<奈良県教育カウンセラー協会 設立記念講演会>
日 時 2024年11月9日(土)13:00~16:30
場 所 奈良教育大学
テーマ 「人と関わる知恵」
講 師 金山元春(奈良県教育カウンセラー協会代表 天理大学教授)
このたびの記念講演会は、講師と参加者、そして参加者同士が絶えずやり取りする参加型講座でした。
いわゆる講演録では再現できませんので、ここでは講座の主旨を記載しておきます。
人は自分なりの「ものの見方」でこの世界を見ており、それがその人の行いに反映されます。そして、ある人の行いは別のある人に影響を与え、それが連鎖していくと、そこに特有の状況が生まれます。つまり、人と人との間で生じることは、そこに関わる人々の影響の及ぼし合いの結果なのです。これを「相互作用」といいます。
うまくいっている状況も、その状況に関わる人々の影響の及ぼし合いの結果ですし、うまくいっていない、つまり「問題」とされる状況も、その状況に関わる人々の影響の及ぼし合いの結果といえます。そうした状況を変えたいのであれば、相互作用の中にある誰かが変わればよいのですが、それでは、誰から変わればよいのでしょうか。
私たちは人間関係の問題に直面すると、まずは誰が悪いのかをはっきりさせて、その人に態度を改めてもらおうとします。しかし、そうした関わり方は人間関係の軋轢を生んで、かえって状況を悪化させることがほとんどです。ですから、問題とされる状況に気づいた時には、その状況に関わる人々のことをどう見るのかという自らの「ものの見方」を変えて、その状況を共にする人との関わり方すなわちコミュニケーションを工夫していく必要があります。
「教育カウンセリング」の世界には、人と関わる知恵として役に立つものの見方やコミュニケーションの工夫が豊かに蓄積されています。
当日は、その中から「構成的グループエンカウンター」「解決志向アプローチ」「クラス会議」などについて、体験を通じて学ぶ機会を提供しました。
参加者は、教員、保育者、スクールカウンセラー、福祉施設職員、子育て支援者、教育行政担当者、教育や心理を学ぶ大学生・大学院生など、多様でしたが、シェアリング(感じたこと、気づいたことを分かち合うこと)の様子からは、それぞれが今後の教育支援活動に資する学びを得られていたことが伝わってきました。
このたびの記念講演会にご参加、ご支援を賜りました皆さまへあらためて厚く御礼申し上げます。
今後も奈良県教育カウンセラー協会の活動に対するご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。
奈良県教育カウンセラー協会代表 金山元春