このサイトは著者である原由利子が作成した書籍サイトです。書籍の巻末で紹介した「おすすめ情報」にアクセスしやすいようにリンクを張りました。書籍に掲載しきれなかった情報も追加していますのでご覧ください。様々な情報や人につながる一つのきっかけになれば幸いです。
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・Amazonの「人権問題」カテゴリーの中で、「ギフトとしてよく贈られている商品」1位になりました(2024.2.23 / 4.26 etc)。
・下地ローレンス吉孝が選ぶ、「差別」を考えるための「はじまりの5冊」【GQ VOICE】で紹介されました。
・「Saaの読書メモ」で紹介されました。
「そもそも人類は一つの種で、人種は存在しないって知ってた?」
「なのになんで人種差別がつくられたと思う?レイシズムって聞いたことある?」
「海外の人種差別主義者や団体は、日本を理想の国と賞賛しているって知ってた?」
大学生になった姪っ子に質問すると、「まじ?なにそれ?聞いたことないし」という反応でした。
関心の有無にかかわらず、レイシズムは近代から現代の世界をゆるがす重大事です。
レイシズム(Racism)とは、一言でいえば、人間にはRace(人種の他、民族・出自など)によって優劣があり、その優劣は肌の色のように運命的で不変という神話です。近代に、帝国とよばれた欧米列強は、他の人種・民族や国を植民地支配し搾取しましたが、その行為を正当化させたのがレイシズムでした。「文明をもつ優秀な人種・民族が、野蛮で未開な人種・民族を支配し、指導するのは当然で自分たちの使命」としたのです。劣等集団に交わると劣化するとして分離され、国民がレイシズムを支持すれば、劣等集団に差別的な法制度がつくられ、行きつく先は劣等とみなした集団の虐殺であり戦争でした。
「野蛮」とみなされた日本は、植民地支配されないよう生き残りをかけて明治維新をおこない、身分制度を廃止し、近隣の先住民族を同化し、台湾・朝鮮などを植民地支配し、帝国の仲間入りをしました。日本が列強の後を追い国家を拡張発展させていった歴史は、日本のレイシズムの歴史でもあったのです。
歴史の負の側面がまるで「なかったこと」のように見過ごされていることで、差別は継続し、法制度の中に温存し、差別をうけてきたマイノリティへのレイシズムはエスカレートし、ヘイトスピーチ(差別扇動)も激しさをまして深刻な状況になっています。
日本の人種・民族・出自差別をなくすために、まず私たちにできることは、日本のレイシズムの歴史をひもとき、私たちの社会がなにをしてきたのか、差別を受けてきた人びとがどう声をあげ、行動してきたかを知ることです。歴史をひもとけば、気づかずに人の足を踏んだままになっている、私たち全員につながる課題であることに気がつくでしょう。
本書では、日本の人種・民族・出自差別をなくすための具体的な処方箋、他国の実践例、私たちにできることを具体的に示し、気づいた勢いで自分にできることをやってみることを勧めています。
日本が外国人の受け入れを拡大している今こそ、私たち一人ひとりが、この古くて新しい課題に目をむけ、これからどんな社会をつくっていくか、自分たちの課題として取り組むチャンスです。
日本社会がこれまで直視してこなかったレイシズムを克服し、人種・民族・出自差別をなくしていけるかどうかは私たち次第です。今できることはなにか、共に考え、行動していきましょう。
原 由利子
はじめに 2
第1章 レイシズムってなに?
Black Lives Matter が問いかけていること 10
レイシズムは、なぜつくられたのか 13
神話であり差別であり政治的・社会的システムであるレイシズム 18
ドイツのナチス政権によるユダヤ人などのジェノサイド 19
アメリカでの奴隷制度と南部の人種隔離政策 22
南アフリカでのアパルトヘイト 24
つくられた「人種」、利用され拡大していく「人種」 25
当事者による権利獲得の闘いとレイシャルハラスメント 28
差別や暴力を扇動するヘイトスピーチ・ヘイトクライム 29
非対称的な力関係にあるマイノリティとマジョリティ 30
現代的レイシズムの信念 32
人種差別ってなに? 33
多くの人が見ているもの、見えていないもの 35
第2章 被差別部落の人びとへのレイシズムの歴史と現状
身分制度と移り変わりゆく境界 40
水平社宣言から差別撤廃への100年の運動 43
深刻な結婚差別と身元調査 46
インターネットで再生産される部落差別 47
犯人視・冤罪との闘い 再審が必要な狭山事件 49
第3章 アイヌ民族へのレイシズムの歴史と現状
日本の歴史と並列する隣人の歴史 52
植民地化されたアイヌモシリ 53
差別的な旧土人保護法からアイヌ文化振興法へ 56
先住民族としての公的認知 57
アイヌ民族に対する存在否定と攻撃 59
第4章 琉球・沖縄の人びとへのレイシズムの歴史と現状
琉球併合された琉球王国の人びと 64
「国内植民地」と呼ばれ「リキジン」と差別された時代 65
犠牲を強いられつづけた歴史 67
琉球・沖縄の人びとの自己決定権と沖縄ヘイト 70
第5章 在日コリアンへのレイシズムの歴史と現状
中国や朝鮮半島から学び、交流してきた日本の歴史 76
朝鮮や台湾などを植民地にした近代 77
「日本臣民」から「外国人」となった在日コリアンの戦後 82
在日コリアンへの制度的差別と社会的差別 86
歴史認識と近隣諸国との関係とヘイトスピーチ 88
政治空間に広がるレイシズム 96
第6章 在日外国人へのレイシズムの歴史と現状
40 年以上にわたる移住労働者の受け入れ 98
外国人技能実習制度の拡充と新たな外国人受け入れ政策 102
外国人住民への人種・民族・出自差別 106
イスラム教徒(ムスリム)への偏見と誤解 108
認識されていないレイシャルハラスメント 110
1%未満の難民認定率とウクライナ(避)難民の受け入れ 110
外国人の非人道的長期収容問題 112
第7章 日本のレイシズム・人種差別の課題
レイシズム・人種差別の近代史から見えてくること 116
レイシズム・人種差別の現代史から見えてくること 118
レイシズム・人種差別の近現代史から見えてくること 120
マイノリティの文化の尊重と積極的差別是正 124
人種差別をなくす人権基本インフラの欠如 125
政治決定・法制度の中の差別を見抜く力 127
なぜ白人至上主義者・レイシスト、極右政治家が日本にあこがれるのか 128
日本版「多くの人が見ているもの、見えていないもの」 131
第8章 国際基準に照らし示される「人種・民族・出自差別をなくす処方箋」
歴史の教訓から生まれた国連と人種差別撤廃への取り組み 134
人種差別撤廃条約に照らして求められる日本の行動 135
国連のディエン特別報告者の訪日調査が問いかけていること 139
レイシズムに向き合い議論した国際社会 141
人種差別と女性差別の交差・複合 女性差別撤廃委員会日本審査 143
第9章 世界各国の取り組みにつづこう
各国の人種差別禁止法、ヘイトスピーチ規制 150
日本で「Japanese Only」が違法な場所 155
真のダイバーシティと多文化共生への鍵、インクルージョンとエクイティ 157
切磋琢磨する各国の国内人権機関 160
負の歴史との向き合い方と歴史教育 161
忘れない意思を形で示す記憶の文化 164
先住民族への謝罪 166
第10章 私たちにできること
知る、気づく、そして行動へ 170
アンチレイシストベビーとして育つ 171
マイノリティ当事者の声や人生にふれる 172
「個人がメディア」の時代にできること 173
ヘイト・差別サイト・動画・投稿の通報 174
学校でできること 175
あらゆる団体・職場・企業でできること 176
レイシャルハラスメントEラーニング研修・無意識バイアス研修 178
私から私たちの取り組みへ 179
公正な社会に向けて政治に参加する 181
生き方のOSをバージョンアップする 184
「#レイシズムなくす」 友の足音を聞きながら 186
あとがきにかえて 188
レイシズムをなくすためのおすすめ情報 192
おすすめの教材 194
おもな参考文献/もっと知りたい人へおすすめの本 195
高校時代、剣道部の親友と話していたとき、「日本は単一民族国家やもんね」という私の一言に、「なん言いようと? アイヌとか在日の人とかおるやん」と指摘され、ハッとしたことを今でも覚えています。
大学を卒業して建設会社に勤務していた90年代にアメリカに転勤し、海外から日本を相対的に見る視点を得たように思います。2年半の駐在を終えて福岡に帰ったとき、自分たちが望む社会をつくっていこうとするNGOの活動に興味をもち、仕事の傍ら人権、女性、開発関係のNGO活動に参加しました。中でもマイノリティや女性に対する暴力の問題が心に残り、イギリスの大学院で理論と実践の人権学を学びました。
ジュネーブでの国連の人権会議にNGOのインターンとして参加していたときに、国際人権NGOの「反差別国際運動(IMADR)」(ジュネーブ事務所代表として活躍していた今は亡き田中敦子さん)と出会い、ジェンダーとレイシズムの交差への取り組みに共感し、院を卒業して帰国後、IMADRの職員になりました。差別とレイシズムの撤廃をめざすIMADRのスタッフとして16年間、最後の7年は事務局長として活動しました。
私が本書を書いた理由は3つあり、1つはIMADRで学んだことをだれかにつなげたいとの思いからです。
IMADRでのさまざまな活動を通しての一番の財産は、国内外のマイノリティ当事者との出会いです。活動を通して、また食卓をともにしながら多くの気づきを得ました。その中で痛感してきたのは「マイノリティとマジョリティ(主流社会の人びと)では見ている風景がちがう」「マイノリティに見えているものがマジョリティには見えていない」ということでした。その結果、マイノリティは差別されてきた歴史や現状を何度もくり返し、社会に説明しつづけなければなりません。差別をなくすために抗議の声を発すれば、その百倍の憎悪の反撃を覚悟しなければなりません。あるとき、一緒に活動してきた在日コリアンの女性に、「もう言うの疲れたわ~。なんぼ言うても届かへんのやもん」と苦笑いしながら言われたことがずっと胸に残っています。政府への要請行動の準備をしている最中でしたが、それはサイレントマジョリティといわれる普通の人びとに届かない、という意味でもあったと思います。「マイノリティが声を発しつづけなくてもいい社会にしたい、これまで自分がもらってきたバトンを未来につなげていきたい」という思いで本書を書きました。
2つ目は、本当に差別をなくしていけるのはだれかという結論が、一人ひとりの普通の人びとだったからです。活動をはじめたころは、政府との意見交換会で、「外国人お断り」の問題を取り上げても、「それは営業の自由との関係もありますので」と言われたり、あからさまな人種差別の実例をあげても、「憲法では差別されないと定めている」と言われ話がかみあわず、差別をなくすには政府を変えるしかないと思っていました。
しかし、実際は、立法府が人種差別を禁止する法律をつくっていないことで、行政府はそうした立場を維持するしかないのではないか、鍵を握るのは立法府を構成する国会議員だと気づいたのです。
国会議員向けの集会、議員への要請、国会での質問要請、ヘイトスピーチ規制に関するアンケート調査など、さまざまな働きかけをしてきました。しかし、国会議員は常にマスコミの報道と世論の動向を見て仕事をしています。そのため、マスコミ向けの記者会見なども開いて、国内外の最新情報の提供をしてきました。しかし、メディアも人びとの関心に添って情報を発信します。結局、世の中の人びとの意識が変わらなければ、政府も国会議員もメディアも変わらないのだと思い知りました。
政府にも国会議員にもメディアにも、人種・民族・出自差別をなくさなくてはと思っている人がいます。でも、それを支持し、積極的に後押しする市民が圧倒的に足りないのです。日本では、差別の問題は、ほかの社会課題以上に取り上げられにくい上に、レイシズムの課題で見た通り、歴史を通して国家とマイノリティとの立場は対峙しているため、本当に差別をなくしていけるかどうかは、一人ひとりの声にかかっています。
3つ目の理由は、反差別国際運動(IMADR)での仕事の傍ら、20年近く、2つの大学で非常勤講師をする中で、大学生が基本的な歴史や現状をほとんど知らないことを痛感していたこと、知れば意識が変わり、「学んでいこう、自分にできることをやっていこう」と思う感性と現実を変える力があることを確信していたからです。また年齢や社会的立場をこえて、日本のレイシズム、人種・民族・出自差別をなんとかしたいと思う人びと、既に行動している人がなんらかの形でつながり、その取り組みが可視化され、差別をなくす波が幾重にも重なり広がることを願ったためです。
私の夢の1つは、日本中の保育園・幼稚園、小中高・大学で、レイシズム、人種・民族・出自差別をなくすための基礎知識を学び考える機会が、ほかの差別の課題とともに設けられ、考える機会となる映画やドラマや小説などが今以上につくられ、ゲームもできて、差別をなくすために学び考え行動することが当たり前のことになることです。園では遊びや絵本などの教材を通じて、小中高校では学習段階にあった副読本やワークを通して、大学では気候危機、SDGsと同じように、持続可能な人類への課題として、学部を横断する教養科目の中に位置づけられ、国内外のフィールドワークも取り入れた学びが提供されることです。
学校・大学・地域の図書館や書店でも、隣国への差別扇動本ではなく、差別をなくす方に向かう本が、小説を含めてコーナーを設けられるなどして、だれもが手に取れるところに多数並ぶ環境が大切でしょう。
人類は20世紀の半ばには終えるはずだった戦争を、いまだにつづけています。過去の過ちをくり返さないための英知を身につけることこそ、世界に貢献していける道です。宮古島など琉球弧の島々へのミサイル基地建設に対して地元住民は「命どぅ宝 標的にするな」との旗を建てて反対しています。ミサイル基地づくりや軍備増強は、戦争をすることが前提の準備であり、準備をすればするほど周辺国の不審をまねき軍拡競争で戦争が近くなります。
もっとも大切なのは、戦争を未然に防ぐための平時の準備であり、あらゆるレベルでの不断の対話であり交流であり外交です。国際的なルールづくりをはじめ、やるべきことは山積しています。その中でレイシズム、人種・民族・出自差別をなくすための本書で示した取り組みは、もっとも地道にして確実な準備と確信します。
最後になりましたが、この場をお借りして、当初から原稿を何度も読んでアドバイスをくださった稲葉奈々子さん(上智大学教授)、小島優さん(ジェンダーと開発専門家)をはじめ、完成原稿をチェックしコメントをよせてくださった皆さまに心より御礼申し上げます。また、本書の企画の趣旨に賛同してくださった合同出版、とりわけ完成まで粘り強く伴走してくださった編集部の上村ふきさんに心より感謝申し上げます。
原 由利子
・ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク(のりこえねっと)
・対レイシスト行動集団(C.R.A.C.:Counter-Racist Action Collective)
・ウポポイ(民族共生象徴空間)国立アイヌ民族博物館含む(北海道白老郡白老町)
・平取町立二風谷アイヌ文化博物館、萱野茂二風谷アイヌ資料館(北海道沙流郡)
・沖縄県平和祈念資料館(沖縄県糸満市)
・沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)(沖縄県那覇市)
・水平社博物館(奈良県御所市)
・大阪人権博物館(リバティおおさか)(大阪)*休館中
・在日韓人歴史資料館(東京都港区)
・高麗博物館(東京都新宿区)
・ウトロ平和祈念館(京都府宇治市)
・アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(東京都新宿区)
・国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)
・ 舳松人権歴史館(大阪府堺市)など各地の人権資料館などは、「人権資料・展示全国ネットワーク」のウェブサイトに一覧あり
・Youtube「しとちゃんねる」(関根摩耶さんによるアイヌ語・アイヌ文化発信)
・ウェブ25 分動画「アイヌモシリ~アイヌ民族の誇り〜」(北海道庁のYouTube)
・Youtube「こぎつねTube」(在日コリアンなどへのインタビュー、こぎつねの家制作)
・ウェブ「冤罪 狭山事件」(石川早智子さんによるホームページ)
・ウェブ「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」
・ ウェブインタビューシリーズ「ニッポン複雑紀行」日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン、難民支援協会
・『〈寝た子〉なんているの? ー見えづらい部落差別と私の日常』上川多実著、里山社、2024年
・ DVD 全34 巻「部落の心を伝えたい」シリーズ、フルーク映像(自治体等の人権啓発センターや図書館などに所蔵)
・『アイヌからみた北海道150 年』石原真衣編著、北海道大学出版会、2021 年
・『あなたのルーツを教えて下さい』安田菜津紀著、左右社、2022 年
・『 わたしもじだいのいちぶです 川崎桜本・ハルモニたちがつづった生活史』康潤伊など編著、日本評論社、2019 年
・『家族写真をめぐる私たちの歴史 在日朝鮮人、被差別部落、アイヌ、沖縄、外国人女性』ミリネ編、皇甫康子責任編集、御茶の水書房、2016 年
・『映画でみる移民/難民/レイシズム』中村一成著、影書房、2019 年
・『まんがアフリカ少年が日本で育った結果』星野ルネ著、毎日新聞出版、2018 年(星野ルネtwitter)
・『 日本軍「慰安婦」問題 すべての疑問に答えます』「女たちの戦争と平和資料館」編、合同出版、2013年
・映画『福田村事件』2023年(森達也監督)
・映画『私のはなし 部落のはなし』2022年(満若勇咲監督)
・映画『破戒』2022年(前田和男監督)
・映画『標的の村(予告編2分)』2012年、『戦場ぬ止み』2015年、『標的の島 風かたか』2017年(三上智恵監督)、『沖縄スパイ戦史』(三上智恵・大矢英代監督)2018年
・映画『かぞくのくに』2012年、『スープとイデオロギー』2022年(ヤンヨンヒ監督)
・映画『花はんめ』2004年(金聖雄監督)
・映画『忘れられた皇軍(兵士)』(25分)1963年(大島渚監督)日本軍として戦場に派兵されていた在日韓国人のドキュメンタリー。
・映画『マイスモールランド』2022年(川和田恵真監督)
・映画『ワタシタチハニンゲンダ!』2022年(高賛侑監督 )
・『アイヌ民族:歴史と現在 未来を共に生きるために』(小学生用、中学生用)中学校の社会科の副読本。「アイヌ民族文化財団」のウェブサイトからダウンロード可。
・『多文化共生のためのシティズンシップ教育実践ハンドブック』(多文化共生のための市民性教育研究会編著、明石書店、2020 年)
民主主義の担い手づくりの教材。人種・民族・国籍など異なる文化をもつ生徒が教室に「いないこと」にされず、社会の担い手としてともに多文化共生の社会を模索する参加型学習ができる。学校のルールづくりなど、身近なところから学べる。教材のダウンロード可。
・『社会科における多文化教育 多様性・社会正義・公正を学ぶ』(森茂岳雄・川﨑誠司・桐谷正信・青木香代子編著、明石書店、2019 年)
社会系教科の授業で多文化教育をどう実践できるか、在日外国人や外国人の子どもの人権を考える授業実践事例などを掲載。
・『ともに学ぶ人間の歴史 中学社会歴史的分野』(安井俊夫著、学び舎、2015 年、2020 年)
中学社会教科書。時代を生きた人びとの姿、マイノリティ、女性と子どもにも光をあて、世界史と日本史が1つになり、東アジアや世界からの視点で学べる。全体の半分が近代と現代にさかれ、主権者として現代の課題にむきあう橋渡しにもなっている。大人が基本的な歴史を学び直すのにも最適。
・ 研修動画「なくそう! レイシャルハラスメント」多民族共生人権教育センター(進行役用マニュアルなど一式)、参考資料:人種・民族・国籍の違いに基づく差別の禁止を明示した企業行動規範等の一覧
・「 無意識(アンコンシャス)バイアスワークショップ」株式会社メルカリ
・ ビジネスと人権 eラーニング教材「人を大切に e ラーニングエッセンシャル版」アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)
・「 キャンパス・ヘイトウォッチ・ガイドブック」反レイシズム情報センター
・コミック「マコトはフェイクニュースにだまされない! マコトのようになるための7つのヒント」ファクトチェック・イニシアチブ
・『大学生がレイシズムに向き合って考えてみた 差別の「いま」を読み解くための入門書』一橋大学社会学部貴堂ゼミ生&院ゼミ生有志著、明石書店、2023年
・『日本の人種主義 トランスナショナルからの入門書』河合優子著、青弓社、2023年
・『人種主義の歴史』ジョージ・M . フレドリクソン著、李孝徳訳、みすず書房、2009 年・
・『レイシズム』ルース・ベネディクト著、阿部大樹訳、講談社、2020 年
・『レイシズムの変貌 グローバル化がまねいた社会の人種化、文化の断片化』ミシェル・ヴィヴィオルカ著、森千香子訳、明石書店、2007 年
・『レイシズムを解剖する 在日コリアンへの偏見とインターネット』高史明著、勁草書房、2015 年
・『レイシズムとは何か』梁英聖著、筑摩書房、2020 年
・『ナチス体制下におけるスィンティとロマの大量虐殺 アウシュヴィッツ国立博物館常設展示カタログ』ロマニ・ローゼ編、金子マーティン訳、反差別国際運動日本委員会、2010 年
・『人間の測りまちがい 差別の科学史〈上・下〉』スティーヴン・J . グールド著、鈴木善次、森脇靖子訳、河出書房新社、2008 年
・『入門・人種差別撤廃条約』村上正直著、解放出版社、2009 年
・『レイシズム ヘイト・スピーチと闘う 2014 年人種差別撤廃委員会の日本審査とNGO の取り組み』反差別国際運動日本委員会編、解放出版社、2015 年
・『人種差別に終止符を。 2018 年国連の日本審査とNGO の取り組み』反差別国際運動編、解放出版社、2019 年
・『サッカーと人種差別』陣野俊史著、文藝春秋、2014 年
・『ヘイト・スピーチとは何か』師岡康子著、岩波書店、2013 年
・『日本型排外主義 在特会・外国人参政権・東アジア地政学』樋口直人著、名古屋大学出版会、2014 年
・『レイシャルハラスメントQ&A 職場、学校での人種・民族的嫌がらせを防止する』金明秀著、解放出版社、2018 年
・『なくそう! 職場のレイシャルハラスメント』NPO 法人多民族共生人権教育センター編集・発行、2016 年
・『立ち上がりつながるマイノリティ女性 アイヌ女性・部落女性・在日朝鮮人女性によるアンケート調査報告と提言』反差別国際運動日本委員会など編、解放出版社、2007 年
・『日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書』外国人人権法連絡会編、外国人人権法連絡会、2016 年版〜2021 年版(毎年発行、同会ウェブにて販売)
・『民衆暴力 一揆・暴動・虐殺の日本近代』藤野裕子著、中公新書、2020 年
・『大学による盗骨 研究利用され続ける琉球人・アイヌ遺骨』松島泰勝、木村朗編著、耕文社、2019 年
・『差別する人の研究 変容する部落差別と現代のレイシズム』阿久澤麻理子著、旬報社、2023年
『入門 被差別部落の歴史』寺木伸明・黒川みどり著、解放出版社、2016 年
・『創られた「人種」 部落差別と人種主義(レイシズム)』黒川みどり、有志舎、2016 年
・『知っていますか? 部落問題一問一答 第3版』奥田均編著、解放出版社、2013 年
・『見なされる差別 なぜ、部落を避けるのか』奥田均著、解放出版社、2007 年
・『結婚差別 データで読む現実と課題』奥田均著、解放出版社、2007 年
・『よみがえる部落史』上杉聰著、社会思想社、2000 年
・『ネットと差別扇動 フェイク/ヘイト/部落差別』谷口真由美、荻上チキ、津田大介、川口泰司著、部落解放・人権研究所編、解放出版社、2019 年
・『アイヌもやもや: 見えない化されている「わたしたち」と、そこにふれてはいけない気がしてしまう「わたしたち」の。』北原モコットゥナシ、イラスト田房永子、303 BOOKS、2023年
・『知っていますか? アイヌ民族一問一答 新版』上村英明著、解放出版社、2008 年
・『戦後アイヌ民族活動史』竹内渉著、解放出版社、2020 年
・『先住民アイヌはどんな歴史を歩んできたか』坂田美奈子著、清水書院、2018年
・『アイヌ民族否定論に抗する』岡和田晃・マーク・ウィンチェスター編、2015年
・『日本と沖縄 常識をこえて公正な社会を創るために』反差別国際運動編、解放出版社、2016 年
・『沖縄について私たちが知っておきたいこと』高橋哲哉著、筑摩書房、2024年
・年表冊子「沖縄・米兵による女性への性犯罪(関連記事)」第12 版、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会、2016 年
・『となりのコリアン 日本社会と在日コリアン』在日コリアン研究会編、日本評論社、2004年
・『知っていますか? 在日コリアン一問一答』川瀬俊治・郭辰雄著、解放出版社、2014 年
・『裁判の中の在日コリアン日本社会の人種主義・ヘイトを超えて〔増補改訂版〕』在日コリアン弁護士協会編著、現代人文社、2022年
・『ヘイトデモをとめた街 川崎・桜本の人びと』神奈川新聞「時代の正体」取材班編、現代思潮新社、2016 年
・『ルポ京都朝鮮学校襲撃事件 〈ヘイトクライム〉に抗して』中村一成著、岩波書店、2014年
・『NO ヘイト!出版の製造者責任を考える』ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会編、ころから、2014 年
・『在日外国人 法の壁、心の溝 第3版』田中宏著、岩波新書、2013 年
・『ポッタリひとつで海を越えて 在日コリアンの生活史』小泉和子編著、合同出版、2024年
・『国家と移民 外国人労働者と日本の未来』鳥井一平著、集英社新書、2020 年
・『五色のメビウス 「外国人」と ともにはたらき ともにいきる』信濃毎日新聞社編、明石書店、2022 年
・『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』出井康博著、角川新書、2019 年
・『エルクラノはなぜ殺されたのか 日系ブラジル人少年・集団リンチ殺人事件』西野瑠美子著、明石書店、1999 年
・『忘却に抵抗するドイツ 歴史教育から「記憶の文化」へ』岡裕人著、大月書店、2012 年
・『言葉の力 ヴァイツゼッカー演説集』永井清彦編訳、岩波現代文庫、2009 年
・『アンチレイシストであるためには』イブラム・X・ケンディ著、児島修訳、辰巳出版、2021 年
・『アンチレイシスト・ベビー』イブラム・X・ケンディ著、渡辺由佳里訳、合同出版、2021 年
・『人種差別をしない・させないための20のレッスン アンチレイシストになろう』ティファニー・ジュエル著、DU BOOKS、2022年
・『マイクロアグレッションを吹っ飛ばせ やさしく学ぶ人権の話』渡辺雅之著、高文研、2021 年
・『真のダイバーシティをめざして 特権に無自覚なマジョリティのための社会的公正教育』ダイアン・J・グットマン著、出口真紀子監訳、田辺希久子訳、上智大学出版、2017年
・『多文化共生の実験室 大阪から考える』高谷幸編著、青弓社、2022年
・『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ著、新潮社、2019 年
この本は日本におけるレイシズムに関する複雑な情報がコンパクトにまとめられている貴重な1冊。読んでみて明らかになるのは、誰もレイシズムは自分とは無関係とは言えないこと。なぜなら レイシズムは文化価値の違いに由来した感覚的なものではなく、グローバル政治経済システムの問題に大きく関係しているから。つまり状況次第では、私達個々は差別する人にも差別される人にもなる得るということ。でも、レイシズムの本質がわかっても 私達 一人一人のレイシズムに対するスタンスは違う。。レイシズムをする/しないとという立場の違いはどこからきて、どんなプロセスが伴うのだろう? 知った後 どう行動するかというアンチレイシズム運動のあまり語られない次の段階にまつわる事柄についてもっと知りたくなるそういう本でもある。 2022.10.7
レイシズムに向き合うことは、人間の負の側面に触れることですから、苦しいことだと思います。誰もがあまり考えたくないと思うテーマかもしれません。しかし、その部分にあえて真摯に向き合うことでしか、この問題は解決しませんし、考えずに放置すれば悪化の一途を辿ってしまうのではないでしょうか。一人一人の小さな意識変革が非常に大切なのだと思います。この本は、その意識変革を促す大きな力を持っていると思います。社会が寛容さや包容力を失ってくると、人々はさらに余裕を失い、他人を思いやる気持ちさえ消えていってしまいます。その先に待っているのは、レイシズムを含む暴力的な社会だと思います。私たちはどのような社会で生きていきたいのか、自分に問いかけつつ、行動に移していく、そのきっかけをくれるのが、本書だと思います。 2022.10.8
読んでいくと辛い部分が多くありました。でも事実。知らなくても良いということにはならない内容です。子どもたちにも伝えたいです。大人はぜひとも読むべきです。2022.10.16
原 由利子
国際人権NGO「反差別国際運動(IMADR)」元事務局長。人身売買禁止ネットワーク世話人。元人種差別撤廃NGOネットワーク世話人。明治大学兼任講師。
創価大学卒業後、鹿島建設勤務を経て英国エセックス大学人権大学院修了。2001年に「反差別国際運動(IMADR)」の職員となり、2016年まで事務局長。あらゆる差別とレイシズムの撤廃をめざす国際人権NGOのスタッフとして、国内外のマイノリティ団体・個人とともに国連や政府への提言活動、一般に向けた意識啓発活動、テーマ別活動などに従事。各地での講義・講座・講演など多数。2004年から2022年まで創価女子短期大学において、2017年から2021年まで津田塾大学、清泉女子大学において非常勤講師。
共編著『世界中から人身売買がなくならないのはなぜ?』(合同出版、2010年)、『立ち上がりつながるマイノリティ女性』(解放出版社、2007年)、『マイノリティ女性の視点を政策に!社会に!』(解放出版社、2003年)、『女性差別撤廃条約とNGO』(明石書店、2003年)など。
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