自動で議事録を作成しよう
~オフィスワークコースの学びから~
自動で議事録を作成しよう
~オフィスワークコースの学びから~
1.対象
高校生
2.授業時間
90分程度
3.授業の概要
この授業は,学生が将来社会人として必要とされる実践的なスキルを,最新のテクノロジーを活用して習得することを目指しています.特に「自動での議事録作成」をメインテーマとして扱い,高田短期大学キャリア育成学科オフィスワークコースの学びを体験していただきます.
具体的には,以下の技術やツールを用いた実習が行われています:
音声入力・文字起こし: Googleドキュメントの音声入力機能によるリアルタイムな文字起こしや,Microsoft Wordのディクテーション機能の紹介
生成AI(Gemini)の活用: 会議の音声ファイルをAIに読み込ませて文字起こしを行い、さらにプロンプト(指示文)を用いて,決定事項やネクストアクションを整理したビジネス文書としての議事録を自動生成する手法
テキスト読み上げ(TTS): Google AI Studio(Gemini 2.5 Flash等)を使用し,入力したテキストを自然な音声で読み上げさせ,対話形式の音声データを作成する技術
4.授業のねらい
この授業には,単なるITスキルの習得を超えた,以下のような深い教育的ねらいがあります.
実社会での即戦力化と信頼獲得 新入社員が最初に任されることが多い「議事録作成」をテーマに選ぶことで,「早く,正確に」業務をこなす力を身につけさせようとしています.質の高い議事録を迅速に作成できることは,職場で認められ,円滑に仕事を進めるための重要な手段であると説いています.
テクノロジーによる業務効率化の体験 かつては有料の専用ツールや多大な手作業が必要だった業務が,今では最新のAIを使えば無料で,かつ劇的に効率化できることを実感させる狙いがあります.学生の振り返りからも,テクノロジーで「若手社員の負担」を解決できる具体的な方法を学んだという手応えが見て取れます.
コミュニケーションの本質の再定義 「人前での発表が苦手」という学生に対し,AIの読み上げ機能を活用した動画発表などの選択肢を示すことで,「コミュニケーションの本質は,自分の考えを人に伝えることにある」というメッセージを伝えています.本人が直接話さなければならないという固定観念を「古臭い発想」とし,自分に合った方法で発信することを肯定しています.
適切なAI活用のリテラシー向上 AIを活用する便利さだけでなく,機密情報の漏洩リスクなどについても触れ,教育アカウントのような安全な環境で正しくツールを使い分けることの重要性を教えています.
総じて,この授業は最新のAIツール(GeminiやAI Studioなど)を使いこなし,「難しいと感じていた情報活用を身近で楽しいものへと変える」ことを目指したものといえます.
5.実施実績
高校生向けにはまだ実施実績はなく,短大の授業で実施しています.短大での授業の振り返りを分析するとこの授業が学生のテクノロジーに対する意識を大きく変え,将来のキャリアに対する具体的な自信を与えていることがわかります.主な分析結果を以下の5つの観点でまとめます.
実践的なスキルの習得と驚き
多くの学生が,これまで手動で行っていた「議事録作成」や「文字起こし」がAIで自動化できることに強い衝撃を受けています.
AIによる効率化: Googleドキュメントの音声入力やGeminiを用いた要約・議事録作成を体験し,「手作業でのメモに頼らず効率よく記録できる」「瞬時にビジネス文書として整った議事録を生成できる」といった収穫が強調されています.
精度の高さ: AIの文字起こしが「思っていたより正確で素早い」ことに驚く声が多く,テクノロジーの進化を肌で感じています.
ビジネスリテラシーへの理解深化
単なるツールの操作だけでなく,議事録そのものの「本質」を理解したという意見が目立ちます.
役割の理解: 議事録は単なる記録ではなく,「決定事項やネクストアクションを明確にし,トラブルを防ぐための重要なビジネスツール」であるという教員の教えが浸透しています.
作成の注意点: 「事実と意見を分ける」「時系列ではなく論点ごとに整理する」「固有名詞や数字を確認する」といった,実社会で必須となる注意点への意識が高まっています.
テクノロジーに対する心理的変化
この授業を通じて,情報技術に対する「苦手意識」が「楽しさ」や「期待感」へと変化しています.
心理的ハードルの低下: 「難しいと感じていた情報活用が身近で楽しいものへと変わった」という感想や,将来の業務に対する「不安が安心に変わった」という声があります.
プレゼンへの新視点: 読み上げ機能(TTS)について,「人前で話すのが苦手な場合に使える」「声を変えられるので便利」と,コミュニケーションを補完するツールとしての価値を認めています.
リスク管理と批判的思考
利便性を享受する一方で,AI活用のリスクについても冷静に受け止めています.
セキュリティ意識: 「会社の大事な情報がAIに学習されてしまうのが難しい」「勝手に読み込ませないように気をつけたい」といった,情報の扱いに関する注意点(機密保持)を学んでいます.
最終的な人間によるチェック: 「活舌が悪いと誤変換される」「見直しは必須」と,AIを過信せず,人間が最終確認を行う重要性を認識しています.
将来への展望と高い満足度
多くの学生が,学んだ内容を「将来必ず活用する」「卒業後も新しいツールをキャッチアップしていきたい」と前向きに捉えています.
実習形式の評価: 「自分の手でツールを動かす達成感があり,非常に満足度が高い」との意見があり,実体験を伴う学びが学生のモチベーションを高めています.
応用の広がり: 試験勉強への活用や,視覚障害者・高齢者への支援としての需要など,授業の範囲を超えてテクノロジーの可能性を考察している学生も見受けられます.
総じて,学生たちはこの授業を「単なるPC操作の授業」ではなく,「未来の社会を生き抜くための武器を手に入れる場」として高く評価していると分析できます.
資料
講義資料