日本マインドフルネス学会
第10回大会(2023年度)
更新情報
NEW 12月10日 プログラム・抄録集を追加しました。こちらよりご覧下さい。
大会テーマ 「智慧・慈悲とウェルビーイング」
第10回大会長 蓑輪顕量(東京大学)
第10回大会長 蓑輪顕量(東京大学)
本大会のテーマでは、智慧と慈悲について伝統的な仏教や仏教学のアプローチから、マインドフルネスの関心領域に対して照射される地平について考えたい。さらには、脳神経科学による視点が加わることで、伝統と現代を超えた現在進行形のウェルビーイングの新たなる可能性について模索する。
ジョン・カバットジン氏によってマインドフルネス瞑想がストレスの低減法として世の中に紹介されてから久しい年月が流れた。その中で新しい応用の事例が登場するようになった。その一つがMBCTである。うつ病的な傾向を持つ人に効果が認められるということで、すでにイギリスでは公的な形で承認されたことが知られている。このMBCTの特徴は、認知のバイアスを如何にして自覚してもらうかにウェイトが置かれている。これは、実際にはどのような世界の見方をすることがより望ましいのかを示しているように思える。
このような視点に立ったとき、マインドフルネスが「ただありのままに観ること」と定義されるのに対し、新しい視点を提供してくれていることは明らかである。それは私たちがどのような価値観をもつのか、どのようなものの見方をするのが最善なのか、その要素を加味しなければならないということを問うているからである。仏教の文脈でいえば、これは私たちのものの見方、すなわちある種の「智慧」である。智慧は私たちの言語機能が介在しない心の働きを示すこともあるが、多くは私たちの、世界を捉える概念的な知見、価値観とも言い換えることができる。
さらには、この智慧に加え、相補的あるいは統一的に語られる「慈悲」を取り上げたい。仏教が説く慈悲は、基本的には他者への慈しみや憐れみ、あるいは共感を意味する。「智慧」が私たちのものの見方や価値観だとすれば、「慈悲」はその智慧に基づく私たちの行いに関わっていると言える。また、他者との関わりの中で、自らの価値観や世界観にポジティブな変化が起こることも期待されている。つまり、両者は一方向的な関係なのではなく、相互補完的な関係であると言える。
これら仏教が伝えてきた智慧や慈悲が、私たちにどのような影響を与えるのか、それがマインドフルネスとウェルビーイングの関心領域の中で、様々な形で問われることがあっても良いのではないかと思う。
日時
令和5年(2023)12月16日(土)~12月17日(日)
会場
東京大学本郷キャンパス 法文一号館(場所はこちら)・法文二号館(場所はこちら)
参加申し込み
こちらからお申し込みください。
大会時程
1日目:12月16日(土曜日)
11:30〜12:30 受付
12:30〜16:00 研修会 会場 法文二号館1番大教室
研修A(基礎)12:30-13:30 (参加を希望されるいずれかの教室へご入室ください)
研修A-1(法文二号館1番大教室)※熊野先生は当日ビデオでの参加です。
熊野宏昭先生(早稲田大学) 「マインドフルネスの実践と科学」
研修A-2(法文二号館2番大教室)
井上ウィマラ先生(マインドフルライフ研究所主宰・マインドフルネスカレッジ学長) 「仏教におけるマインドフルネス瞑想」
研修B(応用)13:45-15:45 (参加を希望されるいずれかの教室へご入室ください)
研修B-1(法文二号館1番大教室)
13:45-15:45
佐渡充洋先生(慶応義塾大学) 「マインドフルネス認知療法:特に後半のセッションに焦点を当てて」
研修B-2(法文二号館2番大教室)
13:45-15:45
坂入洋右先生(筑波大学)「東洋的実践と西洋的実践:2つの自律訓練法」(前半:13:45-14:45)
谷本拓郎先生(京都光華女子大学) 「ヨガ・マインドフルネスの実践的理解」(後半:14:45-15:45)
※ この研修を選択される場合は、動きやすい服装でご参加ください。また、床に敷くことが可能なタオル(フェイスタオル程度で可)をご準備下さい。
16:00〜17:00 受付
16:30〜18:00 年次大会 一般研究発表(ポスター発表)法文一号館114番教室
2日目:12月17日(日曜日)
年次大会(法文二号館1番大教室)
9:30〜10:00 受付
午前の部:基調レポートA (研修Cを兼ねる)
9:55~10:00 年次大会趣旨説明 具知會先生(東大特任研究員)
10:00〜12:00
越川房子先生(早稲田大学)「MBSR、MBCTの歴史とその展開 」
蓑輪顕量先生(東京大学) 「仏教瞑想の歴史とその展開―その階梯(念処・止観)と方法」
12:00〜13:00 昼休憩・理事会
午後の部①: 基調レポートB
13:00〜14:50
1. 丸山智恵子先生(東大人文社会系研究科特任研究員 「瞑想とレジリエンス」
2. 一色大悟先生(京大学術研究展開センター特定専門業務職員URA)
「こころの構造:智慧をみる視座」
3. 余新星先生(花園大学文学部准教授)「智慧へのアプローチ:一気か徐々か」
(質疑応答 小休憩)
4. 佐藤晃先生(東大人文社会系研究科特任研究員)「 悟りの構造:智慧と慈しみ」
5. 槇殿伴子先生(東大人文社会系研究科特任研究員)「修行における象徴の働き:智慧と方便」
6. 中上淳貴先生(東大人文社会系研究科特任研究員)「現在への応用―さまざまな可能性を探る」
午後の部②:シンポジウム【公開討論】
15:00〜17:00 テーマ「こころと智慧、そして脳」
登壇者
小泉英明先生(東大先端科学技術研究センター・フェロー)
浅井智久先生(ATR主任研究員)
藤野正寛先生(NTTコミュニケーションズ科学基礎研究所、リサーチスペリャリスト)
熊野宏昭先生(早稲田大人間科学学術院教授)
高橋晃一先生(東大人文社会系研究科准教授)
馬場紀寿先生(東大東洋文化研究所教授)
司会
今水寛先生(東大人文社会系研究科教授)
蓑輪顕量先生(東大人文社会系研究科教授)
総会(法文二号館1番大教室)
17:10〜17:40
懇親会(第二食堂)会費4000円 場所は東京大学本郷キャンパス・マップをご覧ください。
18:00〜20:00