プリンタプロファイルの作成ツールをお持ちの方はPhotoshopを使って無料でICC準拠のデバイスリンクプロファイルを作ることができます。ツールをお持ちでない方も、任意のプロファイルで、デバイスリンク作成が経験できます。
デバイスリンクプロファイルの作成プログラムは、市販されていますが、ここではPhotoshopとICCプロファイル作成プログラムを使用して高精度なデバイスリンクプロファイルを作成する方法を紹介します。
使用するプログラムは、windows上で作成しましたので、windows環境が必要です。
準備するもの:
・devicelink.zipをここからダウンロードし解凍して、devicelink.psd、devicelink_linear.icc 、devicelink_v2.exeを取り出してください。(注:ワーニングが出た場合の対処方法はページの最後参照)
・windowsPCの"C"ドライブに"link"フォルダを作成し、解凍した3ファイルをコピーしてください。インストールはしませんので作業後、不要になった場合は、"link"フォルダを削除すれば痕跡も残りません。
・Photoshop CS2以降 入力プロファイルをプリンタプロファイルにプロファイル変換するために使用するので、MAC用でも可。
・devicelink.psd 83521色をプロファイル変換するためのファイルです。("C"ドライブの"link"フォルダにコピー)
・devicelink_linear.icc プリンタプロファイルを作成する時使用する、リンクプロファイルです。また、作成するリンクプロファイルのテンプレートとして使用します。("C"ドライブの"link"フォルダにコピー)
・devicelink_v2.exe Photoshopで作成・保存したTIFFファイルを入力とし、デバイスリンクプロファイルを出力する変換プログラムです。("C"ドライブの"link"フォルダにコピー)
・プロファイル作成ツール プリンタプロファイルを作成する環境。これで作成したプリンタプロファイルと入力プロファイルをリンクします。eye-oneなど高精度の測色計を使用してください。
プリンタプロファイルの作成:
アプリケーションにインストールして使用するプリンタプロファイルと同様に、「プリンタのカラーマネジメントを停止」して作成しますが注意するべきは、運用で画像をプリントする時も、出力プロファイルを作成するためにチャートをプリントしたときと同じルートを通らなければなりません。
そのために、「devicelink_linear.icc」をプリンタ(RIP)に、通常のデバイスリンクプロファイルと同様にインストールして、それを指定して測色用チャートをプリントしてください。
この「devicelink_linear.icc 」は、プリンタ(RIP)でカラーマネジメントが行われないように「素通しのデバイスリンクプロファイル」になっています。「素通し」とはどういうものか、は「プロファイルインスペクタ」で説明します。
プリンタ(RIP)の説明書に従って、このdevicelink_linear.icc を通常のデバイスリンクプロファイルと同様にセットしてください。
デバイスリンク用のプリンタプロファイルを作成するために、チャートをプリントするときの重要な注意点です。
プロファイル変換:
・作成したプリンタプロファイルを、PhotoshopのあるPC(MAC)にインストールしてください。
・Photoshopを立ち上げます。
・「編集」ー「カラー設定」ー「作業用カラースペース」の「CMYK」でリンクしたい入力プロファイルを指定します。
通常は「Japan Color 2001 Coated」など、印刷機の特性のプロファイルを選択します。
・ダウンロードした、devicelink.psdを開いてください。
左は、CMYKそれぞれ0%から100%までの濃度を17段階で表現したものです。右は、左上の桝を1600%に拡大したものです。
上一段は、C=0%から100%までを17段階で繰り返し表示しています。2段目は同様にC=0%から100%までとY=6%の場合が表示されています。このようにして、CMYK=0、0、0、0から100、100、100、100%まで、83521色(17x17x17x17)を網羅しています。スポイトツールでご確認ください。
・「編集」ー「プロファイル変換」で「変換後のカラースペース」のCMYKで、インストールしたプリンタプロファイルを選択してください。また、「ソースカラースペース」は「作業用カラースペース」で指定したプロファイルが表示されていることを確認してください。
・プレビューを、オン・オフするとわずかながら色味が変わると思います。
・変換オプションに、変換方式、マッチング方法、黒点の補正を使用、などがありますので、目的に応じて選択してください。
・設定が確定したら「OK」を押下してください。
・「ファイル」ー「別名で保存」を選択し、ファイル形式を「TIFF」、「ICCプロファイル」はオフにして、保存するフォルダは、”C”ドライブの”link”フォルダであることと、ファイル名は”devicelink.tif”であることを確認して「保存」を押下してください。
・画像圧縮は「なし」、ピクセルの順序は「インターリーブ」、バイト順序は「Macintosh」を指定して、「OK」を押下してください。
デバイスリンクプロファイルの作成:
・プロファイル作成用データが、"link"フォルダに出来ましたので、「devicelink_v2.exe」をダブルクリックして起動してください。
・作成するプロファイル名(半角14文字以内)を指定してください。デフォルトはdevicelink.iccです。
・「C=0&M=0&Y=0の時、UCRではなく、Kのみ」は、K=0から100%すべてでKのみ使用になります。「オフ」の場合は出力プロファイル作成時に指定したUCRがそのまま適用されます。通常は「オン」を指定してください。
・「CMY単独の場合、混色にしない」は、CMY単独の場合、純色になります。「オフ」の場合は、純色でデザインしても混色になる場合があります。通常は「オン」を指定してください。
・「スタートボタン」を押下すると、数秒後に終了します。
・Cドライブの”link”フォルダに指定した名称のデバイスリンクプロファイルが出来ていますのでコピーし、プリンタ(RIP)の説明書に従ってプロファイルをインストールしてプリントしてください。
市販のデバイスリンク作成プログラムには、「知覚的」「相対的」などの選択肢もありますが、このプログラムでは、それらはPhotoshopの「プロファイル変換」の設定時に行いますので設定項目はPhotoshopと変換プログラムで分かれて設定することになります。GCR設定などは、プリンタプロファイル作成時の指定がそのまま引き継がれます。
・作成したリンクプロファイルの確認:
運用上は必要ありませんが、作成したデバイスリンクプロファイルの内部を「プロファイルインスペクタ」を使用して、覗いてみるのは興味深いものです。
・ICC Profile Inspector からプロファイルインスペクタをダウンロードして解凍し、PCにインストールしてください。
・「ICCviewer.exe」というアイコンがデスクトップ上に出来ますので、ここに「devicelink_linear.icc」をドロップしてください。または、ICC Profile Inspector の「Browse」ボタンを押下して、ファイルを選択してください。
・最初にヘッダー情報lが表示されます。
・右側の、”A2B0”をクリックし、そこでCLUTタブをクリックすると、チャンネルごとのスライダーが表示されますので、操作して右上の値を確認してください。0から65535までの値を17段階に分けた値がリニアに表示されます。ここでのチャンネルは、0,1,2,3がC、M、Y、Kに対応しています。
・次は、あるプリンタのデバイスリンクプロファイルの例です。(作成したプロファイルで確認してください。)
・黄色一色100%の入力の場合、プロファイルを適用するとプリンタに何が渡るかを示しています。
・プロファイル作成時に、「CMY単独の場合、混色にしない」のチェックを入れない場合は、このように他の色も混ざります。理由は、印刷インキのYはやや赤みを帯びていて、そのためプリンタのYインクにはMの成分を加えて丁度同じ色味になることを示しています。
・次は、「CMY単独の場合、混色にしない」を「オン」にしてプロファイルを作成した場合です。色味はともかく、混色にしたくない、といった場合にこちらの設定を使います。
・「C=0&M=0&Y=0の時、UCRではなく、Kのみ」の効果も作成したプロファイルでご確認ください。
「プロファイルインスペクタ」には多くの機能があります。いろいろなプロファイルを開いてみると、今までの疑問が解決すると思います。
(注)ダウンロード、または解凍後プログラムの実行時などに、このような警告が出る場合があります。その場合は「詳細情報」をクリックして「実行する」を選んでください。この表示を止めるには、年間7万円も必要とか・・・。
メーカーのアプリでも起きるようです。参考まで。
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