日本社会心理学会

2022年度第10回春の方法論セミナー

APAマニュアルにみる質的研究の評価の視点と研究の最前線

2023年3月13日 () 14:00〜17:30 対面+Zoom 中継

企画趣旨

社会心理学における質的研究の重要性は、多くの研究者に共通して理解されているところでしょう。さまざまな社会事象を記述し説明する上での、質的研究の面白さやすごみを感じたことは少なくないのではないでしょうか。他方、いざ自分が質的研究を主導しようとしたり指導したりすることになると、やや身構えてしまうことがあるかもしれません。質的アプローチをどう活かして研究を進め指導していけばよいかという手法の問題だけでなく、どうすれば示された成果が受け入れられるのか、といった手応えの掴みにくさがあるからでしょう。せっかくの質的研究の好機を得ても、後者の「質的研究の質とは何か」という問題によって、ついたじろいでしまうといったことがありそうです。

本セミナーでは、APAマニュアル第7版への改訂に伴って提示された、質的研究の評価基準のあり方について解説いただき、質的研究を実施したり評価したりする際にどのような視点があり、それらは量的研究の評価の視点とどのような異同をもつのか、といった問題を考えていきたいと思います。質的研究の評価基準を考えることを通じて、量的研究と質的研究それぞれの強みを活かした、幅広い研究のあり方について理解を深めることを狙いとします。

次第

司会説明(5分)

学会長挨拶(5分)

第1登壇者 能智 正博 先生(50分)
「APAスタンダードの背景とポイント

質的研究の評価基準については、ここ30年余りにわたって議論が続いている。2018年に発表されその後APAマニュアルにも掲載された質的研究論文執筆スタンダードは、これまでの議論をひとまず総括したものと言えるだろう。ここでは、APAスタンダードの内容を、新たに提案された評価の中心概念も含めて紹介し、私たちがこの基準をどう利用していけばよいのかを考えてみたい

第2登壇者 大橋 靖史 先生(50分)
ディスコースの分析アプローチ」

質的研究の1つにディスコースの分析がある。文章や物語は、量的研究では文字数やカテゴリーを数量化した分析が行われるが、質的研究では語られる物語の内容を分析したり(ナラティブ分析)、どのように書かれたり、語られるか、すなわち、書き方・語り方(ディスコース)の特徴が分析される。ここでは、ディスコースの分析事例をもとに、ものごとの描写の仕方を分析する研究の意味について考えてみたい

休憩(15分)

第3登壇者 抱井 尚子 先生(50分)
混合研究法の可能性と課題」

質的研究と量的研究を単一のプロジェクトの中で用いる混合研究法は、30年ほど前より理論化が急速に進んでいる。混合研究法は、複数の視座を統合することで単一の研究アプローチでは捉えることのできないシナジーの知へのアクセスを可能にする。ここでは、混合研究法によって統合的知見がどのように得られるのか具体的な例を示すとともに、本アプローチがもつ課題についても考えてみたい

全体質疑・討論(35分)

下記にある各先生の画像をクリックするとそれぞれの先生のHPをご覧いただけます。

能智 正博
(東京大学)

大橋 靖史
淑徳大学

抱井 尚子
青山学院大学)

2023年3月13日 追記
各先生よりいただいた当日の配布資料 (PDF) をアップロードしています。
サムネイル画像にカーソルを合わせて右上に表示される「ポップアウト」をクリックしてください。
ブラウザ上から閲覧・ダウンロードしていただけます。

春の方法論セミナー2022能智.pdf

能智 先生
当日発表資料

春の方法論セミナー2022大橋.pdf

大橋 先生
当日発表資料

春の方法論セミナー2022抱井_ 保存公開用.pdf

抱井 先生
当日発表資料 (保存公開版)

参加登録 ※対面参加,オンライン参加,いずれの場合も必須

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対面開催【定員120名】

場所
大正大学10号館2階1021教室
〒170-8470 東京都豊島区西巣鴨3-20-1

アクセス
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キャンパスマップ
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Zoom 中継【定員500名】

注意事項

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5.ウェビナーでは視聴者の方は基本的にカメラ・マイクはオフです。途中の質疑応答場面で、運営側が視聴者のマイク等をオンにすることもありますが、マイク・カメラの用意は原則不要です。

6.当日配信開始1時間前にリマインダーを自動送付します。その際に配布資料等のURLを掲載予定です。開始1時間前(リマインダー配信時)より後の登録の場合、資料URLは当日冒頭ウェビナー上で公開しますので、そちらを参照してください。