2024年3月月25日開始、同4月21日、同6月28日、同7月24日改定
せのお たかのり
1.はじめに
地球の動きは 地上に固定したレーザービームの位置の変化として見る事が出来ます。東西方向の動きは レーザービームを南北方向に固定して 地球の自転を利用して見る事が出来ますが、南北方向の動きは地球の自転では変化しない為 レーザーの向きを東西と西東に入れ替えて見なければなりません。両者を合わせると、地球のほぼすべての動きを見る事が出来ます。
2.今回の観測装置
そこで今回は、レーザーの東西方向を入れ替えて観測する光路長1.725mの観測装置と、レーザーを南北方向に固定した光路長3.15mの観測装置との2台で、レーザービームのスポット位置の変化を観測しました。2024年3月20日(春分の日)には 最初の実験で行ったのと同じく 光路長1.725mのレーザを東西方向に固定して観測したのですが、パイプ型の観測装置を重石で固定する事が困難だった事と、地球の地軸が23.4°傾いている事と、日本の位置が北緯35°である事が重なって、地球の公転面と平行な動きは 測定ノイズに埋もれて有意な結果が得られませんでした。又この方法では 地球の地軸方向の動きも観測出来ない事は上述した通りです。
3.観測結果
下の図は、2024年3月21日8:57から3時間置きに3月22日8:53まで 光路長L=1.725mのビームの東西方向を入れ替えて撮影したビームスポット位置の代表的な写真です。その下の図は、スポット位置をグラフ化したものです。座標はスポット位置の平均値で正規化しています。今回の測定でも、ビームの方向間(E2WとW2Eのグループ間)で、一定のスポット位置の変化が南北方向に大きく発生している事が観測されました。この南北方向の位置変化の平均値は水平方向ΔX=0.40mm、垂直方向ΔHeight=0.17mmでした。地球の地軸方向の動きでは、スポットの垂直位置は変わらないので、垂直方向成分(ΔHeight)の変化は床のうねりによる外乱として無視し、残りの水平方向成分ΔXから、地球の地軸方向速度Eを求めると、日本の南北方向と地軸との間には35°の角度があるので、
E=光速C/光路長L×ΔX/2/cos35°=300000/1725*0.4/2/0.819=42.5km/s
となります。ビームを東から西に向けた時(E2W)、スポット位置のX座標が増加し(南寄り)、ビームを西から東に向けた時(W2E)、スポット位置のX座標が減少(南寄り)したので、地球の地軸方向の動きは北極星の方向でした。この結果から、地球が地軸に沿って北方向にも動いている事が再確認出来ました。前回の測定値E=59.5km/sより約7割に減少した理由は、動きの方向が地軸方向からずれた為かも知れませんが、現在の所正確な理由は不明です。
下の図は、2024年3月21日14:56から3時間置きに3月24日14:44までの3日間、光路長L=3.15mのビームを北から南方向に固定して撮影したビームスポット位置の代表的な写真です。その下左は、全てのスポット位置をプロットしたグラフです。座標はスポット位置の平均値で正規化しています。このままでは外乱によるスポット位置の変動が大きいので、3時間毎のスポット位置の3日間の平均値をグラフ化したものをその右側にしまします。このグラフでも夜21時のスポット位置は特異なので除外した所、東西方向の最大位置変化は水平ΔX=0.1mm、高さ方向の最大位置変化は垂直ΔHeight=0.37mmでした。今回は前回と変わって、垂直方向に大きな変化が出たので、この変化から地球の動きを推定すると、夕方18時頃にはスポットの高さが最低になり、明け方6時頃に最大になるので、地球は 春分の日の6時の方向から18時の方向(銀河中心から太陽に向かう方向)に動いていると思われます。この動きを銀河面(地球の公転面と平行)内の速度Eの動きと見なすと、夕方18時の日本の高さ方向とはほぼ同じ角度(差=35-23.4=11.6°)なので この時の地球の速度Eの高さ方向成分はEcos11.6°=0.98Eとなりますが、朝6時には日本の高さ方向とは大きな角度差(23.4+35=58.4°)がありますから、この時の高さ成分は、Ecos58.4°=0.52Eとなっていると思われるので、地球の動きEによるスポット位置の高さの差は0.98E+0.52E=1.5Eとなっている筈です。これから、地球の銀河面内の速度Eを求めると、
E=光速C/光路長L×ΔHeight/1.5=300000/3150*0.37/1.5=23.5km/s
となります。この時、地球の公転方向は逆方向なので、公転速度V=30km/sを加えた速度(E’=23.5+30=53.5km/s)と、現在これと直交している太陽系の軌道速度S=220km/sをベクトル合成した速度
G=√(53.52 +2202 )=226.4km/s
が、銀河系の運動速度Gになると思われます。この動きの方向は、ほぼ春分の日の午後13時の方向になります。
3.観測結果が示す事
今回の観測結果は、これまでの観測結果とほぼ整合しています。又、下左図に示す様に これまで見られた銀河系の動き方向と速度が少しづつ変化している事が再確認され、この変化は 地軸方向でも生じている事が新たに確認されました。この変化は これまで考えていた様な銀河系が更に大きな軌道運動をしていると考えるには速すぎる変化なので、何か別の要因であると思われます。例えば、天の川銀河の中心にあると思われるブラックホールと 太陽系銀河の中心にあると思われているブラックホールとが かなり接近して2重星となっており、互いの周りを廻りあっている為に、銀河中心が歳差運動をしている為ではないでしょうか。