広島国際学院大学

離散数学セミナー

2020年 3月4日(水) - 3月6日(金)

広島国際学院大学 10号館4階104A教室

講演者

スケジュール

■ 3月4日(水)

・13:30 - 14:30 辻栄 周平 (広島国際学院大学)

タイトル:符号付きグラフの彩色対称関数についての考察

アブストラクト:単純グラフの彩色対称関数とは、彩色多項式の対称関数による精密化である。彩色多項式の非輪状向き付けに関する組合せ論的相互律は、彩色対称関数に対しては対称関数の環の対合により記述される。また、この相互律は対応するグラフ超平面配置の補空間の性質とEhrhart相互律を用いて示すことができる。符号付きグラフにも自然に対応する超平面配置を考えることができる。その超平面配置の補空間の格子点の情報から対称関数を構成し、どのような性質が満たされるべきかについて考察を行う。本研究は日本文理大学の黒田匡迪氏との共同研究である。

・15:00 - 17:30 自由討論


■ 3月5日(木)

10:30 - 11:30 陶山 大輔 (稚内北星学園大学)

タイトル:自由超平面配置の基底構成

アブストラクト:自由超平面配置の内、これまで付随する加群の基底構成が行われているものについて概説する。


・13:30 - 15:30 中島 規博 (名古屋工業大学)

タイトル:高階自由配置に関するHolmの問題の反例と3次元の場合の証明

アブストラクト:超平面配置の高階自由配置の研究において,「すべての中心的超平面配置は十分大きな階数で自由であるか?」というHolmによる問いがある.本講演では,4次元以上ではこの主張に対する反例を挙げ,3次元ではこの主張が正しいことを証明する.

・16:00 - 17:30 自由討論

・18:00 懇親会


■ 3月6日(金)

10:30 - 11:30 黒田 匡迪 (日本文理大学)

タイトル:測地空間上の単位球グラフについて

アブストラクト:測地空間とは任意の 2 点の間に必ず測地線が存在する距離空間のことである. 正の定数 δ を固定し, 測地空間 X 上の 2 点 x, y の距離が δ 以下ならば x と y は “近い”とみなすことにする. X 上の有限個の点に対し, この意味で近い点を辺で結ぶと単純グラフを得る. このようにして得られるグラフを X 上の単位球グラフという. X が実直線の場合には単位区間グラフとしてよく知られている. X 上の単位球グラフの集まりは X の幾何学的性質を反映していると考えられる. 本発表では, X 上の任意の単位球グラフが chordalになるための条件と (claw, net)-free になるための条件について考える. なお, 本研究は広島国際学院大学の辻栄周平氏との共同研究である.


・13:30 - 14:30 山口 崇幸 (滋賀大学)

タイトル:階段関数と区分的線形関数を用いた場合の梅毒のコンパートメントモデルと罹患数・報告数の推定

アブストラクト:日本での梅毒の報告数は1960年代半ばの大流行以降, 減少傾向であったが, 近年, 急増している. 2000年には梅毒の全ステージ合計の報告数は男性512人, 女性247人であったが, 2016年にはそれぞれ3189人, 1386人である. このような報告数の増加が診断率の増加によるものなのか, 感染者数そのものの増加によるものなのかを検討するために, 数理モデルを用いた推定を行った. 梅毒の自然史を考慮し, 梅毒感染のダイナミクスを簡略化したコンパートメントモデルに, 診断のコンパートメントを加え, 常微分方程式によりモデルを定義した. 国立感染症研究所で公開されているデータを用い, 最尤法により梅毒の新規感染者数と診断レートの同時推定を行った.

このとき, 新規感染者数と診断レートの関数として, 階段関数と区分的線形関数の2つの場合を考え, さらに期間の切り方をいくつか考えたが, 現実的な値を与えるモデルが9年または10年で区切った階段関数の場合しかなかったので, この設定を採用した. その結果, 近年の梅毒報告数の増加は診断率の向上ではなく真に感染者数の増加によるものであることを得た. 加えて, 2008年から2016年では平均の1年間の新規感染者数は男性1070人, 女性302人であるという推定を得た. なお, 本講演は越後屋百合氏と西浦博氏との共同研究に基づいたものである.

・15:00 - 17:30 自由討論


世話人