標記フォーラムにご登録・ご参加いただき、誠にありがとうございました。
ご参加頂いた皆様からアンケートを通じて貴重なご感想やご意見を頂きました。
今回、その一部をご紹介させて頂きます。
皆様の取り組みの参考にしていただけますと幸いです。(2025.4.4 NAIST DSC)
■開催の概要:
第1回NAIST電子ラボノートフォーラム http://www-dsc.naist.jp/dsc_naist/eln-seminar-20250311/
実施日: 2025年3月11日(火)13:00~17:30
開催場所:奈良県コンベンションセンター
参加者数:総計132名
■フォーラム参加者内訳
・企業所属の方 72名(55%)
・研究機関 6名( 5%)
・学生 5名( 4%)
・大学等教職員 49名(37%)
第1回NAIST電子ラボノートフォーラム 会場の様子(プライバシー保護のため画像をぼかしています)
■アンケートについて
1.アンケート期間 2025年3月17日~3月25日
2.対象者 参加登録者全員
3.アンケート形式 無記名、回答は任意で行った。
※インターネットで集計(https://forms.gle/8DwaLQ8CyZduAK3P7)
4.回答者数 46名(3/25時点)
5.注意事項:コメントについては代表的なものを抜粋しています。
また、個人の特定を避けるため適切に加工させて頂いております。
■結果
1.ご入力者についてお教えください
2.今回はフォーラムに参加されましたか?
3.講演等についてのご意見やご感想等がありましたらご記入ください。
3-1
フォーラム開催の目的 (リサーチトランスフォーメーション(RX)によるパラダイム変革への本学の取り組みについて紹介): 船津公人氏(NAIST教授)(回答数=17)
・RXサイクルを土台とした情報の共有の中核に電子ラボノートによるデータの統合と管理があるという点がとても興味深かった。
・RXによるパラダイムシフト。特に人とデータを分離する。というコンセプトが良く理解出来ました。
・データのデジタル化にあたり、目的意識をきちんともって取り組むことが大事だと再認識できた。
・「使わない理由を考えるより、使うことによる価値を語ろう」という言葉に感銘を受けた。
・他の大学にもこの取り組みが広がることを期待しています。
3-2
講演1 NAISTにおけるRXプラットフォーム構築事業および、電子ラボノートの取り組みについて:藤井幹也氏(NAIST 教授)
(回答数=20)
・ELNによるデータ蓄積とAPIによる活用という概念自体は知っていたが、実例を聞けたのは参考になった。
・大学の各部署でのELNに対する取組がはじまっており,うまく活用できていることがわかりました
・国内・海外での電子化の現状をご紹介いただけてよかった。
・海外の取り組み対しての日本の取り組みの遅さや危機感が伝わってくる内容で、企業人としては非常に共感できる内容でした。
・LLM(大規模言語モデル)とELN(電子ラボノート)の連携に興味を持ちました。
3-3
講演2 eLabFTWの開発経緯/特徴、海外(欧州)での導入/活用事例、電子ラボノートの将来展望 等:Nicolas Carpi氏(Deltablot社CEO)
(回答数=20)
・eLabFTWは実験結果だけでなく、リソースの管理もできること、オープンコミュニティがあることなど、とても便利だと感じました。
・非常に面白い内容でした。APIが充実していることはかなり魅力的でした。
・PubChemと連携した材料検索機能(次期バージョンで実装予定)の話を聞けたのが良かった。早く使ってみたい
・日本の民間企業での導入という観点では難しさも感じましたが、一方、コストの点で凄く魅力的なので継続してウォッチしたいと思います。
・現状での機能と今後の開発方針,サポート内容等について理解できました.
・欧米での運用実態とその背景を理解できた。
3-4
講演3 電子ラボノートを用いた研究活用:高須賀聖五氏(NAIST 助教)
(回答数=21)
・電子ラボノートを実際にどういう手順で導入されてきたかが知れてよかったです。電子化に関して、社内でもなかなか活用に前向きでない人はいると思いますが、そういう人たちに対してはまずは便利そうに使ってみる姿勢を見せることが大事なのかなと思いました。
・実際の導入経緯や、その際の選定基準など非常に参考になった。
・情報共有されてしまうという心理的ハードルは、現在私たちがが直面している懸念点であるため、データを蓄積する文化を大学が作るというのが重要と再認識しました。
・NAISTでeLab-FTWが普及・波及していく流れのご説明からヒントが得られました。会社内での役割分担として、当方の組織では研究員が全てやらないといけません。このあたりの変化を促進していくのが重要と思いました。
3-5
講演4 NAISTにおける実践的取り組み事例の紹介:赤瀬善太郎氏(NAIST 特任准教授)
(回答数=18)
・電子ラボノートの実際の活用例をいろいろお聞きできてよかったです。なお誰が見ても分かるようにするために、データの命名法のルール化が重要になると思いました。
・ドライラボにおける具体的な活用例が拝聴でき参考になった。
・「ここを見れば全てのデータが揃う」といった理想状態への取り組みの一旦を垣間見る事が出来ました。
・日報としての活用のお話しなど、活用事例を知ることができた。
・ブログに似ているという印象は興味深かった。
3-6
講演5 ARIMデータ共用事業の現在と将来展望:松波成行氏(国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS) ARIMセンターハブ長)
(回答数=17)
・ARIMの仕組み、位置づけを俯瞰的に理解できる良い機会だった。
・共同機器の取り組みやデータ共有の方針について知ることができ良かった。機会があれば活用したい。
・研究機関だからこそできる画期的な取り組みだと感じました。
・日本の研究支援の体制という立場での展開予想が聞けて良かったです。
・「将来オペレーション技術者の絶対数が不足する」という話は、物流問題に比べてあまり危機認知が広がっていない印象があり、こちらの組織でも問題提起しようと思いました。
・ARIMのデータ蓄積と電子ラボノートがうまく統合できると、ARIMのユーザにより良い環境を提供できるだろうなと感じました。
3-7
講演6 画像認識を用いた化学実験の認識と記録:藤波美起登氏(早稲田大学 理工学術研究院 次席研究員)
(回答数=22)
・ロボットに人の実験操作を見せたら、それを真似して実験してくれる…そんな未来を想像しました。
・機械学習による物体検知と追跡で実験フローを自動記録するというのはとても斬新だと思いました。
・センサを結合した電子ラボノートの自動記録システムへの取り組みが大変興味深かったです。
・新しいアイディアが浮かぶとても刺激的な内容でした。
・取り組みは面白く継続的に状況を伺いたいと感じました。
・「記入自体が面倒」という意見は時折聞くので、それが自動化できるなら便利になると思う。
・この技術にはびっくりしました。ぜひサービスを横展開できる体制を検討いただきたいです。
3-8
パネルディスカッション テーマ:データ管理と共用、実験現場での活用、データベースプラットフォーム(ARIM等)との連携、電子ラボノートの将来展望 等 (司会:冨谷茂隆氏(NAIST 教授)、パネラー:藤井幹也氏/Nicolas Carpi氏/松波成行氏/藤波美起登氏)
(回答数=11)
・今後の電子データの扱われ方、特にどんなデータが重要で保存しておくべきか、という議論がとても印象に残っています。すべてのデータを残すことができればよいのですが、ストレージにも限りはあるので、取捨選択についても今後検討していく必要があるなと考えさせられました。
・本当にすべての分野で共通言語と共通のフォーマットを定める事ができるのか?或いはデータ共有をしてくれる人に対するインセンティブは十分検討されているのかという課題があると感じました。
・チャンピオンデータ以外のデータは、社内でもなかなか共有されにくいことが課題と感じています。まずは自分から、積極的に活用しようと改めて感じました。特許・知財の観点は企業にとってとても重要だと思うので、公的に記録が残る、というメリットをしっかり考えて、電子ラボノートの活用を続けていこうと改めて感じました。
・パネルディスカッションにより、各講演の理解が深まりました。
・皆さんの意見がほぼ一致しており、研究現場の変革が必然的と認識を深めました。
3-9
通訳((株)サイマル・インターナショナル社)についてはいかがでしたか? ご意見やご感想等がありましたらご記入ください。
(回答数=19)
・とてもスムーズでわかりやすかった。
・専門性の高い内容でもスムーズに訳されていていました。
・時折演者の方と会話しながら翻訳されていたのが新鮮で、それがよりよい翻訳に奏功していると感じました。
・的確な通訳で,理解しにくかった箇所の理解が進みました。
4.あなた(又はあなたの所属の組織)は現在電子ラボノートを使用していますか?
(回答数=46)
5.電子ラボノートを使用されている方に質問です。差支えなければどのようなものを使用されているかご記入ください
(回答数=15)
6.電子ラボノートにどの程度関心がありますか?
(回答数=46)
7.電子ラボノートをどのような場面に利用したいと考えていますか?
(回答数=33)
・実験データの保管場所としての利用や、自分の考えも含めて記録を残せる場所として利用したいです。
・実験データの電子化/一元化/構造化することでインフォマティクスを加速
・紙の実験ノートの廃止、ELNからのデータ抽出とMIなどの利活用
・ルーチンワーク以外の作業の自動記録(カメラ、音声等と同期)
・情報共有、脱属人化
・試料管理、学生実験の進捗状況管理
8.電子ラボノート実装において困っていること がありましたらご記入ください。
(回答数=24)
・紙の迅速さ・柔軟性にどうしても勝てないこと/データ容量が重くなると開くのに時間がかかること/チーム内でも活用具合に個人差があること/実装に対し、データが消えないか?セキュリティは?等のデメリットがどうしても気になって活用に踏み切れないことがあること/「自分のやり方」が個人にあるので、それを変えてまで活用を進めたいと思う人がどれだけいるか? 等
・蓄積したデータの整形・標準化・集計・その自動化
・実装環境などの構築方法に疎いこと(サーバーのたてかたなど)。
・使用に前向きではないが、その人に使ってもらわないといけない場合にどのようにアプローチしていけばよいか
・バックアップなどにsql関連の知識が必要なこと。
・クラウド利用が制限されているため、システムを自前で用意、管理しなければならない点に躊躇している。
・(一般的には)テンプレートの汎用性が無い事。材料開発では、分野が異なると分析装置や測定データが異なります。しかも、顧客の状況変化で開発ターゲットが変わるとテンプレートが変わります。
9.本フォーラムの全体をとおして、お気づきのことやご提案(次回企画で盛り込んで欲しいトピックス)などがありましたらご記入をお願いします。
・容量の大きいデータの取扱い、電子ラボノートの便利さを伝えるためにどうすればいいか?、フォーマット化の考え方 等聞けると助かります。
・発表しにくいかもしれないが、企業における実用例などもあればとても参考にしたい。
・データマネジメント教育、機器データとの連携
・全体的に紙との比較が多かったが、こちらではむしろExcelの活用が広がっており、そういった既存の電子化手法との比較がもっと聞きたい。
・発表スライドについて差し支えない範囲での公開(配布)
・入力簡便化の取組みのデモ、LLMとの連携
・民間企業の悩みや課題を取り扱っていただけると個人的には参考にしたいです。
・できれば懇親会のような場を設けていただけますと今後のコネクション形成が容易になりますのでご検討いただければと思います。
・(これからのユーザ向けの)より平易なところからの説明
・もう少しゆったりとした会場が良かったと感じました。
・パネルディスカッションでも話が出たと思うが、膨大なデータ量(テラバイトかそれ以上級)の実験が今後たくさん行われるようになることが予想されるが、それにどう対応していくか?
・企業側の観点でも電子実験ノートは非常に興味深いトピックになっているので産学連携も視野に入れたセッションをしていただけると助かります。
まとめ
皆様より多数の貴重なご意見等を頂きありがとうございました。
今回お寄せいただきましたアンケート結果をもとにして、
今後のフォーラム開催に活かしていきたいと考えています。
【お問い合わせ先】
奈良先端科学技術大学院大学(NAIST) データ駆動型サイエンス創造センター(DSC)
TEL:0743-72-5393 e-mail:dsc-info[at]dsc.naist.jp