神戸大学(農学研究科 応用機能生物学 植物栄養学研究室)で研究を行っている嶋川銀河のホームページです。
私の経歴や研究業績に関する情報は researchmap をご参照ください。
また私の所属する植物栄養学研究室については 三宅親弘先生のホームページ もご参照ください。
研究に関するご質問やディスカッション、共同研究の打ち合わせなど、いつでも受け付けております!
連絡先:gshimakawa[at]panda.kobe-u.ac.jp
ここ最近のニュース (2025.1.13更新)
前の職場(関西学院大学 生命環境学部 松田研究室)で携わっていた珪藻ピレノイドに関する研究成果がCell誌に掲載されました!
フランス留学時代に行っていた光化学系I光傷害に関する研究成果がBBA -Bioenergetics-誌に掲載されました!
秋から2名の学部3年生(櫻田さん、小東さん)が研究グループに加わりました!
日本植物生理学会の奨励賞を受賞しました!
植物栄養学研究室の同窓会&三宅親弘先生の還暦祝賀会を行いました!
私の研究について
「光合成」を軸として様々な研究を展開しています。興味の幅が広がり過ぎて少々取っ散らかっている所もありますが、まだまだ若いうちはこれで良いかと思っています。
以下に現在進めている研究テーマをいくつか挙げております。
光合成指数と生物多様性の研究:植物や藻類が光合成を行う際に発生する「酸素の量」を吸収した「二酸化炭素の量」で割った値を光合成指数と言い、これが1に近ければ近いほど、その生物が受け取った光のエネルギーを光合成の反応に使っていることになります。私は自然界のいたるところに生息する多種多様な生物において光合成指数を評価することで、植物や藻類の多様な生きざまを支える光合成の本質が見えてくるのではないかと考え、学術変革領域「光合成ユビキティ」のもと本研究に取り組んでいます。
葉の老化誘導に関する研究:植物の葉が老化するタイミングはその植物の生理状態やおかれた環境に合わせて適切に調節されていると考えられますが、そのメカニズムはまだ完全に分かっていません。私はかつてフランスで行っていた研究で、プラストシアニンという葉緑体電子伝達タンパク質の量が葉の老化誘導初期段階において減少することを見出しました。現在はこの指標を用いて葉の老化を誘導するメカニズムの解明に取り組んでいます。
葉緑体内構造の組織化に関する研究:光合成生物は種によって多種多様な形をした葉緑体をもっています。例えば教科書にも載っている植物の葉緑体は2重の膜で包まれていて、その中にはチラコイド膜と呼ばれる内膜構造をもっており、それがたくさん重なっている所(グラナ構造)とそうでない所があります。また海洋の主要な植物プランクトンである珪藻の葉緑体は4重の包膜で囲われていて、その中には二酸化炭素を固定する酵素が集まったピレノイドと呼ばれる特殊な構造体があり、一部のチラコイド膜がこれを貫通しています。これら生物種によってユニークな葉緑体の構造が何のために?どうやって?形づくられているのかを研究しています。
サンゴと褐虫藻の共生に関する研究:美しいサンゴ礁を形成しているサンゴは、その細胞内に褐虫藻という植物プランクトンを飼うことで光合成で作られた糖などを得て生きています。私は褐虫藻がサンゴの中でどのような光合成を行っているのか、またそれがサンゴ側から何かしらの調節を受けることがあるのかに興味を持ち、研究を行っています。
関西弁でフランクに伝える「光合成ってなんやねん?」
ええか、おれらは普段メシ食うて生きとるやろ?例えば米やけどな、あれはデンプンっちゅーてブドウ糖がいっぱい繋がったやつからできとんねん。おれらはそれを食うて分解してブドウ糖を摂取してるわけや。ほら、なんか疲れてきたら糖分足らんわ~とか言うやろ?脳みそ動かすためにはブドウ糖が必要なんや。そんでそのブドウ糖っちゅーんは、植物やら藻やら細菌やらが「光合成」して二酸化炭素と水から作っとんねん。ここからは少し難しい話になるけどな、ブドウ糖は化学式ってやつで表すとC6H12O6って書けて、これは要するに炭素6個、水素12個、酸素6個からなる化合物ってことや。二酸化炭素、水、酸素を同じように表すと、それぞれCO2、H2O、O2やから、光合成の反応はざっくり言うと下の式になるっちゅーわけや。まぁ実際はこんな単純な式ではないんやけどな。
6 H2O (水) + 6 CO2 (二酸化炭素) → C6H12O6 (ブドウ糖) + 6 O2 (酸素)
そもそも光合成っちゅうんは、大昔に自分でメシを作りたい思うた細菌がやり始めたことやと思うんやけど、ブドウ糖みたいな複雑な化合物を作るためにはエネルギーが必要なんや。あいつらがスゴイのは、このエネルギーに太陽の光を使ってるってところやで。太陽の光なんて地球に住む生き物に取っちゃほぼ無限の資源やからな。あとブドウ糖を作るために炭素が必要なんやけど、その材料として採用されたのが二酸化炭素や。大昔の地球には二酸化炭素がたくさんあってな、言ってまえばこれも超豊富な資源やったワケや。ちなみにいろんな生き物が光合成がんばった結果、今では空気中の二酸化炭素は0.04%ぐらいしかなくて、光合成する生き物は必死こいて僅かな二酸化炭素を上手に利用できるよう頑張っとるっちゅーわけや。太陽光のエネルギーと二酸化炭素があったら、ブドウ糖を作るためにあと足りへんのはH (水素) やな。水素ガスなんてその辺にたくさんないからな、光合成する生き物は水を分解してHを得てるんや。水なんてマジでありふれた資源やからな。
2 H2O (水) → 4 H+ (水素イオン) + 4 e− (電子) + O2 (酸素)
言っとくけどこの水を分解する反応は相当いかつくてな、こんなんできるの地球上には光合成生物しかおらんで。あと大事なんは、ぶっちゃけ酸素はついでに生じてるだけってことやな。まぁ副産物ってやつや。せやから、ひとつめの式で生成物になってる酸素は水由来やで。二酸化炭素由来ちゃうから気をつけてな。
何はともあれ、米とかのメシも作られて、酸素も発生して、温室効果ガスとか言われてる二酸化炭素も減って、その上でおれらにとっちゃノーリスクなわけやから、光合成ってめっちゃスゴイ反応なんや。光合成が地球で最初に行われたのは今から30億年ぐらい前っぽいけど、この反応を支えるいわば背骨のようなメカニズムは恐らく今までほとんど変わっとらんで(実際30億年前のことなんて知らんけど)、なんでかっていうと植物や藻、細菌とかいろんな光合成生物がおる中で、みんな似たようなメカニズムで光合成しとるからな。にもかかわらず、光合成の周りをとりまく反応(例えば、上で言った二酸化炭素を上手に利用する方法とか、光合成の活性を環境に合わせて調節する仕組みとか)みたいなんは、その生物種のユニークな性質を色濃く反映してるわけや。こういう「光合成の周りをとりまく反応」を研究することで植物とか藻とか細菌とか、いろんなやつの生きざまを知れると思うんよ。あと余談やけど、藻っていうのは植物プランクトンとかワカメみたいなやつのことやで、コケは植物やからな!