太陽系は銀河系と交差している
2024年11月2日開始、同11月24日公開
せのお たかのり
1.はじめに
太陽系と銀河系の関係は、日本天文学会の天文学辞典(https://astro-dic.jp/galactic-plane/ )によると、夫々の面が約60°の角度で交差しており、太陽系の運動方向Sは、これまで推測していた太陽系面内ではなく、太陽系面の春分の方向から上に向かって60°の角度で天の川銀河面に沿って約S=220km/sで移動しているとの事です。これにより天の川が東西ではなく南北に長いことが説明されると共に、これまで観測された地球の地軸方向の動きENも説明出来ると思われます。又、これまでは天の川銀河と同程度の大きさの太陽系銀河を想定していましたが、太陽系銀河面に沿った東西方向に長い第2の天の川が観測されていない事から、太陽系銀河は天の川銀河との衝突で雲散霧消し、太陽系のみが元の姿勢で残ったたのではないかと思われます。
以下では、この新たに分かった事実に基づいて地球の動きの推定と観測を進めたいと思います。
2.地球の動きの推定
これまでの観測結果から、地球の動きは 地球の公転運動Vと 太陽系の動きSだけでは説明出来ず、銀河系全体の動きと思われる第3の動きGが必要な事が分かっています。以下では、新たに分かった太陽系の動く方向Sを考慮しながら、第3の動きGの方向と速さを推定し直します。これらの動きは同一平面内に無い事が分ったので、これまでの2次元平面ではなく 3次元空間で各動きベクトルを表す必要があります。その為に以下では、太陽系に沿った座標を基本座標として使います。
2-1.太陽系座標での各動き
先ず、太陽系に沿って以下の様に座標軸に取って(X軸:秋分→春分の方向、Y軸:太陽系面に垂直で上向き、Z軸:夏至→冬至の方向)太陽系の動きSを示します。
太陽系の動きSはX軸からY軸方向に60°回転した方向になるので、
太陽系の動きSの各軸成分は、次式の様に表せます。
太陽系座標XYZでは、太陽系の動きは春分の方向にSX=110(km/s)、太陽系面の上方向にSY=190.5(km/s)、冬至の方向には SZ= 0(km/s)となります。この動きSで太陽系座標が動いてるので、地球もこの速度で動いていますが、太陽系座標に対するこの動きの大きさと方向は観測日時に寄らず一定です。
次にこれに地球の公転Vを加えます。その速度V=30(km/s)は観測日時に寄らず一定ですが、動きVの方向が観測日によって変化します。その方向は、1年=365日で360°変化するので、1日当たり、
360°/365日=0.986°/日
です。観測日は、2024年10月25日なので、この時の公転方向Vを下図の太陽系座標で示します。秋分の日(9月22日)の公転方向は夏至→冬至方向Z軸と平行でしたが、33日(=8日+25日)経過したので、
0.986°/日×33日=32.5°
春分X軸方向に回転しています。この動きVは太陽系座標XYZでは、以下の様に表せます。
これに更に不明な動きGを追加します。
現在分かっている地球の動きEは、以上の太陽系の動きSと 地球の公転Vと 不明な動きGを合わせたものとなります。
この太陽系座標で表された地球の動きEを、観測日の日本座標に変換すると、ビームスポットの移動量の予測が行えます。
2-2.地球座標に変換
次にこの地球の動きEを地球座標X'Y'Z'(X':秋分→春分方向、Y':地軸方向、Z':赤道方向)に変換します。
地球座標X'Y'Z'は、太陽系座標を春分X軸周りに23.4°左回転した座標なので、地球の推定動きEと不明な動きGの座標変換は次式で表せます。
地球座標X'Y'Z'では、地球の推定動きEは
春分X'の方向にEX'=GX+126.1(km/s)、
地軸Y'の方向にEY'=0.918GY+0.379GZ+184.9(km/s)、
赤道の裏側-Z方向に EZ'= -0.307GY+0.918GZ-52.4(km/s)
で動いている事になります。これより、地球の動きに地軸Y'方向の動きEY'が存在する事が示されます。
2-3.日本座標に変換
次に、これを観測予定日(2024年10月25日)の日本座標に変換します。考えを簡単にする為に、先ず秋分の日(2024年9月22日)に日本が春分方向(太陽の方向)を向く時刻(12:00)を基にします。
観測日は8+25=33日後なので、地球の位置は、冬至の方向に
33日×360°/365日 = 32.5°
軌道運動で回転します。その為、日本が秋分方向を向く時刻は
32.5°×24時間/360° = 2.17時間 = 2時間10分
早くなり、9時50分になります。
この時に、日本はほぼ春分方向を向いていますが、緯度が35°なので春分方向から35°上に向いた方向にあります。この2024年10月25日朝9時50分の日本座標X''Y''Z''と地球座標X'Y'Z'の関係を下図の様に取ります。
この地球座標X'Y'Z'の9時50分日本座標X''Y''Z''変換は、次式で表せます。
この推定速度E''の各成分から、ビームスポットの移動量を推定出来ますが、地球の動きを止められない為、スポットの原点位置が不明です。その為、この9時50分の日本座標と反対方向を向く時刻(21時50分)の各推定値を求め、両者の差分を取ると、原点位置を知る事無くビームスポット位置の差分と推定速度の差分とが比較出来ます。
その為に、同じ日に日本が秋分方向を向く時刻(21時50分)の日本座標X''Y''Z''と地球座標X'Y'Z'の関係を下に示します。
日本は、秋分方向から35°地軸方向に回転した方向を向いていますから、これを夏至→冬至のZ'軸周りの55°左回転と見なすと、これまでの座標変換式を適用出来、地球座標X'Y'Z'から日本座標X''Y''Z''への変換は下の式で表せます。
ここで注意すべき事は、9時50分の日本座標は[X'', Y'', Z'']=[地→天, 南→北, 東→西]ですが、21時50分の日本座標は[X'', Y'', Z'']=[南→北, 地→天, 西→東]となっている為、各座標成分が合いません。これを合わせる為に、21時50分のX''座標値と Y''座標値を入れ替え、 Z''座標値の正負を反転し、以下とします。
この21時50分の各座標成分から9時50分の各座標成分を引くと、以下となります。
この式が、観測される地球の動きを表しており、ビームスポット位置の差分と比べる事で不明な動きGを求める事が出来ます。しかし上式は縮退しており、GyとGzを含む式は1つしか無く、これだけでは解を得られません。
そこで、更に日本が夏至の方向を向く15時50分とその逆の冬至方向を向く3時50分の各動き成分の予測値を計算して、実測値と比較する事にします。太陽系座標XYZを春分X軸周りに回転して得られた地球座標X'Y'Z'を、Y'軸周りに90°左回転させると、出来た地球座標X''Y''Z''のX''軸は、夏至向き(15時50分の方向)になります。
この15時50分の地球座標X''Y''Z''への変換は次式となります。
この座標を上記と同様に春分方向のX''軸周りに35°左回転すると、2025年10月25日の15時50分の日本座標X'''Y'''Z'''になります。
この地球座標X''Y''Z''の15時50分日本座標'''Y'''Z'''への変換は次式となります。
同様にして、3時50分に日本が冬至方向を向く時の座標変換は以下になります。
この3時50分の座標軸X'''Y'''Z'''は、15時50分の座標軸X''Y''Z''と合わないので、先と同様に1行目と2行目を入れ替え、3行目の正負を反転します。
次に、15時50分の値から3時50分の値を引き、差分を求めます。
以上、21時50分ー9時50分の差分と、15時50分ー3時50分の差分を、実測値と比べ得る事で、不明な動きGを推定します。
3.実験
3-1.観測装置
これまで使って来た南北方向の観測装置のみでは、南北方向のビーム変位を観測出来ないので、新たに下に示す東西方向の観測装置を作り、両者の光路長Lを3.12mに合わせ、レーザのON/OFFスイッチをネジと金具で固定し、安定性を増しました。
南北方向と東西方向の観測装置で観測されるビームスポットの位置変化には、以下の特徴があります。
下左図に示す様に、ビームを南北方向に向けると、ビーム方向の変化は頂角2×35°=70°の円錐面となり、太陽系の運動方向Sに対するビーム方向変化が小さい為、24時間の観測時間内でのビームスポット位置の変化も小さく精度が低くなる事が分かりました。右図の様に、ビームを東西方向に向けると、ビーム方向の変化は360°の平面となり、太陽系の運動方向Sに対する変化は大きくなるので、ビームスポット位置の精度も高くなる事が分かりました。
この事が、これまで観測してきた地球の動き速度Eが、東西方向のビームでは大きく(80~90km/s)、南北方向のビームでは小さく(10~40km/s)出た原因の一つと思われます。
3ー2.観測結果
下の図は、2024/10/25の午前3時52分から28の午前3時40分までの間、東西方向のビームのスポット位置をほぼ1時間半毎に撮影した写真の最初の8枚です。スポット位置が上から下に移動しているのが分かります。
下の左図は、全スポット位置をグラフ化したものです。このグラフから、スポット位置は1日周期で大きく上下している事が分かります。又、スポット位置が徐々に左下(北下)に移動して行くのは、経時変化による測定装置の僅かな変形と思われます。 右図はこの影響を除く為、3日間の同じ撮影時刻のスポット位置を平均化したものです。実際には、1日=24時間とは太陽が南中して(正午)から翌日南中する(正午)までの平均時間ですが、地球の公転によって1日の間に地球は
自転+公転=360° + 360°/365day = 360.986°/day
回転します。従って地球が同じ方向を向く(360°)時間は
24h×360°/360.986°=23.934h=23h56m
となり、毎日4分早くなるので、6時間毎に1分、観測時刻を早めています。
このスポット位置の変位は、日本が春分方向を向く午前9時50分に低くなり、その逆方向を向く午後21時50分に高くなるので、この時地球は秋分方向から春分方向に動いており、予測と会っています。この高さの差ΔHは、約0.65(mm)でした。
ΔH21:50-9:50 = 0.65(mm)
同様に午後15時50分と午前3時50分の高さの差は、
ΔH15:50-3:50 = 0.3(mm)
でした。
同じ時刻に、北南方向の変位ΔXは、日本が春分方向を向く9時50分にやや南寄りで、逆の秋分方向を向く21時50分にやや北寄りになり、その位置の差は約-0.15(mm)でした。
ΔXNS, 21:50-9:50= -0.15(mm)
同様に午後15時50分と午前3時50分の北南方向の差も、
ΔXNS,15:50-3:50 = -0.15(mm)
でした。
次に、東西方向のビーム位置の変化を見る為に、北→南方向に置いた観測装置のスポット位の置変化を以下に示します。下の図は、2024/10/25~28の間同じ時刻に、北南方向のビームのスポット位置を撮影したものの最初から8枚の写真を示します。
この図から、スポット位置は僅かに上下左右に動いている事が分かります。
下の左図は、その全スポット位置をグラフ化したものです。右図は、4日間の同時刻の位置の平均値のフラフです。このグラフから、先の時刻 朝9時50分にビーム位置はやや東寄りで、夜21時48分にもやや東寄りで、その位置の差は約-0.01mmでした。
ΔXWE, 21:50-9:50 = -0.01(mm)
同様に午後15時50分と午前3時50分の西東方向の差は、
ΔXWE, 15:50-3:50 = -0.1(mm)
でした。
北南方向の観測装置のビーム位置の高さの差ΔHは、21時50分と9時50分で、
ΔH21:50-9:50 = -0.05(mm)
15時50分と3時50分で、
ΔH15:50-3:50 = -0.15(mm)
しか無く、東西ビームの高さの差ΔH=0.65mm, 0.3mmよりかなり小さくなりました。この理由は現在の所不明です。以下では差分が大きく出た東西ビームの観測装置のデータがより正確と思われるので、東西方向の観測装置のデータΔH=0.65(mm), 0.3(mm)、ΔXNS=-0.15(mm), -0.15(mm)と、北南方向の観測装置のデータΔXWE = -0.01(mm), -0.1(mm)から地球の動きEを求める事にします。
推定値と観測値の各軸の方向は、X軸:地→天とH軸:地→天と合っていますが、Y軸:南→北とZ軸:東→西の観測値は、逆方向に測定されているので、これらの符号を変えて、軸の向きを揃えます。
推定値 観測値 ⇒ 観測値
X軸:地→天 ΔH軸:地→天=0.65(mm) ΔH軸:地→天=0.65(mm)
ΔH軸:地→天=0.3(mm) ΔH軸:地→天=0.3(mm)
Y軸:南→北 ΔX軸:北→南=-0.15(mmm) ΔX軸:南→北=0.15(mmm)
ΔX軸:北→南=-0.15(mmm) ΔX軸:南→北=0.15(mmm)
Z軸:東→西 ΔX軸:西→東=-0.01(mm) ΔX軸:東→西=0.01(mm)
ΔX軸:西→東=-0.1(mm) ΔX軸:東→西=0.1(mm)
3-3.観測値から地球の動きを求める
地球の動きEは、ビームスポット位置の変位とは逆向きなので、上記の観測値の正負を更に逆転させて(-ΔH, -ΔXNS, -ΔXWE)、地球の速度差分(ΔEX, ΔEY, ΔEZ)に変換します。
速度(km/s)=ー観測値(mm) × 光速(km/s) / 光路長(mm)
この速度差成分Δが、予測値ΔE''に等しいはずなので、次式が成立します。
これから不明な動きG''は、以下の様に求める事が出来る筈ですが、これらの式は縮退しており、GXには3つの解があります。
21:50-9:50の式の第1行目、第2行目、及び15:50-3:50の式の第3行目より、
GXの推定値は、3つの解(GX=-87.9, -130.9, -138.7(km/s))の平均を取って、GX=約120(km/s)と思われます。
GYとGZの式は左辺が全て同じになり、解けません。
21:50-9:50の式の第3行目、及び15:50-3:50の式の第1行目、第2行目より、
となります。太陽系の動きと同様にGz=0と見なすと、Gy=-136.6(km/s)と推定されます。
4.予測値と観測結果から分かる事
以上検討して来た結果、ビーム方向を東西や南北に固定したまま測定時刻を増しても、不明な動きGのXYZ成分を表す式が縮退してしいて、地→天方向のGxの解は得られるが、南→北方向又は東→西方向のGy, Gzの関数の解が得られない事が分かりました。
これを解決する方法として、東西方向と南北方向の固定観測装置はそのまま使って、Gxの解とGy, Gzの関係式を求め、もう一つの観測装置として、可搬型観測装置を東西方向と西東方向に入れ替えてビーム位置の南北方向の変位を観測して、これから地軸方向の推定値EY'を得て、Gy, Gzの関係式を解く方法が考えられます。
地球座標での地軸方向成分は、
EY'=0.918GY+0.397GZ+184.9
なので、この式のEY'の値を観測値から得れば、これと、
21:50-9:50の日本座標の観測値の差
ΔEX''=-1.638GX-206.5
ΔEY''=1.148GX+144.8
ΔEZ''=0.794GY-1.836GZ+104.8
から、GX、GY、GZの解を得る事が出来ると思われます。