修に努めたいと思います。
【第9回】「Unityで2D・3Dワールド作成」「UnityでARアプリ作成」「課題研究」
Ⅰ 「Unityで2D・3Dワールド作成」
①講義
・Unityの基本的な使い方
・2Dワールドを構成するもの(オブジェクト)
・3Dワールドを構成するもの(オブジェクト)
②演習
・鬼ごっこゲームの作成
・3Dオブジェクトと物理演算を使ったドミノ倒し
Ⅱ 「UnityでARアプリ作成」
①講義
・AR(拡張現実)アプリを構成するもの
②演習
・ARアプリ作成
Ⅲ 課題研究
・各自
【受講者の声】
・Unityは初めて操作したので勉強になりました。ARは自分の研究課題に設定したので,Unityを使えるようになってARアプリの完成まで持っていけるようにしたいです。
・Unityを使い2D,3Dのデータを作成しました。動画を見ながら作成手順について学びながら進めることができて,多くのものづくりの可能性を感じられました。自由度の高さも感じられたので,他の実践方法を試してみながら生徒に還元していきたいです。
・今回はUnityの2D,3Dを学びました。最初はゲームの作成からだったので,課題研究とは方向性が異なるのではと思っていましたが,学んでいくにつれて建築BIM等と似たようなものだったので,今後の研究テーマの参考にしたいと思うようになりました。
【第10回】 中間発表
研修者はこれまでの学びの振り返りを踏まえ,各自で設定した研究テーマについて中間発表を行いました。研修者同士がお互いの研究内容を発表し意見を交換することで,自身のテーマをより深く掘り下げる良い機会となりました。また,所員からは今後の研究の方向性や展望について具体的な助言が送られ,今後の制作に向けた貴重なヒントを得ることができました。
次回からは今回の発表で得られたフィードバックを活かし、各自が設定した研究テーマの作品完成を目指して残りの研修に取り組んでいきます。
継続研修者それぞれが設定した研究テーマ(仮)
・BIM(Revit)による設計コンペに特化したアプリの作成
・生成AIを活用した情報Ⅰの授業実践
・Iotデバイスobnizを用いた豚舎管理(Webカメラや各種センサを用いて)
・生徒作品のデジタル化を目指したデジタルコンテンツの製作
・「介護実習」学習用プラットフォームの構築
・土木構築物のVR作成 ・測量アプリの作成
・VBAを活用した学習用教材の製作
・学校紹介ARアプリの製作
【受講者の声】
・自身の研修について貴重な助言を賜ることができました。また,他の先生方の取組内容も大変勉強になりました。これほど多様で魅力的な情報に触れられるのは,継続研修に参加しているからこそだと思っています。
・先生方のテーマや今までの取組などを知れて大変勉強になりました。アドバイスなどもいただいたのでこれからの課題研究に生かしていきたいです。
・他の先生方の発表を聞いて,専門性の高い研究が多く,参考になるものが多かったです。自身の発表に対してセンター所員の方からは,学習全体の構造的な部分についての構成を確実にしていくことや,関連機関などとの調整に関わることなどのアドバイスや指摘をいただきました。今後の研修成果につなげていきたいです。
【第11回】「オブジェクト指向プログラミングⅢ」「課題研究」
Ⅰ 「オブジェクト指向プログラミングⅢ」
①講義 Pythonの応用
・WebAPI
・ライブラリの活用法
②演習
1.Pythonの環境構築
2.ライブラリ,WebAPIのインストール
3.WebAPIを活用したコード記述
4.オープンデータを活用したデータ分析
Ⅱ 課題研究
・各自
【受講者の声】
・オブジェクト指向プログラミングでPythonの活用について学びました。自分の研究テーマの内容と合っていて大変参考になりました。これからはPythonとRevit Dynamo,Python Scriptなど様々な視点からアプリを開発することができればと考えています。
・Revitに時間をかけて触ることができました。取り組んでいく中で,従来のCADとは違いファミリと呼ばれる各部材を組み合わせていくことで,構造物を三次元で見ることができること,ファミリの中には多くの情報を入れ込むことができることが分かりました。他の機能についても学びを深め,生徒の深い学びへのつながりや理解しやすい教材づくりに活用できそうと感じました。
・生徒が作品制作を行う手段の1つとして,シュミレーションゲーム型のツール作成を検討しています。Unityを使用して,タイトル画面やスタート画面の作成まで進めています。また,スクリプトを作成しながらAIへ投げ込み,修正や解説を聞くことで内容の理解にもつなげられています。あくまで生徒作品の支援を目指し,基板作成を進めていきたいです。