日時:2026年10月24日(土)-- 10月25日(日)
場所:九州大学(伊都キャンパス)講義棟 302
人数把握のために,参加登録にご協力ください.懇親会に参加予定の方は必ずご登録ください(締切:10月9日(金)):https://forms.gle/QLwBMs5jBzRjfHkW7
10月24日(土)
13:00 - 14:30 赤木亮太 Part I
15:00 - 16:30 加藤正輝 Part I
17:00 - 18:30 松本耕二 Part I
懇親会
10月25日(日)
10:00 - 11:30 赤木亮太 Part II
13:00 - 14:30 加藤正輝 Part II
15:00 - 16:30 松本耕二 Part II
松本耕二(愛知工業大学)
タイトル:ルート系のゼータ関数:その起源と現状
アブストラクト:「ルート系のゼータ関数」の語が初めて世に現れたのは、福岡で 2006 年に開催された国際研究集会の報告集 (2007) に掲載された、小森靖氏、津村博文氏と私との共著論文においてでした。その後、関数関係式の理論などを中心に研究は大きく進展し、2023 年、その時点までに得られた知見をまとめた著作を、再び同じ3名の共著として Springer 社から出版することができました。この著作によってルート系のゼータ関数の理論の基礎を展望することは今では容易になったと思います。今回、この理論について総合報告をさせていただけることは大変時宜に叶う機会と考えます。
本講義の前半では、ルート系のゼータ関数の着想に至る「前史」を、Barnes 型、Euler-Zagier 型、Witten 型など種々の多重ゼータ関数の研究の流れを追いながらご説明し、私自身が関わっていく経緯についてもエピソードなども交えてお話しして、草創期の状況を再現したいと思います。
ルート系のゼータ関数は Witten のゼータ関数の多変数化と見ることができますが、多変数化することによって解析的扱いに自由度が増し、解析接続などが見通しよくできるようになります。またルート系のゼータ関数に対しては表現論が有効に適用できます。特に Weyl 群の作用を考えることで関数関係式の一般論が展開できます。こうした話題は上記の著作に詳しく書かれていますが、講義の後半では時間の許す範囲でその概要をお話しし、若い世代の研究者の方々による最新の発展についても、可能であればご紹介したいと思います。
加藤正輝(立命館大学)
タイトル:p,q-多重ポリログ, 対称函数, 離散可積分系
アブストラクト:多重ポリログは数論をはじめ多くの分野に現れる重要な特殊函数です。本講演では、その p,q-変形、Schur函数等の対称函数、そして団代数やルート系と深く結びつく離散可積分系の3者を繋ぐ視点について概説します。
まず、p,q-多重ポリログを導入し、その基本的性質(通常の多重ポリログとの関係、q-差分関係式、シャッフル積公式など)を紹介します。次に、Schur函数の基本的性質やその擬対称函数との関係を復習した上で、p,q-多重ポリログを用いたSchur函数の類似物(Schur型p,q-多重ポリログ)を構成します。最後に、可積分系において重要な概念である τ函数を紹介した後、Schur型p,q-多重ポリログの満たす双線形方程式を導出し、既知の離散可積分系との関係を議論します。
赤木亮太(名古屋大学)
タイトル:団代数とルート系
アブストラクト:団代数 (cluster algebra) は, 2000年頃に Fomin と Zelevinsky によって導入された可換環のクラスである. この代数構造は「団変数 (cluster variable)」と呼ばれる有理関数と「変異 (mutation)」と呼ばれる局所的な変換操作によって記述され, 非常に豊かな組合せ論的構造を有している. 特に近年の研究により, 団代数理論の中で「cベクトル」と「gベクトル」という幾何学的量が本質的役割を果たし, それらはルート系の類似として捉えられることが分かってきた. 実際, 一部のクラスにおいては, 団変数とルートの間に具体的な対応が存在することが知られている ([Speyer, Thomas, 13], [Reading, Speyer, 11, 16], [Seven, 15, 19], etc.). 本講演では, まず団代数の基本的な定義と重要な性質を簡単な応用例を交えて紹介し, 続いて特定のクラスにおいてルート系の類似構造がいかに出現するのかについて概説する.
本研究集会は以下の科研費の援助を受けています.
研究活動スタート支援 25K23338(代表者:戸次鵬人)
若手研究 24K16901(代表者:松坂俊輝)