このサイトは、科研費基盤研究(C)(一般)「モンゴル国における日本語によるCLIL(内容言語統合型学習)の有効性の検証」(2022~2024年度)の研究実績を広く公開するために開設しました。
最終更新日 2025年6月5日
昨今のグローバル化により、 外国人の日本語学習者は増加傾向にあり、 外国語としての日本語 教育の需要は高くなっています。 本研究では、外国語教育の手法として最近注目されている Contend and Language Integrated Leaning (CLIL: 内容言語統合型学習) を海外での日本語教育に適用します。 具体的には、モンゴル国の児童・生徒を対象として、日本語と理科・図画工作科・音楽科・家庭科によるCLIL授業を開発・実践し、効果を検証します。また、モンゴル国における英語でのCLIL授業など、 今後の研究の展開可能性についても検討します。
・岡山理科大学 教育推進機構 基盤教育センター 教授 高原周一(研究代表者、理科)
・岡山理科大学 教育学部 初等教育学科 教授 妻藤純子(図画工作科)
・岡山理科大学 教育学部 初等教育学科 准教授 井本美穂(音楽科)
・岡山理科大学 教育学部 初等教育学科 准教授 原田省吾(家庭科)
・同志社大学 グローバル地域文化学部 准教授 坂本南美(英語科)
2024年度は、科研費メンバー3名で9月に11日間の日程でモンゴル国を訪問し、情報収集や授業実践を行いました。具体的な実績は以下のとおりです。
現地での情報収集:モンゴル国の小中高一貫校等(計5校)で授業実践および学習環境を視察しました。視察した学校の生徒・教員、モンゴル国立教育大学教員等からモンゴル国の教育等に関する情報を収集しました。
現地での授業実践・検証:2年目までのカリキュラム分析の成果を踏まえて各教科のCLIL授業案を作成し、モンゴル国の受け入れ校の教員とも協議した上で実践しました。具体的には、ナラン学校において日本語と理科のCLIL授業を実施しました。また、新モンゴル学園において英語と音楽科および理科のCLIL授業を実施しました(理科については2クラスで実施)。ウランバートル第16番学校において英語と理科のCLIL授業を実施しました。各授業後に生徒を対象としたアンケート・受け入れ校の教員へのインタビューを実施し、CLIL授業の効果を検証しました。
学会発表および論文執筆:英語と理科のCLIL授業の成果について学会等で発表を2件行いました。また、論文等については5件執筆しました。
これまでの成果を書籍にまとめて出版するために科研費期間の1年延長を行いました。なお、本研究の一部は2025年度からの新たな科研費による研究「モンゴル国における理科のCLIL(内容言語統合型学習)の教材開発とその有効性の検証」(基盤研究(C)、25K04387)として継続されています。
2023年度は、科研費メンバー5名全員で9月に12日間の日程でモンゴル国を訪問し、情報収集や授業実践を行いました。具体的な実績は以下のとおりです。
現地での情報収集:モンゴル国の小中高一貫校等(計6校)で授業実践および学習環境を視察した。視察した学校の教員、モンゴル国立教育大学教員等からモンゴル国の教育に関する情報を収集した。
現地での授業実践・検証:1年目のカリキュラム分析の成果を踏まえて各教科のCLIL授業案を作成し、モンゴル国の受け入れ校の教員とも協議した上で実践しました。具体的には、ナラン学校において日本語と図画工作科および家庭科のCLIL授業を実施しました。また、新モンゴル学園において日本語と音楽科および家庭科のCLIL授業を実施しました。新モンゴル学園およびセレンゲ県第4番学校において英語と理科のCLIL授業を実施しました。各授業後に生徒を対象としたアンケート・受け入れ校の教員へのインタビューを実施し、CLIL授業の効果を検証しました。
学会発表および論文執筆:音楽科と日本語のCLIL授業については検証結果について学会発表を行うとともに論文執筆も行いました。また、2023年度のモンゴル訪問の概要について報告文を執筆しました。
1年目である2022年度はモンゴル国のカリキュラム分析を行いました。 また、科研費メンバー全員で9月に8日間の日程でモンゴル国を訪問し、情報収集や授業実践を行いました。具体的成果は以下のとおりです。
カリキュラム分析 : モンゴル国の教育に適合したCLIL授業を開発するため、日本のカリキュラムとの比較しながらモンゴル国の初等中等教育カリキュラムを分析し、その成果を論文として発表しました (3報)。また、これをもとに2023年度に実施するCLIL授業の 内容を検討しました。
現地での情報収集:モンゴル国の小中高一貫校 (計4校)で授業実践および学習環境を視察しました。視察した学校の教員、モンゴル国立教育大学教員、JICAモンゴル事務所、現地の学校に派遣されているJICA隊員からモンゴル国の教育に関する情報を収集しました。また、ナラン学校において児童生徒の実態調査アンケートを実施しました。このアンケ ートは英語科、音楽科、家庭科、美術科について計45の設問からなる総合的な調査で、339名分を集めることができました。
<論文等>
井本美穂, 坂本南美. (2025). 音楽と英語のCLIL授業におけるリズム創作の有効性 -モンゴルの小学校での実践をとおして-. 国際教育研究所紀要. Vol 35. 1-13.
妻藤純子. (2025). モンゴル国と日本における児童の色彩感覚比較. 国際教育研究所紀要. Vol 35. 27-40.
高原 周一, ミャグマル エンフバト, ガントルガ ビレグサイハン. (2025). モンゴル国の初等・中等教育における化学分野のカリキュラムの分析 -日本のカリキュラムとの比較を通じて-. 国際教育研究所紀要. Vol 35. 71-85.
原田省吾. (2025). ナラン学校での日本語と家庭科のCLIL授業実践報告. 国際教育研究フォーラ ム. Vol. 103. 2-9.
高原周一, 坂本南美. (2024). モンゴル国におけるICTを活用したイオンに関するCLIL授業の実践. 日本科学教育学会研究会研究報告. Vol. 38. No. 6. 23-26.
Nami Sakamoto, Miho Imoto. (2024). Classroom Dynamics: Concentration, Engagement, and Student Ownership in a Japanese and Music CLIL Lesson in Mongolia. JAILA Journal. Vol. 10. 66-80.
高原周一, 坂本南美, 妻藤純子, 井本美穂, 原田省吾. (2023). モンゴル国での CLIL 授業および科学イベントの実施. 国際教育研究フォーラム. Vol 99. 2-7.
井本美穂. (2023). モンゴル国の小学校音楽科教育に関する研究-教育課程における身体表現活動に着目して-. 国際教育研究所紀要.Vol 33.1-10.
原田省吾.(2023). モンゴル国の教育カリキュラムにおける家庭科教育の位置づけ-我が国の家庭科教育との比較-. 国際教育研究所紀要. Vol 33.33-44.
妻藤純子.(2023). 小学校美術教育におけるモンゴル国と日本の技能指導. 国際教育研究所紀要 Vol 33. 45-57.
高原周一, 坂本南美.(2021). モンゴル国におけるイオンおよび電磁波に関するCLIL授業の実践. 日本科学教育学会研究会研究報告. Vol. 35. No. 7. 31-34.
坂本南美.(2021). モンゴル国におけるCLIL授業に関する教員研修. 国際教育研究フォーラ ム. Vol. 90. 2-7.
高原周一.(2020). 科学ボランティアセンターの現状と今後の展望―モンゴル国での国際交流活動を中心とした活動紹介. 国際教育研究フォーラム. Vol 86. 2-7.
SAKAMOTO, N., TAKAHARA, S., & GANBAATAR, T. (2019). Inquiry into content and language integrated learning in Mongolia: A Japanese and science integrated lesson at a school in Ulaanbaatar. 岡山理科大学. 岡山理科大学紀要. Vol.55 (B). 43-51.
<学会等での発表>
高原周一, 坂本南美, モンゴルでの《電気をとおすもの、とおさないもの》の授業実践, 仮説実験授業研究会冬の全国合宿研究会兵庫大会. 2025/01
高原周一, 坂本南美. モンゴル国におけるICTを活用したイオンに関するCLIL授業の実践. 日本科学教育学会2023年度第6回研究会(中国支部開催) 2024/06
坂本南美, 井本美穂. 児童の集中と緩和の見極めの重要性:モンゴルにおける日本語と音楽のCLIL授業の実践から. 中国四国教育学会第75回大会. 2023.
高原周一, 坂本南美. モンゴル国におけるイオンおよび電磁波に関するCLIL授業の実践. 日本科学教育学会2020年度第7回研究会(中国支部開催) 2021/06
高原周一. モンゴルにおける科学ボランティア活動. 国際教育研究所定例研究会 2020/07
高原周一, 坂本南美. モンゴル国における岡山理科大学の教育分野での国際連携事業. OUSフォーラム 2019/11
高原周一, 坂本南美. モンゴルでの《イオンと食べ物》の授業実践. 仮説実験授業研究会 冬の全国合宿研究会 2019/01