主催:対法雑誌刊行会
「仏教史は非連続の連続だ」とさえ言われるほどに、仏教は常に新たな展開を続けてきました。その展開から派生した多様な諸仏教は、古代インドにおける仏教部派がそうであるように、それぞれ一つの学派あるいは教派を形成していたと語られることがあります。しかしながら、そのように派生した集団は実際どのように存在したのか、派生した集団が何故に仏教の一部であり得るのか、そもそも仏教の共通性とは何なのか、といった、仏教史の本質に関わる問いは十分に掘り下げられているわけではありません。
そこで対法雑誌刊行会では、とくに中国仏教における宗派性に関する講演会を開催することで、一つの仏教が複数に派生することの意味をご来場の皆さまと考え直す機会を設けることにいたしました。近現代中国仏教における日本との交渉を専門としておられる陳継東先生を講師としてお招きして、オンライン配信講演会を開催いたします。
陳先生には、中国仏教における「宗」「教」概念の変遷と「八宗」「十宗」説が現代中国仏教に与えた影響について講演していただきます。中国で初めて体系的に論じた文献である南宋期の宗鑑『釈門正統』(1237)および志磐『仏祖統紀』(1269)、天台宗を正統とし、他宗派を「教」あるいは「宗教」と表現していたこと、釈広真(1582-1639)『釈教三字経』により初めて諸宗を「宗」で総称する枠組みが提示されたこと、その後、同治年間に赫舎里如山『八宗二行』(1862-1874)が「八宗」概念を示し、光緒年間には楊文会(1837-1911)がこれを日本の凝然(1240-1321)『八宗綱要』と統合し『十宗略説』を編纂、「十宗」分類が定着したこと、さらに梁啓超(1873-1929)が『中国学術思想変遷之大勢』で「十三宗」説を唱えたこと。これらの題材を分析することで、中国仏教における宗派認識の形成史が描かれるでしょう。ご講演後には、一色大悟がディスカッサントとなり、オンライン参加者からの質疑も交えて議論します。
対法雑誌刊行会は、2020年2月2日に若手研究者六人を発起人として結成された学術雑誌刊行団体です。本会は部派仏教を仏教の基底文化と捉え、部派仏教を中心とした仏教研究の振興と普及という目的のもと活動しています。
青山学院大学教授
タイトルページ画像:『釋氏源流應化事蹟』(World Digital Library collection, Library of Congress)の一部、スペーサー画像:『人倫訓蒙図彙 』(京都大学附属図書館所蔵)の一部