星空環境保護研究会
日程: 2023年9月3日(日)13:00 〜 9月4日(月)16:05
開催場所: 国立天文台 すばる棟 大セミナー室+オンライン(Zoom)
人工の光から生じる様々な問題を光害(ひかりがい)と呼びます。光害は可視光などでの天文観測を阻害するだけでなく、眩しさ等の不快感、交通信号等の重要情報を認知する力の低下、野生動植物や農作物等への悪影響等が生じており、その早急な軽減が求められています。光害を低減するためには、光源からの光がどのように夜空を明るくするのかを科学的に理解する必要があります。しかし、これまでの光害対策は社会に対する啓発活動が主体であり、啓発内容の科学的根拠は十分ではありませんでした。私達の調査によれば、光害に関する科学的アプローチに基づく論文は国内外で数例にとどまっています。
地上の人工光は、光源から放射された後に大気中で散乱され、上半球全体に分布します。しかし、その面分布は良く知られていません。また、光源の種別を知る手がかりになる散乱光スペクトルを測定した例は数えるほどしかありません。同様に地上からの人工光を散乱する人工衛星表面での反射特性を定量的に研究した例も少なく、人工衛星反射光による光害を低減するためのノウハウはほとんど蓄積されていません。個々の研究者は関連研究者と連携をあまり取らないままそれぞれ独立に関連研究を進めているのが現状です。
本研究会では、このような背景を踏まえ、天文学のみならず大気物理学、工学などの関連研究者などによる共同研究が可能となるよう人的ネットワークを構築する場を提供し、光害の低減を実現するために必須となる基礎研究を促進することを目的とします。2023年度は、光害に関係する様々な課題やこれまでに行われた取り組みについて、研究者のみならず、行政や産業界、アマチュア天文家や市民科学関係者とも情報共有することを目指します。本研究会は、2023年度 国立天文台研究集会として実施します。
申し込み方法
申込締め切り
講演ありの場合:2023年7月28日(金)17:00(締め切りました)
講演なしの場合:2023年8月25日(金)17:00(締め切りました)
日程
2023年9月3日(日) 13:00 〜 17:00
2023年9月4日(月) 9:30 〜 16:05
宿泊先は参加者各自で確保をお願いいたします。
会場
国立天文台 すばる棟 大セミナー室
東京都三鷹市大沢2-21-1
プログラム
2023年9月3日(日) 13:00 〜 16:40
1.イントロダクション
2.光害とその測定の現状
休憩
16:20 ~ 16:40
福岡県八女市星野村における夜空の明るさのモニタリング調査
菊池美結(法政大学)※
2023年9月4日(月) 9:30 〜 16:05
3.社会における光害認知度や意識、行政や産業の取り組み
9:30 ~ 9:55
環境省による光害対策
片瀨靖規(環境省 水・大気環境局 環境管理課 環境創造室)
10:20 ~ 10:45
光害低減照明の開発とパナソニックの取り組み
山田祐介(パナソニック)
11:10 ~ 11:30
鹿児島県与論島におけるアストロツーリズムの展開と光害防止の取り組み
澤田幸輝(和歌山大学)※
昼食
4.光害発生機構の理解や軽減に向けた科学的取り組み
休憩
14:45 ~ 15:10
人工衛星表面に用いる材料の特性
太刀川純孝(JAXA/ISAS)
5.今後に向けた議論
15:35 ~ 16:05
参加者全員
進行:大西浩次
※印は一般講演です
世話人一覧
大西浩次(長野工業高等専門学校)
大石雅寿(国立天文台)
平松正顕(国立天文台)
衣笠健三(南牧村振興公社・国立天文台野辺山)
小野間史樹(星空公団/国立天文台)