プロジェクト参加希望若手研究者随時募集中
2026年6月18日に東京大学本郷キャンパスでフェムト量子セミナーシリーズ第2回を開催しました。
2026年6月10日に東京大学本郷キャンパスでフェムト量子セミナーシリーズ第1回を開催しました。
2026年4月3, 4日に東京大学本郷キャンパスにおいてキックオフ会議を開催しました。
2026年4月2日に東京大学本郷キャンパスにおいて若手向け講義を開催しました。
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私たちの体や身の回りの物質は、どこから生まれ、どのように現在の姿になったのか。この問いは、現代物理学における根源的な課題の一つである。本国際共同研究は、その答えを探るために、髪の毛の太さの約1兆分の1という極微の世界、フェムトメートル(10⁻¹⁵ m)スケールに踏み込む。このスケールでは、物質は量子力学に支配された全く異なる姿を示し、粒子が集団として振る舞うフェムトスケール量子多体系が現れる。
物質の世界は、観測する大きさによって主役となる自由度が変化する階層構造を持つ。本研究では、フェムトメートルの世界に現れる次の3つの量子多体系(右下図)に注目し、それぞれを我が国が牽引する3つの国際共同実験によって調べる。すなわち・・・
高温・高密度の極限状態では、物質の最小構成要素であるクォークが自由度の主役となり、クォーク多体系が形成される。この量子系は、CERNで行われている ALICE 実験 により研究され、初期宇宙に存在した高温物質の性質を明らかにする。
原子核の世界では、陽子や中性子、ハイペロンといったバリオンが集団として振る舞い、バリオン多体系が現れる。この量子系は、米国の Jefferson Lab(JLab)実験 によって精密に調べられ、原子核物質の構造と相互作用の理解を深める。
クォーク同士を結びつける強い力を担うグルーオンの集団的な性質は、グルーオン多体系として発現する。この量子系は、今後本格稼働する Electron-Ion Collider(EIC)実験 によって初めて精密に探究され、物質内部における力の起源に迫る。
これら3つの量子多体系は、互いに独立した存在ではなく、ミクロな物質を異なるスケールと視点から見た姿である。したがって、それらの関係性を統合的に理解して初めて、「物質の起源と進化」に迫ることが可能となる。
本研究では、3つの国際共同実験と理論研究が緊密に連携し、個々の成果を横断的に結びつける。これにより、量子多体系に共通する普遍性と、その違いが生じる物理的機構を明らかにし、従来の枠組みを超えた新たな物理学、すなわち「フェムト量子多体系物理学」の創成を目指す。
本国際共同研究は、科学的発見の創出にとどまらず、人材育成においても重要な役割を果たす。ALICE、JLab、EICという異なる実験を横断し、実験と理論を結びつける研究経験を通じて、若手研究者は広い視野と国際的な感覚を身につけることが可能である。
フェムトメートルの世界を舞台に、物質の起源と進化を解き明かすと同時に、将来の国際研究を牽引する「量子時代に輝く研究者」を育成することが、本研究の大きな目的である。