作業行動計測・支援
Sensing and supporting technologies for human activities
Sensing and supporting technologies for human activities
身体のケアを目的としたフィジカルケアロボットとその指腹センサの開発に取り組んでいます.
(関連資料)
内閣府・第2回総合知活用事例「ロボティックVRによってウェルビーイングを増幅する人ロボット共生システム」https://www8.cao.go.jp/cstp/sogochi/jirei/jirei2kai/shiryo3_tut.pdf
人の指腹部には,圧力や振動,すべりなどを検出する様々な触覚受容器が配置されています.身体ケアを目的としたフィジカルケアロボットでは,人やロボットハンドの指腹に装着できる程度に小型で,かつマッサージのような大きな押圧荷重(数十N)にも耐えられる触覚・力覚センサが求められます.
このような要求に対し,本研究では力や振動の検出素子として,小型の圧電素子を利用した触力覚センサの開発に取り組んでいます.圧電素子は,圧電効果により非常に単純な構造で力や変位を検知できることから小型・軽量化が期待できます.また機械・電気エネルギーの変換効率も高く,センサとして応答性や感度にも優れた材料です.
これまでに,1 mmサイズのPZT(圧電セラミックス)を力の検出素子を利用し,10 N/mm^2程度の比較的大きな押し圧荷重から,脈動(脈拍)のような微小な振動まで,広範囲の荷重を検知できることを確認しました.また,指先の接触面の硬さを検知するために2枚の圧電素子を組み合わせたセンサ(1枚は振動子として,もう1枚は検出素子として機能)を提案し,生体表面の硬さの違いを検知できることを示しました.現在は,これらのセンサの形状・材料等の検討や,センサ応答の数理モデルの構築を進め,ロボットハンドへの実装を目指しています.
[Reference]
板東龍矢, 秋月拓磨, 真下智昭, 章忠, ``小型圧電素子を用いた生体計測用センサの検討,'' 第37回日本ロボット学会学術講演会講演論文集 (9月3日--7日,早稲田大学早稲田キャンパス), Paper ID: RSJ2019AC3C3-07, 2019.
秋月拓磨, Battumur Regzen, 真下智昭, 章忠, ``小型圧電素子を用いた接触面の硬さ検知センサの検討,'' 第63回自動制御連合講演会 (11月21-22日, オンライン), Paper ID: 2D2-4, pp.845-847, 2020. DOI: https://doi.org/10.11511/jacc.63.0_845
田崎良佑, 秋月拓磨, 真下智昭, 大村廉, 本名敦夫, 北崎充晃, ``フィジカルケアロボットによる手技療法における身体の状態推定と制御,'' システム/制御/情報, Vol. 66, No.2, pp. 50-55, DOI: https://doi.org/10.11509/isciesci.66.2_50
医療やマッサージの分野では,触覚情報を利用した触診が古くから行われてきました.指先の触力覚情報から,マッサージを受けている人(被施術者)の筋の張りや緊張,力み(りきみ)を低負担でリアルタイムに把握・評価できれば,マッサージの効果を定量化したり,被施術者の心身状態にもとづいてより効果的な施術を提供することが期待できます.
本研究では,人が行う触診のようにロボットの指先の触力覚情報から,施術対象となる筋などの生体軟組織の硬さを計測する方法を検討しています.具体的には,マッサージ中の手指の動きを活用して,二指の押し込み動作により筋の硬さを弾性率(ヤング率)として計測する方法を提案しました.模擬皮膚筋を用いた評価実験では,提案手法により求めた弾性率と参照値との誤差がおよそ30%となり,提案手法により筋の硬さを施術中に低負担に計測できる可能性を示しました.
また,筋の硬さと主観的な疲労感の時間変化に相関性が見られることを実験的に示し,筋の硬さとその時間変化にもとづいて筋疲労とその回復の度合いを定量化することも期待されます.
[Reference]
秋月拓磨, 安元康貴, 真下智昭, 本名敦夫, ``多指ロボットハンドによる生体軟組織の硬さ計測手法の検討,'' 第65回自動制御連合講演会, Paper ID 2J1-6, 2022, DOI: https://doi.org/10.11511/jacc.65.0_1018
Yasumoto, Y., Akiduki, T., Mashimo, T., Tasaki, R., Ohmura, R., Honna, A., & Kitazaki, M. (2020). Assessment of Muscle Fatigue Based on the Reaction Force of Muscles for a Basis of Developing a Massage Robot. In 2020 IEEE Int. Conf. on Systems, Man, and Cybernetics, SMC 2020, pp. 4244-4249. DOI: https://doi.org/10.1109/SMC42975.2020.9283477