水産資源をこれからも持続的に利用するためには,水産物を適正に漁獲し,生産するための高度な技術が求められています。
当研究室ではそのための技術やシステム開発を行っており,物理学,工学,行動学など多様な側面からアプローチしています。
研究室では,現在まで様々な研究テーマを学生とともに取り組んでいます。
特に「表層的解決」(superficial solution)だけに留まらないような ,水産学に科学的アプローチを積極的に取り込むように意識しています。
研究室・研究内容についてお気軽にお問い合わせ下さい。
面談はオンラインで実施可能ですのでこちらもお気軽にご相談下さい。
2025年度より、北海道大学水産科学研究院の高木研究室と五味研究室は共同で研究を行っています。
居室・所属 は 高木研究室 と 五味研究室 で異なるため注意してください。
・高木研 教員・学生 (学部4年・修士・博士) の居室は 札幌キャンパス,
大学院生の所属は 環境科学院, 学部生の所属は 水産学部
・五味研 教員・学生 (学部4年・修士・博士) の居室は 函館キャンパス,
大学院生の所属は 水産科学院, 学部生の所属は 水産学部
北海道大学水産学部海洋資源科学科の学部生は4年次から配属可能です。
大学院生は受け入れ教員に応じて,環境科学院または水産科学院の院試受験が必要です。
当研究室配属希望の方は,高木または五味までご連絡下さい。
2025.12.20-21
八重樫健吾さんが北大サイエンスフェスタ2025 研究成果でSDGsに貢献する発表会「博士学生が描くミライ」にてポスター発表を行いました!
2025.12.15
【プレスリリース】ゆっくり動く水生動物の行動を"見える化"~マナマコの移動を捉える新解析手法を確立~ (高木 力 教授,D3 田中 優斗 さん,修士課程(研究当時):篠野 惠利香 さん,神田 紘暉 さん)
プレスリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/2025/12/post-2147.html
ポイント
●目視でしか調べられなかったナマコ類の移動を、長期間・高精度に計測する新技術を開発。
●季節に応じて移動が活発なモードと抑制されたモードを切り替えていることを定量的に解明。
●ゆっくり動く底生動物の行動を「数値化」できる新たな評価技術として応用に期待。
概要
北海道大学大学院水産科学研究院の高木 力教授、同大学大学院環境科学院博士後期課程の田中優斗氏、同大学大学院水産科学院修士課程の篠野惠利香氏(研究当時)及び神田紘暉氏(研究当時)、道立総合研究機構函館水産試験場の酒井勇一主任主査らの研究グループは、音響テレメトリーとデータ同化手法を組み合わせ、これまで目視に頼っていたマナマコの移動を長期間かつ高精度で追跡する手法を確立しました。特に放流後の移動分散行動については、これまでほとんど明らかにされてこなかった分野であり、今後の応用が期待されます。さらに、フラクタル次元解析を用いることで、10月(夏眠期)と2月(成長期)における行動の「複雑性」や「活性度」を客観的に数値化し、マナマコが季節に応じて移動が活発なモードと抑制されたモードに切り替えることを定量的に明らかにしました。
本研究は、行動が遅く、従来の追跡方法では計測が難しかった底生動物に対し、高精度の行動推定を実現する新たな解析技術の基盤を示すものです。この技術は、ナマコ類をはじめとする水圏の底生生物の行動評価、放流効果の検証、資源管理などへの応用が期待され、今後の沿岸生態系研究や水産振興に大きく貢献する可能性があります。
なお、本研究成果は、2025年12月12日(金)公開のScientific Reports誌にオンライン掲載されました。
論文名:Data Assimilation Reveals Behavioral Dynamics of Sea Cucumbers as a Model for Slow-Moving Benthic Animals(データ同化は、ゆっくり動く底生動物のモデルとしてのマナマコの行動動態を明らかにする)
URL:https://doi.org/10.1038/s41598-025-29171-3
詳細はこちら
成長期と夏眠期のマナマコの移動軌跡。季節によってマナマコの動きの違いが明らかに。データ同化手法の適用により個体の動きが明瞭に表されている。グレーの点(・)は音響計測のみで推定した位置。成長期では転石近くで留まりやすいことが分かった。
2025.11.27
五味伸太郎助教が北大テック・ブリッジでポスター発表を行いました!
北海道大学FMIフード&メディカルイノベーション国際拠点にて、「網漁具の水中動態シミュレーション -荷重計算と可視化から制御へ-」というタイトルで一般企業向けにポスター発表を行いました。
2025.9.26
田中優斗さんがJSPS海外特別研究員に採用内定しました!
日本学術振興会(JSPS)海外特別研究員制度は、我が国の学術の将来を担う国際的視野に富む有能な研究者を養成・確保するため、優れた若手研究者を海外に派遣し、特定の大学等研究機関において長期間研究に専念できるよう支援する制度です。
この度、田中優斗さん(D3)による研究提案が採択され、海外特別研究員に採用内定しました。
派遣先:フランス国立海洋開発研究所(Ifremer),派遣期間:2年間
2025.6.26
髙木力教授が札幌第一高等学校で特別講義を行いました!
2025.3.26
八重樫健吾さんが令和7年度漁業懇話会奨励賞を受賞しました!
漁業懇話会では、若手研究者の育成と漁業研究の活性化のため、優れた若手研究者を褒賞する漁業懇話会奨励賞を設けています。対象は、前年度の春季および秋季大会において口頭発表またはポスター発表を行った学生等(おおむね30歳以下)とし、発表内容は研究発表部門「1. 漁業」の細目に該当する研究内容としています。今年度は、本会委員会の委員からの推薦を受け厳正な投票を経た結果、八重樫健吾さん (M2) が 受賞者に選出されました。
氏名:
八重樫 健吾
講演題目:
状態推定技術による網漁具形状制御と流体力係数推定に関する研究(令和6年度春季大会)
受賞理由:
本研究は,網漁具の形状を光学カメラで撮影するだけで,その形状から定常流下における網漁具の流体力係数(抗力係数)を状態推定技術に適用することにより推定しようとするものである。水産工学分野では網地や綱などの抗力を高精度に見積もることは設計上極めて重要であるが,実際に運用されている漁具は水中で大変形するため,一様流れの中でもどのような流体力が各部材で作用しているのか見積もることはこれまでほとんど不可能に近かったといってよい。特に変形した網地はその微少部位ごとに形状が流れ場の中で異なるため,流体力が異なるようになり,局所的な流体力係数がどのような構造となっているのか評価することは従来の方法では不可能となっていた。そこで,本研究では,ベイズの定理を基底とする状態推定技術を用いて抗力係数を網地の形状を捉えるだけで推定するというユニークなアプローチで提案していることが評価すべき特徴となっている。状態推定技術はカルマンフィルタで代表されるようなフィルタリング手法と呼ばれており,観測データを活用しながら変動する隠れた状態値(この場合は抗力係数)を推定する技術を指しており,気象予測では積極的に導入されている技法であるが,漁業生産技術に本手法を取り入れて設計上重要なパラメータである抗力係数を推定するという研究はこれまでに例がない。漁業分野においても汎用的な手法を提案する可能性がある重要な基礎研究成果としてその独創性は高く評価できる。なお,提案手法で推定される抗力係数は観測値(この場合は漁具の形状)から物理パラメータが推定されることになるので,逐次的にその条件下で最も相応しい最適解を得るという一種の制御問題として捉えることができるため,その逆問題のように所望とする流体力となる様に漁具の形状を制御することも可能となると考えられ,その応用性は極めて高いものと考える。基盤的な研究成果として本研究の価値は高いものと評価でき,今後の展開が大いに期待される。
https://jsfs.jp/act/commitee/jsfs-com7/gyogyokonwakai-shoreisho/
2024.4.20
【プレスリリース】魚は流れ場の変化に応じて最も楽な遊泳姿勢を選ぶ~尾ヒレを振らずに推進する「ドラフティング」の仕組みを解明~(D3 江口 剛さん,高木 力教授)
●尾ヒレを振らないまま流されず定位したり、他個体に追従したりする「ドラフティング」に着目。
●実際に生きた魚と翼模型を用いて魚のドラフティングを再現、魚体まわりの流れ場の解析に成功。
●魚体にかかる力が最小になるよう、流れ場に応じて最適な遊泳姿勢を選んでいた魚の機能性を解明。
北海道大学大学院水産科学院博士後期課程3年(研究当時)の江口 剛氏と同大学大学院水産科学研究院の髙木 力教授らの研究グループは、魚が尾ヒレを振らずとも推進できる「ドラフティング」についてマアジやウグイと翼模型を用いた生体実験を行い、魚が魚体まわりの流れ場の変化に伴う圧力差を利用することで魚体にかかる力を低減させるメカニズムを明らかにしました。
魚は尾ヒレを振って流体を押し出し、その反作用で推進します。ただ、例えば川の岩など構造物周辺では尾ヒレを振らず定位する様子も報告されます。これらは構造物の影となる死水域や前方の淀み域に魚が入ることで流れから受ける抗力と釣り合わせています。そのため似た個体サイズが集まる魚群内で同様の現象が起きるとは考えにくいです。
そこで本研究では魚群を想定し、魚の流線形に似た翼模型を構造物に採用しました。粒子画像流速測定法(PIV)を用いて流れ場を可視化・解析した結果、流れの剥離がほぼない状態で比較的高い流速を受ける環境下でも、翼模型近傍に生じる局所的な低圧領域を利用して魚はドラフティングを実現させていました。この仕組みは生体実験のほか、魚を再現した模型実験や数値流体力学(CFD)でも検証し、魚の能動的な遊泳姿勢の制御がなければドラフティングの維持は困難だと明らかにしています。構造物まわりの局所的な圧力差すら推進力に利用できる魚の優れた形態や、常に魚体にかかる力を最小限に留めようとする柔軟な機能性が示唆されており、魚群遊泳における遊泳時の消費エネルギー節約の仕組みを説明する一因として発展が期待できます。
なお、本研究成果は2024年4月20日(土)にJournal of Theoretical Biology誌でオンライン公開されました。
論文名:Drafting behaviors in fish induced by a local pressure drop around a hydrofoil model(翼模型近傍での局所的な低圧領域による魚のドラフティング行動)
URL:https://doi.org/10.1016/j.jtbi.2024.111821
プレスリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/2024/05/post-1478.html