宇宙の起源と構造を探るための観測は、極めて微弱な天文信号の精密な検出に依拠しています。しかし、これらの信号は、銀河系や系外天体からの強い電磁波放射に加え、地球の電離層の影響を受けることで「前景放射」として観測に混入し、本来の宇宙信号を覆い隠してしまいます。
このたび私たちは、こうした観測上の根本的課題に挑むべく、「前景放射科学の創設」を掲げた小規模研究会を開催いたします。本研究会では、宇宙物理学・地球物理学・計算科学・情報科学の分野を横断的に結び、銀河磁場と地球電離環境の理解を統合することで、CMB偏光や宇宙再電離期の21cm線といった初期宇宙信号の検出精度を飛躍的に高めるための議論を行います。また、銀河磁場の3次元モデルの構築が、超高エネルギー宇宙線の起源解明に資する新たな基盤となることも視野に入れ、今後の学術領域としての可能性についても検討します。
分野を越えた協働によって、初期宇宙の未解明問題に挑むための新しい研究の種を蒔く場となれば幸いです。ご多忙の折とは存じますが、ぜひご参加・ご議論賜りますようお願い申し上げます。
■日時:2025年9月18日(木)-19日(金)
■形式:対面・ハイブリッド
■会場:名古屋大学 ES総合館635 (Zoom URLは別途ご案内します)
■講演者(予定):石野宏和(岡山大)、土井靖生(東京大学)、高橋慶太郎(熊本大学)、秦和弘(名古屋市立大学)、市來淨與(名古屋大学)、町田真美(国立天文台)、中田裕之(千葉大学)、有働慈治(神奈川大学)、竹内努(名古屋大学)、赤堀卓也(国立天文台)、岩田悠平(国立天文台)