-登場人物-
河見 洋祐(かわみ ようすけ):32歳。数学担当。1年担任。真面目。
臼井 憲 (うすい けん):50歳。教頭。温和。カツラ溺愛者。
辛島 穂の香(からしま ほのか):31歳。国語担当。3年担任。気高い。
炎藤 熱人(えんどう あつひと):35歳。体育担当。2年副担任。うるさい。
嵐 時生(あらし ときお):52歳。校長。怖い。関西弁。
女生徒:ストーリーテラー的存在。春雨中学とは無関係。
男生徒:ストーリーテラー的存在。春雨中学とは無関係。
-配役- ♂3:♀1 所要時間:25分
河見(♂):
臼井(♂):
辛島/女生徒(♀):
炎藤/嵐/男生徒(♂):
---本編---
女生徒:ねぇねぇ。
男生徒:なぁに?
女生徒:面白いお話、聞きたい?
男生徒:別にぃ。
女生徒:聞きたいんだね!じゃあお話ししてあげるね!
寂れた田舎のとある中学校に、今年、赴任してきた男性教師のお話なんだけど。
その先生の名前は、河見洋祐っていうの。
男生徒:別に聞きたくないよぉ。
女生徒:いや聞けよ!
男生徒:うん、聞く。
女生徒:でね、その河見先生は、教師歴10年目の32歳。
男生徒:けっこう行ってるね。
女生徒:もぉおじさんだね。
でね、河見先生が赴任してきた中学の名前がね、春雨中学校っていうの。
男生徒:おいしそうだね。
女生徒:わたし、昨日の夜、春雨食べたよ。
男生徒:いいなぁ。僕も今夜食べようかな。
女生徒:わたし、今夜カレーがいいなぁ。
男生徒:カレーおいしいよね。
……なんの話だったっけ?
女生徒:河見先生が春雨中学に赴任してきたってお話。
男生徒:そうだったね。
女生徒:でね、河見先生が、その春雨中学に赴任してきて、最初の出勤日のお話なんだけどね。
これは、このままわたしが話すより、直接見てもらいましょう。
男生徒:最初から見ればよかったんじゃない?
女生徒:うるせぇよ!
男生徒:ごめん。うるさかったね。
女生徒:じゃあいい? タイトルコールいくよ?
男生徒:今からが本編なんだね。
女生徒:そうだよぉ! それではいきましょー!!
「職員室 -第1話 始まりにて-」
スタートぉ!!
男生徒:スタートぉ!!
■職員室
河見:あぁ、緊張するなぁ。とりあえず職員室に着いたけど、まだ誰も居ないな。
とりあえず、まずは校長先生に挨拶行った方がいいと思うんだけどなぁ。
あ、そうだ。
■河見、ポケットから紙を取り出す
河見:今日の入学式で、着任の挨拶する事になってるんだった。
一応、書いたけど、少し読み直してみるか。
「この度、春雨中学でお世話になることになりました、河見洋祐と申します。
以前勤めていた学校では、新任で採用されてから、9年間数学を教えていました。
この学校でも数学を受け持ちます。さらに、本日入学された1年生の皆さんの担任を務めます。
私もこの学校の1年生です。一緒に楽しくやっていきましょう。
私から皆さんに、ひとつだけ最初にお伝えしたい事があります。
それは、人間関係についてです。人間関係の構築は社会ではとても大切です。
生徒と教師、生徒同士、教師同士もそうです。より良い人間関係を作るには、自分から動きましょう。
生徒も教師も、まずは相手の声に耳を傾けましょう。そうすれば、今よりお互いを理解し合えます。
相手の声をしっかり聞き、受け入れてみましょう。そうすれば……」
嵐 :(被せるように)おいこらぁ!!こっち来いやぁ!!
臼井:ひえぇぇぇ!!
■2人の男が入室
嵐 :おい!!約束の日は今日とちゃうんか?お?こらぁ!!
臼井:は、はい…。
河見:(えぇぇぇぇ!!! ヤ、ヤクザ!?)
嵐 :こっちは、首を長ごぉして、今日を待っとったんじゃ。
河見:(と、取り立てかな?)
嵐 :ワレが待ってください言うたさかい、わしは待ってたんと違うか!?
臼井:仰る通りです、はい。
嵐 :例のやつ連れてくる言うたんは、ワレ違うんか? いつになったら来るんや、あ?
河見:(借金の保証人?とかの話しかな。)
嵐 :こちとら、もう待てん言うとんねや!!
臼井:はいぃ!!申し訳ありません!!
河見:(やばいやばいやばい。何だよこの学校!!)
嵐 :さっさと連れてこいや!!!
臼井:そう言われましても…
■臼井、河見と目が合う
臼井:あ!! この人です!!
河見:え? ええぇぇぇぇ!!?
嵐 :何やと? …オドレか?
河見:へ!? あ、いやいやいや、人違いです!!
わ、私はお金を借りたものでも、保証人でもありません!!!
借金はしちゃあいけないよって、死んだばあちゃんに言われてましたからぁ!!!
臼井:……借金?
嵐 :……何を言うてんのや、こいつは。
河見:あれ? え? えぇ!?
……えっとぉ、あの、そちらは、ヤ、ヤクザの方では?
嵐 :なんやとぉ!!?
臼井:(被せるように)わぁぁ!!! ちょっとちょっと、な、何を言うんですか!!
河見:へ?
臼井:このお方は、わが校の校長先生です!!
河見:えぇぇぇぇ!!?
嵐 :何か文句あんのんか!!
河見:いえいえいえ、滅相もありません!! 失礼いたしました!!
ただ、言動や風貌から、その筋の方かと…。
嵐 :ふん。わしがこの学校の校長、嵐時生や。
河見:あ、あらし ときお。嵐……TOKIO……。何か、ジャニーズの名前が2つ程ありますね。
嵐 :お? よぉ気づいたな。
女房も「あんたのその顔で、嵐やTOKIOは無いわぁ」言うてたわ。
「やかましわぃ」言うたったけどな! はっはっはっはっは!!
ちなみにやけども、わしは、女房のことを、ツマ(妻)ップと呼んどるんや。
河見:ツマップですか。
嵐 :おぉ。ツマップや。
河見:ツマップ……。
嵐 :まぁ、女房はわしの事を「Kinki シニア」と呼びよる。
「あんたは、キッズや無いさかいなぁ」やて! はっはっはっは!!
河見:えっと、何の話でしょうか。
臼井:あのぉ、盛り上がってるところすみませんが。
貴方、今日着任された、河見先生ですよね?
河見:え、あ、はい。
臼井:良かった。ちょうど今、河見先生を探しておりました。
先日写真は拝見いたしましたが、直接お会いするのは初めてですね。
あ、私、臼井と申しまして、この学校で教頭をしております。
河見:え、あ、教頭先生だったんですか。てっきり借金取りに追われてる方かと。
嵐 :誰が借金取りや!!
臼井:えぇ、これでも教頭をしております。
河見先生を校長室へご案内するよう言われておりましたが、少しトイレが長引きまして。
歳をとりますと、中々、力んでも出てこないものですから。
おかげでペーパーを2ロールも使ってしまいまして。
嵐 :そんな事はどぉでもええ。わしもなぁ、今日の盃事の準備せなあかんから忙しいんや。
せやけど、こいつがオドレを連れてこんさかい、今、怒鳴ってたとこや。
河見:あぁ、それは、なんか、すいません。
てか、盃事って。その筋の方の用語じゃないですか。
えっと、入学式の事ですかね。
臼井:校長先生には、入学式での祝辞をお願いしております。色々、お忙しいのです、はい。
嵐 :河見言うたなぁ。オドレの顔、覚えたさかいな。
河見:あ、はい! これから、よろしくお願いします!
嵐 :おぉ。まぁ、しっかり頑張りや。ほな、わしは先に体育館へ行くさかいな。あとは頼んだでぇ。
■嵐 退室
臼井:はい!お気をつけて、いってらっしゃいませ!!
河見:(あの人が校長かぁ。どう見ても、ヤクザにしか見えなかったけど。)
(え!! つか、やばい!教頭先生、深くお辞儀しすぎて、落ちちゃってるよ!! カツラ!!!)
■臼井、落ちてるカツラに気づかない
臼井:…いやぁ、河見先生。驚かれましたか?
河見:え!?
臼井:うちの校長に初めてお会いされた時、だいたいの人が同じようなリアクションをされます、はい。
ふふふ、びっくりなさったでしょう?
河見:あぁ、そうですね、今もなお、違う意味でびっくりしている最中ですけど…。
臼井:まぁ、うちの学校の先生方は、少し変わった方も多いですけどね。
基本は皆いい人ばかりですから、すぐに仲良くなれると思いますよ、はい。
河見:そうだといいんですが。……ところで、あのぉ。
臼井:はい?
河見:あの、落ちちゃってますよ、その、髪が。
臼井:え!? あ、あぁぁぁぁ!!! 何という事でしょうか!!
私の大事な、ヘアミルクちゃんが!!!
河見:ヘ、ヘアミルクちゃん?
■臼井、カツラを拾い上げる
臼井:あ、あぁ、この子の名前です。
河見:え、カツラに名前つけてるんですか!?
臼井:カツラと言わないでください!!
愛しの愛しのヘアミルクちゃんです、はい。
河見:は、はぁ。
臼井:ところで河見先生。このヘアミルクちゃんの件は、他の先生方には、どうかご内密にお願いしますね。
河見:教頭先生が、カツラだという事ですか? それともカツラに名前を付けてる事ですか?
臼井:ですから、カツラと言わないでくださいってば!! この子はヘアミルクちゃんです!!!
あ、まぁ両方ですね。こんなみっともない姿がバレたら、教頭としての威厳が、失われかねませんからね。
河見:はぁ、そうですか。そういえば、僕のオヤジもカツラでして…‥
臼井:貴方のお父様がカツラであっても、私にとってはヘアミルクちゃんなんです!!
いいですか、金輪際、この子の事をカツラと言ってはいけません。いいですね、約束なさい!!
河見:は、はい、わかりました。
臼井:あ、すいません、少し感情的になってしまいました。
さぁ、まもなく入学式が始まります。河見先生も着任の挨拶されるんでしょう?
我々も、体育館へ急ぎましょう!
■臼井、カツラを装着しながら走っていく
河見:はい! って、教頭先生!! カツラ……じゃない、ヘアミルクちゃんが前後ろ逆になってますよ!!
ヘアミルクちゃんが後ろ向いてますって!! ヘアミルクちゃんが!!
……って、俺、何言ってんだろ。
ちょっと、教頭先生!! 待ってくださいって、威厳が失われますよぉ!!!
■河見、臼井を追っていく
間
■入学式が終わって、職員室 ※SEでチャイム鳴らしてもOK
河見:無事、入学式終わって良かったですね。
臼井:えぇ、本当に。私の威厳も無事保たれましたです、はい。
河見:そ、そうですね。
臼井:では、改めて河見先生に、我が春雨中学の先生方を紹介しましょうかね。
といっても、まだ誰も帰ってきませんね。
■辛島・炎藤が入室
炎藤:あぁ、疲れたぁ!! 入学式ってこんなに疲れるもんだったっけか!?
辛島:炎藤先生、さっきから声が大きいんですよ。耳が痛い。
臼井:おや、いいところに来ましたね。
辛島先生、炎藤先生、ちょっと来てください!!
辛島:あら教頭、何でしょうか?
炎藤:教頭!! 先ほどはお疲れ様でした!! いやぁ、本当に疲れましたよぉ!!
で、どうしました!!?
臼井:……相変わらず、炎藤先生のお声は、耳をつんざきますね、はい。
炎藤:いやぁ、すいません!! でもこれが、自分の取柄みたいなもんっすから!!
河見:(いや、にしてもうるさいと思うけど。)
臼井:お二方に、改めてご紹介を。
先ほどの入学式でも挨拶していただきましたが、本日、本校に着任されました河見先生です。
辛島:(被せるように)ん? なにかしら、この臭い。
臼井:河見先生、お二人に自己紹介をお願いします。
河見:はい。あ、河見です。よろしくお願いします。
辛島:(被せるように)ねぇ、炎藤先生、もしかして、またタバコ吸いました?
炎藤:え!!? わかる!!?
辛島:わかりますよ。さっきから臭いますもの。
炎藤:うそ、まじかぁ!!
河見:あの、教師歴は今年で10年目で……
辛島:(被せるように)生徒たちに悪影響を及ぼすから、校内では禁煙してくださいって言ったじゃないですか!
炎藤:いやぁ、まぁ、ついね!! でもこれが、自分の取柄みたいなもんだからねぇ!!
辛島:はぁ? 意味わかんないんですけど。
河見:あの、この学校では、1年生の担任と、数学を受け持たせていただくことに……
辛島:(被せるように)そう言えば、炎藤先生は、この春休みの間、若い子たちと合コン三昧だったんですって?
さっき、廊下で生徒たちが噂してましたわよ。
タバコの事もそうですけど、もっと教師としての自覚を持ってくださる?
炎藤:お言葉ですが!! 自分、合コン行っても成功してませんから!! お持ち帰りも出来てませんから!!
辛島:そういう問題じゃないでしょ!!
生徒の見本になる立場の人間がやっていい行動じゃないって言ってるの!!
炎藤:堅い!! 辛島先生は、お堅いですねぇ!! そんなだから、いつまでも結婚ができないんでしょうよ!!
辛島:な!! うるさいわね!! 余計なお世話よ!!
河見:あのぉ……
辛島:何よ!!! ……ってか、あなた誰?
河見:……いや、ですから、今日からお世話になる、河見です。
炎藤:おお!! 河見先生!! よろしくお願いしますよぉ!!
この女はですね、3年生担任の辛島って言うんですけどね。
まぁ、女の魅力を何ひとつ持っていない奴でしてね!!
そのくせ、口うるさいし、何かと私に絡んでくる、鬱陶しい女なんですよ全く!!
ついでに、性格もひん曲がってるもんだから、男も出来なくてね!!
国語担当でしてね、小説だかエッセイだかを読み漁ってて。
もういっそ、活字体と結婚すればいいのにぃなんて思ってるんですけどね!!
まぁ、無いとは思いますが、こんな女に誑かされないように、気を付けて下さいね、河見先生!!
辛島:まぁ、随分と言いたい事を言ってくださいましたわねぇ。
河見先生!! この男は、2年生副担任で体育教師の炎藤熱人です。
すでにお分かりのように、暑苦しさを絵に描いたような男ですわ。
ただでさえ暑苦しいのに、名前が炎藤。
遠い藤じゃなく、炎の藤で炎藤だなんて、どこまで暑苦しいのかしら。
苗字が苗字なら、名前も、熱い人と書いて、熱人ですって。
名は体を表すって言いますけど、まさしくこの男のことですわ。
しかも、聖職者でありながら、春休み中に大学生と合コンばかりしてたんですって。
そこで撮った写真を、ご自身のSNSに投稿するもんだから、うちの生徒に特定されて、
特に女子生徒たちの間で写真が出回ってるようで。
その事を知った校長に、今朝方、大目玉くらってましたの。
生徒たちには「新年度早々、炎藤が炎上してる」なんて影で馬鹿にされてましたわ。
とても笑えない、ダメ教師なんです!
河見:「炎藤が炎上してる」は、ちょっと面白いですけどね。
辛島:どこが面白いんですか!!
この男は、教師でありながら遊ぶ事ばっかり考えて、真面目に生徒と向き合おうとしない。
だからいつまでたっても、副担任のままなのよ!!
とにかく、無いとは思いますけど、こんな男と深く関わり合いになると、
碌な事になりませんわよ、河見先生!!
炎藤:大人しく聞いてりゃ、言いたい事、ハッキリ言ってくれちゃいますねぇ、辛島先生!!
辛島:あなたが先に言ったんでしょ!!
河見:まぁまぁまぁまぁ、とりあえず、お二人のお名前は分かりましたから。ありがとうございます。
炎藤:あ、そういえば河見先生!! 先ほどの入学式でされた挨拶、とても素晴らしかったですよ!!
辛島先生は、その時、席を外してらしたようなので、聞かれてないと思いますけどね。
何してたんでしょうねぇ。
辛島:何って、ここで仕事してたわよ!!
炎藤:どうだかね。
いやぁ、でも河見先生、本当に良かったですよ!!!
「生徒も教師も、まずは相手の声に耳を傾けましょう。そうすれば今よりお互いを理解し合えます」
っていう所なんか!! もう感動して涙が出ましたよ!!!
河見:ありがとうございます。その割には、つい先ほどの僕の話に、耳を傾けて下さらなかった気がしますが……
炎藤:(被せるように)あ、そうだ!!! 先生の歓迎会も兼ねて、近いうちに飲みに行きましょうよ!!
河見:えぇ?
炎藤:幹事なら自分がしますよ!! お互いを知るには、まずお酒!! それが一番手っ取り早いでしょう!!
酒の席で、この学校のいろは、教えますよ!! なんなら、今度一緒に合コン行きましょう!!
辛島:炎藤先生!! またすぐそうやって!! 少しも反省してないじゃない!!
炎藤:うるさいよ!! 河見先生、こんなカチカチ頭の言う事は無視しましょうね。
一緒に飲みながら、学校の事や、女の口説き方なんかも、教えちゃいますよぉ!!!
辛島:最っ低!! 誰がカチカチ頭なのよ!!
だいたい、女の口説き方を教えるって、全然成功してないんじゃなかったかしら!!?
河見先生、こんな汗臭い脳筋野郎の言う事は、無視してやればいいんですのよ。
炎藤:誰が脳筋野郎だよ!!!
辛島:あなたです!! 汗臭い酒臭いタバコ臭い!! でもって暑苦しい!! あぁ、やだやだこんな男!!
炎藤:おぉおぉ、自分だってねぇ、気が強い口が悪い頭が固い女は、タイプじゃありませんから、ご心配なく!!
辛島:なんですって!!!
臼井:あのぉ、お二人ともやめましょう!! 河見先生がびっくりしていらっしゃるではありませんか。
ここはお互い、一旦冷静になって……
辛島:(被せるように)なんですか教頭。教頭こそ、いつも校長のご機嫌伺ってペコペコしっぱなし。
全く威厳が無い、ただの腰巾着の癖に。仕事がお出来になるならまだしも、校長に怒鳴られてばっかりで。
生徒が、教頭の事、存在が薄いから、臼井なんだねぇなんて言ってましたわよ。
河見:(小声)存在だけかなぁ。他にも薄い所があると思うけど。
辛島:私たち教師どころか、生徒にまで馬鹿にされてらっしゃって。
もっと、教頭として、しっかりなさってくださいな!
臼井:あ、はい、すみません。
河見:(小声)教頭先生の威厳は、既に失われてた。
辛島:私、こんなむさ苦しい男とは、一秒だって同じ空間に居たくありませんわ。
3年生のホームルーム行ってきます。
炎藤:自分だって同じっすよ!! こんなケバケバ女とは、目も合わせたくねぇっすよ!!
トイレ行ってきます!!
辛島:うっさいばーか!!
炎藤:バカとはなんだバカとは!!
辛島:ばーかばーか!!
■辛島・炎藤、言いあいながら退室
間
臼井:……ねぇ、いい先生方ばかりでしょ?
河見:いや、どーなんすかね!! 相当言い合ってましたけど。
臼井:まぁ、あの二人は日常茶飯事なので、ご心配なく。
河見:ついでに教頭先生も相当言われてましたね。
臼井:河見先生、傷を抉らないでください。
私の事はともかくとして、河見先生には、大変期待をしております。校長も私も、きっと他の先生方も。
ですから、これから一緒に頑張っていきましょう、はい。
河見:はぁ。(苦笑)
間
河見:とまぁ、色々あったけど、無事、春雨中学での教師生活が、こうして始まった。
個性強い先生方が多いけど、なんとか頑張ってやっていこう。
まだ直接、ご挨拶できていない先生もいるけど、それは追々。
間
■ズボンが膝まで落ちてる炎藤が、入室
炎藤:あのぉ、河見先生。
河見:あれ、炎藤先生……、って!! どうしたんです、その恰好!!!
ズボンがずり落ちてるじゃないですか!!
炎藤:いやぁあの、実は、トイレに紙が無いんすよね。
そこのコピー用紙で拭いてもいいっすかね?
河見:いいわけないでしょ!!
ていうか、一旦、ズボン上げましょう!!
炎藤:だめだめだめ!! まだ、拭けてないの!!
今、ズボン上げちゃうと、色々まずいんすよ!!
河見:いやいや、その恰好の方がまずいですよ、誰かに見られたりでもしたら。
炎藤:だって、紙がないんですよ!!!
臼井:髪が、ない?
炎藤:はい!! 紙が、ないんです!!
臼井:……。
炎藤:こちとら、もう出しちゃったんですよ!! そりゃあ、もう、たっぷり出ましたよぉ!!
で、いざ、拭こうと思ったら、紙が!! ないの!!
紙が!!! ないの!!! 棚の上にも、どこにも、紙が、全然、ないの!!!
臼井:(咳払い)
炎藤:紙が!!! ないの!!!
河見:あ、あのぉ、そのワードはあまり仰らない方がいいかと。
炎藤:でも、紙が、ないの!!!
河見:「紙がない」を連呼するのは、とりあえずやめましょう!!
炎藤:でも、紙が!!
河見:もぉ!! わかりましたよ!! じゃあ、とりあえずトイレットペーパー探してきますから
炎藤先生は、一旦トイレに戻ってください。
炎藤:ええ!! この状態のまま戻るの!?
河見:その恰好で来たのあんたでしょうが!!
とにかく、このままここに居ても、ただの不審者か変態にしか見えませんから!
とりあえずトイレに戻って下さい。あと、ちょっと臭いますし。
炎藤:臭う!? なんだ!! 君もあの女みたいなこと言うのかぁ!!?
河見:いやそうじゃありませんよ。早く、トイレ行きますよ!
炎藤:おぉ!!紙よ!!私を救いたまえ!!
河見:うるさい黙れぇ!!
炎藤:おお、紙よ!!
■河見・炎藤、言い合いながら 退室
間
臼井:……(ため息)。
(カツラを手に取り)あぁ、愛し愛しのヘアミルクちゃん。
私は君が大好きだよぉ。君は、どこにも、行かないでね。
ん?私の頭部に戻りたいですか?
いいですよ。さぁお戻りなさい。可愛い可愛いヘアミルクちゃん。
■臼井、カツラを装着する。
臼井:……そういえば、トイレットペーパー補充するの、忘れてましたね、はい。
間
臼井:さて、校内の見回りに行ってきますか。
■臼井、退室
間
■職員室の外から、河見の声が響く
河見:あぁぁ、教頭先生!! また逆ですよ!! ヘアミルクちゃんがぁ!!! 教頭の威厳がぁ!!!!
間
■女生徒・男生徒、再登場
女生徒:どうだった? おもしろかった?
男生徒:どうかなぁ。
女生徒:あん?
男生徒:う、うん、おもしろかった。
女生徒:だよねぇ! うふふ!
「職員室 -第1話 始まりにて-」
男生徒:これにて、おしまぁい!
女生徒:次回も、お楽しみにぃ!!
男生徒:お楽しみにぃ!!
---END---