砂に閉ざされた王国の王女 アイシャ

失った過去ほど心が痛くなるものはない。


かつて東バラムの南側には楽園のような王国があったと云われている。しかし、現在東バラムの南側には曜国のみが存在し、この王国の国民の多くは奴隷の身分として曜国で搾取されている。今はもう忘れ去られているこの王国の名は エルシャザルーン。この王国では獣魔族と人間が同じ待遇を受け、この地は切迫した曜国の地とは違い裕福だという。曜国の奴隷はいつからか歌を歌うようになった。忘れられた王国の恩恵と平和を称えながら、いつか戻ってくる彼らの王に対する敬意と切望を込めて。彼らは王が戻り曜国の収奪から彼らを救ってくれると信じていた。
アイシャはエルシャザルーンの最後の王女だ。彼女は国と家族を全て失い、曜国の切迫した大地を旅している。彼女と彼女を守護する少数の親衛隊はすでに没落し、名もなき暗殺者として生きている。しかし、それは単なる見せかけで、彼女は歌の調べを使い砂の中に埋もれている王国を復活させる3つの神器を探している。
最初の神器である 乾坤圏は、王族である彼女に譲られたが、残り2つの神器を探す手がかりは砂漠で針を探すようなものだ。
32.アイシャ