光ファイバセンサとは?
インターネット回線の普及と共に、光ファイバーによる光回線は主流となりました。光ファイバーは、髪の毛くらいの細さにすると、とても柔軟になります。光ファイバーは、屈折率の高い物質(コア)の周囲を屈折率の低い物質(クラッド)で包んだような構造をしています。光はコア/クラッド境界で全反射しながら、コアの中を進むため、光によるデジタル信号を、遠くまで高速で送ることができます。同時に、光ファイバーコア内の光にアクセスできる加工を施し、光の変化を観察できるようにすれば、センサーとして使うこともできます。光ファイバーセンサーには、橋やトンネルなど構造物の変化を温度変動や歪みを利用して計測する物理センサと、ある特定の化学物質を捉えるための化学センサ(例えば、液体の漏れ、屈折率、湿度、水素ガス)の2種類があります。
細木研究室では、化学センサを中心に、①水素漏洩モニタリング、②スケールセンシング、③土壌中の植物の根を診るシステム、④感染性ウイルスの検知など様々な環境分野に適用可能なセンサ開発に取り組んでいます。ここではその一部を紹介します。
ヘテロコア光ファイバセンサ
・コア径の異なる光ファイバ同士を融着接続することで作製可能
→伝送路コア内を伝搬する光がセンサ部クラッド層に漏洩
→センサ部クラッド・外界境界面:エバネッセント波を励起
・光ファイバ本来の機械的強度を保持
*ヘテロコア光ファイバの詳しい原理はこちらをご覧ください。
①水素漏洩モニタリングシステム
『ヘテロコア光ファイバセンサ&水素感応性キャビティ素子』の技術融合による水素センサを構築し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が保有する能代ロケット実験場においてフィールド試験を実施します。
②スケールセンシング
受託研究(「カーボンリサイクルCO2地熱発電技術」、富山大学)として、以下のヘテロコア光ファイバースケールセンサーの開発を進めています。
高温・高圧下でのスケール生成センシング
炭酸カルシウムなどのスケール沈殿速度の測定
表面プラズモン(SPR) スケールセンサー
光ファイバーに金薄膜などを修飾することでスケール生成をより迅速にセンシング
超臨界CO2地熱発電技術に有用な光ファイバーを利用した
モニタリングシステムの開発
現場試験の様子