さて、スマートフォンその他もろもろの電子機器が普及した街の住宅や店に、郵便ポストが備え付けられているのは珍しいことだ。
カタチだけのポストでもあれば、そこへ「カコン」と、何か軽いものが投函された音がする。ポストがなければ、玄関扉の隙間から、はたまた祠の前へ供え物をするように……。
ともかく、届けられたものは「一通の封筒」である。"郵便局" の消印がしっかりと押されている。差出人欄には「Vil Belleville」と記載されていた。
「……?」封筒をまじまじと見る
またしてもガラの見ていない間に祠の前に置かれたお供え物、もとい食べ物を狙って現れた天の火が見つけたのは封筒だった。
天の火には郵便がわからぬ。
とりあえず振ってみたり、書いてある文字を読んでみようとしたりしたものの、やはりなんなのかは分からぬ。
ガラの作る御札とはなんか違うなってことだけは何となくわかったかもしれない。何故ならこの紙は折りたたんであるようだったからだ。
あと、なんか厚みもある。中になにか隠してあるのでは?
「…………」
天の火は訝しんだ。
そしてその紙…、封筒を横に引っ張るようにして思い切り引き裂いた!
封筒を開封……もとい引き裂くと、入っていたのはハガキ1枚だけ。
クリスマスシーズンのパリの街並みを思わせるイラストに、電気の灯を反射してきらきら輝く金色の文字で、以下の文章が記載されていた。
Je te souhaite que tes chaussons soient remplis de beaux cadeaux. Joyeux Noël!
あなたの靴下がプレゼントでいっぱいになりますように。メリークリスマス!
はがき片面には、店長と従業員たちの名前と共に
「Présentez cette carte et recevez une boisson gratuite !(このカードのご提示で、お一人様につきお飲み物1杯サービス!)」
と書かれていた。
「……!」
光る文字が面白かったのか、天の火はハガキを手にしたまま嬉しそうに祠の中に入っていった。
クリスマスがなんなのかは分からないが、このハガキがいいプレゼントになったことは間違いない。
無論、ハガキは即没収された。
送り主:BelleVille(犬飼ビーノ)