地球は北極星に向かって動いている

English

2024年123開始、同12月6日公開                           

せのお たかのり

1.はじめに

前回の検討結果から、地球の動きは太陽系の面内に収まらず、3次元空間での動きである事が分かりました。又、その動きは 地表面内の東西方向と南北方向の計測のみでは式が縮退して解けない事が分かりました。そこで今回は、地表面内の東西ビームと南北ビームのスポット位置の変化の計測に加えて、ビーム方向を東西と西東の間で切り替える事で計測される地軸方向の動きも同時に観測する事にしました。

2.地球の動きの推定

これまでの観測結果から、地球の動きEは 地球の公転運動Vと 太陽系の動きSと 銀河系全体の動きGとから成る事が分かりました(E=V+S+G)。この中で、銀河系の動きG=方向速度不明と 太陽系の動きS=秋分から春分方向で仰角60°速度=220(km/s)はほぼ一定と見なせますが、地球の公転Vは速度=30km/s一定ですが方向は1年間で360°変化します。以下では、前回と同様に太陽系に沿った座標を基本座標として使い これらの速度から地球の動きを推定して 観測結果と照合します。

2-1.太陽系座標での地球の動き

下図の太陽系座標では、地球の動きE=[Ex, Ey, Ez]は 地球の公転運動V=[Vx, Vy, Vz]と 太陽系の動きS=[Sx, Sy, Sz]と 銀河系全体の動きG={Gx, Gy, Gz]との和として表せます。

太陽系の動きS=220(km/s)の各軸成分は次式となり、一定と見なせます。

地球の公転Vは、速度=30(km/s)一定ですが、動きVの方向が観測日によって変化します。今回の観測は、2024年11月28日に行ったので、冬至での公転方向=春分の方向(X軸)より、24日(=2+22日)早いので、

360° × 24/ 365日 = 23.7°

冬至Z軸方向に回転しています。下図では、冬至の方向Z軸より66.3°春分(X軸)方向に回転したとして描かれていますので、次式で表せます。地球の公転Vは太陽系面内の動きなので そのY軸成分は常にゼロです(Vy=0)。VxとVzは観測日によって変化するので、以下の座標変換の中では一般性を持たせる為、変数V=[Vx, 0, Vz]として扱います。

銀河系の動きGは不明なので、全て変数のままとします。

以上より、地球の動きEは、下記の様に表せます。この式は、観測日に寄らず常に成立します。

この太陽系座標で表された地球の動きEを、観測日の日本座標に変換すると、ビームスポットの移動量の予測が行えます。

2-地球座標に変換

次にこの地球の動きEを地球座標X'Y'Z'(X':秋分→春分方向、Y':地軸方向、Z':赤道方向)に変換します

地球座標X'Y'Z'は、太陽系座標を春分X軸周りに23.4°左回転した座標なので、地球の動きEの座標変換は次式で表せます。

地球座標X'Y'Z'では、地球の動きEの地軸方向成分としてEY'が存在する事が分かります。

EY' = 0.918GY + 0.397(GZ + VZ) + 174.9 (km/s)

2-3.日本座標に変換

次に、これを観測予定日(2024年11月28日)の日本座標に変換しますが、その向きは 太陽系の動きSの影響が最も強く現れる秋分から春分(X軸)方向 にします。先に述べた通り、観測日の地球の位置は 冬至の位置より23.7°手前ですから、日本が春分方向を向く時刻は、冬至に春分方向を向く午前6時より、

24h × 23.7° / 360° = 1.58h = 1h35m

1時間35分後になります(6:00 + 1:35 = 7: 35)。

この時に、日本はほぼ春分方向を向いていますが、緯度が35°なので春分方向から35°地軸方向に回転した方向にあります。この2024年11月28日朝7時35分の日本座標X''Y''Z''と地球座標X'Y'Z'の関係を下図に示します。

この地球座標X'Y'Z'の735分日本座標X''Y''Z''変換は、次式で表せます。

この推定速度E''の各成分から、ビームスポットの移動量を推定出来ますが、地球の動きを止められない為、スポットの原点位置が不明です。その為、この7時35分の日本座標と反対方向を向く時刻(19時35分)の各推定値を求め、両者の差分を取る事で、原点位置を知る事無くビームスポット位置の差分と推定速度の差分との比較を可能にします。

その為に、同じ日に日本が秋分方向を向く時刻(19時35分)の日本座標X''Y''Z''と地球座標X'Y'Z'の関係を下に示します。

日本は、秋分方向から35°地軸方向に回転した方向を向いていますから、これを夏至→冬至のZ'軸周りの55°左回転と見なすと、これまでの座標変換を適用出来、地球座標X'Y'Z'から日本座標X''Y''Z''への変換は下の式で表せます。

この1935分の日本座標[X'', Y'', Z'']=[南→北, 地→天, 西→東]を、7時35分の日本座標[X'', Y'', Z'']=[地→天, 南→北, 東→西]に合わせる為に、1行目と2行目を入れ替え、3行目のの正負を反転します。

2-速度の差分に変換

上記で得られた日本が春分方向を向く7時35分の日本座標での地球の速度の推定値と 日本が反対方向である秋分方向を向く19時35分の各推定値の差分を取る事で、ビームスポット位置の原点を知る事無く観測値との比較を行います。

1935分の秋分方向の各座標成分から735分の春分方向の各座標成分を引くと、以下となります。

この式が、日本座標上で観測される地球の動きを示しており、ビームスポット位置の差分と比べる事で不明な動きGを求める事が出来ます。しかしこの式は縮退しており、これだけでは解を得られません。

そこで、先に求めた地球座標の地軸方向成分EY'の式を追加します。

EY' = 0.918GY + 0.397(GZ + VZ) + 174.9 (km/s)

以上で得られた4式で地球の動きの観測結果を予測します。

地天:ΔEx'' = -1.638(GX + VX) -180.2 (km/s)

南北:ΔEY'' = 1.148(GX + VX) +126.2 (km/s)

東西:ΔEZ'' = 0.794GY - 1.836(GZ + VZ) + 151.2 (km/s)

地軸方向:EY' = 0.918GY + 0.397(GZ + VZ) + 174.9 (km/s)

ここで、実測値との照合を容易にする為に 実際に観測を行う2024年11月28日の地球の公転運動成分を求めたものを

VX = 27.5(km/s) と VZ = 12.1 (km/s) 

代入して予測値として使います。

地天:ΔEx'' = -1.638(GX + 27.5) -180.2 =  -1.638GX - 225.2 (km/s)

南北:ΔEY'' = 1.148(GX + 27.5) +126.2   =   1.148GX + 157.8 (km/s)

東西:ΔEZ'' = 0.794GY - 1.836(GZ + 12.1) + 151.2 

= 0.794GY - 1.836GZ + 129.0 (km/s)

地軸方向:EY' = 0.918GY + 0.397(GZ + 12.1) + 174.9

                  =  0.918GY + 0.397GZ  + 179.7 (km/s)

3.実験

3-1.観測装置

今回は、ビームを南北方向に固定した観測装置と、東西方向に固定した観測装置で ビーム位置の東西変位と南北変位を観測すると同時に、可搬型観測装置を使い ビームを東西方向と西東方向に切り替えて観測されるビーム位置変位も観測しました。実験当たっては 各装置の部品取り付けネジの増し締めを行い、固定観測装置のレンガ重石を増して 安定化を図りました。

3ー2.観測結果と速度への変換

下の図は、2024/11/27の午後12時10分から29日の午前10時33分までの2日間、東西方向のビームスポット位置をほぼ1時間半毎に撮影した写真の最初の8枚です。スポット位置が僅かに上下左右に移動しています。

下の左図は、全スポット位置をグラフ化したものです。このグラフでスポット位置が初日から2日目に掛けて少し高くなったのは、積み増した重石によって観測装置が僅かに変形した為と思われます右図は2日間の同じ撮影時のスポット位置を平均化したものです。これによって観測装置の変形等の外乱が大きく除去されています。

このスポット位置の変位は、前回と同様に 日本が春分方向を向く午前7時37分に低くなり、その逆方向を向く午後1938分に高なるので、この時地球は上記の予測と同じく 秋分方向から春分(X軸)方向に動いている事を示しています。この19:38から7:37への高さの変化は、

ΔH=0.33(mm)

でした。このスポット位置の変化を地球の速度に換算すると、スポット位置は地球の動きと逆方向なので 

ΔEX'' = -ΔH ×光速/光路長= -0.33(mm) × 300000(km/s) / 3120(mm) 

=-31.7(km/s)

となります。この値が地球の動きの日本座標でのEX''成分なので、次式が成立します。

地天:ΔEx'' = -1.638GX - 225.2 =  -31.7(km/s)

これより

-1.638GX  = 225.2 - 31.7 = 193.5 (km/s)

GX  =  -193.5 / 1.638 = -118.1 (km/s) (1)

が得られます。

同様に、スポット位置の北南方向の変化は 19:39にやや北寄りで7:37にやや南寄りでしたから、地球はからに向かって動いていると思われます、その位置の差ΔXは

ΔX = -0.14(mm)

でした。このスポット位置の変化は、地球の動きEの南北方向成分EY''に相当しますが、EY''成分は南から北に向かう速度として扱っているので、それに合わせる為に北南方向の変位ΔXの符号を変えて南北方向の変化-ΔX=0.14(mm)とし、更にこの符号を変えて地球の南北方向の速度成分に変換します。

ΔEY''=ΔX×光速/光路長=- 0.14(mm)×300000(km/s)/3120(mm)=-13.5(km/s)

この値が地球の動きの日本座標でのEY''成分なので、次式が成立します。

南北:ΔEY'' = 1.148GX  + 157.8  =  -13.5(km/s)

これより

1.148GX  = -157.8  - 13.5 = -171.3 

GX  = -171.3/1.148 = -149.2 (km/s) (2)

が得られます。

次に、北南方向ビームのスポット位置変化を観測した結果を示します。下の図は、2024/11/27~29の2日間同じ時刻に、スポット位置を撮影したものの最初8枚です。この図でもスポット位置が僅かに変動している事が見られます。

下左図は、全スポット位置をグラフ化したものです。このグラフでも積み増した重石の影響で観測装置の高さ方向に少し変動が出ました。この変動を除く為に、同時刻のスポット位置を平均化したものを右図に示します。12:10のサンプルに若干変動の影響が残っています。

平均化によって、日本が春分方向を向く7:37と秋分方向を向く19:39に大きな高さ方向変化が見られますが、その変化は 春分方向を向く7:37に高く、秋分方向を向く19:39に低くなり、EWビームのスポット位置変化とは逆向きでした。その理由は、後で明らかになりますが 地球の主な動きが地軸方向である為、南北方向のビームでは変化が出難く、外乱に大きく影響された為ではないかと思われます。

このビーム位置の19:39から7:37への高さの変化量は

ΔH = -0.36(mm)

でした。この変化量を地球の動きの地天方向成分ΔEX''に変換すると、

ΔEX''=-ΔH×光速/光路長=0.36(mm)×300000(km/s)/3120(mm) =34.6(km/s)

です。従って、NSビームの観測結果からは 次式が成立します。

地天:ΔEx'' =  -1.638GX - 225.2 =  34.6 (km/s)

これより

-1.638GX = 225.2 +  34.6 = 259.8

GX =  -259.8/1.683 = - 158.6 (km/s) (3)

となります。

同様にして、NSビーム位置の西東方向変化量ΔXは

ΔX = -0.07(mm)

でしたので、これを地球の動きの東西方向成分EZ''に変換します。 先ずΔXの方向を東西方向に合わせる為に符号を反転して-ΔX=0.07(mm)とし、これを地球の速度に変換する為に再度符号を反転すると、

ΔEZ''=-(-ΔX)×光速/光路長=-0.07(mm)×300000(km/s)/3120(mm) =-6.7(km/s)

となります。この値が 地球の動きの予測値Eの東西方向成分EZ''となるので、次式が成立します。

東西:ΔEZ''0.794GY - 1.836GZ + 129.0  =  -6.7(km/s)

これより

0.794GY - 1.836GZ = -129.0 -6.7 = -135.7 (km/s) (4)

次に、地球の動きの地軸方向成分EY'の観測値を示します。

下の図は、2024/11/27~29の同じ時刻に、ビーム方向を西(EW)と西→東(WE)との間で切り替えた時のスポット位置を撮影したものの最初8枚す。同じ時刻で東西ビームと西東ビームでスポット位置が異なっているのが分かります。

下図は、2024/11/27 12:10~11/28 10:37の間の16サンプル対をグラフ化したものです。12:10のサンプル以外は全てEWビームのスポット位置が右寄りで低く、WEビームのスポット位置が左寄りで高くなりました。Aveは2024/11/27 12:10~11/29 10:33の間の全サンプルの平均値です。

EWビームとWEビーム位置の高さの差の平均ΔHと左右位置の差の平均ΔXは、

ΔH=0.1(mm)、ΔX=0.34(mm)

でした。ビームの向きを変えてもスポット位置の高さは変わらない筈なので、高さの変位は外乱と思われます。左右方向の位置の差から地球の地軸方向の動きを推定します。ビームの方向が東から西EWの時、スポット位置は右(南)に寄っていました。又、ビームの方向が西から東WEの時、スポット位置は(南)に寄っていました。これから地球は南から北に向かって動いている事が示されます。ビーム位置の南北変化を24時間にわたって平均化すると、その平均値は地軸に対して35°の角度を持つ事になります。これから、地軸方向の動きEY'は、

EY'= (ΔX/2)×光速/光路長/cos35°= 0.17(mm)×300000(km/s)/1725(mm)/0.819

=36.1(km/s)  南北方向

となります。 地球の動きの地軸方向成分EY'は、

EY'=0.918GY + 0.397(GZ + VZ) + 174.9 (km/s)

でした。又、 2024年11月28日の観測日には VZ=12.1(km/s)  でしたから、

EY'=0.918GY + 0.397(GZ + 12.1) + 174.9 = 0.918GY + 0.397GZ + 179.7(km/s)

となります。従って

EY'= 0.918GY + 0.397GZ + 179.7 = 36.1(km/s) 

が成立します。これより、

0.918GY + 0.397GZ = -179.7 + 36.1 = 143.6 (5)

となります。

3-3.観測値から地球の動きを求める

上記(1)~(5)式から 不明な動き G=[GX, GY, GZ] と地球の動き E=[EX, EY, EZ] を求めます。

GX  = -118.1 (km/s) (1)

GX  = -149.2 (km/s) (2)

GX = - 158.6 (km/s) (3)

0.794GY - 1.836GZ = -135.7 (km/s) (4)

0.918GY + 0.397GZ  = -143.6 (km/s) (5)

GX は、(1), (2), (3)から3種類与えられます。その原因は スポット位置の観測値のバラツキと考えられるので、平均値をGX の値とします。

GX  = (-118.1-149.2-158.6)/3 = -142.0 (km/s) (6)

0.397×(4) 、 1.836×(5)より

0.397(0.794GY - 1.836GZ) = 0.315GY - 0.729GZ= 0.397(-135.7) = -53.9

1.836( 0.918GY + 0.397GZ )= 1.685GY + 0.729GZ =1.836( -143.6) = -263.6

片々を加えて

2GY = -317.5

GY = -158.8 (km/s) (7)

これを(4)式に代入して

0.794×(-158.8) - 1.836GZ =-126.1 -1.836GZ  = -135.7 

GZ  = (-135.7 +126.1)/( -1.836) = 9.6/1.836 = 5.2 (km/s) (8)

以上より、銀河系全体の動きと思われる不明な動きGは 

G=[-142.0, -158.8, 5.2] (km/s)

と判明しました。その速度は

G = √((-142)2+(-158.8)2+5.22) = 213.1(km/s)

で、太陽系の動く速度S=220(km/s)とほぼ同じで、その方向は 

Θ=tan-1(-158.8/(-142))=48.2°

となり、-X軸から48.2°下方向に回転した方向で、太陽系の動く方向とほぼ逆方向である事が分かりました。その結果、地球上では太陽系の動きSは 銀河系の動きGによってほほキャンセルされており、その僅かな差分のみが観測されていた為、小さな速度しか観測出来なかった事が説明されます。

この時、地球の動きは、次式にG=[-142.0, -158.8, 5.2](km/s)とV=[27.5, 0, 12.1]を代入して、

となります。これより、地球の動く速度Eと方向φは

E = √(EX2+EY2+EZ2)= √((-4.5)2+31.72+17.32) =36.4(km/s)

φ = tan-1(EY/EZ)= tan-1(31.7/17.3)=61.4°

となり、地球の公転速度V=30(km/s)に近い速度(36.4km/s)で、ほぼ地軸方向(90-23.4=66.6°)に近い方向φ=61.4°に動いていました。

太陽系は銀河系の中を速度S=220(km/s)で動いていますが、銀河系の中にあるので銀河系の動きG=213.1(km/s)に影響されています。従って、太陽系の絶対動きは G+Sとなる筈です。

これより、太陽系の絶対速度と方向は

Sa=√(-322+31.72+5.22)=45.3(km/s) ,   θ=tan-1(-31.7/32)=44.7°

となり、接待速度Sa=45.3(km/s)で秋分の方向(-X軸)から約45°上を向いた方向でした。下図に、地球、太陽系、銀河系の絶対動きを図示します。

4.予測値と観測結果から分かる事

観測された地球の動き速度E=36.4(km/s)や銀河系の動き速度G=213.1(km/s)は ビッグバンの膨張速度B~光速=300,000(km/s)としては遅すぎるので、ビッグバンは無かったかすでに終わっており、宇宙は膨張していない事の証拠が得られたと思われます。

又、実験結果が示す様に 地球の動きは光の伝搬に影響を与えていて その結果としてビームスポット位置が動く事が確認されたので、地球の動きと光の方向が平行の時にもスクリーン位置が動く事によって光路長が変化し、光の伝搬時間が変化すると思われます。この変化を検出出来なかったMichelsonの実験は、単に実験方法の問題で、地球の動きは光の伝搬時間に影響を与えないと結論するのは間違いと思われます。従って、地球の動きによって光の伝搬時間が変化する代わりに観測時間が伸び縮みすると言うEinsteinの相対性理論は、その前提がおかしいと思われます。