2025/07/08
暴言は人を追い詰める
『エンタメ業界におけるハラスメント防止の会』(通称:EHP)の壽倉でございます。
『パワーハラスメント』(通称パワハラ)において、一番多いとも言えるのが『暴言』です。
企業においても、上司からの『暴言』がパワハラとなるケースが見受けられますが、この『暴言』は人を追い詰める凶器にもなります。
脚本家として活動している私は、『言葉は武器にもなるし凶器にもある』というポリシーを持っています。
仕事柄、私は言葉を『武器』にしてきました。しかし逆に、一緒に仕事をしたプロデューサー(以下、P)は、その言葉を『凶器』にしていました。
言葉を『武器』にしているはずの私が、『凶器』となった言葉によって追い詰められた話を今日はしたいと思います。
以下は、これまでに私がPから浴びせられた、罵詈雑言のラインナップです。
「上辺だけの謝罪なんて、小学生でもしない」
「小学生からやり直せ」
「お前は、障がい者かよ」
「日本語わかってる?」
「お前の目が気に入らない」
「お前の顔が気持ち悪い。ねずみ男みたいだ」
「誰もお前のことなんて信用していない」
「何でお前みたいなやつが生きてるんだ」
「お前を海に沈めることぐらい簡単なんだ」
「首くくれよ」
「お前とかかわるとロクなことがない。お前が関わるようになってから売り上げが落ちた。お前は貧乏神だ」
「お前は、客も呼べないようなキャストを紹介してきたのか」
「紹介してきたキャスト、あれ、お前の愛人か?」
「お前の父親は、他に愛人を作っている」
「お前の母親は、ギャンブルをやっていて、元ヤンだ」
「お前の友達にはロクなやつがいない」
「あいつに私の悪口吹っ掛けただろ」
これらの言葉は、録音したわけでも、メモをしたわけでもありません。ですが全て、私の記憶ではっきりと覚えているものです。ある舞台公演の仕事で一緒になった時に刺された凶器が、こんなにもあるのです。
最初は私が初歩的なミスをしたことでPを怒らせてしまったからだと、自分自身に責任を感じていました。しかし今振り返ってみると、これはパワハラ以外の何物でもなかったのだと思います。
上記の言葉を見てのとおり、人権侵害や脅しともとれる罵声の数々。中には何の根拠もない暴言や言いがかりもあります。
正直、百歩譲って私のことはどう言われても構いませんでした。しかし、家族や友人、知人であるキャストのことを悪く言われたことが悔しくて仕方がありませんでした。
暴言という言葉の暴力は立派なパワハラになります。もちろん物理的な暴力だって同様です。
私はPに、書類で顔を叩かれたことがありました。反動で、私の眼鏡が吹っ飛びました。
ちなみにその時には、「直接手は触れてないからな」という意味不明な言い訳をしていました。また、座っている私の椅子を蹴ってきて、「椅子を蹴っただけで、お前は蹴ってないからな」と、これまた意味不明な言い訳をしてきたこともあれば、書類をばら撒いて「お前が拾え」と強要してきたこともありました。
仕事の中でいきなりブチ切れたり、情緒不安定になり、感情の起伏が激しいことは以前からありましたが、その都度「更年期だから」「血圧が高いから」と持病を言い訳にしていました。全く、自分の非を認めることはありませんでした。Pが体調不良になった時は、プロデューサー経験のない私が業務を代行することもありました。しかし逆に私が体調不良になると、「気が緩んでる証拠だ」「緊張感がないからだ」と咎められることも多々ありました。
自分の都合でしか物事を考えないような女でした。
今思い出すだけでも、腹立たしく、悔しい出来事が続く日々だったなと思います。
暴言を浴びせられると、『自分が悪いんだ』と思い込んでしまいます。これは『ガスライティング』と近いものが言えますが、こうして一方的に責め立てることで、自分に非があると考えさせて精神的に追い詰めさせるスタイルです。
こんな理不尽なことは、おそらく表沙汰になっていないだけで、案外日常(特に職場)では未だに見受けられる光景かもしれません。
正確に言えば、これは『ハラスメント』ではなく『自己愛性パーソナリティ障害』をもった人間による『ガスライティング』というものになります。
これは私の体験談になるのですが、今から1年半前のこと、私はまさに心を壊されました。それだけではなく、人間関係も。
私は脚本家として、ある舞台イベントの仕事に携わっていました。それを主催していたプロデューサー(以下、P)は、『責任感なし』『思いやりなし』『お金なし』と、『なし』しか持っていないような女性でした。(本当は『女』と言いたいぐらい)
大手の事務所からもキャスティングをするほどの規模なのに、常駐スタッフはPと私だけ。しかもほとんど予算がないのに、どうやってこの舞台をマネタイズしようとしたのかも、今思えば謎です。
スタッフがいないということは、つまりほとんどの制作業務は私がやらざるを得ないのです。もちろん、予算がありませんから、全部無償です。
「本当のビジネスっていうのは、お金じゃなくて気持ちで動くものだ」
と、Pはよく口にしていました。それは言い方を変えれば『金は払わないけど、ちゃんと仕事をしてくれ』ということです。
この時の私は未熟だったのか、危機管理能力もなかったのかもしれませんが、そのPの言葉を鵜吞みにして、上手くこき使われてしまっていたのです。
私は個人事業主ですから、当然他の仕事もしなければ食べていけれません。しかし、ここからPの『ガスライティング』と『自己愛性パーソナリティ障害』を混ぜた、恐ろしき洗脳が始まっていたのです。
「他の仕事はするな」「この現場で勉強させてもらってると思え」「今のお前に実績なんて作れると思うな」「私の電話には必ず出ろ」と、次第に私の扱いは奴隷へと変わっていきました。
そして、ついに最悪の結末を迎えました。
「○○さんが、お前のこと使えないって言ってたよ」「お前は情報流出のスパイだからスマホは私が預かる」「○○さんは、お前の彼女でしょ。自分の女をキャスティングさせたのか?」
その舞台には私の知人であるA氏をキャスティングしたのですが、その現場で何故か私一人が悪者になり、ついにはA氏との関係性を捏造されました。
長年一緒に仕事をしてきた同年代の異性であるA氏とのありもしない関係性を暴露され、また私のことを使えないと言っていたという言葉を鵜呑みにしてしまった私は、当然A氏との関係性は崩壊。そして数珠つなぎのように、A氏を通じて一緒に仕事をした他の現場の人たちにもこの話は広まり、結果として、A氏、そしてA氏と共に一緒に仕事をした別現場のキャスト・スタッフ一同たちから、私はつまはじきにされ、一方的に絶縁をされました。
反論しようと思いましたが、上記の通り『スマホは私が預かる』と言ってスマホは没収され、連絡が取れなくなってしまったので、私は人間関係と仕事を一気に失いました。
スマホがないということは、他の仕事もできなくなるということです。私と連絡が取れなくなるということは、信用を失うことになります。
Pにはお金も貸していたのですが、その貸したP本人は私に言いました。
「こっちは下げたくない頭を下げてお前に金を借りてるんだ」
お金を貸した相手に向かって発する言葉ではないと、改めて思います。
早い段階から、Pの言動がおかしいと思っていましたが、貸したお金を返してもらうまではPのもとを離れることはできないと思ってしまった私は、曖昧なままPとの関係性を続けてしまっていたのです。
しかし思えば、これがPの作戦だったのかもしれません。
しかも『ガスライティング』の目的は、『相手を崩壊させること』です。
Pからすれば、お金を借りている相手がこのまま○んでくれたら、貸したお金も立て替えた経費も原稿執筆費も払わなくてすむわけです。そのために、私と言う人間を壊そうとしていたとしたら……。
仕事も人間関係もお金も失った私は、まんまとその計画にハマリ、人間としての人格が完全に壊れ、ついに自○未遂・失踪騒動までに発展します。
Pが私のスマホで勝手に仕事関係者に仕事の受注ができないメールを送り、各種SNSを削除したことによって、特にSNSでも繋がりのあったプライベートな友達の中では、『死○説』が出たり、『何かあったんじゃないか』と大変騒がすことになりました。
あれから1年半……何とか思いとどまって命を失わずには済みましたが、仕事や人間関係は当然戻ってくることはありませんでした。そして、奪われたスマホも、当時貸していたお金や立て替えた経費たちも……。何もかも、まだ何も返ってきていません。
つまり私はこの1年半、スマホがない生活を送っています。仕事も正直、メールかリモートでしか対応ができないという大変不便な生活が続いています。
長くなるので、この話はまた改めて……。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
(文責:壽倉雅)