世話人
林航平(一関高専)、東野聡(神戸大学)、身内賢太朗(神戸大)、長尾桂子(岡山理科大)、中竜大(東邦大)
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第1回
林 航平(一関高専)
◯日時:2021年7月16日(金)14:00-15:00
◯タイトル:銀河系の動力学構造とダークマター分布への制限
◯概要:
我々の住む銀河系は、それを構成している恒星1つ1つの詳細な観測が可能であり、その結果から銀河系の形成や進化を知ることができるユニークな実験場である。さらにその動力学構造は、ダークマターの重力的探査研究および直接・間接検出実験の重要なプローブにもなっている。本セミナーでは、銀河系の動力学構造からどのようにしてダークマター分布の情報を得るのか、その基礎を抑えた上で、最新の観測結果に基づいた銀河系ダークマター研究の現状を紹介する。最後に現在検討されている次世代観測装置による、銀河系ダークマター研究の将来展望についても紹介したい。
第2回
岡本 崇(北海道大学)
◯日時:2021年8月4日(水)14:00-15:00
◯タイトル:銀河形成とそのダークマター分布への影響
◯概要:
平坦で宇宙項を含む cold dark matter (CDM) モデルは Mpc より 大きなスケールで我々の宇宙を非常に良く説明する。より小さなスケールでの振 る舞いはダークマターハローの中心構造や,サブハローを見なければ制限がつか ないが,小さなスケールではバリオンの影響が無視できない。本セミナーでは銀 河形成シミュレーションの基礎を説明した後に,銀河形成過程がダークマター分 布にどのような影響を与えるのかを議論する。また,銀河形成シミュレーション では星形成や超新星爆発等の数値分解能以下かつ,未だによく理解されていない 物理過程は subgrid model として簡単なモデルを導入して扱うが,そのことによる 不定性,異なる研究グループ間でどの程度結果が一致するのかについても紹介したい。
第3回
長峯 健太郎(大阪大学)
◯日時:2021年10月1日(金)14:00-16:00
◯タイトル:宇宙の大規模構造とダークマター
◯概要:
前2回の講演ですでに銀河スケールでの諸問題はかなりカバーされているので、今回は主に宇宙の大規模構造の観点からダークマターについて議論する。空間スケールとしては、100kpc から200Mpc 程が対象となる。トピックとしては、大規模構造形成でダークマターが果たす役割、銀河の大規模サーベイから導出される宇宙論的な物質分布のバイアス、また近年特に観測的にも注目を集めているCold flow filamentや、銀河周辺物質 (Circumgalactic medium; CGM)の研究からわかってきていることを中心に議論する。
本セミナーシリーズは、以下の研究費による支援を受けています
新学術領域「地下から解き明かす宇宙の歴史と物質の進化」(19H05802) 「方向に感度をもった暗黒物質直接探索」(19H05806)
基盤研究(A)「超微粒子原子核乾板と超解像飛跡解析法による方向感度を持った暗黒物質探索実験」(18H03699)
基盤研究(C) 「新規な加速機構を通じた軽い暗黒物質検出における環境要因の評価と検証」(21K03562)
若手研究 「次世代大規模観測のビッグデータから迫る暗黒物質の解明」(21K13909)
基盤研究(B) 「弱電荷を持つ熱的暗黒物質の検証に関する理論的研究」 (20H01895)