アブストラクト
7月17日(水)
9:30~12:00 井上絢太郎(京都大学理学研究科)
講演題目: Adiprasito-Liu-Temkinの解説
アブストラクト: Adiprasito-Liu-Temkinによる標数0のsemistable reduction conjectureの証明について解説します.
13:30~16:00 榎園誠(立教大学理学部)
講演題目: Semistable reduction for complex analytic spaces
アブストラクト: 代数・解析多様体の射に対する安定還元定理とは,適当な底変換と双有理変換によって性質の良いファイバーを持つ射に変換できることを主張する定理であり,標数0の代数多様体に対しては示されている.本講演では,シュタイン空間上射影的な複素解析空間に対し安定還元定理が成り立つことを紹介し,その証明のアイデアを述べる.また複素解析多様体に対する極小モデル理論への応用についても説明する.本講演は橋詰健太氏(新潟大学)との共同研究に基づいている.
16:30~19:00 伊藤和広(東北大学理学研究科)
講演題目: K3曲面のプリズマティックコホモロジーとその応用
アブストラクト: プリズマティックコホモロジーは近年 Bhatt-Scholze によって導入されたコホモロジー理論であり,既存の様々な p 進コホモロジーを復元する.本講演では,混標数の K3 曲面のプリズマティックコホモロジーの構造について説明し,それを用いて K3 曲面の変形理論の新しい解釈を与える.また,p 進完備離散付値体上定義された良い還元を持つ(リジッド解析的な) K3 曲面の p 進エタールコホモロジーの特徴付けについても説明する.時間があれば Gardner-Madapusi-Mathew の構成した「プリズマティックディスプレイのモジュライ空間」との関係についても触れたい.
7月18日(木)
9:30~12:00 今池大(京都大学理学研究科)
講演題目: 特異シンプレクティック多様体の大域的Torelli定理
アブストラクト: 本講演では,Bakker-Lehnによる特異シンプレクティック多様体の大域的Torelli定理を解説する.シンプレクティック多様体に特異点を許すことで,Ricci平坦計量やtwister変形は使えなくなるが,局所自明変形や退化,MMPなどを駆使し,周期写像の全単射性やモノドロミー群の指数有限性を示す.
13:30~16:00 服部真史(京都大学理学研究科)
講演題目: Kollar-Laza-Sacca-Voisinの解説
アブストラクト: Kulikov, Persson-PinkhamがK3曲面に対して,標準束が自明な半安定退化(Kulikovモデル)を構成し,対応するモノドロミー作用によって変形を3タイプに分類した.本講演では,Kollar-Laza-Sacca-Voisinによるdltモデルを用いたHyperKahler(HK)多様体の退化の構成とモノドロミーによる退化の分類を解説する.
16:30~19:00 伊藤哲史(京都大学理学研究科)
題目: p進体上の既約シンプレクティック多様体のモノドロミー作用素
アブストラクト: 複素多様体の超ケーラー多様体(既約シンプレクティック多様体)の退化族については,モノドロミー作用素のベキ零指数の不等式が予想されており(永井予想),多くの場合に証明されている.この講演ではp進体上の既約シンプレクティック多様体のl進コホモロジーおよびクリスタルコホモロジーに定まるモノドロミー作用素について,類似の問題を考察する.LLV代数のガロア表現類似や,Hodge構造の退化の理論の代わりに久賀-佐武アーベル多様体の数論的性質を用いることでモノドロミー作用素の計算を行う.(伊藤和広氏,越川皓永氏,高松哲平氏との共同研究).
7月19日(金)
9:30~12:00 永井保成(早稲田大学理工学術院)
講演題目: 曲面の半安定退化に伴う点のヒルベルトスキームの退化の良いモデル
アブストラクト: 既約シンプレクティック多様体の周期写像の境界挙動を理解するために,退化の問題を考えたいが,既約シンプレクティック多様体の退化には強い制限がかかることがわかっている.既知の既約シンプレクティック多様体の退化の最も簡単な構成は,K3曲面を退化させた時の点のヒルベルトスキームの退化を考えることである.この種の退化の問題について,主に局所的な構造に関して発表者の過去の研究の概要を説明する.