千年に一度の夜(仮)
Hikari.Y
2020.6【問題】「もしも星々が千年のうち一夜しか現れないとしたら、どんなに人は信仰し崇めるだろう。そして何世代も、かつて見た神の都市の記憶を留めおくことだろう。」
(『自然論』ラルフ・ウォルドー・エマーソン 19世紀 アメリカ)この一節を元に物語を作ってください。また、以下の設問に答えてください。
主人公と,この事態を主人公と同じ立場で,もしくは反対の立場で受け止める,もう一人の登場人物を設定する
作った「物語」を物語の途中までではなくきちんと終わりまで書いてください(300文字程度)
夜が訪れるクライマックスのシーンを漫画原稿用紙に6ページ以上で表現
『もしも星々が千年のうち一夜しか現れないとしたら、どんなに人は信仰し崇めるだろう。そして何世代も、かつて見た神の都市の記憶を留めおくことだろう。』
(『自然論』ラルフ・ウォルドー・エマーソン 19C アメリカ)これは自然の持つ偉大さが人に感動を与えることを伝えるために「一千年に一度しか夜が訪れなかったら(星を見ることができなければ)」という状況設定をした例え話です。
SF雑誌『アウスタンディング』編集長ジョン・W・キャンベルはこれに対して「エマーソンは間違っていると思う。もし星が千年に一夜現れたなら、人は狂ってしまうだろう。これについての物語を書いてほしい。タイトルは『夜来(きた)る』だ。」とアイザック・アシモフに依頼します。そうしてアシモフが書き上げた『夜来る』という短編は70年経った今でも傑作SF短編として取り上げられる作品になりました。
『6つの太陽があるために2049年に一度しか夜がこない惑星ラガッシュ。2049年ぶりに皆既日食が起きようとしている。文明の破滅を恐れる人々,宗教に救いを求める人々,恐怖でパニックになる人々の元に夜が訪れ,人々は狂気に囚われ文明が終焉を迎える』(夜来るーあらすじ)
短編ですが,未知の現象に対する恐れ,自然の力を前に無力な人類が描かれています。
−あらすじ−
かつて地上に蔓延する有毒ガスによって、人々は地下での生活を余儀なくされた。
それから千年の時が過ぎ、地下に住み続けた人々にとって地上の世界は危険区域とされ、外へ出ることは死を意味した。
ある日、地下都市に住む少年・主人公の『生(セイ)』の前に、謎の機体に乗った少女・ルーナが落ちてきた。ルーナは地上に住む人間で、機体が壊れてしまい地下に落下してきたと言う。
ルーナが機体を修理する間の会話で、生は『地上の世界』を知る。ルーナによると、地上には安全区域があり、今日は一年に1日だけ地上のガスが薄くなる日で、ルーナはその原因の調査をしていたと言う。
修理を終えたルーナにいざなわれ、地上に出た生が目にしたのは『本物の星空』だった。
地下に潜った人間が星空を見たのは、まさに千年ぶりのことだった。
ここでもう一度『お題』を確認してみましょう。ーーーーーーーーーーーーーーーーー「もしも星々が千年のうち一夜しか現れないとしたら、どんなに人は信仰し崇めるだろう。そして何世代も、かつて見た神の都市の記憶を留めおくことだろう。」…この一節を元に物語を作ってください。
夜が訪れるクライマックスのシーンを漫画原稿用紙に6ページ以上で表現すること。ーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回の漫画では『星空は常にそこに在った』という、逆転の発想。有毒ガスにより「空を失ってしまった人々」の子孫である少年が、「地上に居続けた人々」の子孫である少女と出会い、『本物の星空』を目の当たりにする。それは、地下の一族にとって千年目のことで。…おお、ドラマチック!
地下の人々の生活や、地上に居続けた人々、各々の文明や事情…などに想いを馳せると空想が広がります。『謎の機体』『調査』等の記述から、明らかに地上の方が文明が進化している印象。そもそも有毒ガスの原因とは人災か天災か…? 広げていくと面白い作品が誕生しそうな予感がします。
今回は『クライマックスのみ』のため、登場人物がメイン2人のみなのは致し方ないかもしれませんが、欲を言うとサブキャラなどがいると(登場させないまでも存在を感じさせる会話などあると)世界観によりリアリティが出てきたかもしれません。(ひかりさん自身、各キャラの家族構成なども考えていたので)
次回作も楽しみにしています! 2020.6.26 文責 あや