Dentist's Colmn
たねいち歯科医院に勤務の歯科医師によるコラムです。
歯科の観点から「歯ぎしり・食いしばり」について詳しく説明しています。
歯ぎしり・食いしばりはどうして起こるの?
Why do teeth briming and clenching occur?
歯ぎしりとは、ギリギリと歯を擦り合わせることで、
就寝時に回りの方に気づいてもらえることが多いものです。
上下の歯を強く噛んだ状態で
横に滑らせこすり合わせる動きをいい、
最も歯にダメージを与える歯ぎしりで、
歯の削れが大きく歯が擦り減って平らになるという特徴がみられます。
就寝時の歯ぎしりの原因の多くは、
日中感じているストレスであることが近年わかってきました。
一方で食いしばりは
上下の歯をぐっと強い力で噛みこむことで、
歯ぎしりと違い横にこすり合わせることはありません。
スポーツ選手や筋力トレーニングなどで、
瞬発的に力を出すような瞬間が多い人。
パソコン仕事やスマートフォンを集中して使用している間に、
顔が下向きになることで食いしばってしまう人。
こうした方々は自覚がないまま、
上下の歯や骨格筋に過大な負担を与えてしまっています。
覚醒時・就寝時の歯ぎしり食いしばりのいずれにせよ、
多くは自覚がないので、
しないようにするのは非常に難しいのです。
歯ぎしり食いしばりの
セルフスピードチェック
Self-check for teeth tighting and clenching!!
詳しいセルフチェックも別ページに掲載してますのでそちらもご覧ください。
1. 日中集中している時に上下の歯を接触させたり、食いしばっていることがある
2. 朝起きた時に顎や頬の筋肉がこっていると感じる
3. 頬や舌に歯を押し付けた跡が残っている
4. 歯ぎしりしていると近親者に言われたことがある
5. 歯がすり減って短くなってきている
6. 歯の根元が削れている
7. 下の歯の内側や上の歯の頬側、上顎の真ん中に骨のコブがある
8. 詰め物がよく取れたり、割れたりする
9. 知覚過敏の歯が多い
10. 歯の表面に亀裂が多く見える
歯ぎしり食いしばりで起こる症状とは??
What are the symptoms that occur with teeth tighting and clenching?
1. 歯がしみる(知覚過敏)
歯ぎしりによって自分の歯の噛む面が削れ、エナメル質の下の組織である象牙質が露出することでしみるようになります。むし歯でもないのに冷たいものや甘いもので痛みを感じるようになります。
2. 噛むと歯が痛い、違和感がある (咬合性外傷)
歯の根っこの周りには、歯根膜という噛んだ時に硬い・柔らかいなどの圧力を感じる靭帯があります。歯ぎしりによりこの膜に強い力がかかり、損傷すると噛んだ時に痛みとして感じます。
3. 詰め物が取れたり割れたりする
入れたばかりの詰め物でも歯ぎしりの強い力で取れたり、割れたりします。そのような場合には詰め物の種類を変えたり、歯ぎしり自体の治療が必要になります。
4. 歯が割れる(歯冠、歯根破折)
歯ぎしりによって歯の表面がかけたり、歯自体が根っこまで割れることがあります。むし歯などで神経をとった歯は水分が失われ、枯れ木のように割れやすくなっています。歯ぎしりの強い力が加わることで、歯の根元まで割れると、噛む度に亀裂が広がり痛むことになります。
5. 歯の歯冠部と根の境目が削れる (くさび状欠損)
歯ぎしりにより強い力が歯の根元に加わると、歯の表面を覆っているエナメル質とその下にあるやわらかい象牙質の間に応力が集中し、歯が砕けるように削れていきます。 歯の根元の象牙質には神経とつながっている管(象牙細管)があり、歯ぎしりで削れることで神経とより近くなり知覚過敏を起こし、しみるようになったり、最悪の場合には歯の神経が死んでしまうこともあります。
6.骨がコブのように盛り上がってくる(骨隆起)
骨がコブのように盛り上がることがあります。下顎の小臼歯部の内側や上顎の天井(口蓋)の真ん中にコブのように骨が盛り上がることがあります。基本的には骨が盛り上がってきているだけなので、そのままにすることも多いのですが、入れ歯などがそのコブのせい入れることが、できない場合は外科的に削り取ることもあります。
7. 歯周病が悪化し、歯を支えている骨が痩せていく
歯ぎしりによって歯が揺さぶられ、歯を支えている歯槽骨がやせて歯周病が進行します。口臭や硬いものが噛めない、出血するなどの症状が出てきます。
8. 顎の関節や筋肉が痛くなる
歯ぎしりによって顎の周りの筋肉が過度に緊張、疲労して痛くなることがあります。また、関節のクッションの役目をする関節円盤という軟骨が強く圧迫されて痛くなることがあります。
この関節円盤は顎をスムーズに動かす機能がありますが、歯ぎしりにより関節円盤が圧縮され、ずれて音が鳴るようになったり、穴があいたりしていて、顎をスムーズに動かすことができなくなります。そのため、口が開きにくくなったりもします。
9. 肩が凝る
歯ぎしりによって噛むための筋肉が緊張し、そのことが首や肩の筋肉のはりやこりにつながり肩こりが出現することがあります。噛む力を出す筋肉は肩や首、頭の方まで繋がっており、その筋肉が緊張することによって肩や首筋が凝ったりします。
10. 頭痛
歯ぎしりによって頭痛などを起こすことがあります。歯ぎしりのとき動く筋肉の中には、顎から頭の横まで繋がっている筋肉がありその筋肉の腫れで動脈(浅側頭動脈)が圧迫され、顎や首周りの筋肉のコリが頭痛の原因になることがあります。
11. 顔のえら部分が大きくなる
歯ぎしりの時に使う最大の筋肉は、顎のえらの部分に付いている筋肉(咬筋)です。歯ぎしりがある方はこの筋肉が発達し、えらの部分が張り出してがおおきくみえてしまうことがあります。
歯科医院でできる治療は??
What treatment can I do at a dental clinic?
1.噛むための筋肉のマッサージ
緊張している筋肉の凝りをほぐし、口の周りの筋肉をリラックスさせます。筋肉の張りを取ることによって小顔にもなります。
2.噛み合わせの治療方法
噛み合わせが悪いことが歯ぎしりの原因のすべてではありませんが、正しい噛み合わせにすることはバランスをとってストレスを軽減することに重要です。抜いた歯や治療途中の歯、痛い歯などを正しいかみ合わせに治すことで、原因の一つを取り除くことができます。きちんとしたかみ合わせのために矯正治療を選択するのもよいでしょう。
3.歯ぎしり用マウスピース (保険治療が可能)
歯ぎしり用マウスピースは、歯科医院で歯型をとって簡単に作成できます。歯ぎしり用マウスピース(ナイトガード)は寝ている間の歯ぎしりによる歯へのダメージを減らすために使います。歯ぎしりから歯を守るだけではなく、知覚過敏、歯根膜炎、顎関節症、咬耗(こうもう)、セラミックの破折防止、歯牙破折、歯周病にも効果的です。
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