☆彡 講座紹介

国際被ばく保健看護学講座は、2016年に山田智恵里教授により新設された国際被ばく公衆衛生看護学講座を礎に、2021年6月に講座名を改定した新しい講座です。2011年3月11日に発生した東日本大震災による地震と津波による被害と、その後の東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射線災害による被害から復興へ向けて、福島県立医科大学の復興ビジョンの一つである「優れた医療人の育成・確保」を目的として設けられた理念を引き継いでいます。当講座は、被ばく医療や放射線災害に関する専門知識を有し、他の専門分野と協力して、放射線の健康リスクを極力少なくするための活動を展開できる人材を育成します。そして、得られた知見を国内外へ発信することを目指しています。

長崎・広島の原爆被爆者やチェルノブイリ原発事故後の疫学調査等の結果から得られた科学的知見をもとに、福島の放射線災害による低線量被ばくの身体的・心理的・社会的影響について調査研究を進めてゆきます。そして、放射線を正しく理解し、正しく怖がるための、放射線健康リスクコミュニケーションの方略を構築していきたいと考えます。福島での放射線災害により受けた地域の方々の苦しみや悲しみに寄り添い、少しでも支えになることを、また同じ災害が他の地域、他の国で起こらないことを願い、研究活動・教育活動を進めてまいります。

教育と研究は「被ばく」に関することが主ですが、これに限定するものではなく、災害全般に関わる事柄を対象としています。


☆彡 スタッフ紹介

佐 藤  美 佳 教授

青森県八戸市出身。

自衛隊中央病院高等看護学院卒業(26期)後、陸上自衛隊仙台地区病院勤務。

岩手県立大学大学院看護学研究科修了(看護学修士)

弘前大学大学院保健学研究科修了(保健学博士)

その他、主な経歴は researchmap     参照。

連絡先  e-mail   samika@fmu.ac.jp      TEL  024-547-1894(直通)

座喜味 ありさ    講座研究員


上 澤 紀 子     共同大学院修士課程3年


小 池 祐 未     共同大学院修士課程3年


金成 貴子    共同大学院修士課程1


櫻井 綾香          事 務 


☆彡 研究活動/主な研究テーマ

2011年3月の福島第一原子力発電所の事故への対応における多くの課題、中でも放射線災害に対応できる人材がほとんどいなかったことを受け、看護職に対する放射線災害に関する教育・研修の必要性を実感しています。災害が発生した時には、救急医療や救命活動に加えて、放射線被ばくの形態や放射性物質の同定、被ばく線量の推定などについて、専門家と連携した危機管理対応が必要となります。さらに、復興段階では、除染や放射線防護、被ばくによる健康影響などについて継続的に住民とコミュニケーションをはかり、心のケアにも対応できる人材が必要となります。このような災害サイクルに対応し、それぞれの分野で活躍できる人材育成に必要な研究・教育活動を行います。

<主な研究テーマ>

・放射線災害看護教育(看護基礎教育および継続教育)

・放射線健康リスクコミュニケーター養成

・放射線治療を受ける患者への看護

・減災・防災対策

・被災者および支援者/看護職のメンタルヘルス


☆彡 被災地支援活動:

    「ふたば暮らしの保健室」&「へるす&レクふたば」

2022年1月20日に準備宿泊が開始された双葉町に「ふたば暮らしの保健室」を開設しました。
「暮らしの保健室」は、1996年にイギリスで始まった「マギーズ・キャンサー・ケアリングセンター」のコンセプトをモデルに、2011年東京都新宿区に白十字訪問看護ステーション所長の秋山正子氏によって開設されました。今では全国50ヵ所以上で、それぞれの地域特性や運営者の専門性に合わせて展開されています。

 双葉町は、令和4年6月以降の特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除

を目標に、帰還が開始される予定です。意向調査(R3年12月7日付)の結

果では、11.3%(約169人)が帰還を考えているとの結果が得られました。

双葉町には現在医療施設は開設されていないため、帰還した町民の健康の保

持増進を図り、また地域コミュニティの形成を図る必要があると考え、開設

することを決めました。

2022年2月3日より、現在は毎週木曜日の10:00~16:00の時間で活動を行っています。詳細は、2022年3月25日に福島テレビで放送されました「ふくしま県民公開大学」の動画をご覧ください。

また、2022年5月より、毎月第4木曜日に、町民の方々のコミュニティー形成と交流を目的に「へるす&レクふたば」を開催しています。こころと身体の健康を保つために、スポーツレクリエーションを通して、交流を深める活動を続けています。

☆彡 教育活動:「まちの減災ナースふくしま」の養成

日本災害看護学会認証の「まちの減災ナース養成指導者」の資格を活かして、まちの減災ナースふくしまを立ち上げます。

「まちの減災ナースふくしま」は、今後起こり得る災害に備え、福島市および福島市周辺市町村における「災害関連死」を最小限にするために、地元の看護職で組織します。主な役割は、平時より減災啓発活動を行い、有事には継続的な地域のニーズに寄り添い、災害時要配慮者の避難生活の健康管理や災害関連死の予防活動や心のケアです。地域住民の中でも特に災害時要配慮者を対象とした、減災啓発活動・防災教育活動を実施し、減災・防災の視点から自助・互助・共助を強化していくことにより、全ての人が自分の地域で生き生きと暮らすことができる「地域共生社会」につなげることを目指します。

◆募集対象:福島市内および福島市周辺市町村に在住の潜在看護師(現在は看護師の仕事をしていない、看護師資格を持っている方)やプラチナナース(定年  退職されたベテラン看護師)、病院やクリニック、介護保険施設等で勤務している看護師で、減災啓発活動や防災教育活動に興味関心のある方。年齢制限はありません。看護師経験年数も問いません。

◆今後の主な活動内容:①『「まちの減災ナースふくしま」養成講座』の開催(1~2回/年) ②福島県防災士会「女性防災推進局」との共同での防災教育活動・減災啓発活動の実施 ③市の防災訓練への参加  ④地域住民を対象とした「防災・減災セミナー」の開催(福島県防災士会と共同開催)(予定)  ⑤各地域の災害時要配慮者の把握および防災対策の把握  ⑥災害発生時の避難所支援 など

◆「まちの減災ナースふくしま」への応募は、以下のフォームから随時受付中です。看護師の資格を活かして、ふくしまの「地域共生社会」づくりに貢献していきましょう!