このたびは、八草庵にて父・梶原知治の作品を展示できることを、たいへん嬉しく、また誇らしく思っております。
梶原知治は、一級建築士であり画家でもありました。
50年以上にわたり、鹿児島の自然をテーマに油彩を描き続け、晩年は家族や旅行からもアイデアを得て、多くの作品を残しました。
設計士としては、鹿児島県の住宅供給に従事する一方、鹿児島独自の住居形態に関心を寄せ、知覧の武家屋敷や種子島の民家を実測し図面化するなど、データベース化に取り組みました。また、茶室のしつらえにも造詣が深く、吉野公園の茶室設計を手がけました。
晩年は病と闘いながらも、自ら実測・製図・計画・施工管理・現場監督までを行い、古民家・八草庵の再生に全身全霊を捧げました。
八草庵は、父娘で何度も語り合い、ときにはぶつかりながら形にしていった場所です。多少の不便さを受け入れながらも、自然と調和した持続可能な装置を目指しました。思いつくかぎりのローテクな工夫を凝らし、「からくり屋敷」「一周回って新しい暮らし」になったと思います。
予算も知識もない施主(私)の無茶なリクエストに対し、父はいつも嬉しそうにアイデアを出してくれました。その笑顔が今も心に残っています。
残念ながら、父は八草庵の完成を目前にした2023年5月4日、この世を去りました。生前、「八草庵で自分の作品展を開けたらいいな」とよく話していたので、きっと天国で喜んでくれていると思います。
なお、孫もまた創作好きで、段ボールで飛行機や電車を作るのが大好きです。今回、その作品の一部も併せて展示しております。
八草庵 店主
縄文杉
桜島
いづろ夜景
桜島