登場人物
Vanilla(ばにら) 男性
リアルネーム:佐伯(さえき)
30代半ば。大手洋服ブランド「Vanillin(ヴァニリン)」の企画部主任。
趣味で始めた声劇をきっかけに、今では同人声優を副業としている。
ラストノート 男性
リアルネーム:御子柴(みこしば)
30代前半。女性人気の香水ブランド「arc en ciel(アルカンシエル)」に携わる調香師。
仕事の息抜きで声劇を始めた。
ネット事務所に所属していたが、依頼が入りすぎて本職に支障が出るため辞めた。
現在も事務所に誘われているが仕事に支障が出るため断っている。
みしろ 女性
リアルネーム:小峰(こみね)
20代前半。トリマー専門学校に通う大学生。
趣味で声劇を始め、今ではⅤ事務所に所属している。
菊花(きっか) 女性
リアルネーム:神崎(かんざき)
30代前半。内科に勤める医師。
仕事のストレス発散先に声劇を選んだ。
ねじ花(ねじばな) 女性
リアルネーム:相澤(あいざわ)
30代前半。花屋「オアシスフラワー」の経営者。フラワーデザイナーも兼業している。
学生時代に演劇部であった為、その延長線で演じたりシナリオを書いたりしている。
配役表
Vanilla:
ラストノート:
みしろ:
菊花:
ねじ花:
みしろ
「(タイトルコール)それでは始めます。3、2、1、Act」
-Discord ラストノート参加音-
Vanilla
「あ、お疲れ様です」
みしろ
「ラストさんお疲れ様!」
ラストノート
「お疲れ様でーす。なに話してたんですか?」
みしろ
「この前発売された、バニラさんが出てる同人音声のこと!」
Vanilla
「クソ重ファンからめっちゃ感想語られてました。
ラストさんが来てくれて助かりましたよ」
みしろ
「クソ重ファンって酷くない!?」
Vanilla
「クソ重ファンだろうが。発売日当日に買ってクソ長文の感想送ってくるのなんてよ!」
みしろ
「古参ファンって呼んで!?」
Vanilla
「重すぎる古参ファンだなぁ!?」
ラストノート
「はいはい、喧嘩しなーい」
みしろ
「本当に良かったからラストさんも聞いて!」
Vanilla
「聞かなくていいです」
ラストノート
「この前発売されたのって、あのお試しから始まる恋愛の?」
Vanilla
「そうですね」
ラストノート
「バニラさんって恋愛系統の作品出るの多いよね」
Vanilla
「そっちの方が得意なんですよ」
ラストノート
「一応バニラさんが出てる作品はチェックしてるけどさぁ」
Vanilla
「なんで!?」
ラストノート
「よく絡んでる人の作品はチェックするようにしてる」
Vanilla
「マジですか……ぇ、聞いたんですか?」
ラストノート
「いや、まだ買ってはないかな。仕事が忙しくて聞く時間が取れないから」
Vanilla
「なるほどです」
ラストノート
「俺入るまでかなり通話時間あったと思うけど、まさかこの話題だけでこの時間?」
みしろ
「ううん。私のV配信の話もしたよ」
ラストノート
「どんな配信したの?」
みしろ
「ホラー配信」
ラストノート
「へぇ、意外。怖いの嫌いじゃなかったっけ?」
みしろ
「怖がりがホラーゲームするの需要あるみたい、時たまやってるんだよね。
リスナーにリクエストされたってのいうのもあるけど……」
Vanilla
「その配信見たわ」
みしろ
「いやぁあああ見ないでほしかったぁああああ!」
Vanilla
「チュートリアル進めるのに30分以上かかるとは……」
みしろ
「だって怖かったんだもん!」
ラストノート
「ホラーゲームだから当たり前だね?」
みしろ
「あんなに怖いなんて思わなかった!なんでチュートリアルから怖いの!?」
ラストノート
「うん。だから当たり前なんだよ」
Vanilla
「ラストさん。これ、その配信のウラルです」
ラストノート
「ありがとう。後で見に行こう」
みしろ
「やめてぇええええ!推し二人に見られるとか、それはもう死!」
Vanilla
「大袈裟」
ラストノート
「大丈夫。安心して」
みしろ
「ラストさん」
ラストノート
「(いい笑顔で)見たら感想メッセ送るから」
みしろ
「……推しが悪魔に見える」
ラストノート
「悪魔なんて酷いなぁ」
Vanilla
「絡みある人の配信だから見に行ってるだけだよ」
みしろ
「いい笑顔なのもムカつく」
Vanilla
「はははっ」
みしろ
「ぁ、そうだ。二人に相談したいことあったんだよね」
ラストノート
「ん?」
Vanilla
「なに?」
みしろ
「次の声劇配信に二人をコラボで呼びたいんだけど、いい?」
ラストノート
「いいよ?」
Vanilla
「勿論」
みしろ
「ほんと?」
ラストノート
「21時以降なら空けれるよ」
Vanilla
「俺も、そのくらいかなぁ。後は日付にもよるから、事前に言ってくれると予定組みやすい」
みしろ
「分かった。ありがとう!」
Vanilla
「いえいえ」
ラストノート
「どういたしまして」
みしろ
「推し二人呼べるとか最高!配信日程の調整が出来たらチャット飛ばすね」
Vanilla
「はーい。待ってるよ」
ラストノート
「ところで、今日は菊花ちゃん来ないの?」
みしろ
「菊ちゃん夜勤なんだって」
Vanilla
「そういえば菊花さん、夜勤ある業種だったか」
ラストノート
「じゃあ今日は三人?」
みしろ
「あ、後で一人私の知り合いが来るんだけどいい?」
ラストノート
「いいよー?」
Vanilla
「俺達の知ってる人?」
みしろ
「うん。けど絡みは今日が初かも」
Vanilla
「ぇ、誰だろう」
ラストノート
「想像つかない」
みしろ
「まぁまぁ!来てからのお楽しみってことで!台本探ししよう?」
Vanilla
「そうだね。ラストさん、やりたい台本あります?」
ラストノート
「うーん。今までやったことない台本がいいかなぁ」
みしろ
「最近ラストさん有名台本やんないよね」
ラストノート
「悩んだときとか有名台本から選びがちだけど、冒険して知らなかった作者さんを知りに行くのも、演者として大事かなって思ってね」
Vanilla
「そういう考え方いいですね。確かに有名なところから選びがちだなぁ」
みしろ
「この人数ならこの台本!って個々の中で決まっちゃってる感じあるもんねぇ」
ラストノート
「そうそう。なんかその風潮に飽きてきてね。俺は演じたことのない世界感とキャラを演じたい。知らなかった作者さんを知りたい。
有名台本ばかり選んでるのがダメってわけじゃないんだけどね。演じたいって思える台本があることは良いことだよ」
みしろ
「ラストさんの意見も分かるから大丈夫!じゃあ、今日は知らない作者さんを知りに行こう!」
Vanilla
「でっかい原石が発掘出来るかもしれないからな」
みしろ
「もしかしたら私達がその台本初めて演じたことになるかも?」
ラストノート
「もしそうだとしたら作者さんに連絡入れないとね。きっと喜ぶよ」
みしろ
「裏劇だから、事後報告になっちゃうけど作者さんのSNS探して連絡入れておく!」
Vanilla
「あ、早速見つけたんだけどこれどう?」
-ウラルを張る-
ラストノート
「俺も一応話しながら探してた。というか前々から見つけてやりたいなって思ってたやつ」
みしろ
「私も一本出すね」
-ウラルを張る-
Vanilla
「さて、軽く見て番号をチャットに書こうか」
みしろ
「おっけー」
ラストノート
「……あー、みしろちゃんの見つけてきた台本いいね」
みしろ
「でしょ?ラストさんのもいいし、バニラさんのもやりたい。全部やりたい」
Vanilla
「流石に時間ねぇよ」
みしろ
「くぅ、今度だなぁ。そろそろ番号いい?」
ラストノート
「いいよ」
Vanilla
「俺も」
みしろ
「じゃあいくよー?せーの」
-チャットにやりたい台本の番号を打つ-
ラストノート
「1、2、2……俺が出した台本でいいかな?」
みしろ
「いいよ」
Vanilla
「じゃあ役決め移ろうか。俺、氷雨(ひさめ)貰っていいですか?」
ラストノート
「いいよ。なら俺は鎌縛(れんは)か」
みしろ
「私は子供だね」
Vanilla
「読み込み入りまーす」
みしろ
「はーい」
-それぞれ読み込み時間を取る-
ラストノート
「おっけー。まる」
Vanilla
「俺もまる」
みしろ
「よし、じゃあ早速やろうか」
Vanilla
「俺達最初に出るからみしろ、キュー振りお願い」
みしろ
「はーい。それでは始めます。『夢の餌食、夢掃(むそう)の始まり』まで……3、2、1、Act」
-劇中劇-
ラストノート
「よぉ。無病患者様」
Vanilla
「(M)そう言って、得たいの知れない奴は笑った。僕と鎌縛が出会った最初の物語」
ラストノート
「俺様の腹を満たせたら、お前の喰った夢を返してやる。
それまでお前は、俺様の獲物だ」
Vanilla
「(M)僕が夢掃士として、無病を狩るに至った物語」
みしろ
「(走る演技)誰か!誰か助けて!」
ラストノート
「なんだ小物かよ。氷雨ぇ、さっさと終わらせるぞ」
Vanilla
「鎌縛、喰らえ」
ラストノート
「いただきます(喰らう)
(鼻で笑う)はっ。腹の足しにもならねぇ。氷雨ぇ、次だ次!」
みしろ
「だ、だれ?」
Vanilla
「誰でもいい。さっさと目覚めろよ」
ラストノート
「チッ、俺様の腹を満足させる大物はいねぇのかよ」
-声劇を進める(5秒の間)-
みしろ
「お兄ちゃんは、お姉ちゃん?」
Vanilla
「どっちでもいい。僕に、性別はないから。二度も無病に狙われるなんて、あんたも災難だな。気をつけろ」
みしろ
「どこに行くの?私も行く!」
Vanilla
「あんたは、ちゃんと目覚めるべきだ。僕は、そうだな。どこに行くんだろうな。まぁ、行けるところまで行くさ。じゃあな」
ラストノート
「次は大物だといいなぁ」
Vanilla
「夢門よ開け」
ラストノート
「夢道よ魅せろ」
Vanilla
「無病に繋げ」
ラストノート
「ははっ、いいねいいねぇ!次の獲物だぁ!俺様が全部喰らってやるよ」
Vanilla
「無病を喰らえ!鎌縛!」
-劇中劇 終了-
みしろ
「(手を叩く)はい、お疲れ様です!」
ラストノート
「お疲れ様でーす」
Vanilla
「お疲れ様です」
みしろ
「もう笑い方が好きっ!!」
ラストノート
「(笑いながら)俺?」
Vanilla
「笑い方やばかったです」
ラストノート
「いや、バニラさんも良かったよ。悲観してるところと"夢門よ開け"って言ってるところのギャップ」
Vanilla
「あそこかっこいいですよね」
みしろ
「良かった。本当に良かった。ミュートしてニヤけてた」
ラストノート
「だろうと思った」
Vanilla
「みしろも良かったよ。子供ちゃん可愛かった」
みしろ
「私脇役なんで。二人をたてられたらそれで満足」
ラストノート
「脇役も大事だよ。寧ろ脇役がいるから主役が立てるんだから、もっと誇って」
みしろ
「うっ。は、はぁい」
-みしろにメッセージが届く-
みしろ
「ぁ、連絡入ったので一人追加しますね」
Vanilla
「了解」
-Discord ねじ花参加音-
ラストノート
「え?」
Vanilla
「え!?」
ねじ花
「初めまして。ねじ花と申します。みしろさんにお誘いいただきまして、お邪魔させていただきました」
ラストノート
「ねじ花さん?」
Vanilla
「ちょ、嘘、ほんとに?」
ラストノート
「みしろちゃん、いつ知り合ってたの?」
みしろ
「先月の声劇配信でねじ花さんのシナリオ使わせてもらったんだ。
その時に使用許可取りにいかせてもらって繋がったんだけど、ねじ花さん演じる人でもあるらしくて誘っちゃった」
Vanilla
「うっわ、みしろありがとう。久しぶりに尊敬した」
みしろ
「何その久しぶりにって!余計!」
ラストノート
「今日の裏劇、神回だ」
ねじ花
「あまり演じる側ではないので、お手柔らかにお願いします」
Vanilla
「楽しく演じたらいいんですよ。
あ、俺バニラって言います。ねじ花さんの作品何本か演じてて、こうしてお話出来るの嬉しいです」
ねじ花
「バニラさん。初めまして。よろしくお願いします。確か別の方の企画で私の台本演じてくれてましたよね?」
Vanilla
「は、はい!ぇ、聞いてくれてたんですか?嬉しいです」
ねじ花
「音声化が嬉しくて、今でもたまに聞いてます。私の台本の子たちを丁寧に演じて命を吹き込んでいただき、ありがとうございます」
Vanilla
「こちらこそ、素敵な作品を生み出してくださってありがとうございます」
ラストノート
「ねじ花さんの作品は本当に生きてるって感じがするんですよね。
俺、ラストノートって言います。よろしくお願いします」
ねじ花
「ラストノートさん。初めまして。よろしくお願いします」
ラストノート
「ラストでいいですよ。他の方にもそう呼ばれてますし、ラストノートだと長いと思いますので」
ねじ花
「ありがとうございます。なら、ラストさんって呼ばせていただきます」
ラストノート
「いえいえ、こちらこそ好きな台本作者さんと話せて嬉しい限りです」
ねじ花
「私も演者さんと話す機会があまりないので、今回みしろさんにお誘いいただけて嬉しかったです」
みしろ
「えへへっ。ねじ花さんと演じてみたかったっていうのもあるんだけどね。
せっかくだから最後の一本ねじ花さんの作品やろうよ!」
Vanilla
「いいね。ぜひやりましょう」
ねじ花
「いいんですか?」
ラストノート
「寧ろ俺達の声でいいんですか?ってお聞きしたいくらいですよ」
ねじ花
「ぜひ、皆さんの声でお聞きしたいです」
みしろ
「やったぁ!じゃあ台本持ってくる!」
Vanilla
「まさかねじ花さんとご一緒できるとは、嬉しいです」
ねじ花
「私も演者をメインでやっている方とやるのは久しぶりなので、とても嬉しいです」
ラストノート
「今って、新作とかって書かれているんですか?」
ねじ花
「あ、そうですね。一応考えてはいますよ」
Vanilla
「マジですか。上がったら絶対やります」
ねじ花
「ありがとうございます」
みしろ
「ねぇねぇ、これしよう!」
-ウラルを張る-
ラストノート
「あー、これか」
Vanilla
「うわ。これ泣けるやつ」
みしろ
「まだやったことなかったんだよねぇ。ねじ花さん、いいですか?」
ねじ花
「いいですよ」
みしろ
「やった!じゃあ私、ゆりやりますね」
ねじ花
「では、私は皐月(さつき)ですね」
Vanilla
「ラストさんどっちやります?」
ラストノート
「浩司(こうじ)貰おうかな」
Vanilla
「了解です。じゃあ俺が宏人(ひろと)ですね」
みしろ
「読み込み時間どうする?」
ラストノート
「俺は読んだことあるから大丈夫だよ」
Vanilla
「俺も、一回だけしたことあるから取らなくていいかな」
みしろ
「じゃあこのまま本番いっちゃっていいかな?」
ねじ花
「大丈夫ですよ」
みしろ
「それでは始めます。『世界に愛が戻った日』まで……3、2、1、Act」
-劇中劇-
ラストノート
「(M)あの日、彼女の世界から愛が消えた。
消えたところで困らないのかもしれない。
けれど、心は満たされないまま、空っぽのまま生き続けていた」
みしろ
「浩司さん」
ラストノート
「(M)まだ、彼女は愛の言葉が聞こえないでいる。
俺達の関係も、あの頃と変わらずにいる。
それを望んだのは俺自身。
彼女の婚約者であった宏人さんの想いも抱えて、俺は彼女の隣にいると決めたから」
ねじ花
「あんた達、ほんとお似合いね。
浩司、本当にいいの?ゆりから答え聞かなくて」
ラストノート
「いいんです。ゆりさんに俺の言葉が届いただけで嬉しいんです」
ねじ花
「あんたがいいならいいけど。
(小声)ゆりは、そうは思ってないけどね……」
-声劇を進める(5秒の間)-
Vanilla
「(M)この日、彼女の世界に愛が戻った。
消えても困らないけれど、それでも愛があるだけで世界は満たされる。
彼女の中で生きていた俺も、これでようやく死んだ。
いや、想い出となったって言う方が正しいのかもしれない。
……ゆり、君を守れてよかった。浩司くんに託せてよかった。
……結婚おめでとう」
みしろ
「浩司さん、大好きです」
ラストノート
「俺も、大好きです」
Vanilla
「……幸せになって」
-劇中劇 終了-
みしろ
「(手を叩く)はい、お疲れ様です!」
ラストノート
「お疲れ様でーす」
Vanilla
「お疲れ様」
ねじ花
「お疲れ様です」
みしろ
「ゆりちゃん、愛の言葉聞こえるようになったんだね」
ラストノート
「俺のおかげ」
Vanilla
「確かに浩司のおかげだけど!てか、愛の言葉聞こえないとか自分に置き換えたら結構きつい」
ラストノート
「分かる。俺無理だもん」
ねじ花
「自分に置き換えて考えたら、浩司の決意の強さがどれだけあるかって分かりますよね」
Vanilla
「ほんとにそれです。もし同じ状況に陥ったら、最初は頑張ると思うんですよ。一年保たないと思います」
ラストノート
「応えてほしいタイプだから無理だなぁ。そう考えたらこの二人もそうだし、支えてる皐月も凄い」
みしろ
「宏人さんも安心だろうね。浩司さんみたいな男性なら」
Vanilla
「そうだね」
ラストノート
「今日はいい時間過ごせた」
Vanilla
「ねじ花さんともやれたし。もし良かったらまたやりましょう!」
ねじ花
「こちらこそ、またご一緒させてください」
ラストノート
「あ、ディスコ、フレンド登録していいですか?」
ねじ花
「はい、どうぞ」
ラストノート
「ありがとうございます」
Vanilla
「俺も、フレンド登録しますね」
ねじ花
「はい。ぁ、お二人のSNSってフォローいいですか?」
ラストノート
「あ、ぜひ」
Vanilla
「ウラル張っておきますね」
ねじ花
「ありがとうございます」
-ウラルを張る-
Vanilla
「これが俺ので、こっちがラストさんのです」
ねじ花
「……はい、お二人フォローしておきました」
ラストノート
「ありがとうございます」
みしろ
「よし、みんな繋がれたことだし今日は解散かな」
Vanilla
「そうだなぁ。仕事の準備して寝るわ」
ラストノート
「じゃあお疲れ様でしたー」
みしろ
「お疲れ様ー!」
ねじ花
「お疲れ様です」
-会議 終了-
Vanilla M
「人はそれぞれ"役者"である。
"人生"という"作品"を持っている。
それは人の数だけ存在し、キャストも違えばあらすじも違う。
全く違った"人生"という"作品"。
けれどどこかで、作品同士は繋がっている。
人知れず。偶然に。または必然に……」
-株式会社Vanillin 企画部-
Vanilla
「(どこかに電話を掛けている)ぁ、もしもし」
ラストノート
「もしもし」
Vanilla
「こちら御子柴様のお電話でしょうか?」
ラストノート
「はい」
Vanilla
「私(わたくし)、Vanillin(ヴァニリン)の企画部の佐伯と申します。
再来月のコラボの件でお電話させていただきました」
ラストノート
「あぁ、佐伯さん。企画書読みましたよ」
Vanilla
「ありがとうございます」
ラストノート
「それで?どういったご用件ですか?」
Vanilla
「今回は香水ブランドarc en ciel(アルカンシエル)と洋服ブランドVanillin(ヴァニリン)とのコラボ。
パーティードレス、パーティースーツと香水のセット販売企画ということで、企画担当者が直接調香師さんとお話するのがよいかと思いまして」
ラストノート
「なるほど。確かにそうですね」
Vanilla
「こちらのイメージしてる香りとかお伝えした方がいいですか?」
ラストノート
「その方がこちらも調香がしやすいですね」
Vanilla
「分かりました。
企画書に書いてある通り、今回はパーティードレスおよびスーツと香水のセット販売となっております。
パーティーという華やかな場所である為、女性はフローラルかフルーティーな香り、男性は甘い爽やかな香りをイメージしております」
ラストノート
「……企画書には書かれてないですが、パーティーは大体どのくらいの時間を想定していますか?」
Vanilla
「そうですね。結婚式や披露宴、場合によっては婚活パーティーなどに着用されるだろうと当社では想定しております」
ラストノート
「(独り言のように)どれだけ短くても一時間、長くて二時間って感じか……となるとオーデパルファムは除外。
オードトワレかオーデコロン……(話しかける)途中で抜ける可能性も考えてますか?」
Vanilla
「はい」
ラストノート
「では、こちらから少し提案なのですがよろしいですか?」
Vanilla
「はい」
ラストノート
「同じ香りでオードトワレとオーデコロンの二種類を用意出来たらと思ってます。
最後まで参加をする前提ではオードトワレが持続時間三時間ほどになりますが、途中退出を考えますとオードトワレでは強すぎます。
オーデコロンであれば持続時間は約一時間ほどで香りが抜けますので、途中退出の人では使用しやすいです」
Vanilla
「なるほど。香水の知識はないので、そのお話はとても助かりました。
持ち帰って他の社員と共有します。その件は後日会議をしますので回答は後日でもよろしいでしょうか?」
ラストノート
「構いませんよ。これは僕の我儘で、佐伯さんも他の人も想定してなかったことだと思うので」
Vanilla
「いえ、新しいパターンが組めそうなので助かります」
ラストノート
「後は、服のデザインの好みと香水の香りの好みが合致しない方が現れると思います。
セット販売を予定しているということでしたが、その辺りは考えておられましたか?」
Vanilla
「あ、いえ。申し訳ありません。そこまでの想定はしておりませんでした」
ラストノート
「女性は得に香りに敏感です。中には男性も敏感な方はいますが……。
華やかな場所でのパーティーとなると、好きな香りを身に纏いたいという方が多いと思います。
調香師としては、その方の好みの香りを身に纏ってほしいと考えておりますの、そこのところもどうしたいか纏めてもらってもいいですか?」
Vanilla
「分かりました。そちらの方も共有しておきます」
ラストノート
「ありがとうございます。すいません。色々企画書に書かれていること以外を言ってしまって」
Vanilla
「いえ、構いません。他に何かありますか?」
ラストノート
「(企画書を見ながら)いや、今のところはないですね。
僕の我儘を色々言ってしまいましたが、企画書自体はとても分かりやすいし見やすいです」
Vanilla
「ありがとうございます。
では、香水の種類の件とセット販売の件につきましては、また改めてお電話致します」
ラストノート
「お願いします」
Vanilla
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。それでは、失礼致します」
-電話を切る-
Vanilla
「(息を吐く)ふぅ……よし、次だ」
-別のところに電話をかける-
ねじ花
「はい。こちらオアシスフラワーの相澤です」
Vanilla
「もしもし。突然のお電話失礼致します。私、Vanillin(ヴァニリン)の企画部の佐伯と申します」
ねじ花
「ああ、佐伯さん。ご無沙汰しております」
Vanilla
「ご無沙汰しております。いつも素敵な花を弊社にお届けいただきありがとうございます。
社内が華やかでとても居心地がいいです」
ねじ花
「それは良かったです。それで、今日はどのようなご用件ですか?」
Vanilla
「先日お話した企画書の方は届いていますのでしょうか?」
ねじ花
「ああ、その件ですか。届いていますよ。ちょっとお待ちください」
Vanilla
「はい」
ねじ花
「(暫くして戻ってくる)お待たせ致しました。えっと、そちらの新作のお洋服を着用してモデル撮影を行う際の花束の件ですね」
Vanilla
「はい」
ねじ花
「送られてきたお洋服のデザインと、モデルさんの雰囲気に合わせて花束のデザインは既に考えておりますが、何かありましたか?」
Vanilla
「一人体調を崩してしまいまして、長期入院をすることになりました」
ねじ花
「あら」
Vanilla
「それでモデルを変更することになりまして、今新たにオファー中です」
ねじ花
「そうでしたか。分かりました」
Vanilla
「せっかく考えていただいたデザインを無駄にしてしまって申し訳ありません」
ねじ花
「いいえ、無駄にはなってませんよ」
Vanilla
「そ、それはどういう……」
ねじ花
「このデザインは、着用するモデルさんのイメージで作りました。
その方が当日持てなくても、これはそのモデルさんの花束です。
入院先が決まりましたら、教えていただけますか?お見舞い花としては華やかすぎますが、ちゃんとお届け致します」
Vanilla
「分かりました。分かり次第お電話させていただきます。きっと喜びます」
ねじ花
「それなら良かったです」
Vanilla
「他のモデルに変更点はありませんので、よろしくお願い致します」
ねじ花
「分かりました」
Vanilla
「それでは失礼致します」
-電話を切る-
Vanilla
「よし、御子柴さんの件を報告しないと……にしても、御子柴さんと相澤さんの声、どこかで聞いたことあるような?
……ま、気のせいか。声が似てる人なんていっぱいいるしな。さて、仕事だ仕事」
-夜-
-Discord 菊花参加音-
菊花
「(疲れた声で)お疲れ様でーす」
Vanilla、ラストノート、みしろ、ねじ花
「(バラバラで構いません)お疲れ様でーす」
ラストノート
「菊花ちゃん、夜勤お疲れ」
菊花
「づがれだよぉおおおお」
Vanilla
「おーおー、壊れてる壊れてる」
菊花
「夜勤無理ぃいいいいい」
みしろ
「菊ちゃん頑張ったねー!」
菊花
「うああああ、みーちゃぁあああん!会いたかったぁあああ!」
ラストノート
「(笑う)なにを聞かされてるんだ俺達は」
Vanilla
「(笑う)分かりません」
菊花
「ところで、ここにいるねじ花さんてもしかして……」
ねじ花
「初めまして。シナリオライターをしております。ねじ花です」
菊花
「ですよね!?やっぱり、あのねじ花さんですよね!?うわ、うわあああ!
え、え!?本物!?はっ、まさか夜勤で寝てないからこれは夢!?
(頬を抓る)痛い!痛い!?夢じゃない!現実!?嘘!?」
ねじ花
「えっと……」
Vanilla
「はい、菊花さん落ち着きましょうねぇ」
ラストノート
「ねじ花さんも困ってるから」
菊花
「はっ!すいません!つい興奮してしまって!」
ねじ花
「いえ。大丈夫ですよ」
菊花
「うわぁ、ねじ花さんと話せるの嬉しすぎます!
てか、みんなはいつ知り合ってたの!?」
みしろ
「私が連れてきましたぁ!」
菊花
「みーちゃん!好き!ありがとう!」
みしろ
「私も菊ちゃん好き!どういたしまして!」
Vanilla
「俺達も昨日知り合ったばかりなんですよ」
ラストノート
「そうそう。ねじ花さんにも一本お付き合いいただいたんだよね。
ほら、あれ。『世界に愛が戻った日』」
菊花
「嘘!?あの作品やったの!?ねじ花さんと!?」
みしろ
「あと『夢の餌食、夢掃の始まり』もやったよ」
菊花
「二本も!?」
Vanilla
「いや、ねじ花さんとご一緒したのは『世界に愛が戻った日』だけですよ」
菊花
「それでも!それでもよ!うわぁ、なんで昨日夜勤だったの最悪」
ラストノート
「今日話せてるんだからいいでしょ」
菊花
「そうだけどぉ……はっ!ご挨拶遅れて申し訳ありません!
私、菊花と申します。ねじ花さんの作品が本当に大好きで!
特に『世界から愛が戻った日』もそうなんですが、バトルシナリオの『アースクエイク』が大好きです!
あ、でも『Memory(メモリー)』と『愛に逝く』と『タクト』も……もう、全部が好きです!」
ねじ花
「演じてくださった方から感想のメールとか頂くんですが、こうして声を通して伝えてくださるといつもの倍嬉しいですね。
私の子供達を愛してくれて、ありがとうございます。」
菊花
「こちらこそ、素敵なシナリオを生み出してくださり、ありがとうございます」
みしろ
「菊ちゃんもねじ花さんと挨拶できたことだし、一本やりたいなって思うんだけど、一つ私からお知らせがあります!」
Vanilla
「なに?」
みしろ
「低浮上になるかも」
ラストノート
「なんかあった?」
みしろ
「(泣きそうになる)卒論の時期なのぉ」
ラストノート
「あー……」
Vanilla
「学生の頃したなぁ。まぁ、頑張れ大学生」
みしろ
「うわぁあああ、嫌だああああ!あの教授嫌いぃいいいい!」
Vanilla
「大丈夫だ。普段の講義の出席率と期末テストさえちゃんとしてれば卒論なんてついでだ」
みしろ
「そうかもしれないけどぉ!」
ラストノート
「ですます調使わなければ大丈夫」
みしろ
「簡単に言うけど無理ぃ」
菊花
「ってことは、配信は休止?」
みしろ
「Ⅴの方は休止かなぁ。明日告知して、明後日に休止前の配信する。
だからごめん。バニラさん。ラストさん。声劇配信の件、保留でお願いします」
Vanilla
「分かった。そんな気にすんな」
ラストノート
「卒論の方が大事だからね」
菊花
「そうなると裏劇も参加無理そうかな?」
みしろ
「裏劇はしたい。したいけど……うーん、絶対やったらもう一本って演じちゃうからなぁ」
ねじ花
「息抜きに演じるくらいはいいんじゃないでしょうか?それか、聞くだけでもいいと思いますよ?」
みしろ
「聞いてたらやりたくなっちゃうぅ」
Vanilla
「分かる」
ラストノート
「痛いくらいに分かる」
菊花
「もう劇人の性(さが)」
ねじ花
「そ、そうなんですね」
Vanilla
「まぁ、新作音声出るから息抜きに聞けば?」
みしろ
「告知見た!絶対聞く!てかすぐ買う!」
Vanilla
「(いい笑顔)おい大学生。聞くのはいいがちゃんと卒論しろよ」
みしろ
「だって!あの、サガリ先生の『俺の愛玩ペット』の音声化だよ!?無理!」
Vanilla
「無理じゃねぇだろ!つかお前そっちもファンかよ!」
みしろ
「しかも相手、砂糖水さんでしょ!?もう、最高。ありがとう。オファー受けてくれて」
ラストノート
「ってことは、BL作品?」
Vanilla
「そうですね」
ラストノート
「攻め役?」
Vanilla
「まぁ、はい。砂糖水さんが受け役です」
ラストノート
「へぇ?BLは興味ないけど、好奇心で聞いてみようかなぁ」
Vanilla
「マジでやめてください」
ラストノート
「えー?まぁ、聞くんだけど」
Vanilla
「俺ラストさん嫌いになりそう」
ラストノート
「酷いなぁ」
みしろ
「……今度、二人にやらせたい台本持ってくるね」
Vanilla
「やめろ」
みしろ
「なんで?」
Vanilla
「嫌な予感がするから」
みしろ
「受け役やって?」
Vanilla
「ムリ」
みしろ
「なんで?」
Vanilla
「知らん」
ラストノート
「まぁまぁ、その話はまた今度ってことで……そろそろ台本決めようか。
明日打ち合わせがあるから、今日は一本しか付き合えないよ」
菊花
「そうなの?残念。じゃあ私はこれ出す!」
-ウラルを貼る-
Vanilla
「早いですね」
菊花
「三人が話してる間に探してた!」
ねじ花
「私は、皆さんが出した中から選ぶので……」
ラストノート
「分かりました。じゃあ、俺はこれかな……」
みしろ
「早い早い!」
ラストノート
「やりたい台本はブクマしてるから」
Vanilla
「なら、俺はこれ」
-ウラルが二つ張られる-
みしろ
「んー……じゃあ、これ!」
-ウラルを貼る-
菊花
「どれもやりたい」
みしろ
「分かるぅ」
Vanilla
「俺は決めた」
ラストノート
「俺も」
ねじ花
「では、私はこれにします」
菊花
「よし!番号送信、準備完了!」
みしろ
「じゃあ番号行くよー!送信!」
-チャットにやりたい台本の番号を打つ-
菊花
「1、2、3、4、3……『もしも次があるのなら』かな?」
Vanilla
「前回俺から選んだので、ラストさん先に役どうぞ」
ラストノート
「なら、翼(つばさ)かな」
Vanilla
「じゃあ俺は大河(たいが)ですね」
みしろ
「ねじ花さん、先に選んでいいですよ!」
ねじ花
「えっと、では夕陽(ゆうひ)を貰います」
菊花
「おっけーです。みーちゃんはどっちがいい?」
みしろ
「凪(なぎ)貰おうかな」
菊花
「おっけー。じゃあ私は涼花(すずか)だね」
ラストノート
「読み込み行ってきまーす」
-全員、無言で読み込む-
-数秒後-
Vanilla
「よし。まる」
みしろ
「私もまるー」
ラストノート
「俺もまる」
菊花
「私もー。ねじ花さん大丈夫ですか?」
ねじ花
「はい、大丈夫です」
みしろ
「じゃあキュー振り行くよー?」
Vanilla
「いいよ」
みしろ
「それでは始めます。『もしも次があるのなら』まで……3、2、1、Act」
-劇中劇-
Vanilla
「(M)死んだ人は、どこへ行くんだろう。
僕は毎日、そんなことばかり考えている」
みしろ
「翼ってさ、天国って信じてる?」
Vanilla
「(M)凪に言われた言葉が、ずっと頭にこびりついている。
確かに、天国はあると言わている。でも、誰も見たことはない。
本当にあるんだろうか。僕はあの時、"分からない"って答えたと思う」
みしろ
「私も分からないけど、天国ってあると思うんだぁ」
Vanilla
「(M)そう笑った凪は、僕の目の前から消えていった。
僕の目の前は赤く、ドロドロとした海が広がっている。
その中に落ちてる壊れた人形。僕を見つめる光を失ったガラス玉が、頭から離れないでいた」
菊花
「ぁ、起きた。起きた、起きた!夕陽ぃ、起きたぁ!」
ねじ花
「……大河。起きたって」
ラストノート
「そうか。凪。お前の想い人、起きたらしいぞ」
みしろ
「……あーあ、なんで翼まで来ちゃうかなぁ。来なくて良かったのに」
-声劇を進める(5秒の間)-
Vanilla
「(M)天国なんて、ないのかもしれない。
誰が最初に言い出したのかは知らない。
でも、天国はあると僕は信じたい。
僕が見た世界は、天国と言うに等しい場所だった」
みしろ
「もう、こっちに来ちゃダメだよ」
菊花
「凪、泣いてる。大丈夫?」
みしろ
「大丈夫だよ」
ねじ花
「凪。涼花。そろそろ、時間だよ」
ラストノート
「さあ、僕達も生まれ変わりの時間だ」
Vanilla
「あぁ。もしも次があるのなら、僕は君と生きたい」
-劇中劇 終了-
みしろ
「(手を叩く)はい、お疲れ様です!」
ねじ花
「お疲れ様です」
菊花
「これ最後あれかな!?みんな翼の周りに生まれ変わるのかな!?」
Vanilla
「じゃないですかね?」
ラストノート
「難しくない?この役」
みしろ
「確かに難しそうだった」
菊花
「私小さい子供の役だったからなぁ」
Vanilla
「俺が一番セリフ量と出る時間やばかったからね?」
ラストノート
「出ずっぱりだったね」
Vanilla
「モノローグ苦手なんですよね」
みしろ
「全然苦手に聞こえなかったけど!?」
ねじ花
「皆さん凄かったです」
菊花
「私はねじ花さんとご一緒出来ただけで満足」
ラストノート
「良かったね。じゃあ俺はそろそろ落ちようかな」
みしろ
「はーい。ラストさんお疲れ様ー」
Vanilla
「お疲れ様です」
菊花
「お疲れ様ー!」
ねじ花
「お疲れ様でした」
ラストノート
「バニラさん。音声楽しみにしてますね」
-Discord ラストノート退出音-
Vanilla
「……あの人絶対面白がってるよな」
みしろ
「まぁまぁ」
菊花
「ぁ、そういえばねじ花さん。一つお聞きしたいことがあるんですが、いいですか?」
ねじ花
「いいですよ」
菊花
「ありがとうございます。私の知り合いがねじ花さんの台本をお借りして、ボイスドラマ制作をしたいって言ってたんです。
無償でキャスト募ろうか、有償で募ろうか迷ってるって言ってて、その際の使用料の差とかはありますか?」
ねじ花
「完全無償でキャストを募集するのであれば、使用料の支払いはありません。
ただ、有償でキャストを募集するのであれば、使用料は発生しますのでこちらに一度ご連絡を取るよう伝えていただけますか?」
菊花
「分かりました。よく言っておきます!」
ねじ花
「いえ、迷ってる段階で聞いていただけて良かったです」
菊花
「分からないことや不安なことがあれば、すぐに作者に連絡するように伝えておきます」
みしろ
「自分で勝手に判断して何か起こってからじゃ遅いもんね」
Vanilla
「どっかの規約違反してる奴のせいで肩身狭いしな。作者さんやちゃんと守って使ってる人は悪くねぇのにひでぇ世の中だよ」
菊花
「ほんとそう。私達はお借りしてるんだから、ちゃんと守らないとね!」
ねじ花
「あくまでこれは私の台本にのみ適用する規約ですので、他の方の台本の場合は分からないんですが……」
菊花
「いえ、大丈夫です!他の方の台本の場合は逐一、規約と作者様への確認を知り合いに徹底させます!」
ねじ花
「ありがとうございます」
菊花
「こちらこそお答えいただきありがとうございます。
さて、私は明日休みだからまだ出来るけど、どうする?」
みしろ
「私明日は一限からだから、ちょっときついかなぁ」
Vanilla
「なら、今日は解散かな」
ねじ花
「また誘ってください」
菊花
「絶対誘います!」
Vanilla
「こちらこそ、また遊んでください」
ねじ花
「はい」
みしろ
「それじゃあ今日は解散!お疲れ様でしたー!」
-会議 終了-
ラストノートM
「人はそれぞれ"役者"である。
"人生"という"作品"を持っている。
それは人の数だけ存在し、キャストも違えばあらすじも違う。
全く違った"人生"という"作品"。
けれどどこかで、作品同士は繋がっている。
人知れず。偶然に。または必然に……」
-翌日 調香の仕事場-
ラストノート
「(背伸び)少し休憩するか」
-インターホンが鳴る-
ラストノート
「はーい。今行きまーす」
-玄関を開ける-
ねじ花
「こんにちは。オアシスフラワーです。お花のお届けに参りました」
ラストノート
「ああ、相澤さん。いつもありがとうございます」
ねじ花
「いえいえ。こちらこそ、いつもご贔屓にしていただきありがとうございます。
こちらご注文の切り花になります。どちらに置きますか?」
ラストノート
「そこに置いてもらって大丈夫ですよ」
ねじ花
「ではこちらに置いておきますね」
-切り花を玄関先に置く-
ねじ花
「それにしても、相変わらずここのお庭には季節のお花が咲き誇っていますね」
ラストノート
「相澤さんのお店には負けますよ」
ねじ花
「そうですか?お花は嬉しそうですよ?」
ラストノート
「だといいんですがね」
ねじ花
「切り花をご注文されたということは、次はどんな香水を手掛けるんですか?」
ラストノート
「相澤さんにはバレバレですね。残念ですが、まだ企画段階ですのでお教えできませんよ」
ねじ花
「それもそうですね。発表される時を楽しみにしております」
ラストノート
「相澤さんのお店の花は、香りも花弁の発色もいいので、僕のトレードマークにピッタリなんですよね」
ねじ花
「御子柴さんの手掛けた香水には、必ず押し花のカードが添えられてるんですよね?」
ラストノート
「はい。相澤さんのお店の花のおかげです。僕の香水が人気の秘密ですね」
ねじ花
「恐縮です。それでは次の配達がありますので、失礼しますね」
-夜-
-Discord Vanilla参加音-
Vanilla
「お疲れ様でーす」
みしろ
「お疲れ様ー!」
菊花
「お疲れ様だよー」
Vanilla
「あれ、今日は二人だけ?」
みしろ
「ラストさんもねじ花さんもさっきまでいたんだけど、落ちちゃった」
菊花
「明日も早いんだって」
Vanilla
「うわ、マジか。飲み会出なきゃ良かった」
みしろ
「そういえば飲み会だって呟いてたねぇ」
菊花
「酔ってる?」
Vanilla
「運転手だから飲んでないですよ。二人は何してたの?」
みしろ
「バニラさんは分からないと思うけど、香水ブランドarc en ciel(アルカンシエル)と洋服ブランドVanillin(ヴァニリン)がコラボするんだって!」
Vanilla
「(ドキッとする)へ、へぇー……(小声)社長、情報出すの早すぎだろ」
菊花
「私arc en ciel(アルカンシエル)の香水のファンなんだけどさ、絶対今度の香水も御子柴さんが調香してるって!」
みしろ
「菊ちゃん香水大好きだもんね」
菊花
「特に御子柴さんの調香してる香水が好きでさ!御子柴さんが手掛けた香水には必ず押し花カードが付いてくるの!
それがもうとても綺麗な花で、しかもカードデザインも凝ってて、それ目当てで買ってる人もいるくらいだよ!?」
Vanilla
「凄いんですね」
みしろ
「私はまだ香水の良さとか分からないけど、Vanillin(ヴァニリン)の洋服が好きだから気になってるんだよね」
菊花
「でも今回パーティードレスって話だよ?みーちゃんドレス着るタイミングある?」
みしろ
「ないぃ。ないから買おうか迷ってるぅ」
菊花
「私も迷ってるけど、将来的に友達が結婚した時とか着て行きたいなって思ってるから買おうかなって考えてるよ」
みしろ
「それも全然ありだなぁ。ちょっとお財布と相談してみよう」
Vanilla
「楽しみだね」
みしろ
「うん!早く続報出ないかなって思ってる!」
菊花
「今日企画中って発表出ただけだから、詳細はまだ先だと思うなぁ」
みしろ
「だよねぇ」
Vanilla
「まぁ、気長に待ってればいいんじゃない?で?今日はどうする?」
みしろ
「んー、今日は声劇する気分じゃないなぁ」
菊花
「実は私も」
Vanilla
「じゃあ今日は雑談か」
みしろ
「そうしよっか」
Vanilla
「そういえば休止告知見たよ。思ったよりだいぶ長くてビックリした」
みしろ
「事務所が学業優先ってスタンスだからね。有難いことに卒論提出終わるまで休止させてもらえた!」
菊花
「良かったねぇ。これで集中して卒論書けるね!」
みしろ
「頑張るよ!明日は休止前最後の配信するから、良かったら来てね!」
Vanilla
「俺、聞きに行けるか分からないんだよなぁ。明日残業なりそうなんだよ」
みしろ
「無理しなくていいよ!」
Vanilla
「まぁ、行けたら行くわ」
みしろ
「分かった!配信が終わったらこっち来るね!」
菊花
「私も明日はどうなるか分からないけど、間に合わなかったら仕事場から応援してる!」
みしろ
「ありがとう、菊ちゃん!」
Vanilla
「頑張れよー」
みしろ
「頑張る!」
菊花
「それじゃあ、今日は解散かな?」
Vanilla
「そうですね」
みしろ
「二人ともお疲れ様!」
Vanilla
「お疲れ様ー」
菊花
「お疲れ様!」
-会議 終了-
菊花M
「人はそれぞれ"役者"である。
"人生"という"作品"を持っている。
それは人の数だけ存在し、キャストも違えばあらすじも違う。
全く違った"人生"という"作品"。
けれどどこかで、作品同士は繋がっている。
人知れず。偶然に。または必然に……」
-翌日 病院-
菊花
「次の方どうぞー!」
-ドアをノックする-
みしろ
「失礼しまーす」
菊花
「どうぞお座りください」
みしろ
「はい」
-椅子に座る-
菊花
「小峰さん。久しぶりの来院になりますね。本日はどうなさいました?」
みしろ
「実習中に犬に嚙まれちゃって」
菊花
「見せてください」
みしろ
「はい」
-傷口を見せる-
菊花
「今痛みはありますか?」
みしろ
「少し」
菊花
「……うん、熱少し持ってるかな。傷口自体はあんまり深くないから、消毒とワクチン打とうか」
みしろ
「はい」
菊花
「(看護師に)消毒液とトキソイド用意して。(カルテを見ながら)小峰さん、日頃から犬と触れ合うこと多いですか?」
みしろ
「はい。トリマーの学校に行ってるので。今日も実習中に犬が暴れて、その時に……」
菊花
「噛まれた時、よく腕を引きませんでしたね。引いてたらもっと深い傷になってましたよ」
みしろ
「先生から噛まれても引くなって教えられてます」
菊花
「正しい知識ですね。(看護師から消毒液とトキソイドを受け取る)はい、じゃあ腕出してください」
みしろ
「はい」
菊花
「沁みますよー」
-消毒をする-
みしろ
「いっ……」
菊花
「痛いよねぇ。もうちょっと我慢してねー」
みしろ
「うぅ……」
菊花
「はい、終わり。ガーゼと包帯で傷口覆っておくね」
みしろ
「ありがとうございます」
-処置する-
菊花
「じゃあ次はワクチン打とうか。これは破傷風を予防するワクチンだからとっても大事です」
みしろ
「えっと、痛いですか?」
菊花
「んー、筋肉注射だから、皮下注射より痛いかな」
みしろ
「そ、そうですか……」
菊花
「日頃から犬と触れ合うってことだから、ワクチンは今日入れて計三回は打ちますね」
みしろ
「は、はい」
菊花
「それじゃあ腕出してください。チクッとしますよー」
-注射する-
みしろ
「いったああああ!」
菊花
「もうちょっと我慢してねぇ」
みしろ
「うぅ」
菊花
「はい、終わり。軽く押さえてて下さい」
みしろ
「はいぃ」
菊花
「一か月後に二回目、六か月目以降に三回目打ちますから必ず来てくださいね」
みしろ
「分かりました」
菊花
「十分くらい押さえたらもうガーゼ捨てていいですからね。
それじゃあ、痛み止めと抗生物質を一週間分処方します。抗生物質は毎食後飲んでください。
痛み止めは、痛みが酷い時に適宜飲んで下さい。痛み止めを飲む際は、最低でも六時間は空けて下さいね。
ガーゼと包帯って家にありますか?」
みしろ
「えっと、多分ないと思います」
菊花
「薬局に売ってるから、買って帰って下さいね。ガーゼは必ず消毒してから変えて下さい。大体二日置きくらいでいいですよ」
みしろ
「はい」
菊花
「今日のお風呂は控えてください。明日から入っていいですけど、入浴は避けてシャワーにしてくださいね」
みしろ
「分かりました」
菊花
「何か異変があったらすぐに来てくださいね。お大事に」
みしろ
「はい。神崎先生、ありがとうございました」
-診察室を出る-
菊花
「(昼休憩に気づき背伸びをする)さて、昼休憩にするかぁ」
-診察室を裏から出て外の空気を吸いに行く-
菊花
「あっ」
ねじ花
「あ、お疲れ様です」
-配達終わりのねじ花と鉢合わせる-
菊花
「お疲れ様です。配達ですか?」
ねじ花
「はい。今月のお花を届けに来ました」
菊花
「いつもありがとうございます」
ねじ花
「いえ。こちらこそいつもご注文ありがとうございます」
菊花
「こちらのお店のお花、長持ちするから患者さんにも人気なんですよ。
フラワーアレンジメントも毎月デザインが違うので好評なんです」
ねじ花
「それは良かったです。
では、また来月配達しに来ますね」
菊花
「はい。よろしくお願いします」
-ねじ花、車に乗って帰る-
菊花
「ぁ、昼休憩終わっちゃう前にご飯食べないと……今日の夜、みんなと話せるの楽しみだなぁ。
よし、みーちゃんのV配信までに頑張って仕事終わらせよう」
-夜-
-Discord内 みしろのV配信を見てる-
みしろ
「(配信中)そうなのー。リスナーのみんなは卒論とかどうだったー?僕のところ専門だからちょっと難しいんだよぉ。
集中する為に暫く休止するけど、みんな待っててね!頑張って卒論完成させて無事卒業するから!」
ラストノート
「うわ、閲覧数やばっ」
菊花
「みーちゃん人気者だぁ」
みしろ
「(配信中)あ、スパチャありがとう!えっと、『みしろちゃんの配信聞けなくなるの寂し~』。僕も寂しいよぉ!
アーカイブは残ってるから、僕が帰ってくるまでそれ聞いて乗り切って!みんなはどの配信アーカイブが好きー?」
ラストノート
「ホラーゲームで大絶叫して泣き喚いた結果、大家に怒られた挙句マウス投げてモニターぶっ壊した配信」
菊花
「分かる。私もその配信好き」
みしろ
「(配信中)お、コメント来てるねー。えっとー?『ホラー配信のモニター事件』『ホラー配信の大家事件』『モニター事件』『モニター壊した配信』『大家が凸してきた配信』『キーボード故障で落下死して全ロスした配信』」
ラストノート
「なに最後のキーボード事件って」
菊花
「確かオープンワールドゲームだったかな?サバイバルしながら生活する」
ラストノート
「あー、あのゲームか」
菊花
「キーボードが故障してゲーム内キャラが変な挙動起こして、落下死したらしいよ。アイテム回収出来なくて消えたらしい」
ラストノート
「(笑う)何してんだ」
みしろ
「(配信中)ここまでみんなが好きな配信が被ることある!?あ、キーボード事件の後新しいキーボード買ったからもう大丈夫だよ!
もうちょっとみんなと話したかったけど、そろそろお別れの時間かなぁ。今日はみんな来てくれてありがとう!
僕とっても嬉しかったよ!暫くみんなと会えなくなっちゃうけど、僕が帰ってくるの待っててね。
それじゃあ、今日は楽しい時間をありがとう。おつみー!」
-配信が終わる-
ラストノート
「リスナー側で配信見てると、みしろちゃん凄いんだなって思うよ」
菊花
「ほんと」
ラストノート
「俺達、凄い人と裏で絡んでるんだなぁ」
菊花
「いや、ラストさんだって凄い人でしょ」
ラストノート
「そうでもないよ」
菊花
「事務所入ってたでしょ!?」
ラストノート
「あー。そんな時もあったね。本職に影響出始めたから辞めたけど」
菊花
「そんな凄い人と絡んでるってバレたら、ガチファンに殺される」
ラストノート
「俺にガチファンはいないから安心して」
菊花
「そんなの分かんないでしょー!?」
ラストノート
「事務所辞めて数年経つし大丈夫だよ」
菊花
「こんなに信用出来ない"大丈夫"は聞いたことがない。ガチファン舐めない方がいいよラストさん」
ラストノート
「ガチファンって言ったら俺よりVanillaさんの方がやばいでしょ」
菊花
「あー、分かる。あの人のガチファン怖い」
ラストノート
「フォロワー数もやばいしねぇ」
菊花
「あの人、同人声優が本業じゃないよね?」
ラストノート
「じゃないはずだよ。毎月の収録本数やばいって話したことあるけど、俺みたいに本業に支障出たら声優の方やめるでしょ」
菊花
「……やめたらみしろちゃん発狂しそうだね」
ラストノート
「……あー、あの子もガチファンだったか」
菊花
「うん」
ラストノート
「そう考えたらガチファン怖いなぁ。
……まぁ、みしろちゃんとVanillaさんとこんなに関わってるってことは、不特定多数が見てる表じゃ言えないかな」
菊花
「分かる。言えないよね」
-Discord みしろ参加音-
みしろ
「配信楽しかったー!」
ラストノート
「お疲れ様ー」
菊花
「お疲れ様!」
みしろ
「菊ちゃぁああん!間に合ったんだね!」
菊花
「間に合ったよ!お仕事頑張って終わらせた!」
みしろ
「えらぁあああい!」
-みしろの方から通知音-
みしろ
「ぁ、Vanillaさんも聞いてくれてたみたい!『配信お疲れ様。俺は間に合わなかったよ……』だって」
ラストノート
「仕事、終わらなかったのか」
菊花
「ドンマイ」
みしろ
「それでも隙間時間見つけて聞いてくれてたのは嬉しい!」
ラストノート
「どうする?休止前の最後に一本する?」
みしろ
「する!」
菊花
「じゃあ台本出しまーす!」
-ウラルを貼る-
ラストノート
「なら俺はこれかな」
みしろ
「私は、これ!」
-ウラルを貼る-
みしろ
「それじゃあ番号いい?」
ラストノート
「んー……いいよ」
菊花
「私も」
みしろ
「番号送信!」
-チャットにやりたい台本の番号を打つ-
みしろ
「2、3、3……『Voice(ボイス)』かな」
ラストノート
「男一人だから、俺は篤弘(あつひろ)か」
菊花
「みーちゃん、どうする?」
みしろ
「じゃあ奏(かなで)貰っていい?」
菊花
「いいよ。なら私は美玖(みく)だね」
ラストノート
「読み込みしてきまーす」
菊花
「はーい」
-全員、無言で読み込む-
-数秒後-
みしろ
「私まるー」
ラストノート
「俺も」
菊花
「んん、難しい。一応まる」
みしろ
「菊ちゃん頑張って!」
菊花
「頑張る!」
ラストノート
「じゃあ今回は俺がキュー振りするよ」
みしろ
「はーい」
菊花
「お願いしまーす」
ラストノート
「それでは始めます。『Voice(ボイス)』まで……3、2、1、Act」
-劇中劇-
みしろ
「(M)出会いは突然だった。恋愛ドラマなら、ここでスタートするんじゃないかってくらいには素敵な出会いだった。
けど、そんなうまくいかないのが現実なんだよね。
(セリフ)えっと、確かマッチングアプリの待ち合わせ場所、ここだったよね。
篤弘さんはどこに……(誰かにぶつかる)いたっ、すいません!よそ見してて!大丈夫ですか!?」
ラストノート
「ぁ……う……」
みしろ
「えっと?」
菊花
「ちょっと篤弘!大丈夫!?君も大丈夫?怪我してない?」
みしろ
「大丈夫、です。あの……」
ラストノート
「(手話で『ごめんね。もしかして奏さん?僕が篤弘です』と言う)……」
みしろ
「ぇ、手話?」
菊花
「(手話を見て)篤弘と待ち合わせしてる奏さん?で合ってる?ごめんなさい。この子、耳が聞こえないの」
みしろ
「え……」
-声劇を進める(5秒の間)-
菊花
「まさか、私の弟と奏ちゃんが付き合うとは思わなかったわ」
みしろ
「私もです」
菊花
「篤弘の為に、手話も覚えるなんてね」
ラストノート
「(手話で話してるがセリフは読んでいい)ありがとう、奏」
みしろ
「(手話で返しながら言う)いいんだよ、篤弘」
ラストノート
「大好き」
みしろ
「お姉さんの前だよ」
菊花
「ちょっとちょっと、独り身の私への嫌味かー?二人とも」
ラストノート
「美玖ねえも、早くいい人見つけな?」
菊花
「言うようになったわねぇ。……奏ちゃん、篤弘のこと、お願いね」
みしろ
「はい!
(M)声がコンプレックスだった私。耳が聞こえない彼。
なんの因果なのかは分からない。何が起こるのかも分からない。
恋愛ドラマのようにうまく行くわけがない、壁の多い私の恋愛。
それでも私は、今目の前にいる彼との未来を願う。
耳が聞こえなくても、彼が彼であることは変わりない。
あんなにコンプレックスだった声を好きになれたのは、篤弘のおかげだね。
出会ってくれてありがとう」
-劇中劇 終了-
みしろ
「(手を叩く)はい、お疲れ様です!」
ラストノート
「菊花ちゃんのキャラより俺のキャラの方が難しい!」
菊花
「むっず!ラストさんのキャラむずい!」
ラストノート
「エフェクトかけたい!途中からマジでボイスエフェクトかけようかと思った!」
みしろ
「あなたの脳内に直接話しかけています、みたいなエフェクトね!」
ラストノート
「それ!」
菊花
「かけてもいいと思うけど、前提がもう手話ってなってるから声出して読んでても別に気にはならないよね。
あくまで最初は篤弘の手話読み取ってるの私だったし。途中から文章読んでくれるアプリ使って話してたし」
ラストノート
「それがあったから俺話せてるし、最後は奏が手話覚えてくれたから俺話せてる」
菊花
「この台本難しいねぇ。ボイスドラマで作りたいわ」
ラストノート
「分かる。ボイスドラマ向け。でも内容は本当にいい」
みしろ
「キャラも立ってるしね」
菊花
「いやぁ、リベンジしたいこの台本」
みしろ
「今度またやろう!」
菊花
「そうだね!」
みしろ
「今日は楽しかった。ありがとう」
ラストノート
「まぁ、やってる時に息抜きで来なよ。根詰めてやったところでいい卒論書けないからさ」
みしろ
「うん、そうする。その時は来るよ」
菊花
「卒論無理せずに、だよ!それじゃあ、今日はお疲れ様でした!」
みしろ
「お疲れ様でした!」
ラストノート
「お疲れ様」
-会議 終了-
ねじ花 M
「人はそれぞれ"役者"である。
"人生"という"作品"を持っている。
それは人の数だけ存在し、キャストも違えばあらすじも違う。
全く違った"人生"という"作品"。
けれどどこかで、作品同士は繋がっている。
人知れず、偶然に。または必然に……」
-株式会社Vanillin(ヴァニリン) 社内-
Vanilla
「あれ?」
ねじ花
「あ、佐伯さん」
Vanilla
「こんにちは。相澤さん。配達ですか?」
ねじ花
「はい」
Vanilla
「いつもありがとうございます」
ねじ花
「いえ。こちらこそいつもご注文ありがとうございます」
Vanilla
「そうだ。先日お電話でお話したんですが、入院先が決まったのでお知らせしておきます。
こちら、入院先の住所と部屋番号、モデルの名前です」
-メモを渡す-
ねじ花
「(受け取る)ありがとうございます。これで彼女に届けることができます」
Vanilla
「撮影の日程も先程の会議で決まりましたので、後程メールさせていただきます」
ねじ花
「分かりました。お待ちしております」
-Vanillaに電話がかかってくる-
Vanilla
「ぁ、すいません。ちょっと失礼します。(電話に出る)はい、もしもし。佐伯です」
ラストノート
「もしもし。佐伯さんの電話ですか?御子柴です」
Vanilla
「あぁ、御子柴さん。メール届きましたか?」
ラストノート
「はい。僕の希望通りで嬉しいです」
Vanilla
「いえいえ。こちらも御子柴さんに提案していただいたおかげで、充実した会議がおくれました」
ラストノート
「服と合わせた香水のセット販売と、顧客が自由に組み合わせる販売方法にしたんですね」
Vanilla
「こちらがセットとしている物と比べて、組み合わせが自由な分少し高くなってしまいますが」
ラストノート
「いえ、いいと思います」
Vanilla
「ありがとうございます」
ラストノート
「それじゃあ、僕の方も調香に移っていきますね。集中してしまうので、メールだと気づかない場合があります。
日付が跨いでも連絡が返ってこなかった場合、直接電話していただければ気づきますので、お願いします」
Vanilla
「分かりました。その際はお電話させていただきます」
ラストノート
「それじゃあ、失礼します」
Vanilla
「はい。失礼致します」
-電話を切る-
ねじ花
「お仕事大変ですね」
Vanilla
「ぁ、すいません。目の前で仕事の電話を……」
ねじ花
「構いませんよ。
それでは私はそろそろ店に戻りますね」
Vanilla
「はい。お気をつけて」
-店に戻る-
ねじ花
「(車から降りる)ぁ、いらっしゃいませー!すいませんお客さん。店を空けてしまってて」
みしろ
「あ、いえ!大丈夫です!配達中って張り紙見ましたので」
ねじ花
「そうですか。あ、腕大丈夫ですか?」
みしろ
「あ、これですか?あはは、大袈裟に見えちゃいますよね。そんなに大きな怪我じゃないから大丈夫です!」
ねじ花
「そうですか。お大事にしてくださいね。本日は何か買っていかれますか?」
みしろ
「えっと、お花買いたいんですけど、どれがいいのか分からなくて」
ねじ花
「それでしたら、お任せで良ければ私が見繕いましょうか?」
みしろ
「いいんですか?」
ねじ花
「構いませんよ。結構お任せでお買い上げになられる方もいますので」
みしろ
「じゃあ、お任せでお願いします」
ねじ花
「分かりました。お花の用途についてお聞かせいただいてもいいですか?自分用かプレゼント用か」
みしろ
「プレゼント用です。今日、両親の結婚記念日なんです。だから、何かプレゼントしたくて」
ねじ花
「そうですか。では、とびきり綺麗なお花でお作りいたしますね」
みしろ
「ありがとうございます!」
ねじ花
「普通の花束かフラワーアレンジメントかお選びいただけますが、どうしますか?
花束でしたらそんなにお時間は掛かりませんが、フラワーアレンジメントの場合三十分程お時間を頂いてしまいます」
みしろ
「えっと、花束でお願いします」
ねじ花
「かしこまりました。では少々お時間貰いますね」
-花束を作る-
ねじ花
「お待たせ致しました。こんな感じでいかがでしょうか?」
みしろ
「わぁ、綺麗」
ねじ花
「結婚記念日という素敵な日です。
赤薔薇、かすみ草、ピンクガーベラ、黄色のスターチス、アイビー……全て愛情や感謝をお伝えする花言葉で纏めてあります」
みしろ
「花言葉……聞いたことがあります」
ねじ花
「赤薔薇は『愛情』、かすみ草は『幸福』、ピンクガーベラは『感謝』、黄色のスターチスは『愛の喜び』、アイビーは『永遠の愛』になります」
みしろ
「素敵ですね」
ねじ花
「花言葉のカードも一緒に添えておきますね」
みしろ
「いいんですか?」
ねじ花
「当店のサービスです」
みしろ
「わぁ、ありがとうございます!」
ねじ花
「ラッピングとリボンはどうしますか?お客様でお選びになりますか?」
みしろ
「選んでいいですか?」
ねじ花
「いいですよ。ではこちらのカタログからお選びください」
みしろ
「(ラッピング用紙とリボンのカタログを見る)えっと……ラッピングは、白。リボンは赤でお願いします」
ねじ花
「かしこまりました」
-指定されたラッピング用紙、リボンで花束を作る-
ねじ花
「お待たせしました。こちら完成品になります」
みしろ
「わぁ!」
ねじ花
「それと……こちら、本日使用したお花の花言葉カードです」
みしろ
「ありがとうございます!」
ねじ花
「ではお会計の方が、三千円になります」
みしろ
「(お金を出す)はい」
ねじ花
「……はい。ちょうどお預かりいたします。こちらレシートになります」
みしろ
「ありがとうございました!」
ねじ花
「またのご来店をお待ちしております」
-みしろ、店を出る-
ねじ花
「サプライズ、成功するよう願っております」
-花屋から出た直後のみしろ-
みしろ
「いい人だったなぁ。説明も丁寧だったし、花言葉のカードとかもサービスで付けてくれるし。
またあそこのお店利用しよう。帰ったら二人にプレゼントして、夜はみんなのところに遊びに行こーっと!
よーし、卒論頑張るぞー!」
みしろM
「人はそれぞれ"役者"である。
"人生"という"作品"を持っている。
それは人の数だけ存在し、キャストも違えばあらすじも違う。
全く違った"人生"という"作品"。
けれどどこかで、作品同士は繋がっている。
人知れず、偶然に。または必然に……。
今日もまた、誰かのところで新しい"作品"が生まれる」
-Discord みしろ参加音-
Vanilla
「休止中だろ大学生。なに来てんだよ」
ラストノート
「お、一本やるー?」
菊花
「じゃあこれやりたーい!」
ねじ花
「いいですね」
みしろ
「やるやるー!」
-数秒の間-
みしろ
「(本編終了後。キャストの方々の感想枠へ繋がるタイトルコールです)それでは始めます。『カーテンコール』まで……3、2、1、Act」
幕
2023/11/22 「3…2…1…Act.」 公開