この集まりについて

活動の目的

目標

何冊か本を読んだうえで、最終的にリチャード・シドル『アイヌ通史 - 蝦夷から先住民族へ』(2021年、岩波書店)を読むのが目標です。

立場

 『ゴールデンカムイ』の作中には、匂わせ程度ではありましたが、アイヌ差別の描写がありました。例えば「アシㇼパさんを『犬』と呼ぶ白石」「和名で呼ばれるイポㇷ゚テ」など。

 現実の日本社会でも、まだまだアイヌ差別は続いています。例えば総務省のウェブサイトには「アイヌの人々に対する偏見や差別をなくそう」というページがあります(「なくそう」とはつまり「ある」ということです)。また、「アイヌはもういない」などと述べて存在自体を否定する言説もあります。本作の人気を思うと信じられない人もいるかもしれませんが、現実のアイヌの人々は今もなお差別を受けています。

 このような日本社会の現状を踏まえ、わたしたちは作中で描かれた内容よりも一歩踏み込んだアイヌの歴史を学ぶことにしました。差別問題に真摯に向き合うため、自分たちが(悪意はなくとも)差別をしてしまわないようにするためです。それが、アイヌの豊かな文化の力を借りた『ゴールデンカムイ』を楽しんだファンの責任だと考えています。

 『ゴールデンカムイ』ではアイヌ文化が生き生きと描かれました。本作の「役目」はアイヌ文化を多くの人々に楽しく伝えることだったのでしょう。(その「役目」は果たしたのだと肯定的に捉えることもできるし、その「役目」しか果たせなかったのだと否定的に捉えることもできます)

 では、差別問題を考える「役目」は誰が担っているのか。それは本来、全ての和人が担っているべきでしょう。しかし現状それは色々な意味で難しいので、まずは『ゴールデンカムイ』のファンの一人ひとりが少しずつ分担して背負えば良いのではないでしょうか。なにも『ゴールデンカムイ』だけが背負う必要はないのです。ファンもともに背負えば良いのです。キロランケやウイルクの思いを託されたのはアシㇼパさんだけでなく、読者であるわたしたちでもある、と考えられるはずです。

 このような思いで、わたしたちはまず差別問題の歴史について学ぶために読書会を開きました。差別への向き合い方は人によって様々だと思いますが、わたしたちにとってのそれは「自分自身が学ぶこと」「歴史を通じて現代の問題を学ぶこと」でした。差別問題と真剣に向き合う人間が一人でも増えることで、少しずつ世の中は良い方へ変わっていけるはずだとわたしは信じています。

 『ゴールデンカムイ』のファンの中にはこんな形で向き合う人間もいるのだ、ということを知って頂けると嬉しいです。

(2022年6月、アズシク)

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