安全工学を考えるとき、「何が危険であるのか?」を知らずして、安全な状態は出来無いのである。従って「何が、どのような状態となると危険なのか?」を知る必要がある。しかし、我々が存在する世界の物理化学状態や、関わる物品/建物/乗り物は、あまりにも多い。これらを、すべて上げ連ね、その危険性を論じることは不可能に近い作業量である。そこで、的確に研究考察領域を絞らねばならない。ここでは、著者の実務から、海運業の船舶に限ることにする。つまり「海運船舶の危険工学」となる。これだけでも、膨大な研究領域となるが、どうすればよいか?ここでは「過去の事故例」に学び、そこから普遍的/一般的な知識や原理を見出す事としたい。
また、危険性の認知は多面的であり、1つの側面だけでは論じきれず、さらに、未知の事例については、その事故要素の関連性を列挙して検討することも必要となる。その数学上の分類による順列や組み合わせの数は膨大な値になることが多い。しかし、検討を怠ると未知の事故に遭遇する事態となるので、その検討と考察には、多くの経験と事故例が必要で、その上、関連する物理化学現象/海事気象等を熟知している必要がある。
・衝突
・衝突と航行不能。
・航路横切りによる衝突。
・追突。
・行きかい時の衝突。
・追い越し衝突。
・事故停船船舶への衝突。
・岸壁への衝突。
・操舵不能衝突。
・速度低下/停船不能による衝突。
・潜水艦への衝突。
・座礁
・航路不案内による座礁。
・海図の読み違えによる座礁。
・サンゴ礁の成長変形などによる座礁。
・沈没船/事故船などの障害物での座礁。
・潜水艦での座礁。
・火災
・調理室での失火。
・タバコの不始末による失火。
・燃料系配管からの失火。
・防火設備の不具合。
・転覆
・過積載による横転覆。
・荷崩れによる横転覆。
・台風時の波乗り転覆。
・沈没
・座礁による浸水沈没。
・横転転覆による浸水沈没。
・衝突破損箇所からの浸水による沈没。
・過積載での乾舷低下による甲板への波/高潮/津波による浸水沈没。
・エンジン燃料系爆発による損傷箇所からの浸水沈没。
・エンジンと燃料配管系の爆発事故。
・救命設備の不具合による危険性。
・船内での乗客&乗務員事故。
・急病。
・船内での乗客&乗務員転倒事故。
・船内での身体ぶつけ事故。
・荷役時の事故
・危険物の積載と事故。
・クレーン不具合。
・過重によるアーム破損と荷物落下。
・クレーンワイヤー破断。
・ワイヤー電動機の故障。
・コンテナ落下。
・コンテナ崩れ。
・航路はずれ遭難。
・操舵系故障による漂流遭難。
・エンジン故障による漂流遭難。
・航路計器故障による位置不明遭難。
・乗客乗下船時の事故。
・乗客落下事故。
・乗客転倒事故。