①日頃、どんな仕事をしていますか
大学で天文学の研究をしている、天文学者です。宇宙の様々な謎を解き明かすために、宇宙観測のデータや物理学の計算、プログラミングを使って新たな知見を生み出すのが仕事です。
②その仕事を選んだきっかけは?それは何歳くらいのときですか?
大学生の時に天文学の授業を受けて、宇宙の壮大さや神秘に魅了されたのが一番のきっかけです。
③勤務時間と主な仕事内容
基本的に平日の9時から18時ぐらいに大学で仕事をしています。研究者の仕事は多岐に渡り、日によって大きく変わります。計算やプログラミングを行う日もあれば、論文を読んだり書いたりに費やす日もあります。また、同僚との議論や学外からの研究者の講演を通じて、他の研究者のやっている研究を学ぶことも多いです。逆に他の大学に出向きそこの研究者へ講演をしたり、大衆の方々向けに講演をすることもあります。
日によっても変わりますが、出世度合いによっても変わります。上は平均的なポスドクの仕事内容ですが、教授になると更に授業や学生の指導、運営の会議などがあります。プレイヤーからマネージャーに移るため自由度は減り責任度が増えますが、やりがいはあると思っています。
④仕事をしていて辛いと感じる時はありますか?それはどんなときですか?
研究は未知の領域を探求するのですぐに成果を得られることは少なく、一つの仕事が終わるまで何年もかかることもあります。なかなか成果が得られない時は辛いと感じることはあるので、その時は気分転換が大事です。
⑤仕事をしていて、これまでで一番うれしかったことはどんなことですか?
一番最初に書いた論文が学術誌にのった時が、人類の知見に貢献できた気持ちになってうれしかったと記憶しています。また、これまで指導してきた学生たちが論文を出すなどして、その経験を糧に新たな舞台へ羽ばたくのを見るのはうれしいものがありました。
⑥どんな性格や考え方の人がこの仕事に合っていると思いますか
研究している分野が本当に好きで、その熱意で辛抱強く研究に取り組める人が合っていると思います。常識人も多々いますが、良い意味で(?)頭のネジが緩んでいる人もメンタルが強靭なことが多いため合ってそうな印象です。
⑦仕事をする中で「これは意外と大切だな」と思うことは何ですか?
研究者は自分の研究室や実験室に閉じこもって黙々と実験や作業をするという印象があるかと思います。しかし他の人との議論や交流は研究者として成長する上で非常に重要だと、海外で研究していて強く感じました。特に天文学は理論と観測が両輪のように機能して進む学問なので、理論の研究者は観測の研究者と多くの接点を持つことが大事と思っています(逆も然り)。
⑧この仕事は、どんな風に社会の役に立っていると思いますか?
実生活にはほとんど役に立たないです。何億光年先の銀河がどうなろうが、明日のご飯や、お父さんお母さんの給料は変わりません。ただ、私たち人類は絶えず「世界はどうなっているのか、私たちはどのように生まれたのか」について考えてきました。宇宙のすべてが研究対象である天文学者は、そのような問いに絶えず答えを探し、得られた知見を社会と共有することが責務だと思っています。
⑨学生のうちにやっておいた方がいいことはありますか?
勉強やスポーツでも何でもいいので、何か自分が熱中できるものを探す大切な時間だと思います。あと日頃授業で学んでいることを大切にすることは大事です、将来いつ役に立つかわからないので。理系なのに、中国人の同僚と古文漢文の雑談をするとは思ってもいませんでした。
⑩その他、働くうえで大切にしていることや、学生へのメッセージ
世界は戦争が絶えず、日本社会にも様々な不安があることは否めません。そんな中でも、何かを知りたいという欲求を失わないことが大切だと思います。次世代を担うみなさんと一緒に、学問を開拓できたら何よりです。