Keio Astrobiology Camp 2025
慶應アストロバイオロジーキャンプ2025開催決定!
2025/03/17~19, 山形県鶴岡市
アストロバイオロジーって何?
アストロバイオロジー(宇宙生物学)とは地球だけではなく、宇宙における普遍的な生命を対象とした超横断的学問分野です。具体的には地球や宇宙における生命の起源、地球の極限環境や地球以外の天体における生命の存在可能性、地球生命の宇宙進出に向けた技術開発などが含まれます。アストロバイオロジーはその学際的な性質から生物学だけではなく、天文学、地球惑星科学、合成生物学、無機・有機化学、物理学、工学など、様々な分野の協働・共創を必要とします。現在では複数の異なる分野の研究グループが協力し、アストロバイオロジーに関連する研究を推し進める例も多くあります。
慶應アストロバイオロジーキャンプって何?
慶應アストロバイオロジーキャンプとは、アストロバイオロジーに興味を持つ高校生から大学院生までの学生を対象としたイベントです。様々な分野の研究者から最先端の研究に関するお話を聞き、同年代の仲間と最新のアストロバイオロジーについて議論できる、密度の濃いイベントとなっています。
詳しくはプログラム をご覧ください。
プログラムオーガナイザーより
はじめまして。慶應アストロバイオロジーキャンプ2025のオーガナイザーを務める野崎です。現在、東京科学大学(旧:東京工業大学)の地球生命研究所に所属しています。私は惑星科学の分野で、エウロパやタイタンといった巨大惑星の衛星、さらには準惑星であるセレスや冥王星など、「海洋天体」と呼ばれる水環境を持つ天体の多様性と、その進化に興味を持って研究をしています。
学部3年生のころ、太陽系には「水」を持つ天体が普遍的に存在し、地球にも似た地質現象が至る所で起こっていることを知ったとき、その面白さに心を奪われ、惑星科学の道を志しました。そうした天体の液体環境もターゲットの一つとする「アストロバイオロジー」という分野の存在を知り、その流れで慶應アストロバイオロジーキャンプに参加しました。バックグラウンドが多様な参加者や講師の方々から多くの刺激を受け、「なんて面白い分野なんだ!」と強く感じたことを今でも覚えています。それがきっかけとなり、KACの学生スタッフをはじめとしてアストロバイオロジーに関わるようになり、今に至ります。私がアストロバイオロジーを深く知る一歩目となったKACにてオーガナイザーという立場を務めることとなり、感慨深い気持ちです。
アストロバイオロジーは非常に学際的な学問分野です。多様な領域の知識を組み合わせて成り立つ一方で、自分自身の専門や興味を「まず1つ突き抜ける」ことの重要性を強く感じます。もちろん広い知識は必要ですが、それだけでは本質的な科学を生み出すことはできません。ある領域に関して特化した知識や技術を持った上で、それを他の領域と連携させて初めて、良いアストロバイオロジー研究ができると、若輩者ながら考えています。そう考えると、アストロバイオロジーの研究に必要なのは、「1人のジェネラリスト」ではなく「複数人のスペシャリスト」、その協同だと私は思っています。
このキャンプが、皆さんにとって「自分はどんなスペシャリストになりたいのか」を考えるきっかけになれば嬉しいです。そのために、多様なバックグラウンドを持つ先生方や、学生アシスタントの方々をお招きしました。疑問に思ったことはとことん調べ、聞き、重要だと思ったことはとことん議論し尽くす、そんな3日間にしてください。そしてその中で、「これが好きかも!」と思える何かを見つけてくれたら、オーガナイザーとしてこれ以上ない喜びです。
今年もKACをどうぞよろしくお願いいたします。3日間、アストロバイオロジーを全力で楽しみましょう!
皆さんのご参加を心よりお待ちしています。
KAC2025プログラムオーガナイザー 野崎 舜介
credit: ELSI
開催概要
協力:生命の起原および進化学会、大学共同利用機関法人自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター、Spiber株式会社
後援:山形県
共催:鶴岡市
日時:2025年3月17日 (月) 13:30 ~ 3月19日 (水) 12:00
場所:慶應義塾大学先端生命科学研究所 (山形県鶴岡市)詳細はこちら
対象:高校生・高専生・大学生・修士課程学生 (現時点で高校生以上の方を対象とします)
募集人数:24名
募集開始 : 2025年1月6日(月) 10:00
募集締切 : 2025年1月30日(木) 17:00 2月3日(月) 17:00
募集終了いたしました。多くのご応募ありがとうございました。
合格発表:2月中旬(10~15日)頃を予定
参加費:
25,000円(予定) (含:宿泊費、現地交通費、食費、エクスカーション費)
*宿泊場所は、会場から徒歩数分のSHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSEとなります。https://suiden-terrasse.com/
※今年は、ご参加者の方全員がSHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSEにご宿泊いただけるように主催者側で手配いたします。
*自宅から開催地までの交通費は別途自己負担となります。
*上記金額は今後変動する可能性があります。
プログラム内容 : 講師の先生によるレクチャー、グループワーク、成果発表会
全日程の出席および所定の発表要件と課題を満たすことで、本大会公認の修了証 (サーティフィケート)を発行します。
高橋 嘉夫
東京大学大学院理学系研究科, 教授
宇宙地球化学, 環境化学, 放射化学, 大気化学
畠山 哲央
東京科学大学 地球生命研究所 特任准教授
システム生物学、生物物理学、普遍生物学、複雑系科学
木村 智樹
東京理科大学 理学部第一部 物理学科 准教授
惑星圏物理学, 木星, 土星, 氷衛星, 火星, 水星, 系外惑星, 月, 宇宙空間, 大気, 内部海, 生命の起源, ひさき, JUICE, LAPYUTA, BepiColombo
諸野 祐樹
国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門 高知コア研究所, 上席研究員
高感度・高精度微生物代謝解析, 海洋掘削, 微生物生態学, 地球微生物学
応援メッセージを頂きました!
いろいろ故あって、宇宙論、地球物理学、天体物理学、系外惑星学と専門を変え、代表を務めたGCOE「地球から地球たちへ」プロジェクトでは進化生物学やゲノム科学の人たちと一緒にやり、2022年までの10年間副所長を務めた「地球生命研究所 (ELSI)」では生化学、合成生物学、複雑系科学の人たちと一緒にやってきました。
その中で失敗しながら痛感したことは、アストロバイオロジーのような分野融合・学際分野の研究を進めるときには、「礼儀正しく領空侵犯をする」ことが重要ということです。
相手が歩み寄ってきてくれることを待っていては何も始まらないので、まずは相手側の領域に自ら踏み込むことが必要です。一方で、相手分野の様式やしきたりは尊重した上で自分独自の新規性を持ち込まないと、交流は生まれないと思いました。言うは易く行なうは難しですが。
でもまあ若い人たちは、まずは戦略なんか立てないで、自由に興味持ったことに遠慮なしに突き進んでください。少々乱暴でもいいです。同時に自分なりの唯一無二の専門性やスキルも磨いていってください。丸腰では行き詰まります。ある程度、自分の専門やスキルが確立してきたら、僕の言葉(失敗談?)を思い出してくれたらいいなと思います。
生命の起原および進化学会 副会長
日本天文学会 会長
東京科学大学地球生命研究所 教授
井田 茂
「結局、宇宙人っているの?」
天文学や、ましてはアストロバイオロジーの研究をしているとよく聞かれる質問です。「地球人も宇宙の中の生命だから、立派な『宇宙人』じゃないですか?」などと言ったりすることはありますが、「地球以外に」生命がいるかはまだ誰も答えを持っていません。個人的には、「たくさん系外惑星も見つかってるし、どこかにいるんじゃないかなー」などと楽観的に考えたりしますが、そのまま生物学の先生に言ったりすると怒られかねないセリフでもあります。
専門としている分野によって、持っている印象なども違うことが多く、他分野の先生と話していると、実は全然違うイメージを持っていたということもあります。そこに気がついてさらに一歩進んでみると、新たしい発見があることもあります。
みなさんも専門分野や、まだ決まっていなくても自分のやりたいことがあると思います。分野が違うなとか、ちょっと関係ないなと思っても、もう一歩踏み込んでみると、面白い世界が広がっているかもしれません。その中で、自分ができる研究を一つ一つ進めていくと、アストロバイオロジーの研究につながるのではと思います。
大学共同利用機関法人自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター
日下部展彦
先端アストロバイオロジープロジェクト公式X
大会に関する情報や当日の様子は #KAC2025 でお知らせします。