両親が隠居していた西区島崎の隠宅の庭のアジサイが咲いているとの連絡があり,早速,6月12日花を見に行ってみた.今年の熊本は雨が少なく梅雨入りも宣言されていないので,期待していなかったためか,自然の不思議さを改めて再認識することとなった.
家の周りには,どちらかと言うと地味な6種類のアジサイが咲き始めていた(写真6枚).
アジサイの花の色については,土壌のpHが影響することはよく知られているが,家の周りという狭い範囲でいろいろな色彩の花が咲くというのは不思議である.
アジサイの花と思われているのは,実は萼(がく)が大きく発達した装飾花である.花の部分は眞花と呼ばれている.ガクアジサイの眞花の拡大図を以下に示した.
手毬状アジサイの中心近くを覗いてみると,装飾花に埋もれて眞花と思われる組織が確認できた.
花(実際は萼)の色はアントシアニンという色素によるものであることが明らかにされている.アジサイにはその一種のデルフィニジンが含まれている.これに補助色素(濃色効果,深色効果を有するフラボン類)とアルミニウムイオンが加わると,青色の花となる.
アジサイは土壌のpH(酸性度)によって花の色が変わることはよく知られている.一般的には「酸性ならば青,アルカリ性ならば赤」になると言われている.これは理科で教わったリトマス試験紙とは逆である.その理由は,アルミニウムが根から吸収されやすいイオンの形になるかどうかに,pHが影響するためと言われている.すなわち,土壌が酸性に傾いているとアルミニウムがイオンとなって土中に溶け出し,アジサイに吸収されて花のアントシアニンと結合し青色を呈し,逆に土壌が中性やアルカリ性の場合は,アルミニウムは溶け出さずアジサイに吸収されないため花は赤色になるというわけである.
上記のことから,花を青色にしたい場合は,酸性の肥料や、アルミニウムを含むミョウバンを与えればよいと言われている.しかし,同じ株でも部分によって花の色が違うことがある.それは根から送られてくるアルミニウムの量に差があるためと考えられている.
どの程度のアルミニウムの量で青色になるか実験が行われ,概略の量が明らかになっているが,品種や遺伝的な要因で必ずしも当てはまらない場合もあるようである.実験してみる価値があるかもしれないと思った次第である.
デルフィニジン
R1=R2=R3=R4=R5=R7=OH, R6=H
以下のアジサイは町中で見かけたアジサイである.
隣家
白川中学校産業道路側
是法神社
南区流通団地1丁目付近
熊本市動物園
熊本市動物園
(2019/6/19)