第1回 合意と共創研究会

イベント

   合意と共創(Consensus)研究会   第一回

【日程】2023年3月20日(月)10:3016:30 (10:15〜受付開始

【場所】京都大学時計台会議室Ⅲ(オンラインとのハイブリッド開催)

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主催:電子情報通信学会特別研究専門委員会「合意と共創」(Consensus)

共催:

JST CREST「ハイパーデモクラシー:ソーシャルマルチエージェントに基づく大規模合意形成プラットフォームの実現」

人工知能学会 市民共創知研究会

第1回 合意と共創研究会 プログラム

(発表原稿の著作権は著者に帰属します)


10:30-10:35  合意と共創研究会の趣旨説明

伊藤孝行(京都大学)

丁世堯(京都大学)

松尾徳朗(産業技術大学院大学)


招待講演1 司会:伊藤孝行(京都大学)

10:35-11:25 (50)  センサー方式に基づく人間活動認識に関する研究

羽山先生(長岡技術大学)


11:25-11:30 休憩


セッション 司会:松尾徳朗(東京都立東京都立産業技術大学院大学)

11:30-11:55 (25)  自治体の総合計画策定のためのGPT-3.5とGPT-4を用いた意見抽出・タグ付け性能の予備的検証(現地)

白松 俊(名古屋工業大学)


11:55-12:20 (25) Learning from Repeated Trials without Feedback: Can Collective Intelligence Outperform the Best Members? (オンライン)

有馬 淑子(京都先端科学大学)


12:20-13:30 昼休み



招待講演2 司会:伊藤孝行(京都大学)


13:30-14:20 (50) 人類規模での合意と共創の課題:《究極の選択》という障壁 (現地)

大庭弘継(京都大学)


14:20-14:25 休憩



セッション 司会:丁世堯(京都大学)


14:25-14:50 (25) 多元的公正が勘考される合意プロセス―討議の質を共通善の観点から測る― (オンライン)

大沼 進 (北海道大学)

相馬 ゆめ(北海道大学)

中澤 高師(東洋大学)

辰巳 智行(豊橋創造大学)


14:50-15:15 (25) How Large Language Models Can Benefit Consensus Building (現地)

丁世堯(京都大学)

伊藤孝行(京都大学)


15:15-15:40 (25) ディベートにおけるエージェント介入による意見の変化 (現地)

奥原 俊(三重大学)

伊藤 孝行(京都大学)


15:40-16:05 (25)オンライン議論における信頼性を持つ合意形成支援の実現へ (現地)

    谷文 (北陸先端科学技術大学院大学)



学生セッション:司会 谷文 (北陸先端科学技術大学院大学)


16:05-16:15 (10) マルチエージェント深層強化学習における強調を促進する組織構造 (現地)

浅間 慶二郎(京都大学)

伊藤 孝行(京都大学)


16:15-16:25 (10) 話し言葉データセットの節ごとの文分割に基づくIBISノード分類システムの試作 (現地)

長谷川 拓也(名古屋工業大学)

伊藤 孝行(京都大学)

奥原 俊(三重大学)


16:25-16:35 (10) パーソナルエージェントによるブレインストーミングサポートシステムの試作 (オンライン)

武田 弘太(名古屋工業大学)

伊藤 孝行(京都大学)


16:35-16:40 全体討論・閉会



招待講演1


センサー方式に基づく人間活動認識に関する研究

羽山先生(長岡技術大学)


概要:人間活動認識(Human Activity Recognition: HAR)は,日常生活や自己健康管理などの人間の行動を分析したり,文脈に応じたサービスに活用したりするための重要な技術である.この技術を実現するために,多くの研究者が人間の行動によって生成されたセンサーデータを収集し,機械学習技術によって人間の活動を推定する技術の開発に取り組んできた.本発表では,外付けセンサーやウェアラブルセンサーなどのセンサー方式に基づくHARの研究分野の概要を説明し,我々の研究の取り組みについて紹介する.このような技術は人間同士のインタラクションの背景や影響の分析に利用できる可能性もある.

2006年から2012年まで,北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科助教.2012年から2016年まで,金沢工業大学情報工学科准教授.2016年から2022年まで,長岡技術科学大学工学研究科情報・経営システム工学専攻准教授.2022年から,同大学教授.現在に至る.

研究分野は,社会情報学,データ工学,教育工学.所属学会は電子情報通信学会,ACM,情報処理学会,人工知能学会,日本創造学会.

略歴:2001年同志社大学工学部知識工学科卒業,2003年北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科修士課程修了,2006年同大学院博士課程修了(博士(知識科学)).2006年から2012年まで,北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科助教.2012年から2016年まで,金沢工業大学情報工学科准教授.2016年から2022年まで,長岡技術科学大学工学研究科情報・経営システム工学専攻准教授.2022年から,同大学教授.現在に至る.研究分野は,社会情報学,データ工学,教育工学.所属学会は電子情報通信学会,ACM,情報処理学会,人工知能学会,日本創造学会.

招待講演


人類規模での合意と共創の課題:《究極の選択》という障壁

大庭弘継 先生(京都大学)


概要:AIやサイバー技術の進展により、人類規模での合意と共創が射程に入りつつある。しかし、現在のコロナ禍が浮き彫りにしたように、自国を優先し他国を劣後させる先進国のワクチン・ナショナリズムの問題、医療資源配分の優先順位の問題など、《究極の選択》が実在する。人類規模での合意と共創の前には、克服するべき《究極の選択》という壁が立ちはだかる。本講演では、犠牲のディレンマを含めた《究極の選択》を題材に、人類規模の合意と共創が実現するために《究極の選択》への応答が必要不可欠であることを指摘し、人類規模での合意と共創の実現に必要となる技術的要件以外の要件、政治的、哲学・倫理学的、社会的な要件についても考察する。またこの問題意識のもと進めている研究「社会的意志決定を行うAIの要件―良質なデータセットと望ましいアウトプットの研究」(トヨタ財団「先端技術と共創する新たな人間社会」 助成研究)の成果についても紹介する。

略歴:京都大学大学院文学研究科研究員。 1975年生まれ。京都大学経済学部中退、元海上自衛官(1等海尉)、九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程単位修得退学、博士(比較社会文化)。業績に、『国際政治のモラル・アポリア』(共編、ナカニシヤ出版、2014年)、『軍事研究を哲学する』(共編、昭和堂、2022年)など。

設立の趣旨


人々は集団で協力するために、合意し共創することで、新しい道具、アイデア、社会システムを発明し進化を遂げてきた。人々の間の合意や共創の理論、モデル、シミュレーション、その応用は、学際的かつ根源的なテーマである。さらにインターネットやソーシャルネットワークの劇的な発展により、人々のコミュニケーションの在り方自体が変化している。

 

世界中どこにいても、瞬時につながっている状況が実現されている。これはハイパーコネクビティと呼ばれ、人類が誕生以来初めて直面する状況である。ハイパーコネクトな状況での、合意や共創を探求することが極めて重要である。すなわち、本研究会では、情報技術を前提とした、今後の合意や共創の仕組み、システム、その応用について議論を深める。

 

合意は、人類が協力関係を築き、平和で公平な社会を構築し、世界各地で現実的に展開される紛争を解決するために重要である。ゲーム理論、意思決定、AI、マルチエージェント、紛争、調停、政策決定、シミュレーション、などの各分野で研究が進んでいる。キーワードとしては、合意形成、意思決定、ゲーム理論、ナッシュ均衡、メカニズムデザイン、協力ゲーム、交渉ゲーム、人工知能・マルチエージェントの自動交渉、合意メカニズム、社会シミュレーション、プロセスデザイン、紛争合意、法的合意、調整、調停、市民参加、社会的受容、手続き的公正、政策決定、社会的合意形成、ゲーミングシミュレーション、合意情報学、コレクティブインテリジェンスやその関係キーワードである。

 

共創は、様々なステークホルダーと協働して共に新たな価値を創造することであり、まさに人類にとって重要な活動である。特に、ハイパーコネクトな状態での共創は、これまでの共創プロセスをさらに進化させたプロセスとなる。共創には、問題解決、創造学、発想支援、知識科学、デザイン学、建築デザイン、都市計画、AI、マルチエージェント、CSCW、ユーザインターフェース、身体知、身体的インタラクション、創造情報学、シビックテック、クラウドソーシング、などの各分野で研究が進んでいる。また、共創の研究を進める上で共創の基礎となる創造性や発想の学術的基礎が重要になる。個人の創造性、デザイン方法論、芸術創作過程、デザインコンセプト、創造工学、スタートアップなども関連し、さらには創造性教育や理数科系教育も重要なトピックで広く議論されている。

 

共創と合意は、人間社会を豊かにするために重要な人類の根源的な活動であり、これらの仕組みの解明、支援システムの構築、学際的研究についての、意見やアイデアの交換及び、学術コミュニティ発展の場として、本研究専門委員会を創設する。