セミナー実施報告
敬称略、所属役職等はセミナー開催当時
敬称略、所属役職等はセミナー開催当時
戸澤愛美(北海道大学水産科学院 博士課程)
受け入れ研究者:安中さやか(東北大学大学院理学研究科 教授)
この度、日本海洋学会武者修行セミナーにご支援をいただき、東北大学の安中さやか教授の研究室を訪問しました。セミナーでは、「極域海洋における海洋表面二酸化炭素分圧の季節変化の定量的評価」というテーマで、安中教授に加えて、同大学の須賀教授、桂助教、4名の学生の方々に研究紹介をさせていただきました。学内の研究発表や学会では、同じ海洋地球化学分野や極域について研究をしている方々への発表がほとんどですが、今回は海洋物理を専門としている方々が多く、普段の発表とは異なる視点での質問やご意見をいただくことができました。また、分野を超えた場での発表において意識するべき点などについても、ご指導をいただくことができ、今後の自身の発表スキルの向上においても非常に貴重な機会となりました。また、セミナーの前後では、桂助教と学生の皆さんの研究内容についてもご紹介いただきました。生物生産や炭素循環など私の研究テーマに近い内容について、海洋物理の視点から取り組んでいる研究について教えていただき、新たな発見をたくさん得ることができました。
最後に、お忙しい中セミナーを受け入れてくださった安中教授をはじめとする東北大学の皆様、武者修行セミナー運営委員の皆様に厚く御礼申し上げます。
下仲雄大(東京大学農学生命科学研究科 修士課程)
受け入れ研究者:片岡剛文(福井県立大学 海洋生物資源学部 准教授)
この度、2024年11月22日に、福井県立大学にて武者修行セミナーを行い、卒業研究および修士研究のテーマである「日本海における動物プランクトンの糞粒が植物プランクトンの深層への輸送に果たす役割」についての発表を行いました。私は、糞粒中の植物プランクトンの寄与を明らかにする手法としてメタバーコーディングを用いた解析を中心に進めていますが、セミナーでは、糞粒中に含まれるDNAの量と、糞粒中の植物プランクトンの炭素量が一致しているのかという点について指摘を受け、多くの議論を行いました。この点は、私自身も課題と認識しており、手法の改善や補完の必要性を再確認する機会となりました。また、この手法を補完するための方法として、普段の研究室とは異なる専門分野を持つ先生方からの貴重なご意見やアイデアをいただいたことで、新たな視点を得ることができました。また、発表の他に、通年の日本海表層のDNA試料をいただくことができ、これにより、表層と糞粒中の植物プランクトン組成を比較することが可能となり、考察の幅が広がりました。最後になりますが、片岡先生をはじめとする福井県立大学の皆様、ならびに海洋若手武者修行セミナー運営委員の皆様に深くお礼申し上げます。
2024年度運営委員
藤原 泰 (神戸大学・代表)
大石 俊 (理化学研究所)
深井 悠里(JAMSTEC)
許浩東(東京大学大気海洋研究所 博士課程)
受け入れ研究者:磯辺篤彦(九州大学 応用力学研究所 教授)
今回武者修行プログラムで、九州大学応用力学研究所の海洋力学分野グループがセミナーを開いてくださいました。セミナーは英語で行われ、私は今まで行ってきたマイクロプラスチックのシミュレーションについて研究発表をしました。私を含めた5人の発表と総合討論を合わせて全体で5時間弱のセミナーになりました。磯辺篤彦先生の研究室には、現在マイクロプラスチックの数値実験を行っている方々が多くいらっしゃり、私も似たような粒子追跡モデルを利用して、マイクロプラスチックの行方を調べています。私が最初に発表させていただき、この一年の分析結果とこれからの研究計画を紹介しました。また、発表中は随時質疑を受け、研究の旨とモデルの設定及び分析手法などを詳しく漏れなく回答しました。更に、不十分の点については貴重かつ有益な意見を頂きました。これらの意見とコメントを参考に現在の分析やその手法を検討する他、今後の研究予定にも役立てていく予定です。その後、磯辺研に所属している博士学生2名、博士研究員2名の研究紹介を聞きました。私は太平洋研究のマイクロプラスチックについて研究していますが、インド洋を対象に同様の研究を進めている方もいらっしゃいました。彼女は論文をつい最近発表したと聞き、私もなるべく論文を投稿し、世界中のマイクロプラスチック研究に貢献をしたいと思いました。そして、マイクロプラスチックと生態系の相互作用のモデルについての発表を聞きました。相互作用による凝集、沈降、枯死、分解とそれに伴うマイクロプラスチックの放出など様々なプロセスを考慮したモデルは実際の海と近く、非常に面白い研究だと考えました。4人目の発表者は水塊とマイクロプラスチック分布の関係を見い出し、今まで明らかに分かっていないマイクロプラスチック水中分布の解明に繋がると期待されます。5人目の研究は未来のプラスチック汚染予測であり、プラスチック製品が恵まれる時代に存在する私たちが低炭素・脱炭素に切り替えないと、将来の世代が更なる厳しい環境危機に直面してしまうことを示唆していました。我々が行っているマイクロプラスチック研究は環境汚染を評価することだけでなく、カーボンニュートラルの経済社会を作ることにも知識を提供していると感じました。最後になりますが、受け入れて頂いた九大の磯辺先生、武者修行運営委員会の皆様に心から御礼申し上げます。
酒井秋絵(九州大学応用力学研究所 博士課程)
受け入れ研究者:日比谷紀之(東京海洋大学 客員教授)
1月10日7:00に福岡空港を出発し、8:20に羽田空港、10:30に東京海洋大学に到着した。到着後、私の研究テーマである「日本海南東部で観測される内部重力波」に関する研究成果を報告した。当日の発表資料と事前に送付した研究経過の資料から、観測された結果について、これまでと異なる解釈ができると日比谷先生から指摘を受けた。新しい解釈について検証を行いながら、一日目は20時まで、二日目は10:00から22時まで、三日目は10:00から16:00まで日比谷先生と議論をした。その結果、観測された近慣性振動はビーム状の内部重力波ではなく、鉛直モード形状の近慣性周期のリー波である可能性があることが判明した。17:20に羽田空港を出発し、福岡に帰った。
2023年度運営委員
西川 はつみ (東京大学・代表)
大石 俊 (理化学研究所)
藤原 泰 (神戸大学)
深井 悠里(JAMSTEC)
岩切 友希(東京大学大気海洋研究所 学振特別研究員)
受け入れ研究者:見延 庄士郎(北海道大学 理学院 教授)、時長 宏樹 (九州大学 応用力学研究所 教授)
2022年度日本海洋学会若手武者修行セミナー制度を利用して北海道大学 見延先生・九州大学 時長先生のもとで、博士論文「多年性ENSO現象のメカニズム」の研究発表を行いました。末端研究者の自分が図々しく「セミナーをさせてくれ」というのは憚られるものの、運営委員会の皆様に仲介して頂いたおかげで実現しました。両大学でのセミナーは長時間にも関わらず様々な質問・意見を頂き大変有意義な時間となりました。7月5-6日に訪問した見延先生のもとでは自身のセミナーの他、同研究室研究員Givoさん、学生の阿部さんに研究を紹介して頂いたほか、見延先生からは過去に取り組まれた研究やそこからの発展性などのアイディアを共有してくださいました。8月23日に伺った時長先生のもとでは同研究室助教 森さんを含めてディスカッションを行い、研究員 塩崎さんの研究も共有して頂きました。受け入れてくださった北海道大学・九州大学の皆様、運営委員会の皆様に感謝申し上げます。
原楠(Yuan Nan:北海道大学大学院環境科学院 博士課程)
受け入れ研究者:尾形友道 (海洋研究開発機構 研究員)
Thanks to the support from the Oceanographic Society of Japan, I had an opportunity to visit the Application Laboratory in JAMSTEC Yokohama Institute and share my doctoral study, a modified Ekman overturning structure by the geostrophic stress due to thermal wind relation, with the talented researchers in the APL as an APL-guest seminar as well. Before the presentation I had a talk with Dr. Sasaki on the oceanic observational net deployed by the institute and outside and recent studies on the sub-mesoscale eddies in the subtropical region, and I really appreciate the talk and learn a lot from him. During the presentation, several inspiring questions and comments were mentioned in the meeting which are really helpful for me to organize my mind, think about the unrevealed potential questions existing in the study and broad my understanding on the possible extensions of the study. I received a really interesting question about if it is possible to connect the structure what I am studying with the storm surge as the Ekman transport takes a significant account in the process. The oceanic bottom stress may be an important factor to be inspected further to gain a solution. After the question part, we (the in-site researchers Dr Furue, Dr Ogata and me) had another one-hour discussion on the possible applications of the modified Ekman overturning on the other freshwater influenced coast and the remaining questions on the sensitive experiments. They also provided me precious ideas on how to explain one of simulated phenomenon in my second studied case, including how to understand the diffusivity and the topography regulations on the structure, which are being verified. The non-stop five-hour idea exchange may be not enough to figure out each unclear detail in the study, but I really appreciate each comment, question and suggestion from them and also appreciate for their patience to discuss with me and try to find a solution for the scientific question. I will take them seriously and think about answers of the questions I do not know how to reply at this time.
2022年度運営委員
西川 はつみ (東京大学・代表)
大石 俊 (理化学研究所)
藤原 泰 (神戸大学)
山崎開平(北海道大学大学院環境科学院 博士課程)
受け入れ研究者: 須賀利雄(東北大学大学院理学研究科)
この度は武者修行セミナーの制度を活用し、東北大学の須賀利雄教授の研究室に訪問させていただきました。私が東北大理学部にいた頃、須賀先生には卒業研究をご指導いただき、南極海の研究を始める足掛かりをいただきました。今春に博士号を取得する運びとなり、これが一つの節目と考え、本セミナーを機としてご挨拶に伺うことにしました。発表内容は、博士論文「東南極沖における周極深層水の極向き輸送」の内容に加えて、研究の将来構想を含むものでした。観測データを駆使する研究に造詣が深い先生方のコメントからは、新しい気づきを得ることができました。有難いことに、今回は殆ど無制限にお時間を割いていただきました。63枚のスライドを質疑交えて4時間以上かけて紹介し、続けてその他研究に関する先生方との熱く楽しい議論が2時間程あり、お陰さまで大変充実した訪問となりました。難しい社会情勢にも拘らず暖かく受け入れてくださった須賀先生、また西川はつみさんを始めとする運営委員の方々、並びにJOS事務局の皆さまに、厚く御礼申し上げます。
2021年度運営委員
西川 はつみ (東京大学・代表)
大石 俊 (理化学研究所)
藤原 泰 (東京大学)
※新型コロナ感染症の影響で,実施はありませんでした。
2020年度運営委員
西川 はつみ (東京大学・代表)
大石 俊 (理化学研究所)
谷田 巖 (西海区水産研究所)
藤原 泰 (東京大学)
深井悠里(北海道大学大学院水産科学院 修士課程)
受け入れ研究者: 渡邉 英嗣(海洋研究開発機構 研究員)
2020年1月9日にJAMSTECの横須賀本部において,北極環境・気候研究グループおよび北極海洋生態系研究グループのセミナーで発表を行いました。発表題目は,「太平洋側北極海陸棚域の海底堆積物中における珪藻類休眠期細胞群集と海氷分布の関係」で,北極環境総合研究センターに所属する方を中心に,15人程の研究者の方に来ていただきました。本セミナーでは,北極に関する研究を行う他分野の方に自身の研究内容を知っていただけただけではなく,普段とは異なる視点からご意見を戴くことができました。今回戴いたコメントを活かして,発表内容を論文にできるようにしたいです。また,セミナー終了後も数人の研究者の方とこれからの研究に関するお話をさせていただき,面白いアイディアをいただくと共に,非常に今後の励みとなりました。最後になりましたが,JAMSTECでセミナーを主催して戴いた渡邉様を始め,セミナーにお越しいただいた研究者の皆様,武者修行セミナー運営委員の皆様に感謝申し上げます。
村田 壱学(東京大学大学院理学系研究科 博士課程)
受け入れ研究者: 杉本 周作(東北大学大学院理学研究科 准教授)
2020年2月27日,東北大学青葉山北キャンパスで「Quantitative investigation of mechanisms of “reemergence” in the central North Pacific with ocean model」というタイトルでセミナーを行いました.セミナーには受け入れ研究者の杉本先生をはじめとして,花輪先生,須賀先生,大学院生の皆様が出席してくださいました.セミナー内では混合層熱収支解析を用いた海洋再出現過程の解釈について深くディスカッションすることができました.さらに,今回のセミナーでは今後の私の研究の方向性について様々なアドバイスをいただきました.海洋再出現過程に関する研究が盛んである東北大学の皆様から貴重なアドバイスをいただくことができ,非常に有意義な時間を過ごすことができました.今回のセミナーで得たアドバイス・コメント基に,さらなる研究に励むことができます.最後に,今回私の武者修行セミナーを受け入れてくださった杉本先生,ご多忙の中東北大学の皆様,そして今回のセミナーを実施するにあたり杉本先生との仲介や資金援助をしてくださった武者修行セミナー理事局の皆様に御礼申し上げたいと思います.
2019年度運営委員
堤 英輔 (東京大学・代表)
大石 俊 (名古屋大学)
谷田 巖 (西海区水産研究所)
西川 はつみ (北海道大学)
小林 英貴 (東京大学大気海洋研究所 特任研究員)
受け入れ研究者: 大島 慶一郎 (北海道大学低温科学研究所 教授)
「氷期の大気中二酸化炭素濃度低下における海洋炭素循環の役割」に関連する二件の研究発表を行った。一件目は、申請者が研究協力者となっている、新学術領域研究『熱ー水ー物質の巨大リザーバ 全球環境変動を駆動する南大洋・南極氷床』に関連する参加者のみなさまに対して、自身の最新の研究内容を紹介するセミナーを行った。セミナーの中では、気候モデルを用いた数値実験で得られた成果や課題について報告し、研究発表大会ではできないような詳細に踏み込んだ議論により、手法の改良・開発につながる多くのご意見をいただくことができた。今後とも意見交換を行いながら、継続して研究を遂行していきたいと思う。二件目は、北海道大学大学院環境科学院地球圏科学専攻で開催されている大気海洋物理学・気候力学セミナーにおいて、博士論文の内容を紹介した。気象学・気候力学が専門の方や、衛星観測・現場観測データの解析をされている方など、古海洋の炭素循環に馴染みのない参加者が大多数であり、基本的なご質問も多く受けたが、研究内容の大要を伝えることはでき、有意義な機会となった。
酒井 秋絵 (九州大学大学院総合理工学府 修士課程)
受け入れ研究者: 日比谷 紀之 (東京大学大学院理学系研究科 教授)
2017年11月28日午前に東京大学本郷キャンパスの日比谷研究室に訪問し、「ルソン海峡で観測した内部波とそれに伴う混合」についてセミナー発表を行った。セミナーでは、内部波のエネルギー伝播経路に関する指摘や潮汐モデルを用いた潮流の計算方法に関するアドバイスを受けた。午後には、内部波の伝播過程を表現するモデルの組み方を実際にプログラムを書きながら教え受けたほか、参考資料を受け取った。若手武者修行セミナーの実施により、普段の研究生活では得られない知見が得られ、今後の研究の進め方が広がった。
藤原 泰 (京都大学大学院理学研究科 博士課程)
受け入れ研究者: 早稲田 卓爾 (東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授)
2018年11月28日と29日、若手武者修行セミナーとして東京大学大学院新領域創成科学研究科の早稲田卓爾教授の研究室を訪問しました。セミナーは28日に開催され、私がこれまで行ってきた水面波と海洋表層流の相互作用の数値的研究の成果を発表しました。また、セミナーは私の発表だけでなく港湾空港技術研究所の田村仁博士と研究室の学生の北佑樹さんの発表のセットとして開催され、関連する研究の話を聞かせていただきました。普段の短い学会発表では話しきれない大きなストーリーや細かいけれど大事な発見について話したり、また逆に普段質問しきれない気になる点を議論したりできて、大変有意義なセミナーでした。早稲田先生には訪問中の2日間にたっぷり時間をいただいてディスカッションしていただき、研究の今後の発展についてたくさんのご意見をいただきました。また研究室の造波機つき風洞水槽を見学させていただき、さらに私の研究テーマであるLangmuir循環を水槽で再現する実験までさせていただきました。普段数値シミュレーションで乱流を中心に調べている私にとって、水槽実験のイメージをつかみ波浪研究の視点を聞かせてもらえるとても貴重な経験となりました。
2018年度運営委員
堤 英輔 (九州大学・代表)
大石 俊 (名古屋大学)
谷田 巖 (西海区水産研究所)
西川 はつみ (北海道大学)
伊藤 薫 (北海道大学大学院環境科学院 博士課程)
受け入れ研究者: 日比谷 紀之 (東京大学大学院理学系研究科 教授)
今回、日本海洋学会若手研究助成 若手武者修行セミナーによる援助を受け、東京大学理学部の日比谷紀之先生の主催されるセミナーにおいて発表の機会をいただくことが出来ました。イントロダクションから問題設定の妥当性と問題の仮定、結果の解釈までほぼすべてのトピックで日比谷研の皆様には有意義なコメントをいただけました。自分で研究しておきながら波の散乱や捕捉に関して問題を自分のものにできていなかったため答えに詰まることが多く、勉強不足を痛感しました。またセミナーでの議論だけでなくセミナー後にも丹羽先生、日比谷研の学生の皆様に時間をとっていただき、これまで思いつかなかった発想やご意見をいただくことが出来ました。今後研究を進める上で大変参考になりました。最後に、セミナーを受け入れてくださった日比谷先生、セミナーにご参加頂いた皆様、旅費の補助をしていただいた武者修行セミナー事務局の皆様、特にセミナーをコーディネートして下さった永井様に深く感謝致します。
牛島 悠介 (京都大学大学院理学研究科 博士課程)
受け入れ研究者: 井上 龍一郎 (海洋研究開発機構 主任研究員)
1月16日にJAMSTECの横須賀本部においてセミナー発表を行いました。発表の題目は「海面熱フラックスの日変化が海面加熱期の混合層深度と海面水温変化に与える影響に関する研究」で、セミナーには10-20人程のJAMSTECの研究者の方に来て頂きました。セミナーの設定時間は1時間でしたが、セミナー後に数人の研究者の方々がセミナー室に残って下さり、30分から1時間程度の間、議論させてもらいました。自身が所属している研究室には、数値モデルを専門とする教員・学生が多いのですが、セミナーに来て頂いたJAMSTECの研究者の方々には観測ベースで研究している研究者の方も多く、普段とは異なる視点からの貴重な質問、コメントを頂くことができました。今回発表した研究内容は現在論文としてまとめている途中なのですが、今回頂いたコメントは論文を作成するのにあたりとても参考になりそうです。最後になりましたが、セミナーの受け入れをしてくださった井上様、JAMSTECでセミナーを主催してくださった勝又様、セミナーに来て頂いたJAMSTECの研究者の方々、武者修行セミナー運営委員の方々に感謝いたします。
趙 寧 (九州大学応用力学研究所 研究員)
受け入れ研究者: 中村 尚 (東京大学先端科学技術研究センター 教授)
‘The Musha Shugyō Seminar for Young Researchers of the Oceanographic Society of Japan (日本海洋学会若手武者修行セミナー)’ is a program for supporting young researchers to presenting their works in other institutes or universities. I fortunately received this grant in last September, and on February 5th, I visited the laboratory of Prof. Nakamura in the Research Center for Advanced Science and Technology of the University of Tokyo. It was a cold day that a strong cold wave hit Fukuoka, bringing the rain and snow. Although the weather gave me a bad start by delaying the airplane over 30 minutes, I received a very warm welcome from Prof. Nakamura and other lab fellows. Prof. Nakamura and his research group have a wide range of knowledge and experience on the oceanic and atmospheric processes in mid-latitudes, especially on the air-sea interactions. I regarded this seminar as a wonderful opportunity to improve my study by discussing with Prof. Nakamura and his group. During the seminar, I introduced my study on extra-tropical cyclones and the Sea of Japan during my three-year Ph. D. course. My study was based on two simple scientific questions: 1) How would the Sea of Japan respond to the passing cyclones? 2) How the altered Sea of Japan modulate the following cyclones. These two questions further constructed the hypothesis of the sub-weekly interactions between cyclones and the Sea of Japan. Because the plenty of presenting time, I received many questions and comments from professors and students, which made me feel like another Ph.D. defense. Most of comments were very fruitful and valuable for improving my study, and some of them were even crucial to my final conclusions. Although I have attended many seminars, meetings or conferences, the ‘Musha Shugyo Seminar’ is totally different. Without the ‘short time’ limitation and scruples, questions and discussions could go much deeper, until the fundamental levels of our studies. Some of them really let me be “sweaty”, which shaked some basics of my study. But, I think these comments and/or questions are doing no more than helping me to get a ‘true’ science. I really enjoyed this seminar. I think it is a great chance for our young researchers, like myself, to show us that the road of science is not a flat avenue. On the other hand, with this seminar, I was able to introduce myself and my study to a wider audience, and it also expanded my social relationship in the scientific society, which are quite important for our young researchers. At last, I shall thank the committee of the ‘Musha Shugyo Seminar’ and the Oceanographic Society of Japan, who let me gain this valuable experience. I also thank Prof. Nakamura and his group, who helped me improve my study by those valuable comments and suggestions.
2017年度運営委員
堤 英輔 (九州大学・代表)
大石 俊 (名古屋大学)
児玉 武稔 (日本海区水産研究所)
西川 はつみ (北海道大学)
寺田 雄貴 (鹿児島大学 理工学域工学系 理工学研究科 修士課程)
受け入れ研究者: 富田 裕之 (名古屋大学 宇宙地球環境研究所 特任助教 )
今回、私は若手武者修行セミナーとして名古屋大学宇宙地球環境研究所にて研究発表を行いました。セミナーでは複数極軌道衛星を用いた海上風ベクトルデータセットの構築とその有用性の検討というテーマで発表させていただきました。セミナーにはお忙しい時期にも関わらず10名程度の方が発表を聞きにこられ、様々な観点からの質問、コメントをいただきました。質問に対して答えられないこともあり、申し訳ない点も多かったですが、研究に対してのご指摘も多くいただき有意義な時間になりました。セミナーの場でご指摘を頂いたことはこれからの研究活動に十分に参考になるものでありました。この“武者修行セミナー”が他の若手研究者,特に大学院生にとって今以上に大いに活用されることを期待しています。最後になりますが、受入研究者としてご尽力して下さった富田先生、そして若手武者修行セミナー運営委員の皆様にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。
眞野 能 (愛媛大学大学院 理工学研究科 博士課程 )
受け入れ研究者: 西川 淳 (東海大学海洋学部 教授)
このたび2016 年10月17日に,東海大学海洋学部 海洋生物学科の西川淳先生に若手武者修行セミナーの開催を受け入れていただき,発表させていただきました.当日は西川研究室の皆さんのほか,同学部の他の先生方やその学生の方々も発表を聞きに来て下さいました.私の研究はクラゲの集群形成過程を物理的なアプローチで明らかにするというものですが,これまでは生物的な視点での議論が欠けていました.そこで今回プランクトンを専門に研究されている皆さんに話を聞いていただき,発表と質疑応答の約2時間にわたる議論の中で,クラゲの遊泳行動に関する知見,今後試みるべき観測,改善すべき解析手法などについてたくさんの有益なご助言を頂きました.普段の私たちの研究室のゼミ発表では出てこないようなアイデアやご指摘をたくさん頂けたので,今後研究を進めていく上で大いに役立てることができそうです.最後に,セミナーの開催を受け入れていただいた西川先生,セミナーにご参加いただいた東海大学の皆様,そして旅費の補助や西川先生との仲介をしていただいた武者修行セミナー事務局の皆様に,心よりお礼申し上げます.このような貴重な経験をさせていただきありがとうございました.
2016年度運営委員
永井 平(東京大学・代表)
阿部 泰人(東京大学)
児玉 武稔(日本海区水産研究所)
斉藤 類(愛媛大学)
堤 英輔(九州大学)
阿部 博哉 (北海道大学大学院環境科学院 博士課程 )
受け入れ研究者: 阿保 勝之, 堀 正和 (瀬戸内海区水産研究所 )
この度,日本海洋学会若手研究助成 若手武者修行セミナーによる援助を受け,瀬戸内海区水産研究所にて自身の研究発表を行う機会を頂きました。セミナーの持ち時間として1時間を頂き,『亜寒帯汽水湖における低次生産構造の解明と沿岸域管理手法の構築』というタイトルで自身の研究対象域である北海道厚岸湖・厚岸湾での研究経過を紹介しました。発表後には数多くの質問・意見を頂戴し,その中でも特に「数値シミュレーション(生態系モデル)の計算結果の精度の評価」については深く考えさせられるものでした。通常の学会であれば,発表時間とともに質疑の時間も限られており,互いに十分な説明・議論ができないということを頻繁に感じてしまいます。また,研究室内の発表だけでは新鮮味に欠けてしまうことがあります。しかし,本セミナーでは普段関わりの少ない研究機関にお邪魔し,複数の部署の方の前で話をさせていただくことができました。また,博士後期課程の学生として,これまでに行った研究の総括として発表し,セミナーの場でご指摘を頂いたことは博士論文の執筆にあたり十分に参考になるものであると感じられます。この“武者修行セミナー”が他の若手研究者,特に大学院生にとって今以上に大いに活用されることを期待しています。今後の取り組みとして,“若手研究者が押しかける”セミナーに加えて,“ベテラン研究者をお招きする”勉強会というスタイルが有ると学生にとっては非常に有意義な経験になると思います。最後になりますが,経費の援助を賜った日本海洋学会,若手武者修行セミナーの運営委員,そして貴重なご意見を頂戴した瀬戸内海区水産研究所の皆様に,御礼申し上げます。
岩中 祐一 (九州大学大学院総合理工学府 博士課程)
受け入れ研究者: 木田新一郎 (海洋研究開発機構 研究員)
今回、若手武者修行セミナーを海洋研究開発機構・横浜研究所で発表しました。セミナーでは現在研究に取り組んでいる河川プリュームの観測とモデリングに関して発表を行いました。普段馴染みのない沿岸海域の研究だったにも関わらず、多くの方に参加していただきました。セミナーでは多くの質問を頂き、それらに対して答えに詰まるものがいくつかあり、自分の研究に対して勉強不足な部分が存在することに気付くことができました。また、セミナー後も木田研究員と東京大学大気海洋研究所の田中潔准教授と研究に対する議論を行い、また古惠研究員にはモデルに関してアドバイスを頂きました。学会の口頭発表ではできない、発表中に議論を交わすこと、また今までお話しすることすらできなかった多くの研究者と議論することができ、有意義な経験ができました。最後になりますが、今回このような機会を設けて下さった若手セミナー運営委員の皆様、セミナーの受け入れをして頂いた木田研究員、遠いところ足を運んでいただいた田中准教授、そして忙しい中セミナーに参加して頂いた皆様に感謝申し上げます。
大石 俊 (東京大学大学院理学系研究科 博士課程)
受け入れ研究者: 佐々木英治 (海洋研究開発機構 主任研究員)
2015年6月11日、海洋研究開発機構 横浜研究所で、若手武者修行セミナーとして、アガラス水温前線の形成・緩和過程について,観測データと大気海洋結合モデルCFESの結果の比較を含めて,研究発表を行ないました。セミナーにはおよそ15人の方が発表を聞きに来られ、様々な観点からの質問やコメントを数多く頂きました.また,セミナー終了後,野中正見主任研究員,佐々木英治主任研究員など多くの方々に時間を頂き,本研究の意義を整理し,CFESを用いた本研究の発展性や今後の研究の方針を議論することができました.今回の武者修行セミナーを通して,多様な視点から数多くのご意見を頂くことができ,大変有意義であったと感じました.また,結合モデルに関して,海洋研究開発機構の方々に協力して頂き,より発展させた研究を行う運びとなり,さらに実りあるセミナーになりました.最後に,このような貴重な機会を設けて頂いた海洋研究開発機構の方々,ならびに若手支援制度「若手武者修行セミナー」の方々に深くお礼申し上げます.
唐木 達郎 (北海道大学大学院 環境科学院 博士課程)
受け入れ研究者: 磯田 豊 (北海道大学大学院水産科学研究院 准教授)
自立して研究出来るのか? 2015年度春季海洋学会の懇親会で初めてお会いしたとき、磯田豊先生が私に説いた内容をかいつまんで言うとそういうことだと思う。 だから今回の武者セミナーを、自分の力だけで数値モデルと理論を作り、その結果を磯田先生の前で発表する場にしようと決めた。ちゃんとした結果がでたのが発表の前日で、結果の解釈も不十分で、発表練習もままならなかった当日のセミナーは悲惨だった。それにもかかわらず、聴講して下さった方々は感謝しきれないほど親切だった。 この研究をより良くするために必要なことを提案してもらい、私が分かるまで議論してくださった。 特に貴重だったのは、現場観測を行う側の視点が補われたという実感で、それは私の次の目標に繋がっている。 振り返ってみると、セミナーに申し込んでから当日に到るまで、とても充実した日々を過ごせた。 磯田先生をはじめとして、このセミナーに関わった皆様、そして直接勧誘してくださった北海道大学の阿部泰人様、どうもありがとうございました。
坪内 崇真 (National Oceanography Centre, Southampton ポスドク研究員 )
受け入れ研究者: 大島 慶一郎 (北海道大学 低温科学研究所 教授)
今回、私は北海道大学 低温科学研究所で、若手武者修行セミナーとして研究発表を行ないました。セミナーでは、私が今まで英国で研究してきた、北極海環状のCTD観測データ、係留系観測データ等にボックスインバース法を適応することで得られた、北極海とその周辺海域でやり取りされた熱輸送および淡水輸送量を定量化した研究結果を発表しました。セミナー自体には20人ほどの方が発表を聞きに来ていただき、解析手法、結果の解釈等、活発に議論させていただきました。特に、豊田威信先生には、海氷の比熱が零下10度以下では水温、塩分に敏感に変化する背景にある物理メカニズムおよび、海氷の厚さと海氷の塩分の間に非常にいい関係があることの理由を解説していただきました。大島慶一郎先生には、海洋による淡水輸送量の解釈について本質的な議論をしていただきました。また、研究テーマの将来の発展性について背中を押していただいたことは、今後の研究を進める上で非常に励みとなりました。また、セミナー前に野村大樹研究員に低温科学研究所の所内を案内して頂きました。私自身、これまで北海道大学低温科学研究所を訪問したこと、北海道大学低温科学研究所の研究者の方々と議論したことは皆無であり、今回の滞在を通じて密度の濃い、非常に有意義な時間を過ごすことが出来ました。最後に、今回の企画を立ち上げてくださった海洋学会若手支援関係の皆様および旅費の支援をしていただいた大島慶一郎先生に厚く御礼申し上げます。
中川 美和 (愛媛大学大学院理工学研究科 博士課程)
受け入れ研究者: 石坂 丞二 (名古屋大学地球水循環研究センター 教授)
今回、名古屋大学宇宙地球環境研究所陸域海洋圏生態研究部門にて研究発表をさせていただきました。セミナーでは、海色衛星データを用いた瀬戸内海におけるChl.aの時空間変化についてお話させていただき、多くの質問やコメントを頂戴いたしました。さらに、セミナーの前後に石坂丞二教授や研究室の学生の方たちに時間を設けていただき、ソフトを使用した衛星データの処理方法などをご教示いただきました。今回のセミナーを通して、日々のゼミでは学ぶことができない専門的な視点でのデータの見方や解釈、処理方法を学ぶことができました。ここ暫く、解析の進め方について悩んでおりましたが、このような機会をいただけたことで、一歩前に進むことができたと思います。また、多くの方に自分の研究を知っていただき、たくさんのご意見をいただけたことは、今後研究を進めていく上での大きな励みとなりました。最後になりますが、受入研究者としてご尽力して下さった石坂先生、石坂研究室の皆様、そして若手武者修行セミナー運営委員の皆様にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。
2015年度運営委員
永井 平(東京大学・代表)
阿部 泰人(北海道大学)
斉藤 類(東京大学)
堤 英輔(九州大学)
和川 拓(水産総合研究センター)
片岡 崇人 (東京大学大学院理学系研究科 博士課程)
受入研究者: 谷本 陽一 (北海道大学大学院地球環境科学研究院 教授)
この度、若手武者修行セミナーとして北海道大学の大気海洋物理学・気候力学セミナーにて発表の機会を頂きました。セミナーでは私が博士課程で行ったインド洋の気候変動現象であるニンガルー・ニーニョに関する研究結果を紹介し、研究者の方々より多くのご質問・コメントを頂戴いたしました。外部組織における長時間講演という事で、これまでにないほど密度の濃い議論を行う事ができました。特に、様々なバックグラウンドをお持ちの諸先生がたより、私が普段持っていなかったような視点からのご意見を頂けたことは貴重な経験でした。また、北海道大学滞在中の空き時間も、多くの先生方より個別に議論のお時間を頂戴する事ができ、私の現在の研究にとってはもちろん、研究そのものに対する考え方や姿勢といった面でも大変勉強になりました。最後に、このような貴重な機会を頂けまして、受入研究者としてご尽力下さった谷本先生、ご協力頂きました見延先生、若手武者修行セミナーの運営員のみなさまに厚くお礼申し上げます。
君塚 政文 (東京海洋大学 大学院海洋科学技術研究科 博士課程)
受入研究者: 木田 新一郎 研究員 (海洋研究開発機構APL )
今回、私は海洋研究開発機構 横浜研究所で、若手武者修行セミナーとして研究発表を行ないました。今回のセミナーで、私は今まで研究してきた北太平洋亜熱帯循環系の風成循環の構造および、循環系と水塊との関係について発表しました。私の研究は、どちらかといえば基礎的な研究であるにもかかわらず、20人ほどの方が発表を聞きに来られ、多くの方からコメントをいただき、私の研究に興味を持っていただけていることが実感できました。またセミナー後、北太平洋の研究に精通している野中 正見 研究員と田口 文明 研究員に時間を設けてもらい、循環系の時間変動について議論しました。この議論によって、循環系の季節変動について、整理することができ、新しい見解を得ることができました。今後、博士論文をまとめるためにも、今回の訪問は大変有意義であったと確信しています。最後に、今回の企画を立ち上げてくださった海洋学会若手支援関係の皆様にお礼申し上げます。
照井 健志 (国立極地研究所北極観測センター 特任研究員)
受入研究者: 吉江 直樹 講師 (愛媛大学沿岸環境科学研究センター)
この度、若手武者修行セミナーの内定を頂いた後、吉江直樹講師の計らいで愛媛大学沿岸環境科学研究センター環境動体解析部門においてセミナーを開催することができました。セミナーでは、学生時代から続けている海洋生態系モデルの研究紹介だけではなく、国内外のモデル研究の問題点や、昨今のモデル開発体制について議論を行いました。開発体制については、教員と学生ともに多くの質問が寄せられました。セミナー後半に、現在の仕事であるデータ基盤の構築とデータ共有の推進について紹介し、モデル開発におけるデータ共有推進という現在の目標について、紹介できました。セミナー最後に、武岡英隆センター長より、「今はモデル研究とデータ研究のどちらの方が楽しいか?」、という質問を頂きました。ちょうど私のこれまでのキャリアを振り返るセミナーになったため、将来のキャリアを含めた、ある程度の答えを導き出す貴重な議論ができました。このような議論は、外部の自分には縁の少ない場所以外では行い難く、若手武者修行セミナーのおかげで、このような貴重な経験をすることができたと思っております。また、学会支援の旅費支給による開催形式のおかげで、緊張感をもってセミナーへ挑むことができました。仮に無償で行われるセミナーでは、甘さが出てしまうため、しっかりと自身のキャリアを振り返る事はできなかったと思います。そう思うと武者修行というのは的確な名前だと再認識しました。最後にこのような貴重な機会を頂けまして、吉江直樹講師と海洋学会の若手研究集会支援の「若手武者修行セミナー」プログラムに多大な感謝を申し上げます。
仁科 慧 (京都大学大学院 理学研究科 地球惑星科学専攻 博士課程)
受け入れ研究者: 広瀬 直毅 (九州大学応用力学研究所 教授)
2014年10月10日(金)、九州大学応用力学研究所の広瀬直毅教授を受入研究員として、同研究所にて海洋若手セミナーの発表を行った。発表の内容は、黒潮続流域における中規模変動の再現性向上に対する流速データ同化の有効性について、というものだった。流速データは漂流ブイとArgoフロートの軌跡から推定したもので、これらを衛星観測や水温塩分観測といった海洋データ同化において定番となっている観測データと合わせて同化した。同化結果の解析を踏まえて、精度向上に対する定量的な評価や流速データならではの質的な改善について詳しく説明した。今回のセミナーでは普段の研究室内ゼミでは出てこない質問・コメントをいただくことができた。海洋データ同化に造詣の深い方々からは同化システムの詳細や同化結果の評価・解釈についてマニアックかつディープな指摘を多数いただき、四苦八苦しつつも白熱した意見のやりとりをした。同化が専門でない方々からも観測データの特性、研究の意義づけなどについて、各々方の専門に則した質問・コメントをいただき、大いに刺激を受けた。これらは解析の進め方や説明の手順などについてより広い視野を持って客観的に見つめ直し、自身の研究を深めていく上で大いに役立つものであり、本セミナーの「若手研究者の武者修行」という趣旨にかなった成果が得られたと思う。また、時間に余裕があったため、それぞれの質問・コメントにじっくり答えることができたのも、若手セミナーならではの恩恵だと感じた。セミナー終了後には懇親会を開いていただき、和気藹々と楽しい時間を過ごした。色々と面白い話があったが、尊敬する先生方から駆け出しの頃の思い出や研究に対するポリシーについて拝聴したことが特に印象深い。今回のセミナーでは普段の活動では得難い貴重な経験をさせていただいた。受入研究者として尽力して下さった広瀬先生、九大応力研の皆様、そして海洋若手セミナー運営員の皆様にこの場を借りて改めて感謝したい。ありがとうございました。
日原 勉 (東海大学大学院 地球環境科学研究科 博士課程)
受け入れ研究者: 野中 正見 (海洋研究開発機構APL 研究員)
武者修行セミナーの参加者募集が行われた6月の時点において、私は、セミナー発表に値する研究結果が全くなく、研究の方向性すらも定まっていない状況でした。そのため、武者修行セミナーに応募して良いかどうかすごく悩んでいました。そのとき、「数ヶ月経った晩秋の自分」を想像して、「もし、武者修行セミナーで発表する内容がなければ、研究者に向いていなかったと判断するべきではないか」と思い至り、そして、武者修行セミナーで発表できなければ、学位取得をあきらめるという決意を持って応募しました。また、「指導教員の元を離れて一人で発表する」というプレッシャーが研究を進める上で大きな推進力となるのではないかという期待も、応募することに対する後押しとなりました。結果として、期待通り、武者修行セミナーというプレッシャーがプラスに働き、研究に対するモチベーションを高め、維持し続ける役割を果たしました。7月から11にかけての4か月間に、何度も挫折を経験しましたが、そのたびに、セミナーで発表する自分を想像し、気持ちを奮い立たせていました。そして、偶然ではあるものの、海面水温の半年周期変動成分に気づき、研究の方向性が決まりました。武者修行セミナーでは、この変動成分に対する解析の途中経過を発表しました。武者修行セミナーの存在が、博士課程の出口の光を見つける切掛けになったと強く感じており、5か月前、発憤して武者修行セミナーに応募して本当に良かったと感じています。セミナー発表では、JAMSTECに所属する多くの研究者に囲まれ、半人前の私が発表を行っても良いものかと、大変恐縮してしまいました。それでも、少しでも私のことを覚えてもらえるようにと気持ちを強く持って挑みました。全体として、多くの方が私の発表に興味を持っていただけたようで、ご質問、ご意見を沢山いただき、今後の解析に向けてのいい弾みとなりました。また、研究内容に対して、ポジティブな意見が多かったように感じており、研究の方向性にも自信が持てました。そして、いつもと異なる環境に出向くことで、とても新鮮な刺激を受け、よりいっそう研究に励もうという強く思えました。最後になりますが、この度は、JAMSTEC横浜研究所にてセミナー発表をさせていただく機会を設けていただき、誠にありがとうございました。若手セミナー運営委員のみなさま、野中先生をはじめJAMSTECのみなさま、そして日本海洋学会に重ねてお礼申し上げます。
2014年度運営委員
杉本 周作(東北大学・代表)
木田 新一郎(海洋研究開発機構)
永井 平(東京大学)
森岡 優志 (海洋研究開発機構)