三つの目 ジェイド

私の銃弾は、決して標的を外さない。


クーン族の兵士は、他の国のそれとは異なる。不毛なネヴ砂漠のクーン族は、独特の基準で兵士を選抜する。バラムの他の国々が身体の強さを基準に兵士を選抜して訓練するのに対し、クーン族は生存のために体と頭脳を鍛える。兵士にとって砂嵐が吹き荒ぶネヴ砂漠は、強靭な肉体や精神力だけでなく、冷徹な頭脳をも求められる場所。ジェイドは、そんなクーン族兵士のなかで最精鋭兵士に選ばれ、砂漠の賢者である アクアの警護を任されている。
ジェイドは、幼い頃にクラオザンの骸骨の魔物によって家族を失い、クーン族の人に引き取られ、彼らと一緒に暮らしてきた。しかし、ネヴ砂漠という不毛な環境ゆえに、彼女はいつまでも他人の情けに頼って生きることはできなかった。ジェイドは部族のために兵士に志願した。若くして入隊したからか、ジェイドの実力はクーン族最高の狙撃手と言ってもいいほどだ。
ただ、小さい頃からクーン族の兵士として育てられため、社交性に欠けているとアクアに指摘されたりする。そんな彼女の実力に憧れて彼女に近づきたいと思っているクーン族兵士は多いが、そんな兵士たちを彼女は交渉術や審問技術の訓練相手にしてしまうのだ。彼女は一人が楽だと言ってアクアが作ってくれた狙撃銃を手入れするが、そんな彼女の目を見るアクアはいつもため息をついている。
15.ジェイド