概要
現代は人工知能の時代であると同時に,仮想キャラクタやロボットなど多くの擬人化エージェントが活動する時代です.そのエージェントには人間的な側面が創発してくる特性を期待しますが,人工知能は学問としての人間的側面の実現には技術分野としてややずれがあります.それを補完するのが心理学,認知科学,神経回路学,神経科学,社会心理学などの人間理解に関わる科学ですが,その分野の知見は人間理解については多くの進展があっても,現実場面で行動するエージェントの工学的な実装にはいまだ力不足です.
そのため,人間のモデル的な理解がますます重要になってきました.人がどうやって世界や他者や社会を知覚し,思考し,行動するのか?それをモデル的に理解することは,単に科学的な興味だけでなく,人の活動を支援することを目指す現代の先端科学・工学の主要テーマでもあります.
しかし日本でのこの分野は,関係研究者が各種学会に分散し,交流の場が不足しています.これまで,科研費新学術領域「認知的デザイン学」が社会性を基本テーマとしてその役割を担ってきましたが,一昨年度でその活動は終了しました.それ以降に私達は,2018年度の認知科学会大会において,認知心理学会との共同開催企画で「認知モデリング研究の過去・現在・未来」という形でJohn Anderson氏(米国カーネギーメロン大学)を招聘し,認知科学会の元会長らとCognitive Modelingに関するリレー講演を行いました.また,2019年度には,認知科学誌でこの企画内容に関する論文特集も組みました.さらに,2019年度には6月の人工知能学会全国大会,9月の認知科学会大会にてオーガナイズドセッションを開催し,関係する研究者の相互交流を図ってきました.しかし2~3時間程度の研究会では議論の量と幅が限られます.そこで2020年3月に合宿形式の研究会を企画しましたが,残念ながらコロナウイルスの流行のため延期せざるを得ませんでした.
しかし,認知モデルの研究は止めることはできません.そこで今回,広義の認知モデルに関わる研究者が成果・アイデア・構想を交換する場を改めて作り,議論を通じて認知モデル研究を発展させていくことを目指します.
想定するテーマを以下に挙げますがこれらに限定するものではありません.
記号表現による心理・神経活動のモデリングとシミュレーション
コネクショニストによる心理・神経活動のモデリングとシミュレーション
確率表現(ベイジアンモデリング)による心理・神経活動のモデリングとシミュレーション
認知アーキテクチャ
認知ロボティクス
機械学習の認知科学的応用
認知モデルを利用したインタラクションのモデル
認知モデルと社会・進化の統合モデル
開催方法
ネット開催の会議において集中力の維持が難しいこと,事前の発表資料の公開によって非同期なやりとりが可能になること,開催時期が入試時期と重なり参加者の皆さんの時間を確保することが難しいことから,1日の開催としました.
プレゼンテーションの時間は,10分から15分+議論5分~10分程度とします(申し込みの件数による).
発表者には事前にPowerPointなどを用いて発表動画をサーバにアップロードしていただきます.参加者には研究会当日までに発表動画を視聴いただき,Slackを通じてコメントや質問を行って頂きます.
研究会はZoomを用いて行いますが,当日は,発表者は短いプレゼンテーションを行い発表内容の再共有をするにとどめ,ディスカッションの時間を長めに取りたいと考えています.
重要日程
発表申込締切 :2020年11月30日(月)
プログラム公開: 2020年12月11日(金)
発表動画アップロード締切:2020年12月23日(水)
発表動画閲覧期間:2020年12月21日(月)より研究会当日
研究会当日:2021年1月9日(土)
発表申込・聴講申込
以下のリンクをクリックして必要事項をご入力ください
お問い合わせ先:cogmod2021[at]ai.info.gifu-u.ac.jp([at]を@に置き換えてください)
実行委員
大森隆司(玉川大学)
竹内勇剛(静岡大学)
森田純哉(静岡大学)
林勇吾(立命館大学)
寺田和憲(岐阜大学)
主催 日本神経回路学会
共催 玉川大学脳科学研究所
後援 日本認知科学会,人工知能学会汎用人工知能研究会