登場人物
猫宮 夏穂(ねこみや かほ) 女性
猫カフェ『Jewelry box』のオーナー兼、看板猫
22歳、中学生に間違えられる程の童顔
猫耳と猫尻尾が生えた人間に姿を変えられる珍しい猫種
ツンデレである
鈴谷 光輝(すずたに こうき) 男性
猫カフェ『Jewelry box』の店員
24歳、カフェの全役割を任せられている苦労人
実質実働店員であり、ホール・厨房・雑用を全て一人でこなす
いじられやすい性格ではあるが、怒ると口調が崩れる
無類の猫好き
楠 伶弥(くすのき れいや) 男性
猫カフェ『Jewelry box』の店員
24歳、女性客に人気だが、あまりホールに立たず裏で猫と遊んでいる
無気力でいつもスタッフルームで猫を愛でている為、猫の扱いは得意
女性客を虜にしているが本人は無関心で無意識な為タチが悪い
いじりたがりのドエス
白銀 樹(しろがね たつき) 男性
猫カフェ『Jewelry box』の店員
20歳、動物好きだが開店中だろうが裏でゲームをしている
厨房を任されているが、必要最低限だけして全部鈴谷に投げている
基本的にホールに立たない為、お客様からの認知度は低い
閉店後に片付けと翌日の仕込みをする裏方店員である
藤田 慎二(ふじた しんじ) 男性
喫茶店『Dream』のマスター
24歳、女性客に人気で常に店は女性客の方が大半
優しい性格で店自慢のオリジナルティーを振舞う
鈴谷とは幼馴染
犬飼 真琴(いぬかい まこと) 女性
喫茶店『Dream』の看板犬
22歳、低身長で童顔である
マスターである藤田の言う事しか聞かないお転婆犬
犬耳と犬尻尾が生えた人間に姿を変えられる珍しい犬種
たまに猫宮のお店の臨時店員をしている
配役表
猫宮 夏穂:
鈴谷 光輝:
楠 伶弥:
白銀 樹:
藤田 慎二:
犬飼 真琴:
鈴谷
「猫宮さーん!仕事してくださーい!」
猫宮
「んみゃぁ、炬燵気持ちいにゃぁ」
鈴谷
「あんたが提案した新メニューだろぉ!?」
猫宮
「んー、あんま怒ると毛抜けちゃうよー?」
鈴谷
「誰のせいだ!誰のー!」
猫宮
「だって伶弥も樹も構ってくれないんだもん。光輝も忙しそうだしさぁ」
鈴谷
「だ、か、ら、仕事中だってさっきから言ってるでしょぉ!?
あの二人はスタッフルームでサボり中ですよ!今この店回してるの俺一人!分かります!?」
猫宮
「みゃぁ、寒いんだもん」
鈴谷
「暖房付いてんだろうが!」
猫宮
「むぅ、分かったよぉ」
-炬燵からもぞもぞと出てくる-
猫宮M
「炬燵が恋しくなる季節。
クリスマスに合わせて開発した新メニューが人気で、店内はお客さんで賑わっていた。
秋にみんなで作成したメニューもお客様の口コミが広がり、テレビや雑誌で取り上げられた。
SNSと連携して、特典やサービスも付けた事から毎日お店は大繁盛だ」
鈴谷
「いらっしゃいませ!三名様のご利用ですか?……かしこまりました。当店のSNSサービスご利用ですね。
特典でお好きなフードが一つお選びいただけます。はい、季節限定メニューも大丈夫ですよ。
クリスマスメニューですね。では空いているお席でお好きな猫ちゃんと素敵なお時間をお過ごしください。
出来次第お席にお食事をお持ちいたします。他にご注文がございましたら店員をお呼びください」
-一方、スタッフルームでは-
白銀
「くっそぉ、あの敵まじめんどくせぇ。デバフ爆盛りされてからの連続攻撃はいてぇ。
レベルもパーティー構成も抜かりないのになんで勝てないんだよ!
エリア戦まで期日ないしあいつの落とすアイテムがないとパーティーレベルが上がらないんだよなぁ……」
楠
「……それ、先月発売されたステイル社の新作?」
白銀
「寝てたんじゃないんすか?そうっすけど、このメインイベのエリアボスが倒せないんすよ。
惜しいところまではいくんすけど……」
楠
「んー?……あー、そこ行く前に一つ行くところあるよ」
白銀
「え!?」
楠
「エリア入って東に進むと湖があるでしょ?そこの、見えにくいんだけど端っこの岩陰に一人NPCがいるから話しかけてみて」
白銀
「まじっすか。てか伶弥さんこのゲーム知ってたんすね」
楠
「そこまで進んでるユーザーあんまいないからまだ攻略出回ってないんだよね」
白銀
「まぁ、今公開してるシナリオの最終エリアっすからね。
……うわマジでNPCいた。あー、この人のサブイベントクリアであのボスの攻略キーが報酬で貰えるんすね」
楠
「そうそう。そこから控えパーティー編成が解放されるから」
白銀
「なるほど。ありがとうございます」
楠
「いえいえ」
白銀
「ぁ、ところで伶弥さん」
楠
「んー?」
白銀
「そろそろクリスマスじゃないっすか」
楠
「あー、そうだねぇ。クリスマスメニューで店内や世間は大賑わいだねぇ。
それで?そんなクリスマスに興味なさそうなゲーマーの白銀さんが、どうしたのかな?」
白銀
「すっごい棘ある言い方っすけど、事実なんで何も言えないっす。
いや、まぁ、次のお休みの日暇っすか?」
楠
「寝てるから暇じゃないね」
白銀
「(前のセリフに被せて)暇っすね。せっかくなんで、夏穂にプレゼント渡しません?」
楠
「あー、クリスマスも仕事だけど、帰りにサプライズするのいいかもね」
白銀
「そうなんすよ。だから次の定休日に光輝さんも誘ってクリスマスプレゼント買いに行きませんか?」
楠
「まぁ……いいよ。楽しそうだし」
白銀
「後で集合時間と場所連絡入れるのでちゃんと読んでくださいね」
楠
「(欠伸)わかったよ」
鈴谷
「(ホールから叫ぶ)白銀さーん!楠さーん!サボってないで仕事してくださーい!!」
白銀
「……もうちょいこのゲームについて教えてくれませんか?」
楠
「いいよ。ホールは鈴谷さんに任せようか」
白銀
「そうっすね」
鈴谷
「降りてこぉおおおおおおい!!
ひぃいいいい!店回んねぇえええええ!」
-休日 大型デパートにて-
犬飼
「夏穂ちゃんまだかなぁ」
猫宮
「真琴ちゃーん!」
犬飼
「あ!夏穂ちゃん、遅いよー!」
猫宮
「ごめんね!着て行くお洋服選んでたら遅くなっちゃった!」
犬飼
「わぁ!夏穂ちゃん可愛い。それシリルの新作だよね?」
猫宮
「そうだよ!」
犬飼
「ふわふわレースで夏穂ちゃんによく似合ってる!」
猫宮
「ありがとう!真琴ちゃんだってボーイッシュでかっこいい!あ、髪飾りしてる!?はにゃー、可愛いよぉ!」
犬飼
「かっこよさの中にある可愛さを目指してコーディネートしてみた!」
猫宮
「似合ってる!かっこかわいい!私もそういうコーデしてみたい!」
犬飼
「あ、じゃあ用事終わったら夏穂ちゃんの新しいお洋服選びに行こうよ!」
猫宮
「いいの?」
犬飼
「うん、いいよ。寧ろ夏穂ちゃんのコーディネートしてみたいなぁ」
猫宮
「んんん、ありがとう!真琴ちゃん大好き!」
犬飼
「私も夏穂ちゃん大好き!」
猫宮
「よし、そうと決まれば早く買いに行こう」
犬飼
「そうだね!」
-建物に入り店内を周る-
猫宮
「真琴ちゃんは藤田さんにあげるんだよね?」
犬飼
「うん。ご主人そういう季節のイベント興味なさそうだけどね」
猫宮
「藤田さんより樹と伶弥の方が興味なさそうだよ。光輝は興味ないかもだけど季節イベントは大事にしてくれそう」
犬飼
「確かに。こうくんそういうの意識してるよねぇ。そっちのメンバーにもクリスマスプレゼント渡そうかな」
猫宮
「え、人数多いよ?大丈夫?」
犬飼
「大丈夫!臨時で夏穂ちゃんのお店のお手伝いもしてるし、お世話になってるからぜひ送らせて!」
猫宮
「じゃあ私も藤田さんに送らせてもらってもいい?」
犬飼
「夏穂ちゃんなら全然いいよ!他の女性がご主人にプレゼント送るのは許せない!」
猫宮
「わかる!私も他の女性から送られるの嫌だ!あ、でも真琴ちゃんは別だからね!」
犬飼
「あはは、夏穂ちゃんも私と同じだったー!」
猫宮
「嫌なものは嫌だもん!」
犬飼
「だよね!」
猫宮
「けどこういうのって男の人分からないもんなんだよねぇ」
犬飼
「うんうん、ほんとそうだよ。親しくない女性からプレゼント貰って喜ぶ人いる?って思っちゃう」
猫宮
「真琴ちゃん腹黒い」
犬飼
「わぁ!ご主人には内緒にしてー!」
猫宮
「女の子同士の秘密だね」
犬飼
「うん!シーッ、だよ!」
-猫宮のお店のメンバーを見かける-
猫宮
「あれ?あそこにいるの」
犬飼
「こうくんとくすくすとたっちゃんだ。珍しい組み合わせだねぇ」
猫宮
「何してるんだろう」
犬飼
「あ、見つかったらまずくないかな?隠れよ夏穂ちゃん」
猫宮
「そうだね。みんなには内緒だもんね」
犬飼
「気を付けてみんなへのプレゼント買いに行こう」
猫宮
「うん、ソーッとソーッと。隠密行動だね」
-一方、男性組-
楠
「(欠伸)あー、眠い。寒い。死にそう」
鈴谷
「そんだけ着込んでれば死にませんよ」
楠
「凍死はする」
鈴谷
「ここは雪山じゃございません」
白銀
「伶弥さんも合流しましたし、買いに行きましょうか」
鈴谷
「そうだね。でも驚いたなぁ。二人から猫宮さんへのクリスマスプレゼントを買いに行かないかって誘われた時は」
楠
「元々は白銀さんの提案だけどね」
鈴谷
「うわ珍しい。明日大雪かな?」
白銀
「酷くないっすか?たまにはと思ったんすよ。夏穂にはお世話になってますし……」
楠
「まぁ、そうだねぇ」
鈴谷
「異論はないね。あ、犬飼さんにも渡そうか」
白銀
「いいっすね。いつもお手伝い来てくれてますし」
楠
「あー、藤田さんにも連絡すればよかったね」
鈴谷
「あいつの店今日は普通営業だったはずだよなぁ。今から連絡入れてもいつ気づくか」
白銀
「って言うか、あそこにいるの藤田さんじゃないっすか?」
鈴谷
「え?」
楠
「……藤田さんだねぇ?」
-お店の前で悩んでいる藤田を見かける-
藤田
「真琴が喜んでくれそうな物を選ぶのは難しいな。どれがいいんだろうか」
鈴谷
「おーい、慎二!」
藤田
「ん?光輝。あれ、楠さんと白銀さんも一緒ですか?」
白銀
「お久ぶりっす」
楠
「諸事情で。藤田さんはここで何を?」
藤田
「実は、真琴へのクリスマスプレゼントをと」
鈴谷
「お前もか?」
藤田
「も……ってことは、光輝たちも猫宮さんへ?」
鈴谷
「まぁ、そういう感じかな。ちょうど慎二にそのことで連絡入れようとしてたんだ。
っていうか今日はそっちの店通常営業じゃなかったのか?」
藤田
「あぁ、臨時休業にさせてもらったんだよ」
鈴谷
「そうなのか」
藤田
「あ、そういえば楠さん。楠さんが提案してくださったロシアンティー、好評ですよ」
楠
「よかったです」
藤田
「SNSに私の店を紹介してくれた方がいて口コミが広がりましてね。これも光輝含め、皆さんのおかげです」
楠
「俺は何もしてませんよ」
白銀
「藤田さんの人望っすよ」
藤田
「はは、ありがとうございます」
鈴谷
「犬飼さんへのプレゼント選びっていうなら、目的は同じだし一緒に選ばないか?
俺達もさっき、猫宮さんだけじゃなくて犬飼さんにも渡そうかって話をしてたんだ」
藤田
「いいのか?」
鈴谷
「一人で悩むよりみんなで話し合った方が新しい選択が増えて楽しいと思うぞ」
藤田
「そうだな。正直どれを選べばいいか分からなかったんだ。助かるよ」
白銀
「俺達の意見が参考になるかは分かんないっすけど、力にはなりますよ」
藤田
「ありがとうございます。そちらが真琴へと言うことなので、私も猫宮さんへお渡ししましょうかね」
鈴谷
「猫宮さんも喜ぶよ」
楠
「じゃあ選びに行きましょうか」
-色々なお店を見ていく-
白銀
「女性って何喜ぶんすかね?」
楠
「夏穂の場合なんでも喜びそうだけど?」
白銀
「伶弥さん夏穂のお気に入りじゃないっすか。そりゃ伶弥さんから貰ったものならなんでも喜びますよ」
鈴谷
「アクセサリーとか洋服とか喜ぶ場合もあるけど、ただの店員からのそれは重いですよね」
藤田
「それはやめた方がいいんじゃないか?」
鈴谷
「だよなぁ」
白銀
「なら、実用的なものが無難じゃないっすか?」
楠
「その選択肢に落ち着くよね」
藤田
「実用的なもの、か……日常生活で真琴や猫宮さんが使えるもの、少し難しいな」
鈴谷
「プレゼントって結構悩むもんなんだな」
藤田
「滅多にしないからな」
白銀
「けど、こうやって二人の喜びそうなもの考えながらお店選んだり買うもの相談するのも楽しいっすね」
楠
「それには同意かな」
鈴谷
「ぁ、ちょっとみんなストップ!こっちこっち!隠れて!」
藤田
「ん?どうした?」
-デパート内にある喫茶店で猫宮と犬飼がいる-
白銀
「本人達いるっすね?」
鈴谷
「見つかったらまずいぞ。慎二、犬飼さんがここにくるってなんで教えてくれなかったんだ?」
藤田
「いや、俺も知らなかったんだよ。猫宮さんと出かけるとは聞いていたが、まさかこのデパートだったとは……」
楠
「とりあえず、二人にはまだ見つかってないみたいだから、早く目的の買ったほうがいいかもね」
白銀
「そうっすね」
-見つからないように離れる-
鈴谷
「プレゼントの方向性が実用的なものって決まったことだし、それぞれ買いに行こうか」
白銀
「そうっすね」
楠
「プレゼント渡すのって当日だよね?仕事終わりに俺が夏穂に声かけてみようか?」
鈴谷
「そうですね。お願いします」
藤田
「俺も当日にそれとなく真琴に声をかけてみるか」
鈴谷
「じゃあ当日仕事終わりに駅前の広場で待ち合わせかな」
藤田
「そうだな」
楠
「よし、じゃあ解散」
白銀
「帰らないっすよね?」
楠
「ちゃんとプレゼント買ってから帰るよ」
白銀
「なら安心っすね」
楠
「プレゼント選ばず帰るなんてことはしないよ」
白銀
「伶弥さんならしそうっす」
楠
「ん?なにか言ったかな?」
白銀
「……なんでもないっす」
楠
「うん、そっかぁ。じゃあ白銀さん、また明日お店でね」
白銀
「はーい、お疲れ様っす」
-クリスマス当日-
猫宮M
「みんなへのプレゼントを隠しつつ、クリスマス当日を迎えた。
お店は相変わらず忙しく、私もオーナーとしてテレビや雑誌の取材を受けていた。
クリスマスが終われば、年末年始休暇で暫くお店は休業。
一年分のありがとうも込めて、真琴ちゃんと一緒に選んだプレゼント、喜んでくれるといいな」
鈴谷
「ご来店ありがとうございました!またいらしてください!」
猫宮
「んー、最後のお客様退店!みんなお疲れ様でしたー!」
楠
「あー、疲れた」
白銀
「今日女性客やばかったっすね」
鈴谷
「あはは、クリスマスだからねぇ」
猫宮
「伶弥が人気者で売上的には美味しいけど、なんかやだ」
白銀
「この時期は伶弥さんしんどいっすね」
楠
「来年からシフト減らして夏穂」
猫宮
「やだ。でもいいよ」
鈴谷
「どっち!?」
猫宮
「……葛藤してる」
鈴谷
「楠さんのシフト減る分俺のシフト増えますよね!?それだけはやめてくださいね!?」
猫宮
「……考え中」
楠
「お願いします。鈴谷さん」
鈴谷
「切替早いよ!まだ了承してないですよ!」
楠
「えー?」
白銀
「俺はゲームスケジュールによってシフト入れますんでよろしくお願いします」
鈴谷
「相変わらずだなぁ!あんたら!」
白銀
「光輝さん、いつものことっすよ」
鈴谷
「(溜息)もう、慣れてるけどさ……うん、諦めてるよ」
白銀
「それじゃあ明日の仕込みしてきますね」
鈴谷
「あ、営業看板閉じてきますね」
猫宮
「うん、お願い。伶弥は一緒に猫ちゃんのお世話!」
楠
「はいはい」
猫宮
「みんなもお疲れ様。今ご飯用意するからね」
-猫のご飯を用意する-
楠
「こら、お前のお皿はこっちだろ。隣の食べない」
猫宮
「がっつかなくてもみんなの分あるからゆっくり食べてね」
楠
「これで全員分できたかな?」
猫宮
「完璧」
楠
「じゃあ俺着替えてくるわ」
猫宮
「あ、伶弥」
楠
「ん?」
猫宮
「あの、この後暇?」
楠
「あー、用事ある」
猫宮
「え!?」
楠
「なに?」
猫宮
「え、用事あるの?」
楠
「うん。ダメ?」
猫宮
「ダメじゃない、けど……そっかぁ」
楠
「ふっ、夏穂とイルミネーション見るって言う用事がある」
猫宮
「……え?」
楠
「この後、イルミネーション見に行こう?駅前の広場の」
猫宮
「う、うん!見に行く!」
楠
「鈴谷さんと白銀さんもどう?見に行く?」
白銀
「行きますけど、伶弥さんやばいっすね」
鈴谷
「いやぁ、その落として上げるやり方は……」
楠
「用事は用事でしょ」
猫宮
「心臓に悪い」
楠
「けど嬉しかったでしょ?」
猫宮
「むぅ、否定はしない」
白銀
「まぁ俺も伶弥さんの立場なら同じことしてたっすね」
鈴谷
「あんたらえげつねぇな」
楠
「退勤作業早く終わらせよっか。遅くなりすぎると混むから」
鈴谷
「そうですね」
-退勤作業を済ませる-
-駅前の広場に行く-
鈴谷
「うわ、すご」
白銀
「でっか」
猫宮
「クリスマスツリーだ!」
楠
「さっむ……え、帰りたい」
猫宮
「ダメ!」
白銀
「でかいとは聞いてましたけど、だいぶっすね」
鈴谷
「ここまで大きいとイルミネーションも映えるね」
犬飼
「夏穂ちゃーん!みんなー!」
猫宮
「真琴ちゃん!?藤田さんも!」
藤田
「こんばんは。猫宮さん」
猫宮
「こんばんは。お仕事お疲れ様です」
藤田
「猫宮さん達も、お疲れ様です」
犬飼
「あのね!ご主人にお仕事終わりにここのイルミネーション見に行こうって誘われたの!」
猫宮
「よかったね真琴ちゃん!」
犬飼
「うん!ご主人とゆっくり過ごせて嬉しい!」
藤田
「(小声)とりあえず成功かな?」
鈴谷
「(小声)そうだな」
犬飼
「あ、そうだ!はい、ご主人!」
藤田
「ん?」
犬飼
「これは、こうくんに!」
鈴谷
「はい?」
犬飼
「こっちがくすくすで、これがたっちゃん!」
楠
「ん?」
白銀
「ありがとう、ございます?」
猫宮
「じゃあ次は私!はい、伶弥!」
楠
「うん?」
猫宮
「で、はい!光輝」
鈴谷
「はい」
猫宮
「これは樹に!」
白銀
「あ、はい」
猫宮
「これが、藤田さんのです!」
藤田
「あ、あぁ。ありがとうございます」
犬飼
「私達からみんなにクリスマスプレゼント!」
猫宮
「大成功!」
藤田
「これは……」
鈴谷
「してやられたな」
楠
「はぁ、計画丸潰れ」
白銀
「やばいっすね」
犬飼
「え?なにが?」
猫宮
「嬉しくない?」
鈴谷
「嬉しいですよ!?嬉しいですけど……あー、もう!猫宮さん、犬飼さん、手出してください」
犬飼
「わふ?」
猫宮
「にゃ?」
鈴谷
「これ、俺から二人にクリスマスプレゼントです」
犬飼
「え!?」
猫宮
「光輝から!?」
楠
「はい。これは俺から」
白銀
「これは俺からっす」
藤田
「これは真琴に。こちらは猫宮さんに。いつも真琴がお世話になってますから」
犬飼
「え、え?」
猫宮
「何がどうなってるの?」
楠
「お互い、考えてたこと一緒だったってこと」
鈴谷
「猫宮さん、犬飼さんと一緒に駅前のデパートにいましたよね?もしかしてあの時ですか?」
犬飼
「こうくんにバレてた!?」
猫宮
「え!?じゃあもしかして光輝達もその時に!?」
藤田
「はは、お互いあの日デパートにいたことはバレていたのか」
鈴谷
「二人の反応からしてそうっぽいな」
白銀
「今日まで隠してた意味ないじゃないっすか」
楠
「まぁ、いいんじゃない?」
-雪が降り始める-
猫宮
「雪だ!」
犬飼
「わー!雪ー!」
藤田
「真琴、あんまはしゃぐな」
犬飼
「えへへ、ご主人もー!」
藤田
「(困りながらだが嬉しそう)こら」
猫宮
「(くしゃみ)うぅ、寒い」
鈴谷
「今日は一段と冷え込みますからね」
白銀
「そんな着込んでも寒い?」
猫宮
「寒いよ!」
楠
「猫は寒がりって言うからな」
猫宮
「(くしゃみ)」
鈴谷
「ほら、俺達で風避けになりますから」
猫宮
「ありがとう光輝」
白銀
「この後そこのはしゃいでるわんこと藤田さん連れてなんか食べにいきませんか?」
楠
「あー、いいね」
-はしゃいでいる犬飼と止める藤田-
犬飼
「ご主人早くー!」
藤田
「真琴、あんまり走ると転んで……うわっ!」
犬飼
「わぁあああ!ご主人大丈夫!?死んじゃやだー!」
藤田
「いたた。死にはしないよ。まったく、雪が降って嬉しいのは分かるが、あまり走るな。わかったな?」
犬飼
「はぁい」
白銀
「(眺めながら)いやぁ、犬っすね」
楠
「夏穂も猫だけどね」
猫宮
「(くしゅみ)にゃ?」
鈴谷
「楠さんに店選び任せていいですか?」
楠
「いいところ知ってるから任せて」
白銀
「ほんと伶弥さんって色んな知識というか、物知りっすよね」
楠
「そう?」
猫宮
「(嬉しそうに笑う)えへへ」
鈴谷
「猫宮さん?」
猫宮
「ううん、もう一年が終わるんだなって……けど、みんながいるから寂しくないね!」
楠
「ふっ、そうだね」
鈴谷
「来年のシフト、調整してくださいね」
白銀
「年末年始イベント、走らないと……」
猫宮
「樹はいつもそれー!私にも構え!」
白銀
「片手間に構ってるよ」
猫宮
「女の子に嫌われるぞ!」
白銀
「別にいいっす」
楠
「(欠伸)賑やかだねぇ、鈴谷さん」
鈴谷
「そうですね。でも、こういう月末もたまにはいいですね」
楠
「じゃ、年始もシフトよろしくお願いします」
鈴谷
「いや話の流れおかしいよね!?」
楠
「えー?」
猫宮
「光輝、樹、伶弥!」
鈴谷
「はい?」
白銀
「どうした?」
楠
「ん?」
猫宮
「今年も残り少ないけど、これからもよろしくね!」
-顔を見合わせる-
鈴谷
「こちらこそ、よろしくお願いします」
楠
「よろしく」
白銀
「よろしく、夏穂」
猫宮
「藤田さんと真琴ちゃんもー!これからもよろしくねー!」
犬飼
「うん!よろしくね!」
藤田
「はい。真琴共々、よろしくお願いします。猫宮さん」
猫宮M
「振り続ける雪は、いつの間にか地面を白く染めていた。
みんなの笑い声を聞きながら、私は未来に想いを馳せた。
来年は、どんな年になるんだろう」
犬飼
「夏穂ちゃーん!雪積もってきたー!」
猫宮
「にゃああ!寒いよー!早くご飯食べに行こうよー!」
猫宮M
「これは、自由気ままな看板猫がいる猫カフェ『Jewelry box』と従順だけど自由な看板犬がいる喫茶店『Dream』の物語。
個性豊かな面々が織りなす日常は、ここで一旦おしまい。
また私達に会いたくなったら、当店にいらしてください。
様々な猫ちゃん共々、お迎えいたします。それでは、また会う日まで……」
幕
2022/11/06 「ある猫caefの日常~冬~」公開