無人航空機の墜落時の失速挙動についてセミナーを行った時に受講者から「不具合があって墜落する飛行体の姿勢は誰にもわからない」と反論されたことがあります。
一般論としてその発言は正しいのですが、その一方でパラグライダーを含むハンググライダーのカテゴリーの航空機の安全性の指針について世界をリードしているドイツではドイツ国内で販売される製品はすべてDeutscher Hängegleiterverband e.V. (DHV)の認証を得なければならない法律が存在します。
その認証を得るには指定された失速テストの項目をすべて有人でテストし、その結果を動画で証明し失速特性についてメーカーが挙動をレポートして添付することが義務付けられています。
それはドイツのみならず世界中のすべてのハンググライダー・パラグライダー製造メーカーがその安全認証を自主的に申請し、得ています。有人飛行であるからこそ市場の消費者は自身の生命の安全を求めてそのリスクに応じてクラス分けされた安全認証の有無と認定クラスを重視しています。
では我々のような航空産業業の事業者がもしもその受講者と同じように「不具合があって墜落する飛行体の姿勢は誰にもわからない」と発言したら、二度と有人飛行の業界で相手にされることはなく軽蔑の四川を向けられることでしょう。
それは人命にかかわる製品を扱っているからです。
では無人航空機の墜落リスクはどうでしょう? 墜落しても被害を受けないのは操縦者だけです。地上第三者に対しての危機に関してはさらに厳しい認識を以って当たるべきとアドエアは考えます。
ドローンの設計ではモーターやバッテリー、制御システムに詳しく説明され翼の流体論について聞いた経験がないのですが、有人飛行においては翼の失速時の挙動の詳細と制御、対策こそが設計者の知識の深さを表すものであり販売実績にも影響しています。
そのため失速時の挙動がわからない設計者またはメーカーは存在しません。