いけず石を調べよう
お知らせ
・2024年7月18日付け日本経済新聞夕刊(関西版)「掘り下げ!関西白書:家守る「いけず石」関西に集中 京都の厄よけ意識も影響?」でいけず石調査のことが紹介されました。web版はこちらをご覧下さい(会員限定記事なので、全文を読むには登録が必要です)。
・2024年7月10日放送のNHKほっと関西「京都“いけず石”置くのなんでなん?」 でいけず石に関するコメントが放送されました。いつまで見られるかわからないけど、こちらで見ることができます。
・京都新聞web版(2024年1月12日公開)に、「いけず石の本場は「京都じゃない説」 数が圧倒的に多そうな地域見つかる 京都市民はがっかり?」で、いけず石調査のことが紹介されました。こちらをご覧ください(全文を読むには京都新聞IDへの登録が必要です)。
・2023年9月9日(土)に大阪市立自然史博物館の行事、自然史オープンセミナー「いけず石を調べれば、岩石や地質がわかるようになる!?」で、2023年8月末時点のいけず石調査の途中経過を報告しました。講演は自然史博物館YouTubeチャンネルで公開しています。こちらからどうぞ。このページ最下部に講演資料もつけています。
・2023年9月17日(日)〜19日(火)に京都大学で開催された日本地質学会において、「路傍に置かれる「いけず石」の岩石種と分布調査(予察)」(発表者:中条武司)というタイトルで発表しました。
いけず石とは
京都や大阪の狭い路地を歩くと、道路の角や家の軒下などに車よけなどのために置かれている大きな石を見かけます。この石は、俗称で「いけず石」と呼ばれています。「いけず石」には今では使わなくなった石垣の石や石臼などが使われていることが多くあります。「いけず石」の種類を調べたら、地域の歴史・文化や周辺の地質がわかるかもしれません。みんなで「いけず石」を調べてみませんか。
大阪市住吉区長居東にある「いけず石」。壁や門の軒にあたらないように置かれている。
いけず石調査で何を知りたいのか
「いけず石」があるのは、ほとんどが古くからの集落です。「いけず石」はその集落の周辺にもともとあった石を使っているのではないでしょうか。そのため、「いけず石」の使われている岩石の種類は、その地域周辺の岩石の分布に似ていると考えられます。本当に「いけず石」は周辺の岩石と似ているのでしょうか。「いけず石」と地質の関係について調べたいと考えています。
「いけず石」を路傍に置くのは京都・大阪など近畿圏が中心の文化だと言われています。その他の地域ではどうなのでしょうか。「いけず石」の文化はどのあたりまで広がっているのでしょうか。全国の「いけず石」文化を調べたいと考えています。
調査対象の「いけず石」
今回対象とする「いけず石」は以下のように定義します。
私有地と公道の境界付近に置かれている、駐停車や車の幅寄せの防止、軒などへの接触を避けるために置かれた天然もしくは天然の岩石を加工した岩石で、それ以外の目的を持たないもの。コンクリートなどで固定されていても構わない。
「いけず石」は、新しい住宅街よりも、やや古い集落の狭い道路(自動車が対向できない道幅)にあることが多いです。
定義に書かれているように、岩石は何らかの加工がされていても構いません。よく見る加工された「いけず石」としては、間知石(石垣に使う石)、礎石(建物の基礎に置く石)、敷石(平らに加工した石)、石臼(挽く方・つく方とも)、御手水、唐臼の支点の石などがあります。
「それ以外の目的」を持つ岩石とは、道標・地蔵尊・道祖神・石塔・石敢當・灯籠・花壇の囲い などを指します。これらは「いけず石」と同様の役割を持っていても、「それ以外の目的」も持つので、調査対象ではありません。
人工で作られたもの、例えばブロックやレンガ、コンクリート塊などは調査対象外です。
道路角の階段下に置かれるいけず石(大阪市住吉区長居東)。コンクリートで固められている。
調査方法
お住まいの近く、旅先などで「いけず石」を調べて下さい。
特定の地域「■■市○○ ×丁目」の中の代表的な道路を歩いて、その区間にあるいけず石を調べてください。
地域内の道路をすべてくまなく歩く必要はありません。代表的な道路だけで構いません。また、多少の調査誤差(間違い)があっても構いません。「ゆるく」調べて行きましょう。
報告には「調査場所の住所」「調査場所でのいけず石の個数」「その岩石の種類種と個数」「調査日」「調査者」を報告してください。
一つ一つのいけず石の場所を報告する必要はありません。あくまでも、その地域のいけず石の個数と岩石の種類を調べてください。
いけず石がまったくなかった場合も「いけず石なし」として報告して下さい。
※調査報告の例
住所:大阪市住吉区長居東1丁目
いけず石 48個(花こう岩43個、はんれい岩2個、砂岩1個、わからない2個)
2022年10月20日 中条武司
報告する時の岩石の種類
以下の区分で報告してください。厳密に岩石の種類を区分できなくても構いません。岩石の基本的な見分け方については、市販の書籍やホームページなどをご覧下さい。
花こう岩の仲間(白っぽい深成岩)
はんれい岩の仲間(黒っぽい深成岩)
火山岩(わかれば種類まで)
凝灰岩の仲間(凝灰岩、凝灰角礫岩など)
れき岩
砂岩
泥岩
チャート
石灰岩
結晶片岩
片麻岩
その他(岩石名がわかれば)
わからない
のべ報告件数:3374件(いけず石なし868件、および重複報告分を含む)
報告者数:59人
※上記マップの左上のタブをクリックすると、「いけず石なし」「いけず石が3つ以下の地域」「花こう岩が半数より多い(いけず石が4つ以上)」「泥岩・砂岩・礫岩が半数より多い(いけず石が4つ以上)」「火山岩・凝灰岩が半数より多い(いけず石が4つ以上)」「結晶片岩が半数より多い(いけず石が4つ以上)」「半数より多い岩石種がある(いけず石が4つ以上)」「半分以上を占める特定の岩石がない(いけず石が4つ以上)」「わからないが半数より多い(いけず石が4つ以上)」それぞれの表示・非表示を選択できます。この区分は今後変更される可能性があります。
※報告数と協力者数は、重複分を含んでいます。
※マップ上には重複分は(できるだけ)のぞいています。そのため、「のべ報告数」とマップ上に表示されている数は一致しません。重複箇所については、基本的には調査個数が多い方を採用していますが、「わからない」が多い場合はその限りではありません。
最終更新:2024年11月12日(上記の数字はすべて最終更新日のものです)
調査の際の注意
絶対にいけず石(岩石)は割らないでください!
周辺に住んでおられる方とトラブルにならないように注意!
勝手に人の家の敷地内に入らない!
調査の際には自動車・自転車には十分注意して下さい。
情報の連絡先
X(旧 Twitter)でつぶやく:「調査場所の住所」「調査場所でのいけず石の個数」「その岩石の種類種と個数」「調査日」を書いて、ハッシュタグ「#いけず石調査」をつけてつぶやいてください。X(旧Twitter)以外のSNSには反応しませんのでご注意ください。
X(旧 Twitter)のダイレクトメッセージで送る:@nakajotksまで上記の情報をお送りください(DMは開放しています)。
メールで報告 : ikezuishi.shirabe★gmail.com まで上記情報をお送り下さい(★を@に変えてください)
メールで報告の際は少し時間がかかるかもしれませんが、必ず返信をします。2週間たって返事がないようなら届いていない可能性があるので、メールアドレスを確認の上再度メールして下さい。
郵便かファクスで送る:末尾の住所まで上記の情報をお送りください。
博物館に直接データを持参
情報募集期間
2027年3月31日までを調査期間とします。ただし状況により期間を短縮・延長することがあります。
情報の公開方法
お寄せいただいた情報は、上記のマップにプロットして表示します。
マップではお寄せいただいた住所の代表地点をプロットしています。その場所にピンポイントにいけず石があるわけではありません。
同じ住所から複数の報告があった場合、岩石種の判明率が高い情報をプロットしています。ただし、データとしては登録しています。
この調査について成果発表を行うことになった場合は、このサイトで告知します。その際、調査協力者として公開用の報告者名を表記する場合がありますのであらかじめご了承ください。
※調査協力者のお名前の掲載基準
X(旧Twitter)でご報告頂いた方は、スクリーンネーム(@マークで始まるアカウント名)
上記以外の方法でご報告頂いた方で、氏名公開可の意思表示をされた方はそのお名前(または指定されたニックネーム) ※意思表示のない方は氏名公開しません
もし、氏名またはスクリーンネームを絶対に非公開にしてほしい(または別のニックネームにしてほしい)場合は、忘れずに下記連絡先までご連絡ください。
調査主宰・問い合わせ
中条 武司
〒546-0034 大阪市東住吉区長居公園1-23 大阪市立自然史博物館 第四紀研究室
tel: 06-6697-6221 / fax: 06-6697-6225
X(旧Twitter): @nakajotks(ダイレクトメッセージ受信可)
メール(調査専用):ikezuishi.shirabe★gmail.com(★を@に変えてください)
2022年10月29日・30日に実施した大阪市立自然史博物館のテーマ別自然観察会「いけず石を調べよう」の講演資料(一部改訂)です。調査方法を少しだけ詳しく解説しています。
2023年9月9日に実施した大阪市立自然史博物館の自然史オープンセミナー「いけず石を調べれば、岩石や地質がわかるようになる!?」の講演資料(一部改訂)です。2023年8月末までのデータをまとめている、中間発表的な内容です。YouTubeで講演も公開しています。YouTubeはこちら。
いろいろないけず石
どのような石材の加工品がいけず石として使われているかを紹介しています。この情報も募集しています。こちらのページをご覧下さい。
※本研究はJSPS科研費 24K06405の助成を受けたものです。