地圏・地盤工学分野
研究テーマと成果
Research
※本ページは現在作成中であり,以下の情報はR5年度までのものであることにご注意ください。
近年の主な研究テーマと成果
地盤の液状化
原位置試験の高度化に関する研究
研究の概要
地盤の強さや硬さを評価するとき,現場で簡易に測定する方法と,室内試験により精緻に実施する方法があります。この研究では,地震時に地盤がどのようにふるまうのか,現場(原位置)で比較的簡易に推定する方法を検討しています。将来的には,液状化する・しないのスクリーニング技術へ発展させる計画です。
機械学習による液状化発生の予測・評価技術の開発(民間企業との共同研究)
研究の概要
大地震時に地盤が液状化するかどうかは,各種試験やシミュレーションの結果に基づき判定されます。しかし,そのような手法では即時性やコストの面で課題があるのも事実です。そこで,地震の揺れの特徴のみから,液状化の判定を実現させるための研究を行っています。実験事実に基づきモデル化された機械学習により,液状化の度合いを判定します。
関連する主な成果
粒状体力学に基づく地盤の動的挙動の解明
研究の概要
土は,巨視的に捉えると連続体として表現できます。しかし,微視的な粒状体としての特性が土の力学挙動を支配しています。土のつぶ(土粒子)の一つひとつの挙動を実験で計測し評価することは現実的ではないことから,数値解析を上手に使った評価が求められます。本研究では,三次元個別要素法という手法を用いて,土を粒状体として離散的にモデル化します。そのモデルを用いて地震時に対応する条件をシミュレートすることで,土の動的挙動の本質を明らかにする研究に取り組んでいます。
関連する主な成果
土の液状化抵抗性能を評価するための新しい試験法の提案
研究の概要
土の液状化抵抗を評価するとき,液状化強度曲線が一般に用いられます。液状化強度曲線を求めるための室内試験法は,規格・基準化されているものです。この試験法は,実務的に広く使われていて合理的な面もありますが,土のねばり強さ(靭性)や壊れ方の違いをうまく表現できないといった課題もあります。そこで,私たちは液状化抵抗性能を評価するための新しい試験法を提案しています。この試験法では,土の液状化に対する抵抗性能,靭性,地震後の残留耐力,そして残留変形までをシームレスに評価することが可能になります。
液状化後の土の透水係数評価に関する研究(他大学との共同研究)
研究の概要
地震時に土が液状化すると,時間遅れを伴って地盤が沈下したり,傾斜方向へズルズルと流れて変形してしまうような現状(側方流動)が見られます。これは,土中の水の透しやすさ(透水性)が深くかかわっており,地盤工学的に重要な問題と認識されています。しかし,液状化した土に対する透水性を評価するための試験法は,確立されていません。本研究では,試験装置の開発から条件設定および評価法まで,将来的な基準化を目指して取り組んでいます。
斜面安定問題
効果的な斜面排水工の提案に関する研究
研究の概要
豪雨時の斜面安定を確保するためには,斜面内の地下水を効果的に排水する必要があります。排水のために,斜面内には排水用有孔管(穴が多数開いたパイプ)が挿入・設置されます。この有孔管の設計については,農業用灌漑の考え方を援用しているため,斜面排水に必ずしも適用できない部分があります。本研究では,有孔管の穴の配置や挿入間隔による排水効果を定量的に求め,その排水効果が斜面の力学的安定性にどのように影響を及ぼすのか評価を行っています。
関連する主な成果
機械学習による高速道路切土法面の崩壊リスク評価(民間企業との共同研究)
研究の概要
豪雨は,私たちの日常生活や社会経済活動に深刻な影響をもたらします。特に,線状構造物である高速道路では,土構造物を中心に,広範におよぶ斜面災害リスクに曝されます。本研究では,東北地方の高速道路の斜面を対象として,過去に崩壊した斜面の地盤条件や降雨データを分析・評価しています。そのデータを活かして,機械学習による豪雨時の斜面崩壊の予測判定手法の開発に取り組んでいます。
補強土やマイクロパイルの合理的設計に関する研究(民間企業との共同研究)
研究の概要
斜面の法肩から縦方向に補強材を打設する縦打ち補強土工法は,狭あいな場所でも施工可能であるため,近接施工や既設構造物の保全工事において活用の機会が見込まれます。しかし,本工法のような補強は実務的に使われているものの,その力学挙動は十分に解明されていない部分があります。本研究では,耐震補強としての設計コード体系化を見据えて,実験と数値解析の両面から検討を進めています。
関連する主な成果
Kamura, A., Kim, J., Kawai, T., Kazama, M., Hikita, N., Konishi, S. 2017. Numerical study on the design of reinforced soil by vertical micropiles, Geotechnical Engineering, 48(4), pp.10-18.
環境・SDGs
洋上風力基礎の動的挙動に関する研究(民間企業との共同研究)
研究の概要
「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で,洋上風力発電は次世代技術として注目されています。世界各国で精力的に研究や実証実験が行われています。日本の場合は世界有数の地震国であるため,合理的な基礎形式が選定できるのかどうか,地震時の海底地盤の挙動を含めて評価する必要があります。本研究では,地震時の海底地盤の液状化を対象に,検討を進めています。
関連する主な成果
小室諒祐, 加村晃良, 風間基樹, 富田真之,. 2022. 模型実験に基づくサクションアンカーの液状化後の引抜き挙動に関する基礎的検討, 2p, 土木学会東北支部技術研究発表会.
特殊土や風化作用
スレーキング性盛土の劣化シナリオの解明
研究の概要
経済性や環境面への配慮から,切土やトンネル掘削での現地発生土を盛土材に利用することがあります。しかし,泥岩や凝灰岩などの軟質な堆積岩類の中には,乾湿作用を繰返し受けると容易に細粒化する(スレーキングが生ずる)ものがあり,これが盛土の変状を引き起こします。このため,スレーキングが生じた場合に,土の強さや硬さ(変形のしやすさ)がどのように変化し劣化するのかを研究しています。また,盛土の維持管理手法に関する提案も行っています。
破砕性土粒子の力学特性解明に関する研究(他大学との共同研究)
研究の概要
地盤は,土粒子(どりゅうし)の集合体です。外力が作用すると,微視的には土粒子が各々のネットワークで力を受け持ちます。そのとき,割れてしまう土粒子が多い場合には,地盤としての強さが低下したり,沈下が生じたりといった問題が生じてしまいます。本研究では,割れやすい土粒子を用いて,粒子単体の割れやすさが地盤の力学挙動にどのように影響を及ぼすのか,微視的観点と巨視的観点を交えた評価に取り組んでいます。
関連する主な成果
(投稿中)
災害調査
災害調査の概要
地震や豪雨などにより地盤災害が発生した場合,関連学会・団体で調査団が組織され,現地調査が行われます。調査によって得られた知見は,災害速報や報告会などにより情報共有されます。私たちは,地盤災害が社会に与える影響をできる限り小さくするため,日々研究に取り組んでいます。
関連する主な論文