平成31年度(第54回)剣道中央講習会

伝達講習会

2019年5月26日(日)

福井県立武道館

伝達講習会に参加されました皆さま、また参加できなかった皆さま、中央講習会および伝達講習会の内容をアップいたしましたのでご覧ください。

※伝達講習会の中で回答をお伝えできなかった質問事項に関して、只今、全日本剣道連盟に書類を送り確認してもらっております。回答がわかり次第、福井県剣連事務局から各地区剣連事務局を通して皆さまへ回答をお伝えする予定ですのでしばらくお待ちください。

平成31年4月6日(土)~4月7日(日)の2日間、第54回剣道中央講習会(東日本)に福井県から堀江範雄、岩本卓也の2名が参加いたしましたので受講内容を下記の通り報告します。あわせて5月26日(日)に伝達講習会を開催いたしましたので、その内容もお伝えします。

平成31年(第54回)剣道中央講習会の内容

レポートと資料は次の通りです。クリックもしくは印刷してご参照ください。


中央講習会受講レポート・・・受講内容をレポートにしましたのでご参照ください。


中央講習会の概要資料・・・目的、実施内容、スケジュールなど。


倫理に関するガイドライン制定の趣旨説明(中谷行道 常任理事)

ガバナンス・コンプライアンス(全剣連の取り組み)・・・全剣連の取り組みの概要が把握できます。

一般財団法人全日本剣道連盟における倫理に関するガイドライン・・・平成30年11月2日に制定されたものです。


日本剣道形(中田琇士 範士八段)

日本剣道形(参考)・・・「日本剣道形解説書」「剣道講習会資料」を補足するものです。


審判法(大嶽將文 範士八段)

剣道用具に関する試合審判規則等の改正についての委員会声明・・・改正までの経緯、概要が把握できます。

剣道用具安全基準の検査要領・・・小手、袖が短い選手の対応について回答された文書。注意は1回戦終了時のみ。

剣道用具確認証・・・ 大会長に、竹刀、小手、面、剣道着が適正であることを報告する書式です。


救急法(地元の消防士)

AEDを用いた救命処置の要領・・・心停止者に対しての対応の流れ(確認~AED)がわかります。


アンチドーピング(對崎利香子 JADA講師)

PLAY TRUE BOOK(アスリートガイド)・・・45ページの小冊子をPDF化しました。ご覧ください。


指導法(加藤浩二 範士八段)

・資料はありませんでした。

令和元年5月26日(日)伝達講習会

2019年(令和元年)5月26日(日)9:10~16:00、福井県立武道館にて、伝達講習会を実施しました。

伝達講習会案内

伝達講習会配布資料

伝達講習会受講者

・講師:岩本卓也 /サポート:米納智弥・田中隆佳

必携資料

剣道講習会資料(剣道形)(←クリックしてご覧できます)・・・平成29年4月1日発行 500円

日本剣道形解説書(←クリックしてご覧できます)・・・昭和61年4月30日 発行 200円

剣道試合・審判規則/同細則(←クリックしてご覧できます)・・・平成31年4月1日発行 350円

剣道試合・審判・運営要領の手引き(←クリックしてご覧できます)・・・平成19年3月14日 発行 150円

全日本剣道連盟オンラインショップ←冊子をお求めになりたい方はこちらから購入できます

■日本剣道形

中央講習会での中田先生のご指導に基づき同じメニューで剣道形の講習をおこないました。指導内容の詳細は中央講習会受講レポートをご参照ください。

・剣道形制定の経緯、意義、目的・・・伝統文化としての剣道形の魅力を伝えてから実技指導をおこなってください。

・礼法所作(左座右起、帯刀、提刀、木刀の持ち方)・・・礼法所作も伝統文化です。正しく継承願います。

・太刀6つの構え(諸手右上段、諸手左上段、中段、下段、八相、脇構え)

・小太刀3つの構え(上段に対する中段半身、下段に対する中段半身、下段半身)

・実技(太刀1-3、4-7、1-7、小太刀1-3、全体通して行う)・・・物打が打突部位に確実に届くように!

■審判法

本年(2019年)4月1日に「剣道試合・審判規則/細則」が一部改訂されました。詳細につきましては「剣道用具に関する試合審判規則等の改正についての委員会声明」および「剣道用具安全基準の検査要領」を参照ください。

審判法の実技にあたり大嶽先生が最も強調されていた点が、有効打突の条件を理解した上で判定をおこなうということでした。下図に「規則」第12条有効打突の条件、「手引き」P7の有効打突を掲載しますので、理解して審判がおこなえるようにお願いします。

旗の表示

わかっているようで実はできていないのが旗の表示とのことです。大嶽先生は今でも試合の前日に鏡の前で声を出して旗の表示の練習をおこなうそうです。宣告は大きな声で言語明晰におこなうこと。適切な姿勢、動作で旗を表示できるようにお願いします。

禁止行為一覧

1.正しい審判行為とは?

審判の行為は次の4つの情報源に基づきおこないます。

1.「剣道試合・審判規則/剣道試合・審判細則/付 剣道試合・審判運営要領(平成31年4月1日発行)」に記載があるもの

2.「剣道試合・審判・運営要領の手引き(平成19年3月14日発行)」に記載があるもの

3.全日本剣道連盟から発出された通達

4.上記1、2、3に記載はないが、審判講習会等にて講師の先生が指導された内容

※上記4は各講師の先生によって指導内容が異なるケースも考えられますので、ここでは指導された講師の先生の名前を記載し信ぴょう性を高めたいと思います。


※ 都合上、次の言葉に置き換えて説明させて頂きます。

「剣道試合・審判規則」→「規則」

「剣道試合・審判細則」→「細則」、

「付 剣道試合・審判運営要領」→「運営要領」

「剣道試合・審判・運営要領の手引き」→「手引き」


2.主な留意点(※1~※4)

※1:合議を必要としないケース

「規則第17条」の4と5は明らかな禁止行為であるため、主審は合議をかけずに3人の審判員の旗表示で判定可能です。

この2つ以外の禁止行為は絶対的な明らかさに欠けるため合議をかけることが望ましいと思われます。


※2:対応方法に次の変更がありました。

小手の長さの注意は、試合終了後に審判主任の指示で係員が監督または選手立会いのもと検査をおこなう。

面ぶとんの長さ及び剣道着の袖の長さの注意については試合終了後、審判主任から監督(選手)に注意をおこなう。

これらの対応は団体戦、個人戦の第1回目のみ確認し、以降の試合での確認、注意を必要としない。

→詳細は「剣道用具安全基準の検査要領」参照ください。


※3:主審の専決事項とは

不当な鍔迫り合いに関する処置は、試合運営にかかわる主審の専決事項であるため、副審は「止め」を宣告することができません(「手引き」P11およびP29事例4を参照ください)。他に主審の専決事項は「竹刀が回っていることに対する指導」も当てはまります(「手引き」P31事例8を参照ください)。要するに、主審の専決事項はこの2つであり、それ以外のケースは副審も「止め」「合議」をかけてもよいということです。不当な鍔迫り合いについてですが「手引き」P27事例8に記載がありますように鍔迫り合いが解消されたと判断した場合は副審も「止め」をかけて構いません(平成27年4月全剣連通達参照)。


※4:第1条に照らして判定する時とは?

「規則」第15条~第17条には当てはまらないが、剣の理法を全うしておらず、公明正大な試合ではないと判断した場合は、第1条の本規則の目的に照らして反則とします。例えば、下記ケース学習のパートでも解説しておりますが、強引に竹刀を叩いて落とした見苦しい行為だったと判断した場合は第1条に照らして反則とします。

ケース学習(動画)

今回、このパートのみ、新しい試みとしてケース学習を導入しました。

通常の審判講習会は実際の試合を受講者が審判し有効打突の見極めを含め講師の指導を仰ぐスタイルですが、今回はよくある悩ましいケース(位置取り4ケース、対応8ケース)を試合者(米納先生、田中先生)に実演してもらい、その場面を審判員だけではなく周りの受講者も含めて全員で一緒に考えながら答えを導き出していくようなスタイルを目指しました。よりイメージが湧くように動画も撮影しました。みんなの意見を出しやすくするためにわざと間違えてくださった?先生方もおられるようですので暖かい目でご覧ください。

※2階席から主審の正面を動画撮影するために主審が正面を背にした位置で審判講習をおこないました(本来は逆)。

※この動画は限定公開ですのでグーグルなどで検索しても表示されません。このHPを見ている人だけが閲覧することができます。

■悩ましい位置取り(4ケース)

1.審判が定位置に戻るべきタイミングは?

審判員:五十嵐留美子(主)、 小西規代、島田奈美江の3先生

動画←クリックしてください。

模範解答:主審の動きが副審の動きを決めてしまうため、主審は責任区域内ギリギリにいることを避けて、試合者の動きを先読みしながら、なるべく早めに定位置に戻れるような位置取りをすることが望ましいです。

2.片側に副審が1人になってしまった場合は?

・ 審判員:五十嵐留美子(主)、 小西規代、島田奈美江の3先生

動画クリックしてください。

・模範解答:このケースのように主審が二等辺三角形の頂点に立つことに拘らずに、状況によって副審の位置取りになることも想定しながら動くことが大切です(「手引き」P14「3.例外的な現象(1)」参照)。

3.審判員3名が片側に集まってしまった時はどうするか?

・ 審判員:雁瀬豊(主)、 渡邉文夫、 梅野秀一 の3先生

動画クリックしてください。

・模範解答:審判3名が片側に寄ってしまうと、有効打突を見逃すことにもつながりますので、主審はすぐに「止め」をかけ、試合を止めて、3人の審判は元の位置に戻ってください(「手引き」P14「3.例外的な現象(4)」参照)。

4.試合者が鍔迫り合いをしながら速いスピードで回っている時の位置取りは?

・ 審判員:雁瀬豊(主)、 渡邉文夫、 梅野秀一 の3先生

動画クリックしてください。

・模範解答:子どもの試合に多いケースです。この場合、いちいち試合者の早い動きにつきあわず、動きが落ち着いたところを見計らって主審が位置取りをすることが大切です。主審が慌てて速い動きに合わせようとすると副審もつきあわされて3人の審判の位置取りが乱れることにつながります。

■悩ましい判定(8ケース)

1.主審が試合者をチェックしないといけないケース


1-1.目印など正しい着装になっているか?

・ 審判員:大森豪(主)、村井佑輔、入江彰伸の3先生

動画クリックしてください。

・模範解答:動画では主審からの指摘はありませんでしたが、試合者2名とも目印がついていませんでした。目印の確認は主審は見にくいので主に副審が確認してください。他にも剣道具や紐の長さなど確認すべきポイントがいくつかありますので、審判員は試合前に何をチェックするべきが整理してのぞむとよいと思います(「運営要領」P12「その他の要領」審判員要領1ないし3参照)。


1-2.試合者が蹲踞する開始線の位置とは?

・ 審判員:入江彰伸(主)、村井佑輔、大森豪の3先生

動画クリックしてください。

・模範解答:開始線から後方に離れた位置で蹲踞してもルール違反ではないため、そのままスルーするのか?もう少し前へ、と促すのか?参加者の先生方の意見も2つに分かれました。常識の範囲内で対応するという結論に至りましたが、常識の範囲内とは何か?という意見もありました。

「運営要領」P4「開始」試合者要領1に「試合者は、試合を開始する場合、立礼の位置に進み、提げ刀の姿勢で相互の礼を行い、帯刀し、3歩進んで開始線で竹刀を抜き合わせつつ、蹲踞し、主審の宣告で試合を開始する」と表記されています。

双方立礼の間合いは9歩の距離です。そこから3歩進み、開始線で蹲踞するわけですから、この通りにおこなえば、凡そ常識の範囲内で蹲踞することになるものと思われます。


1-3. 弦がまわっている時の対処は?

・ 審判員:村井佑輔(主)、入江彰伸、大森豪の3先生

動画クリックしてください。

・模範解答:主審は原則竹刀に触れずに指導しなくてはいけません。鍔元近辺を指しながらジェスチャーにて指導し、少年指導で必要があれば鍔部または柄部にて指導する、と「平成25年7月22日 全剣連通達(剣道試合・審判関係について)」に記載があります。そして「手引き」P31事例8の②に記載があるように、一度注意した後でまた弦がまわったままで打突しても有効打突はとりません。


1-4.試合中、選手が刃部を触った場合は?

・ 審判員:村井佑輔(主)、入江彰伸、大森豪の3先生

動画クリックしてください。

・模範解答:動画のように試合中に選手が中結の位置を正しくしようとして手で触ってしまうケースをよく見かけますが、細則第16条4.「自分の竹刀の刃部を握る」で反則となります。動画では白の選手が合議中に境界線の外に出て待機していましたので境界線の中で待機するよう指示してください(「運営要領」P8「合議」試合者要領1参照)。合議後は主審のみ反則の旗表示をおこない、副審の旗表示は不要です(「手引き」P34事例12を参照ください)。そして反則の宣告をする際に主審は一歩前に出る必要はありません。その場で宣告してください。


2.相手の打突を剣先で相手の前面につけたが有効打突になるか?


2-1.面を打たれたが、剣先を相手の上体前面につけ体勢を崩さずにいるケース?

・ 審判員:平田光男(主)、 吉村勝三、阪口和彦の3先生

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・模範解答:「手引き」P22事例4のケース。1つ1つの現象を机上で論ずるのは難しいので審判員の主観で判断するしかないと書かれています。このケースについては受講者の皆さんは一本にはならないという意見でした。


2-2.面を打たれたので、剣先を相手の上体前面につけたが外れてしまったケース?

・ 審判員:平田光男(主)、 吉村勝三、阪口和彦の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:このケースは全員一致で一本という意見でした。


2-3.面を打たれたので、剣先を相手の上体前面につけたが勢いに押されてしまっているケース?

・ 審判員:平田光男(主)、 吉村勝三、阪口和彦の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:このケースも上記2-2ほど明確ではありませんが、一本という意見が多かったです。

3.主審と副審で判定が異なったケース、どう考えるか?


3-1. 1人が有効、1人が無効、1人が棄権の時の判定は?

・ 審判員:嶋崎さおり(主)、大味香代子、 谷口典子の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:有効(+1)、無効(-1)、棄権(0)、有効打突は+1~+3と考えます。このケースは+1-1+0=0なので無効となります。


3-2. 1人が有効、2人が棄権の時の判定は?

・ 審判員:嶋崎さおり(主)、大味香代子、 谷口典子の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:有効(+1)、棄権(0)、棄権(0)ですので、このケースは+1+0+0=1となり有効となります。

4.自分の竹刀を両手から離してしまったケースとは?


4-1. 竹刀を上から叩かれて竹刀が一瞬両手から離れ床に着き、すぐに両手で握りなおした場合は?

・ 審判員:北川翔太朗(主)、畑手康伸、内藤 洋の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:正しい回答について受講者全員わからなかったため、岩本が調べて後日回答いたします。


4-2. 竹刀をまかれ両手から竹刀が一瞬離れ宙に浮きすぐに握り直した場合は?

・ 審判員:北川翔太朗(主)、畑手康伸、内藤 洋の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:反則ではないように思いますが正しい回答について岩本が調べて後日回答いたします。


4-3. 竹刀をまかれ両手から竹刀が完全に宙に浮きそれから握り直した場合は?

・ 審判員:北川翔太朗(主)、畑手康伸、内藤 洋の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:反則のように思いますが、正しい回答について岩本が調べて後日回答いたします。


4-4. 相手の竹刀を強引に強く叩いて落としてしまった場合は?

・ 審判員:内藤 洋(主)、北川翔太朗、畑手康伸、の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:禁止事項一覧にこのケースの反則は記載されていませんが、強引に竹刀を叩いて落とした見苦しい行為だったと判断した場合は第1条(本規則の目的)に照らして反則とします。もし打突するための攻防の中での行為であるならば不当行為にならず落とした側の反則となります。「手引き」P24事例3を参照ください。


※ 以前の剣道試合・審判規則(平成8年3月18日)には「竹刀離し」という文言が記載されていました。平成11年4月1日の改訂で竹刀離しから竹刀落としに変更された際に、従前と同じく操作・管理能力の有無で判断する、との補足説明があったのですが、現在の規則には「自己の竹刀を落とす」とのみ表記があり、以前の操作、管理能力の有無に関する記載はありません。この以前のルールを踏襲して判定されている先生方もおられるかと思いますが、これでは曖昧ですので、調べて後日皆さんに正解をお伝えいたします(少し時間をください)。


5.副審は合議をかけれるのか?


5-1. 主審が場外反則を表示した際に、一方の副審が異議を示す方法は?

・ 審判員:村中 守(主)、角野 弘、 加藤昌広の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:動画のように、このケースでは副審も合議をかけれます。副審が合議をかけれないケースは主審の専決事項である「不当な鍔迫り合いの処置」と「弦がまわっている時の指導」のみです。「手引き」P32事例9のケースにも記載されている通り事実に基づいて判断してください。

尚、副審が合議をかける手順ですが、「運営要領」P8「合議」審判員要領2(2)に次の記載があります。

副審が合議を要請する場合、副審が「止め」の宣告後、直ちに主審が「止め」の宣告をし試合を中止する。その後、副審が「合議」の宣告をし、直ちに主審が「合議」の宣告をする。


但し、副審の「止め」は試合を中断するための宣告であり、既に主審が「止め」をかけて旗で反則を示している時に、副審の「止め」は適切なのか?試合が中断しているので「止め」ではなく「合議」と宣告すればよいのか?私自身、疑問を感じておりますので、全剣連に確認し、皆さんに正しい回答をお伝えしたいと思います。


5-2. 一本取った選手が小さくガッツポーズをとった場合は?

・ 審判員:角野 弘(主)、村中 守、 加藤昌広の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:赤の選手は主審の死角となる右腰付近で小さくガッツポーズをとっています。これを見た副審は上記の合議の手順に則って「止め」「合議」をおこなってください。「規則」第27条 (有効打突の取り消し) 及び「細則」第24条(有効打突の取り消し)を参照ください。

ここで議論になったのは、有効打突を取り消す際の主審の所作についてでした。①合議のあと、主審は合議前の旗の表示をおこない「取り消し」の宣告をしながら両旗を左右に振るのか?もしくは②合議前の旗の表示をせずに「取り消し」の宣告をしながら両旗を左右に振るのか?この時は受講者の意見が分かれ「規則」P25の表に基づき②であろうという結論に至りましたが、「運営要領」P5審判員要領2に次の記載がありました。↓

有効打突を取り消す場合、主審は合議開始前の旗の表示に戻り、宣告して両旗を左右に振る(旗の表示要領 第2図→第3図)

ということで、回答は①ということになります。こちらの勉強不足で混乱させてしまい申し訳ございませんでした。

なお、同じケースが「トリビアの泉」でも紹介されていましたので主審の所作も含めてご覧ください。

剣道の試合でガッツポーズを取ると一本が取り消しになる(トリビアの泉)←クリックしてください

6.相殺の対応とは?


6-1. 1回目の相殺の宣告について

・ 審判員:楢原 陽子(主)、渡辺聡子、 小寺みゆきの3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:相殺のケースとは両者とも反則を1回ずつしており、かつ両者とも一本ずつ取得しているか、もしくは延長戦の一本勝負の時に適用されます。「細則」第17条1に記載がありますように、1回目の相殺の場合は、赤・白の順に反則を宣告し、相殺します。

手順)合議をしたあとで審判は元の位置に戻り、主審のみ両旗を斜め下方に下げます。そして旗2本を左手に持ち、右手指2本を示しながら赤に向かって「反則2回」を宣告、次に旗2本を右手に持ち替え、左手指2本を示しながら白に向かって「反則2回」と宣告し、両手に旗を持ち直し、両旗を前下で左右に振りながら「相殺」と宣告します。

相殺とは「両者同時に起こった2度目の反則」に対してのみ行なわれるものです。「両者とも反則1回ずつ」が残ったままになっていますので、相殺の後、どちらか一方が反則を犯せば、その段階で「反則2回」となり相手に一本献上となります。

動画では反則2回の宣告のあとで「一本」と宣告しておりますが、一本(一本ではなく一本ありですね)の宣告は相殺するので不要です。


6-2. 2回目以降の相殺の宣告について

・ 審判員:渡辺聡子(主)、小寺みゆき、楢原 陽子の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:「細則」第17条2に記載がありますように、2回目以降の相殺の場合は、相殺の宣告と表示を同時におこないます。

手順)合議をしたあとで審判は元の位置に戻り、主審のみ両旗を斜め下方に下げます。そして両旗を前下で左右に振りながら「相殺」と宣告するだけです。このように2回目以降の相殺は「両者への反則の宣告」が省略されます。


6-3. 両者反則1回を持ち、白が一本先取し、両者2回目の同時反則した場合の宣告の方法は?

・ 審判員:小寺みゆき(主)、渡辺聡子、楢原 陽子 の3先生

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・模範解答:主審は通常、赤から宣告しますが、この場合は特別なケースとして白から宣告します。理由は赤から宣告すると白の「勝負あり」の宣告をおこなうことになり赤の反則の宣告ができなくなるからです。

手順)合議をしたあとで審判は元の位置に戻り、主審のみ両旗を斜め下方に下げます。そして両旗を右手に持ち替えて、白に向かって「反則2回」と宣告し、両旗を両手に持ち替えて赤の旗をあげて「一本あり」と宣告します。次に両旗を左手に持ち替えて赤に向かって「反則2回」と宣告し、両旗を両手に持ち替えて白の旗をあげて「一本あり」「勝負あり」と宣告します。「運営要領」P8審判員要領「中止」5を参照ください。

7.一本取得後に試合終了の笛が鳴ってしまった場合は?


7-1. 一本を取得し開始線に戻る間(約1~3秒後)に試合終了の笛が鳴ってしまった場合の対応は?

・ 審判員:牧野宏祐(主)、小玉 完嗣、髙橋泰平の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:このケースは主審が「2本目」の宣告をおこない、すぐに笛を鳴らして終了させるのが正しいという意見が大半でした。2本目の宣告のあと何秒後に笛を鳴らすべきなのか?すぐという意見や審判主任と相談して決めるという意見もあれば、3秒ルールというものがあるという意見など様々な考え方があったようです。調べて後日皆さんにお伝えいたします。


7-2. 上記の続きで「二本目」の宣告のあとで笛が鳴る前にどちらかが一本を取得した場合は有効とするのか?

・ 審判員:牧野宏祐(主)、小玉 完嗣、髙橋泰平の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:もし笛を鳴らす時間が決まっているのであれば有効となりそうですが、、、調べておきます。

8.場外反則?不当な押し出し?止めの宣告?


8-1. 打突したあとでその勢いで体当たりして相手を場外に出してしまった時の判定は?

・ 審判員:小玉 完嗣(主)、牧野宏祐、髙橋泰平の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:「手引き」P25事例5①に記載があるように、打突後の体当たりや相手を崩して打突するなどの打突に結びつく行為であれば出された相手に場外反則がとられます。


8-2. 打突に結び付く行為はなく相手を場外に押し出してしまった場合は?

・ 審判員:小玉 完嗣(主)、牧野宏祐、髙橋泰平の3先生

動画←クリックしてください。

・模範解答:「手引き」P25事例5①に記載があるように、打突後の体当たりや相手を崩して打突するなどの打突に結びつく行為でなければ不当な押し出しにより出したほうが反則をとられます。この動画ですと、場外に出された方は出ないという必死さが欠けていたので出されたほうを場外反則にとる、という方も数名おられました。


場外反則の見極めにあたり、境界線でもつれて、どちらか一方が場外に出そうな状態の場合は主審は「止め」をかけてください。有効打突と違って反則になることを待つべきではありません。公平性や危険防止などを考慮しながら状況によって判断します。「手引き」P32事例10参照ください。

■指導法

加藤先生は昨今の勝利至上主義による剣道の乱れをなおすためには剣の理法を正しく学ぶ必要がある。そのためには、刀法をベースとした日本剣道形、木刀による剣道基本技稽古法、そして竹刀稽古法につなげていくことが大切であると申されていました。剣道形同様、単に動作を覚えるのではなく刀の刃筋、鎬、物打を意識して竹刀稽古に活かしていくようお願いします。

伝達講習会では、面を着けて 竹刀で一本打ちの技(正面、小手、胴、突き)をおこない、踏み込み足による腰始動の正面打ちへとつなげる稽古をおこないました。剣道の世界では「手で打つな足で打て、足で打つな腰で打て」という教えがありますが、この腰で打つための効果的な方法として、「木刀による剣道基本技稽古法」に見られるようなすり足の打突による稽古方法があります。手打ちによる剣道を矯正し、腰始動の気剣体一致した本物の一本が打てるよう指導に役立ててください。

※ 参考:木刀による剣道基本技稽古法

【基本1】一本打ちの技: 正面、小手、胴、突き

【基本2】連続技(二・三段の技): 小手→面

【基本3】払い技: 払い面(表)

【基本4】引き技: 引き胴(右胴)

【基本5】抜き技: 面抜き胴(右胴)

【基本6】すり上げ技: 小手すり上げ面(裏)

【基本7】出ばな技: 出ばな小手

【基本8】返し技: 面返し胴(右胴)

【基本9】打ち落とし技: 胴(右胴)打ち落とし面

木刀による剣道基本技稽古法の手引き・・・剣道講習会資料


木刀による剣道基本技稽古法

平成24年4月1日 発行 500円

購入はココから↓

全日本剣道連盟オンラインショップ

■稽古

全員二列になり、特に礼法所作に気を付けて、七段審査の立会時間である1分30秒のまわり稽古を10回おこないました。

皆さま、お疲れさまでした!


上記内容に関するご質問はこちらでお願いします。

文責:岩本卓也

メール:takuya.iwamoto@gmail.com