講師: 糟谷明範さん Sync Happiness 代表
2025年11月7日開催しました
📚 『境界線を曖昧にする ─ケアとコミュニティの関係を耕す』出版記念トーク
☕ 境界をゆるめる珈琲の秘密
― 糟谷明範さんと味わう、“ゆるいつながり”の時間 ―
▼日時
11/7(金)19:00〜20:30(開場18:15)
▼探求テーマ
・「さりげなく隣り合うコミュニティー」とは?
・「境界線を曖昧にする」とは?
・「ゆるく淡いつながり」の意味と価値
■株式会社シンクハピネス
https://sync-happiness.com/
■FLAT the town STAND
https://flat-stand.com/
■糟谷明範氏 note
https://note.com/akinori_kasuya
■Amazon書籍ページ
境界線を曖昧にする ケアとコミュニティの関係を耕す 糟谷 明範 (著)
2025年11月7日、さくらガーデンのカフェスペースで「Happy Hour College(以下HHC)」が開かれました。
今回はSyncHappiness代表の糟谷明範さんをお迎えし、「境界をゆるめる珈琲の秘密」をテーマに開催しました。
参加者は理学療法士に支えられた経験を持つ方や、コミュニティづくりに関心のある方など。糟谷さんの穏やかな話しぶりに包まれ、会場には終始あたたかな空気が広がっていました。
糟谷さんは理学療法士としてキャリアをスタート。仕事をする中で患者さんから直接言われた言葉をきっかけに、医療者と患者、そして地域住民との関係を考えるようになりました。現在は府中市を拠点に、訪問看護・リハビリテーション事業やコミュニティ「たまれ」を運営、地域に自然に溶け込む医療のカタチを模索し続けています。
9月19日に『境界線を曖昧にする ケアとコミュニティの関係を耕す』を出版された糟谷さん。今回のHHCは出版記念イベントでもあることから、糟谷さんのこれまでの活動の紹介と、リビングラボ主宰でワークショップデザイナーでもある齋藤さんによる「境界線」についてのワークショップを行う流れで開催されました。
糟谷さんが病院で働く中で感じてきた“医療者と患者の距離”への違和感。白衣を脱いだ関係性のほうが、もっと自由に思いを交わせるのでは?」という思いが、活動の原点になっているそうです。
その考えから生まれたのが、多磨霊園駅前の「たまれ」。カフェやアトリエ、訪問看護の事務所など、いろんな人が出入りする小さな拠点で、ゆるやかなつながりが日常の中に育っていきます。
糟谷さんは、つながりを「作る」よりも、「育つのを見守る」ものとして捉え、距離感や心地よさを大切にしているのが印象的でした。
国立駅前にコーヒースタンドを設置して実験した“声をかけずに待つ”つながりづくりの話も。無料のコーヒーや置かれた本、伝言板などの小さな仕掛けが、人の歩み寄りをそっと促す様子が語られました。
全体を通して、「自分と誰か」「私と社会」のあいだにある線を少しゆるめてみると、見える景色が変わる——そんな気づきが静かに残る時間でした。
FLAT STAND HPより転載
HHC後半は、人と人の間にある境界線を表現するワークショップを行いました。参加者それぞれが考える、“距離の取り方”や“関わり方の温度” が自由に表現されていました。
「無理につながろうとしなくていいと思えるようになった」「境界線を曖昧にせず、しっかりあっても別にいいのではないか」など、それぞれが自分の暮らし・仕事・コミュニティの中で感じている“ちょうどいい距離感”を、可視化する時間になっていました。
HHCでは、毎月こうした出会いや気づきが生まれています。次回はぜひ、足を運んで見ませんか?是非一緒に楽しみましょう。
人間関係を考える、人間関係で悩むことが多い私。考える内容で大きな割合を占めていたのは「以前お世話になった人に、連絡をしていないことで心に湧き上がる「罪悪感」でした。かれこれ20年近く、悩んでいました。
現在私は、大阪在住時にお世話になった人と、あまり連絡を取れていません。大阪の時はほぼ毎日話していたのに、離れてしまったら連絡を取らなくなる。少し忙しくなって、目の前の人に入り込みながら、昔の付き合いがおざなりになっていることがふと頭をよぎり、目の前の人にも集中し切れていない状態が続いていました。
昔の付き合いがおざなりになっていることが「不要になった途端にその人(との関係)を切っている」感覚があって、今の人にも真正面から向き合えていない――。私は本当に最低な人間だと思い続けていました。
でも糟谷さんの本の中にはきちんと「必要な時だけつながる」ゆるいつながりの概念が存在していたんです。それを読んだときになんだか許された気持ちになりました。かれこれ20年くらい感じていた、針で心臓をそっと撫でられるような、少し痛くてせつない感覚から解放された気がします。
「思い出すだけでもいいんだ、連絡を取っていないだけで、関係は切っていない」と思えるようになりました。
ワークショップで糟谷さんに「それでいいんです」と言ってもらえただけでも、参加した意味があったなあ…。