[公立福生病院事件を考える連絡会 ]

■和解成立のおしらせ

私たちが支援してきた公立福生病院透析中止事件民事裁判は、2021年10月5日(火)、和解が成立しました。

和解成立にあたり、弁護団および公立福生病院事件を考える連絡会から、声明を発表しました。

声明(当会より)

和解成立に当たっての声明

2021年10月5日、公立福生病院事件民事訴訟の和解が成立しました。私たちは、2019年6月に連絡会を結成し、この問題に取り組んできました。原告を支援してきた私たちは、裁判所の示した和解条項が、同病院の再生を促すきっかけとなることを期待します。患者に向き合い、救命を尽くすまっとうな医療機関となることを求めます。

  和解条項1項において、被告病院は原告に対して「東京都の指導事項を誠実に遵守し,医師,看護師その他の医療従事者が医療を提供するに当たり適切な説明を行い,医療を受ける者の理解を得るよう努めること,医療ケア・方針決定に当たって患者にセカンドオピニオンを求められること,決定を留保できること,決定を変更できることを十分に伝え,意思決定後も,患者の病状変化等に応じて,適宜その意思に変更がないか家族等とともに確認するよう努める」と約束しました。今後これを誠実に履行することを求めます。

本事案では、医師自らが作成した「透析離脱証明書」に、意思を撤回して透析を再開できる旨の項目はありませんでした。死亡した女性は、「自分で決めた。だけどこんなに苦しくなると思わなかった。撤回するならしたい。でも無理なのも分かっている」と話したことがカルテに記載されています。この言葉は意思を変えることができるとの説明がなかった証左であり、患者が抱いた署名の重さとその後悔が伝わります。その後も肺水腫の増悪で女性は「こんなに苦しいなら透析した方が良い。(中止を)撤回する」と叫びました。助けを求めた患者に、担当医は「人間辛いときはいろんなことを言う。」「意識が清明なときの意思を尊重した。」と救命にむけた治療を行いませんでした。原告が「苦しい時にこそ本音が出る」と語ったように、私たちは患者の苦しみや気持ちの変化に寄り添い、救命を尽くすための医療を、今後も求めていきます。

声明(弁護団より)

弁 護 団 声 明

2021年10月5日

公立福生病院事件弁護団

弁護士  冠  木  克  彦

弁護士  内  田     明

弁護士  中  川  素  充

弁護士  山  川  幸  生

1.2019年(令和1年)10月17日に提訴した公立福生病院事件は、本日、原告らの勝利的和解で終結しました。

  本件は、2019年(平成31年)3月7日付毎日新聞紙上で「透析患者に『死』の提案」「治療中止7日で死亡」との見出しで報道され社会に大きな衝撃を与えました。以来、日本透析医学会の声明や対応、それに対する批判などの議論が起こる中で、本件裁判は進められました。

2.裁判所は、本件和解条項の前文において「一件記録上被告病院の医師が、本件患者に対し、「死の選択肢」である透析中止を積極的に提案することで、本件患者を死に誘導した経緯があったとは認められない。しかしながら、透析中止の判断が患者の生死にかかわる重大な意思決定であることに鑑みると、一件記録上、本件患者に対する透析中止に係る説明や意思確認に不十分な点があったといえる」と述べたうえで、被告病院に責任があることを前提とした和解案を勧告したものです。また、本件報道当時、東京都が直ちに被告病院に対して行政指導を行いましたが、これを踏まえ、和解条項には、東京都の指導事項を遵守すること、再発防止のため、「患者への適切な説明」「患者にセカンドオピニオンを求められること」「決定を留保」「変更」できること、意思決定後も患者の症状変化等に応じて適宜その意思に変更がないか確認するよう努めることなどを約束させる条項が盛り込まれています。

3.本件事実関係の中で、多くの人の涙をさそった場面は患者が透析離脱証明書にサインしたあと、苦しくなって入院し、尿毒症や肺水腫による耐えがたい苦しさから、身をよじって何度も苦しさを訴え、透析離脱について「撤回」すると訴えたにもかかわらず、被告病院医師は透析を再開せず、死亡への流れをそのまま放置しました。この場面で裁判所の指摘する説明と意思確認をしていれば患者は死亡することはなかったと私達は考えています。

4.本件は、ここで指摘した問題点だけでなく透析の治療中止の可否という問題(終末期ではない患者について医師は透析を中止してよいかという問題)や中止後の鎮静剤の大量投与などもっと解明すべき諸点は論点としてはありましたが、限られた証拠の中で、患者遺族の無念さを少しでも減少させ最低限の利益を守って救済することを最も重要な課題として取り組んでまいりました。

5.原告らも一定の成果を認め、安らかな生活に戻ることができることを喜び、一方、被告に対しては、本和解条項に記載されている事実以外においても訴訟の中で指摘した諸点を自覚され、二度とこのような事件を起こさない患者中心の医療方針をたてられることを望む次第です。

                                       以上


2022年2月12日 シンポジウムを開催しました

シンポジウム 公立福生病院事件裁判が問うたもの

           ――「死なせる医療」でいいのか?――

プログラム

●冠木克彦弁護士(公立福生病院事件裁判弁護団長)

   「公立福生病院裁判闘争の意義と成果」

●清田敦彦医師(日本腎臓学会腎臓専門医/日本透析医学会認定医、指導医)

   「腎臓専門医から見た公立福生病院事件」

●YouTube動画の上映 

「裁判和解の内容と積極的意義について」労働と生活を守る会(L&L)制作

●発言と質疑

とき 2022年2月12日(土) 13:30~16:30 (開場13時)

配信会場 三鷹産業プラザ第4・第5会議室

 ☆開催しましたシンポジウムへのご感想など、おまちしています。

     fussaren@yahoo.co.jp



☆報告集を作ります。カンパをいただいた方には報告集をお送り致します。

*カンパ送付先

 郵便振り込み番号:00240-6-90199

加入者名:公立福生病院事件を考える連絡会

他行からは ゆうちょ銀行 〇二九店 当座預金 90199

▼主催 公立福生病院事件を考える連絡会

▼連絡先 Email:fussaren@yahoo.co.jp  携帯:080(6532)0916  HP:sites.google.com/view/fusaren/ホーム



You tube 4

この裁判では、「本人や家族の意向」との名目で治療の中止や不開始が進められる状況がある中、「患者の気持ちは揺れる、患者のいのちを切り捨てないで、いのちを助ける本来の医療を!」と求めてまいりました

団体概要

公立福生病院事件を考える連絡会

団体説明

2019年3月に明らかになった公立福生病院透析中止事件をきっかけに結成された連絡会。

いのちの切り捨てに抗し、患者や障がい者が希望を持って生きることをサポートする医療・福祉を求めていく。

結成:2019年6月6日


構成団体

公立福生病院事件を考える連絡会

・臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

・精神障害者権利主張センター・絆

・ 「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会

・地域でらすための東京ネットワーク

・バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる

・NPO法人こらーる・たいとう

・日本消費者連盟

・DNA問題研究会

・怒っているぞ!障害者切り捨て!全国ネットワーク

・全国「精神病」者集団

・労働と生活を守る会(L&L)

・「脳死」臓器移植に反対する関西市民の会


■緊急!「感染症法等の”改正”案」に反対する声明 2021.1.27


2021年1月27日

内閣総理大臣 菅 義偉様

厚生労働大臣 田村憲久様

公立福生病院事件を考える連絡会・事務局

Email:fussaren@yahoo.co.jp

携帯電話:080(6532)0916

『感染症法“改正”案』等に反対します!

私たち「公立福生病院事件を考える連絡会」は、東京都下の公立福生病院で起きた透析患者に対する治療中止事件を通して、「医療は患者を救うことが基本であり、いのちの選別・切り捨ては容認できない」と活動する団体と個人のネットワークです。

1月22日、政府は、新型コロナ感染拡大を受けて、『感染症法』等の“改正”案を閣議決定し、2月上旬の早期成立を目指すとしています。同『“改正”案』は、「入院措置に応じない患者、入院先から逃げた患者に刑事罰(1年以下の懲役あるいは100万円以下の罰金)、保健所の疫学調査拒否や虚偽申告に刑事罰(50万円以下の罰金)を科す」という罰則規定を盛り込んでいます。

ハンセン病やHIVをはじめとする感染症患者に対しては、これまでにも様々な差別や偏見が社会問題化しました。新型コロナウイルス感染症でもしかりです。患者はむろん、献身的に治療や看護に当たる医療者やクラスターが発生した介護施設の職員が差別の対象になったり、誹謗中傷を受ける事態も起きています。感染を理由に職を失った人もいます。

『感染症法』の前文には「我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。」と記載されています。今回の“改正”はこの趣旨にも反するものです。

患者に罰則を科する規定は、感染症対策の歴史的失敗や現在の実態からも目を背け、ただただ政府の都合に合わせようとするものです。患者の人権無視と命の軽視にもつながります。病人に刑罰を科すなどというとんでもない「感染症法“改正”案」等を私たちは認めるわけにはいきません。

抗議するとともに、即刻、撤回を求めます。


■緊急!杉並区長発言への抗議・要請書 2021.1.26

2021年1月26日

田中 良 杉並区長 殿

公立福生病院事件を考える連絡会

Email:fussaren@yahoo.co.jp

携帯電話:080(6532)0916

「高齢である・基礎疾患がある・障害がある」を理由にした「いのちの選別」推進に抗議します!

私たち「公立福生病院事件を考える連絡会」は、東京都下の公立福生病院で起きた透析患者に対する治療中止事件を通して、「医療は患者を救うことが基本であり、いのちの選別・切り捨ては容認できない」と活動している団体と個人のネットワークです。

2021年1月11日の『文春オンライン』に、「『小池都知事は責任を果たせ!』命の選別が迫る医療現場…杉並区長が“無策すぎる都政”を告発」との記事が掲載されました。

「小池都知事は責任を果たせ!」命の選別が迫る医療現場…杉並区長が“無策すぎる都政”を告発(文春オンライン) - Yahoo!ニュース

記事は、「生還できた人と、できなかった人の差は何なのか。国や都は早急に情報を公開して国民的・都民的な議論を行い、トリアージ(治療優先度の順位付け)のガイドラインをつくるべきだ。命の選別という重責を医療現場だけに押しつけられない」と、田中区長が、1月8日、小池百合子東京都知事に要望書を送付したと報じています。

田中区長は、インタビューに答えて、次のように述べています。

「例えばの話ですが、年齢を5歳刻みなどで、生還率や死亡率を示します。人工呼吸器などを装着して外せるまでの日数も重要なデータではないでしょうか。基礎疾患との関係もあります。これらデータや症例を、一般に分かりやすく公開するのです。・・・そうすると 、人工呼吸器などを付けても延命にしかならないようなケースが見えてくるかもしれません。・・・・これらをたたき台にして、都民の皆で考える材料にします。そうしたうえで、学会や有識者に相談しながらガイドライン化していくのです。」

つまり、高齢者や基礎疾患や障害のある人を切り捨てる基準を作れと求めているのです。

医療が逼迫し、多くのコロナ感染患者が入院できない状態であること、自宅療養中の方が急変して死亡、通常の救急患者の受け入れが出来ない等のニュースに私たちも不安と恐れを感じています。しかし、今、行政のやるべき仕事が「いのちの選別・切り捨てのガイドライン」作成でしょうか?いいえ、行政の責任者は、いのちの選別が起こらないようにこそ、努める責任があります。この記事では、医療体制の連携・拡充の具体策も、感染拡大を防ぐ検査等の対策も、まったく語られていません。

また、現場で苦闘している医師や看護師等、医療者の方々に対しても、水を浴びせるようなものです。例えば、‘日本透析医会’は1月15日に、「新型コロナウイルス感染症の透析患者に対する医療提供体制の整備について(お願い)」を発出して、COVID-19透析患者の病床確保や外来透析などの治療体制の整備を求めていますが、こうした努力を踏みにじるものです。

そもそも、欧米と比べて、日本のコロナウイルス感染者が一桁ないし二桁少ないにも関わらず、「医療崩壊が起きる」というのは、病床数や公衆衛生施策を削減してきた医療政策そのものに問題があるのではないでしょうか。コロナ患者を受け入れている民間病院と区外の都立病院や大学病院等が連携して感染対策に取り組める体制を作って下さい。また、保健所の人員拡充や職場環境の整備に今以上に力を注いでください。自宅療養を強いられている患者への訪問診療を充実させてください。

また、世界から、日本のPCR検査や抗原検査の少なさが指摘されてきましたが、以前に比べて検査数が増えてはいるものの、リスクの高い高齢者施設や障害者施設等では定期的な検査を行い、クラスターが発生しないように務めるべきです。

田中杉並区長には、上述のような努力を要請するとともに、以下のことを求めます。

(1)いのちの選別を推進する姿勢を改め、そうした趣旨のこれまでの発言を撤回してください。

(2)1月8日に都知事あてに提出した申し入れ書を公開してください。いのちの選別につながる内容を撤回する意思を、都知事に伝えてください。


京都 ALS 患者嘱託殺人事件報道に接しての声明 2020.9.28

【京都 ALS 患者嘱託殺人事件報道に接しての声明】

私たちは、医療者による「死なせる」行為は容認できません! 「生きるため」の支援を求めます

公立福生病院事件を考える連絡会・事務局 Email:fussaren@yahoo.co.jp

携帯電話:080(6532)0916

私たちは、2018 年 8 月に、公立福生病院で起きた透析中止の末に患者が亡くなった事件を 検証し、被害女性の遺族の訴えによる裁判を支援している団体です。この事件は、医師が透 析中止の選択肢を示し、いったん患者が透析離脱を選択すると、容態悪化した患者や家族の 透析再開の要望を受け入れず、大量の鎮静剤投与を行い、死に至らせたというものです。

7 月 23 日に、ALS の女性を薬物投与で殺害した二人の医師が逮捕されたとの報道を知り、 またこのような医療者が患者を死なせるという事件が起こったのか、と強い危機感を持ちま した。さらなるいのちの切り捨てを許さない立場から、以下の声明を発表します。

2019 年 11 月 30 日、ALS(筋萎縮性側索硬化症)にかかっていた林優里さんが殺害され、本 年 7 月 23 日、大久保愉一医師と山本直樹医師が嘱託殺人罪の容疑で京都府警に逮捕され、8 月 13 日に起訴されました。報道によれば、事件の概要は以下です。

――昨年 11 月 30 日午後 5 時半ごろ、この二人の医師が林さんの自宅マンションを訪れ、林 さんの胃ろうから大量のバルビツール酸系睡眠薬を投与して殺害した。林さんとこの二人の 医師はこの日が初対面で、それ以前に、林さんから山本医師の口座に 130 万円が送金されて いた。――

お金を受け取りビジネスとして人を殺害することは到底許されない犯罪行為ですが、この 二人の医師の行為は、高齢者や重度の「障害者」や難病者のいのちを、「価値なきいのち」と して切り捨てる思想に基づいたものと考えられます。7 月 24 日付の東京新聞は、大久保容疑 者は「高齢者を『枯らす』技術」と題するブログや電子書籍を発表し、山本容疑者との共著で 発表された電子書籍の「内容紹介欄」には、「『今すぐ死んでほしい』といわれる老人を、大掛 かりな設備もなしに消せる方法がある」「違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はな い。荼毘(だび)に付されれば完全犯罪だ」と記し、ブログには、こうした価値観とともに、 死なせるための薬物の話、そして、「日本でもできる『安楽死』『尊厳死』について、医者とし て質問に答えます。」というメールフォームまで作っていました。

医師法の第一条には、「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び 増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」とあります。 医者の仕事は、人の生死を左右する薬剤、技術を使用する仕事です。人の生命や生活を支 えるためにだけ、その仕事は認められるのです。いのちを選別・抹殺することは、絶対に許 されません。

しかし現実には、「脳死判定」、臓器移植、出生前診断など、いのちを選別する仕事が医者 の仕事に入り込んできています。その意味では、社会の責任そのものが問われるのです。

●大久保医師の発想を生んだ背景に厚労省の医療政策、がある

「大久保容疑者は 03 年に弘前大医学部(青森県弘前市)を卒業し、医師免許を取得した。 厚生労働省老健局で 7 年半勤めた後、呼吸器内科の医師として東北地方を中心に複数の医療 機関に在籍」(京都新聞)と報じられています。彼が厚労省に就職したころは、政府が「尊厳 死・安楽死」推進に動き出したころです。04 年は、「尊厳死・安楽死」を推し進める世界の団 体が構成する「死の権利協会世界連合」の大会が東京で行われ、厚生労働大臣がメッセージ を寄せ、同省の医政局長が基調講演の一つを行いました。07 年には、厚労省の「終末期医療 の決定プロセスに関するガイドライン」が発表され、09 年には、臓器移植法が改悪され 15 歳 未満の子供からも臓器摘出が可能になりました。

こうした時期を厚労省で過ごした大久保は、自身のブログにおいて、「安楽死」を容認し 推進する自身の考えを展開した文脈の中で、次のように書いています。 「老人が大量に増えていて、いちいち刑事訴追していたらキリがないこともあってか、最近 は老衰などでは、合法的に治療行為を絞って死にいたるプロセスが定められています。国が おすすめしているのは、本人や家族が『人生会議』を開いて延命処置を行うかどうかなどを 決めておき、必要なときにはそのように対応するというものです。」

医療現場に出た彼は、高齢者医療の現実の中で、「入院の必要がないのに自宅に引き取らな い家族を『年金目当て』と批判。病院を『うば捨て山』と表現した。」(朝日新聞)とブログに 記述していたそうです。現実の改善に向かうのではなく、いのちを切り捨てる方向に向かっ てしまったのです。妻の証言によれば、彼自身が自殺願望を持ち、自殺未遂経験もあるとの ことです。自らの生をも肯定できなかったのでしょうか。(毎日新聞デジタル版 7 月 25 日、

京都新聞 7 月 25 日より)

●林 優里さんについて

林さんは、2011 年に ALS との診断を受けました。生前は、重度訪問介護などの介助を 24 時 間受けて、一人で暮らしていました。林さんのブログには、生死を見つめる思いが語られて います。亡くなる前年には、必要な介助を確保するために 17 の事業所からヘルパー派遣を受 けて、同性の介助者が足りず、異性介助も受けざるを得なかったと、京都新聞が報じていま す。大変な気苦労をされたことと想像します。

他方で、林さんは、「彼女は少しでも長く良い状態で生きたいと、最後まで治療法の情報を 集め」、「生きるために色んな努力をしていた」こと、「錦織圭のファンで、ウィンブルドンを 夜中に見て。洋服も好きで、きれいなパジャマを着ていたし。笑顔がすごくチャーミングで、

ヘルパーさんたちも癒やされました」といった日常生活も報じられています(京都新聞)。 林さんは、2018 年 12 月頃から、ツイッターで大久保医師とコミュニケーションをとるよ うになり、主治医によれば、「スイスでの安楽死をテーマにした 2019 年 6 月放送の NHK スペ シャル『彼女は安楽死を選んだ』を見て、死の選択への思いを強めていった。」(京都新聞)そ うです。この NHK の報道については、京都の「日本自立生活センター」などの「障害者」団 体からの批判が行われてきましたが、今回の事件の引き金の一つを引いてしまったことが明 らかになりました。

●私たちは「安楽死」推進、合法化を絶対に許しません

石原慎太郎元東京都知事は 7 月 27 日のツイートで、「裁判の折り私は是非とも医師たちの 弁護人として法廷に立ちたい」と発言。翌 28 日には、日本維新の会代表の松井一郎大阪市長 が「安楽死」の法制化を主張し、「(難病を)患っている人たちの思いに寄り添う形で法整備 を行うべきだ」(産経新聞)と発言しています。

私たちは、このような一部政治家の発言や「安楽死」法制化を進めようとする動きに大き な危機感を抱きます。「安楽死」の推進・合法化は、高齢者、難病者、「障害者」のいのちを 「価値なきいのち」として、切り捨てる道です。断じて容認できません。

●私たちは「死ぬため」ではなく「生きるため」の医療行政を求めます。

私たちは、この事件に怒りを感じるとともに、いのちの選別・切り捨てを進めるこの社会 の在り方が、この事件を生み出したものであると考えます。政府の政策、社会の状況を、根 本的にとらえ返さなければなりません。つらい現実があってもよりよく生きていこうとする いのちを支えるのが現場の医療や福祉であり、それを支えるのが厚生行政です。難病や重度 の障害と共に生きる人たちが生きることの困難に直面したとき、どう向き合っていくのか、 私たち自身にも問われていることを自覚しつつ、同時に、どんな状況下でも「生きるため」 の生活を守る支援を充実させる医療福祉・厚生行政の実現を求めていきます。

2020 年 9 月 28 日

【賛同団体】

DNA 問題研究会/「脳死」・臓器移植に反対する関西市民の会/薬害・医療被害をなくすための厚労省 交渉団/労働と生活を守る会(L&L)/林田医療裁判を考える会/臓器移植法を問い直す市民ネットワ ーク/兵庫精神障害者連絡会/平和憲法を守る荒川の会/やめて家族同意だけの「脳死」臓器摘出! 市民の会/尊厳死法いらない連絡会/医療情報の公開・開示を求める市民の会/精神障害者権利主張 センター・絆/バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる~/NPO 法人茨城県精神障害地域ケアー研究 会(茨精研 ICCAM)/「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会/子供問題研究会/労 働者住民医療機関連絡会議幹事会




「透析の開始と継続に関する 意思決定プロセスについての提言」批判 2020.7.20.

「透析の開始と継続に関する

意思決定プロセスについての提言批判

2020年7月20日

一般社団法人日本透析医学会

理事長  中元 秀友  殿

公立福生病院事件を考える連絡会

代表 弁護士 冠木克彦

大阪市北区西天満 1-9-13 パークビル中之島501号

冠木克彦法律事務所 気付

第1. はじめに

1,2019年5月31日貴学会は公立福生病院事件について日本透析医学会ステートメントを発表し、その内容が同病院を擁護していたため私達連絡会は、2019年6月15日付で日本透析医学会ステートメントに対する公開質問状を貴学会に送付したところ、6月17日付で特定事件に対してそれ以上に意思表明すべき立場にないことを理由として、内容回答を回避する旨の回答をいただきました

その上で、貴学会は本提言に先立ち提言()を発表して本提言に至っています

2、本提言序文において、「医療チームが、患者に最善の医療とケアを提供することを指向して作成したと述べていますが、残念ながら提言患者にとっての最善の医療からますます遠ざかり、序文で述べているように医療チームが日常臨床の場でしばしば遭遇する判断に困窮する事例に対しより効率的に処理できる方策を作成したことが主眼にあると判断せざるをえません

透析治療の臨床現場で遭遇する困窮事例は医療行為の効率化を妨げていると思われますが、その対処すべき対象物は人の生命であって、効率性に置きかえることはできないことが確認されなければなりません

3. 今回の提言の重要な部分は人生の最終段階ではないが生命維持のために透析を必要とする患者がCKM(保存的腎臓療法)を選択して透析を見合わせた場合には人生の最終段階となること、透析見合わせ後は緩和ケアが行われること、深い持続的鎮静を行う場合には、事前に患者家族等からの同意を取得することが望ましい、と述べています。

提言のこの重要な部分は、患者の透析見合わせ意思を患者本人の自律自己決定としてそのまま認めていることです生命維持のために透析を必要とする患者が透析を見合わせるのはそれは即ち死に直結する意思として可能な限り説得して翻意させるのが 本来救命義務を負う医師の職務ですが、それをなさずそのまま現実の医療現場で適用された場合、刑法的には「自殺幇助」の問題が生じること、そして事態の進展は透析の中止・不開始の患者を襲う尿毒症の耐えがたい苦しみに対し、透析をなしえないとして救命する方策がなく、ただ苦痛の緩和のために大量の鎮静剤投与により死なせる処置という危険な流れが合理的に想定されます。本「提言」において貴学会は、この「危険な流れ」を適法と強弁するために、極めて不自然な「人生の最終段階」の設定をしていると推認せざるをえません。

以下述べる諸点を真剣に考慮されて再考されることを強く希望するものです。

第2. 本「提言」の核心部分とその批判

1.本「提言」の核心部分

(1)死に直結するCKMの選択

患者が透析の開始が必要なESKD(末期腎不全)に至った場合、RRT(腎代替療法)として、腎移植、腹膜透析、血液透析のいずれかを選ぶ必要に直面する。そのいずれをも選択しない場合は、CKM(保存的腎臓療法)を選択して透析を見合わせることになるが、生命維持のために透析を必要とする患者がCKMを選択した場合、数日から数週で死亡する可能性が高いが、患者がわかりやすい適切な説明を受け、自らの意思に基づき透析の見合わせを申し出て、最終的にCKMを選択した場合、医師が生命維持のために透析を必要とするESKDと診断した時点から人生の最終段階となる。人生の最終段階において苦痛を緩和するケアが重要であるが、尿毒症による呼吸困難等は辛苦耐えがたい苦痛であり、緩和ケアの内容について患者の意思を確認すること、深い持続的鎮静を行う場合には事前に患者・家族等から同意を取得することが望ましい。

(2)患者の透析見合わせ意思の変更に対する対応

患者がCKMを選択し透析の見合わせを決定した後、同患者の意思の変更については「患者の意思は変わりうるものであることを常に認識し、透析を受け入れるための対応を続ける」(9項(2)第2段落)と述べるが、すぐ以下の文章が続いている。

「人の尊厳の中では自律、すなわち自分のことは自分で決めることが最も重要な要素であり、患者・家族等・医療チームの間で十分な情報共有のもと繰り返し話し合ったCKM選択の合意を尊重すべきである。透析の見合わせに関する確認書を患者・家族等(相続人を含む)から必要に応じて取得する。患者・家族等・医療チームの間で透析見合わせの合意が形成されない場合には繰り返し話し合い、合意形成に努める。」とあり合意を優先している。

(3)家族等との透析見合わせの合意優先

上記患者の「意思の変更」の場合も、患者・家族等・医療チームの間で透析見合わせの合意が形成された場合、患者本人の意思が変わっても「合意が尊重されるべき」として、当初の透析見合わせの合意が本人意思より重視するとされ、意思決定能力を有していない患者の家族等から透析見合わせの申出を医療チームが受けた場合、その患者が意思決定能力のあるときに表明した事前指示を確認できればその意思に従い、「患者の意思を推定できない場合、または、家族等と合意形成できない場合には繰り返し話し合い、合意形成に努める」とする。なお、この「家族等」には「相続人」も含まれている。

(4) 不自然な「人生の最終段階」の設定

本「提言」の「基本的な考え方」7項「人生の最終段階」の第2段落末尾において、「意思決定能力を有する患者、または意思決定能力を有さない患者の家族等」(以下、「患者・家族等」と略す)「から医療チームに透析見合わせの申し出があった場合には、医師が生命維持のために透析を永続的に必要とするESKD(末期腎不全)と診断した時点から人生の最終段階となる」と述べ、加えて、同9項「透析の見合わせ」2)項第2段落では「人生の最終段階ではない患者が透析の見合わせを申し出て、最終的にCKM(保存的腎臓療法)を選択した場合、医師が生命維持のために透析を必要とするESKD(末期腎不全)と診断した時点から人生の最終段階となる」と述べている。

しかし、患者が「透析の見合わせ」を撤回すれば「人生の最終段階」ではなくなるので、極めて恣意的な設定であり、なぜこのようにしたかの検討は第3で述べる。

2. 本「提言」の核心部分に対する批判

(1) CKM(保存的腎臓療法)とは、透析を必要とする患者の生命を救い維持する療法ではない。したがって、透析の開始が必要なESKD(末期腎不全)において、透析にかわりうる治療ではありえない。したがって、現在までの透析治療機関では、ESKDに至れば透析治療をしなければ生命はないとして必死に説得して患者を助けている。CKMの選択などそれは「死の選択」であって、いかに患者が望んでも医療者は「死の選択」をさせないように説得を続けるのが当然の義務として遂行されている。

ただ、患者の中にはいかに説得してもどうしても透析を承諾しない人があり、その場合やむをえず保存的に対応する措置がCKMであって、透析や腎移植にかわる選択肢の一つとしての治療法ではない。

しかし、本「提言」では、CKMの選択による透析の見合わせも患者本人の意思として尊重されている。CKMにならないように「説得する」という記載もない。これは医療者として生命の軽視であり、医療者の義務を放棄していると考える。

本「提言」の「案」が発表された時の新聞記事において、早稲田大学教授で医事法・刑法が専門の学者は「終末期ではなくやむにやまれぬ医学的な事情もなく、日常生活が十分送れる人の場合に治療を見合わせるのは、自殺幇助を認めることにつながる」と指摘し、また、帝京大准教授は「死を決定させる前に患者の人生に踏み込んで問題を解決し、生きる意欲を持たせる必要があるが、その発想はない」と批判している(2020年2月17日付毎日新聞)。貴学会に強く再考を求めるものである。

(2) 本 「提言」は患者の透析見合わせの意思の変更に対応するため「透析を受け入れるための対応を続ける」と述べているが、すぐその後に続く文章は、「患者の意思は変わりうる」が「人の尊厳の中では自律」が「もっとも重要な要素」とし「繰り返し話し合ったCKM 選択の合意を尊重すべき」と述べ、加えて、その「確認書」を「取得」すること、そして、驚くべきことに「透析見合わせの合意が形成されない場合には繰り返し話し合い、合意形成に努める」とまで述べている。

患者の意思の変更は、それは即ち透析を再開して生きたいという患者の意思であるが、その患者の意思に添うことが大原則であるのに、そんな患者の意思は「人の尊厳に反する」と否定されている。否定していないというのであれば、意思が変わった患者を助けるための手段を記載しないといけない。例えば、「助けてくれ」と叫ぶこと、「透析してくれ」との意思を表明すること、「生きたい」と叫ぶこと、これらは透析見合わせとは逆の行為であるから、これらの行為が患者に認められれば、いかに透析見合わせの合意及びその書面があろうと、これらの合意は否定され、直ちに透析再開がなれるべきことを「提言」は書くべきである。「透析を受け入れるための対応は続ける」というのが本当であれば、「緊急透析」に対応できる体制をとるべきとか明確な規定を入れるべきである。

なお、本「提言」のこの部分は、現在訴訟になっている公立福生病院事件で被害患者の女性が「こんなに苦しいなら透析した方がよい。撤回する」と明言したにもかかわらず、 病院側が無視して死亡させた処置を擁護する立場で書かれていることが明白である。

(3) 意思決定能力を有しない患者(この定義は厳格になされなければならず、「生きる」とか「死ぬ」とかの判断がなされる人は全て能力を有していると判断されなければならない) について、「代諾者」が論じられているが、「本人の意思の代弁」がなしうるのは、あくまで「生きる方向」のみであり、「死の方向」への代弁・代諾はできないことを確認しておかなければならない。当然、医療チームも、患者本人が救命される方向への裁量権を有するが、「死ぬ方向」への裁量権はないことが確認されなければならない。

したがって、意思決定能力のない人の意思の推定ができない場合、「透析見合わせ」はすなわち「死」を意味するから、その方向への代諾はできないことが確認される必要がある。家族等に「相続人」が含まれれば「死」の方向に代諾される危険性が大きく、代諾で「透析見合わせ」はなされてはならない。

第3. 不自然な「人生の最終段階」の設定の意味について

1. 前記第2.1.(4)において指摘したように、本「提言」では「患者側から医療チームに透析見合わせの申し出があった場合には医師が生命維持のために透析を永続的に必要とするESKD(末期腎不全)と診断した時点から人生の最終段階となる」との不自然な設定がなされている。

その理由を推認すると、上記7項での引用文の前に「医学的には人生の最終段階ではないが生命維持のために透析を必要とする患者が、CKM(保存的腎臓療法)を選択して透析を見合わせた場合には、数日から数週で死亡する可能性が高い」との一文があり、「死」が近いことがその理由になっていると考えられる。.

2. しかし、人生の最終段階でない「患者・家族等」がCKMを選択してもそれを撤回して変更することが可能である事を同4項「透析見合わせの際のSDM(共同意思決定)とセカンド・オピニオン」で繰り返し論じられており、「患者が意思決定」したあとも「必要に応じて決定を見直す機会を持つようにする」とさえ記載している。

したがって、「患者・家族等」がCKMを見直せば、「透析の再開もしくは開始」となり、「人生の最終段階」ではなくなる。本「提言」の立場では「それはそれでよい」と言うのであろうか。

しかし、問題はなぜそんな「くるくる変わる可能性」のある事項について医学的に不自然な規定をわざわざしているのかということである。

3. ひるがえって、具体的な事態を想定する。

人生の最終段階でない患者・家族等が、透析治療を続ければ10年や20年は生きる可能性がある場合に、透析の見合わせをしてCKM(保存的腎臓療法)を選んだとすると、多くの場合「数日から数週で死亡する可能性が高い」から、徐々に尿毒症が進行し、末期に至ると「耐えがたい苦痛」、ある人に言わせると「地獄の苦しみ」を受ける。客観的には、透析を再開すれば救命されるから「人生の最終段階」(従前からの言い方でいえば終末期)ではない。

ところが、本「提言」は、無理に「人生の最終段階」と言い張って、この「耐えがたい苦痛」の緩和から死に至る過程を「終末期における延命治療」にしてしまって違法ではないという「理屈」にするために医学的にも全く不自然な「人生の最終段階」の設定をしたのではあるまいか。しかし、かかる設定は、医学的にも社会的にも、全く不合理な設定であって適法性は全く存在していない。

第4. 再考を求める。

以上、中心的な問題について批判を展開してきたが、貴学会がこのまま医療現場にこの「提言」を正しいものとして提示し、多くの医師がそのまま実行するとすれば、正に医療現場にも社会的にもゆゆしき事態が発生することは明らかです。法的諸問題も発生します。

冒頭で若干触れましたが、透析医療の現場で判断に困窮する事態があることは承知していますが、問題は「生命」に関わる事柄であって、経済合理性や効率性で処断できる問題ではありません。透析が生きるために必要であるにもかかわらず透析を見合わせる意思は、その患者に降りかかっている深刻な事情に基づいており、医療側からその事情を取り除いてしまうことはできないにしても、その患者が希望をもってそれら事情を乗り越えていこうとする意欲を生み出していけるように努力して生命を守ることが医療者としての重要な役目です、この医療の根本使命にたちかえって本「提言」については強く再考を求める次第です。


注:上の欄は、折りたたみテキストとなっています

公立福生病院透析中止事件とは


2018年8月9日、腎臓病を患う44歳の女性が、透析に使う血管の分路(シャント)がつまったため、公立福生病院腎臓病総合医療センターを受診しました。担当外科医は首周辺に管(カテーテル)を入れて透析を続ける治療法とともに、透析をやめる選択肢を提示し、やめれば2 〜 3週間程度の寿命となると説明しました。女性は透析中止を決め、病院が用意した“透析離脱証明書”にサインしました。この透析離脱承諾書には、“いつでも透析を再開できる”との項目はなく、医師からの説明もありませんでした。

女性は、容態が悪化して、8月14日に同病院に入院し、16日に亡くなりました。その間「こんなに苦しいなら透析したほうがいい。撤回する」と透析再開を求め、夫も外科医に透析再開を訴えましたが、医師はこれに応じず、多量の鎮静剤を投与し、女性は死に至りました。医師は「清明な時の意思に重きを置いた」といいます。

同病院では、腎センターが開設された2013年4月から2019年3月までの間に、透析中止を選択して死亡した患者が4人、最初から透析をしない「非導入」で死亡した患者が約20人いたことが、東京都の立ち入り検査で明らかになっています。


アクセス

​公立福生病院事件を考える連絡会

​連絡先 

電話: 080-6532−0916

e-mail : fussaren@yahoo.co.jp


事件の概要


●2015年ごろ

透析治療で通院していたクリニックの紹介で公立福生病院を始めて受診

●2018年8月9日

透析用のシャントが詰まり、福生病院を受診。外科医が治療継続と治療中止という二つの選択肢を提示。女性は治療中止に同意。

14日

福生病院に入院。

15日

苦しくなった女性が治療再開を訴え。

16日

夕方に死亡。

●2019年3月6日

毎日新聞の報道で問題が発覚。東京都が医療法に基づき福生病院を立入検査。

15日

日本透析医学会が学会ガイドラインについて「終末期でない患者の意思決定プロセスなどを追加して改訂する時期に来ている」とする声明を発表。

4月9日

「女性への医療行為に関する記録や女性に対する説明が不十分だった」として、都が福生病院を文書で改善指導。

10月17日

「死に追いやる治療中止の選択肢提示や治療再開の意思を無視したことは違法」として、女性の夫と次男が福生病院を運営する福生病院組合を提訴。

(毎日新聞2019年10月18日より)


2019.10.17提訴した東京地裁にて会見

公立福生病院(こうりつふっさびょういん)は、東京都福生市加美平1丁目6番地1にある医療機関。福生市、羽村市、西多摩郡瑞穂町の2市1町で構成する一部事務組合、福生病院組合が運営する公立の病院である。東京都災害拠点病院、二次救急指定病院。

1945年4月に昭和飛行機工業株式会社が職員病院として、福生病院を開院。その後1948年4月に、国民健康保険事業の推進を図るため、東京都国民健康保険団体連合会が経営を承継する。2001年4月1日、同会から福生市、羽村市、瑞穂町の2市1町で構成する福生病院組合に経営を移管し、公立福生病院が誕生した。2006年に全面的な建て替え工事に着手し、2010年2月にフルオープンした。

(Wikipediaより抜粋)


「今も妻がひょっこり帰ってくるような気がする 」☆

youTube 1

本事件の概要

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裁判経過報告1

youTube3

裁判経過報告2

新聞報道


​毎日新聞2019年10月18日付

透析中止 福生病院を提訴 死亡遺族「再開せず違法」


毎日新聞2019年4月10日付

「同意書ないなんて」 透析中止 患者不安 都が病院指導


毎日新聞2019年3月8日付

「命諦めろ」感じた 医師から透析中止指示


毎日新聞2019年3月7日付

医師、死の選択肢提示 透析中止 患者死亡 公立福生病院

指針逸脱で都が立ち入り


毎日新聞2019年3月7日付

医師、患者の迷い軽視 「透析再開したいな」翌日死亡



その他関連の各種報道、ネット記事など


★透析中止、計5人か 福生病院

2019.3.13 18:06社会事件・疑惑 THE SANKEI NEWS

透析中止問題


★東京・公立福生病院 透析中止、手続き軽視 女性に判断「丸投げ」/医療チーム・倫理委なし

会員限定有料記事 毎日新聞2019年3月18日 東京朝刊


★二極化・格差社会の真相

公立福生病院の透析中止と麻生氏の弱者に対する罵詈雑言

公開日:2019/03/20 06:00 更新日:2020/03/10 13:20 日刊ゲンダイDIGITAL


★本当に医者が死なせたのか?「人工透析中止」問題で続く“偽善報道”への大いなる疑問

山田順 | 作家、ジャーナリスト、出版プロデューサー

2019/3/20(水) 17:59 YAHOO!JAPANニュース


★https://www.buzzfeed.com/jp/takuyashinjo/touseki-chushi

公開 2019年3月27日

公立福生病院の透析中止問題の核心

ガイドラインの逸脱と、なされなかった家族ケアが問題を大きくしたのではないか?


★https://www.data-max.co.jp/article/28835

2019年04月09日 13:46【公立福生病院の透析中止問題】透析中止の判断は適切だったのか~日本透析医学会、「5月中に声明発表する」


★2019.04.11 22:10

人工透析中止の提案は自己決定権を揺るがす!

文=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士、渡辺柚朋/早稲田大学大学院法務研究科2年生 business journal


★ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2019/04/post_27469.html

Copyright © Business Journal All Rights Reserved.

https://president.jp/articles/-/28473?page=1

2019/04/19 9:00

安倍政権は33万人の透析患者を殺すのか

福生病院の透析中止は納得できない

PRESIDENT Online沙鴎 一歩ジャーナリスト


★透析中止事件で問われる「死の在り方」と「報道姿勢」

https://diamond.jp/articles/-/200794

浅川澄一:福祉ジャーナリスト(元・日本経済新聞社編集委員)2019.4.24 5:08DIAMOND online


★https://www.mag2.com/p/news/390602

福生病院「透析中止報道」に違和感。現役医師が抱いた10の疑問


★患者の治療拒否が死を意味するとき:公立福生病院の事件と「ダックスのケース」

児玉聡 | 京都大学大学院文学研究科准教授

2019/6/2(日) 9:00 YAHOO!JAPANニュース


★苦しさ訴え 「看取り」で再開せず 「安楽」な死と記入 透析カルテ

会員限定有料記事 毎日新聞2019年6月22日 20時30分(最終更新 6月22日 20時59分)


★東京・公立福生病院

透析中止 「最終意思」カルテ無記載 病院、遺族に開示毎日新聞2019年6月23日 東京朝刊


★学会トピック◎第64回日本透析医学会学術集会・総会

透析を希望しない意思決定プロセスも提示へ

認知症患者の自己決定、保存療法の管理も検討 2019/07/02 日経メディカル


★今週の一言/公立福生病院透析中止事件 ~ 透析患者の意思と治療のあり方を考える

公立福生病院事件を考える連絡会・川見公子

2019.7.20 法学館憲法研究所

http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20200720.html



★透析中止、東京・福生病院提訴へ 遺族、2千万円慰謝料請求

2019.10.8 22:33 THE SANKEI NEWS


★透析学会新指針・識者に聞く 「医師の死生観で患者左右、防止策ない」

会員限定有料記事 毎日新聞2020年2月16日 20時10分(最終更新 2月16日 22時38分)


★非終末期の透析中止、医師の提案是非「棚上げ」 透析医学会指針改定案

会員限定有料記事毎日新聞2020年1月20日 19時25分(最終更新 1月20日19時57分)


★福生病院側、棄却求める 透析中止後の患者死亡

2020.7.22 18:11社会裁判

透析中止問題 THE SANKEI NEWS


★https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/sagamihara-amamiya-2020-1

公開 2020年7月26日

岩永直子 BuzzFeed News Editor, Japan

相模原事件後も止まらない「命の選別」 医療の世界の「自己決定」と「自己責任論」

相模原事件から4年。命を選別する思想はその後も繰り返し現れ、ALSの女性が医師二人

に薬を投与されて死亡する事件まで起きた。相模原事件の裁判を傍聴し続けてきた作家の雨宮処凛さんがこの流れに対抗するために実践していることとは?


★https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/821490/

国民の納得する「死の権利」の議論必要 -満岡聡・日本尊厳死協会理事に聞く

「生きる権利」の保障が大前提

2020年9月20日 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

臓器移植法を問い直す市民ネットワークが、衆議院法務委員会の議員さんあてに「生殖補助医療法案」についての緊急要請書をお渡ししました。(2020.11.29)

■リーフレット (画像データ)

■音声読み上げ用 リーフレット内文章

患者の気持ちに寄り添う医療を!

公立福生病院透析中止死亡事件

裁判にご支援を!

民事訴訟【論点1】

治療中止について 「医師は患者に対して死に繋がるような透 析治療の中止を提案することが許される のか」、「死期が切迫していない患者につい て透析治療を中止することが許されるの か」、「患者が治療中止の申出について撤回 の意思を示している場合に医師は治療中 止を継続することが許されるのか」などが 問題となっています。

患者の気持ちは変化するものです。 患者が一度「透析中止」を決めたとしても、 「苦しい!助けて!」と叫んだ時、公立福生病 院の医師は、なぜ助けなかったのか?患者 の気持ちに寄り添い、命を救うのが医療者 の務めではないでしょうか。

医師による死の誘導は 許されない

お医者さんは、生きる希望や意欲を持てる治療方針の提案をして欲しいな。

「公立福生病院透析中止死亡事件」は、 透析再開を求めた患者の意思を無視して 透析を行わず、「苦しみを取る」と鎮静剤を 大量投与した後、患者は死亡しました。その 経過から、「安楽死」の可能性を指摘する声 もあります。

この事件は、「自己決定」という名のもと に進められる「意思決定」を悪用して終末期 ではない患者の命をも、切り捨てる危険性 を問うています。死に直結する「透析中止」 を「治療選択だ」と、医師が提案することは 許されません。

民事訴訟【論点2】

說明義務違反 透析中止の方針を決定する際に、医師は患 者に対して透析中止の意思表示がいつでも 撤回可能であることを説明する義務がある かが問題となっています。


原告(女性の夫)からのメッセージ

妻が息苦しさから公立福生病院に入院した時、私は亡くなるとは思っていませんでした。 入院すれば助けてくれると思っていました。死に方が不自然で腑に落ちません。

《公立福生病院透析中止事件とは>

2018年8月9日、腎臓病を患う44歳の女性 が、透析に使う血管の分路(シャント)が詰まっ たため、公立福生病院腎臓病総合医療センター ーを受診。担当医は、首の周辺に管(カテーテ ル)を入れて透析を続ける治療法と透析をやめ る選択肢を提示し、やめれば2~3週間程度の 寿命となると説明した。

私が付き添っていた8月14日と 15 日は何も治療されず、透析離脱を撤回したいと 言ったのに聞いてもらえませんでした。本人が苦しんでいるのに治療する気配もなかったの は何故か?見殺しにされたのではないか? それを知りたいと思い裁判を起こすことを決心し ました。

女性は担当医が示した「透析離脱証明書」に サイン。これには、透析を再開できるとの項目 はなく、医師からの説明もなかった。

私は、8月15日夜、妻の病室を出て家に帰ろうとしましたが、胃の痛みに耐えきれず救急 外来に駆け込んで診察を受け、翌16日の未明に緊急手術となりました。手術が終わったら 妻と話して透析を再開してもらおうと思っていました。麻酔から覚めて、妻の容体が悪いと 言われて車椅子で妻の病室に行ったら、妻は口を半開きにして苦しそうな表情で動かず横 たわっていました。あの時の顔が忘れられません。


8月14日、女性は容体が悪化して同病院に 入院し16日に亡くなった。その間「こんなに苦 しいなら透析したほうがいい。撤回する」と透 析再開を求め、夫も透析再開を訴えたが、担当 医はこれに応じず、大量の鎮静剤を投与し、女 性は亡くなった。担当医は「清明な時の意思に 重きを置いた」という。

私は、手術中は私物を病院に預けていました。8月17日に荷物を返してもらい、充電が切 れていたスマホを電源につなぐと、16日の未明から朝にかけて何度も妻からのメッセージ が入っていました。「とうたすかかか」(16日7時 50 分発信)のメッセージを見た時は涙 が止まりませんでした。妻は苦しくて私に助けを求めていたのです。

(同病院では、腎センターが開設された2013 年4月から2019年2月までの間に透析中止で 4人、最初から透析をしない(非導入)の患者が 約20人死亡していたことが、東京都の立ち入 り検査で明らかになっている。)

医者は人のいのちを救うのが仕事です。医者から透析中止を言うのはあり得ないことで す。何年も生きられるなら寿命まで生かしてあげるのが普通です。シャントがダメになった ら何とかしてくれると言ってくれていたのに、信頼していたのに、裏切られた思いです。

説明も謝罪も何もない、他の人にも同じことが起きてはいけないし、透析を再開してくれ なかったのは何故なのか、はっきり知りたいと思います。

2019 年 10月17日 提訴に当たって

夫は「透析再開の訴えを聞いてもらえなかっ た。無念だ。妻にはもっと生きていてほしかっ た」と、2019年10月17日、東京地裁に提訴し 係争中。

裁判支援のカンパをお願いしますので 【振込先】 郵便振替口座番号:00240-6-90199 加入者名:公立福生病院事件を考える連絡会

公立福生病院事件を考える連絡会 Email:fussaren@yahoo.co.jp HP:https://fusaren689.wixsite.com/official 電話:080(6532)0916