名張青峰高校で「micro:bitで歩きスマホを測定しよう」の授業を行いました(2026.9.18)
名張青峰高校で「micro:bitで歩きスマホを測定しよう」の授業を行いました(2026.9.18)
2026年9月18日,三重県立名張青峰高等学校にて,「情報Ⅱ」の時間を2コマお借りして「歩きスマホを測定しよう」という授業を実施してきました.研究活動として,授業時間を分けていただいており,感謝しても感謝しきれないほどです.ありがとうございました.
実は,この学習プログラムは「歩きスマホについて探究したい」というある高校生からの具体的な相談がきっかけで誕生しました.歩きスマホは周囲への注意が低下し,事故やケガにつながる身近で深刻な社会問題です.スマートフォンアプリを作成して測定するのが最も正確ですが,高校生がゼロから開発するには技術的なハードルが高すぎます.
そこで着目したのが,教育用マイコンボード「micro:bit(マイクロビット)」です.プログラミングを難しい学問ではなく「課題解決のための手軽な道具」として捉え,歩行時のデータを測定してみようと考えました.
高校の情報科やデータサイエンスの授業では,人口統計などの「あらかじめ与えられたデータ(二次データ)」を集計・分析して終わってしまうケースが少なくありません.しかし.探究活動で本当に価値があるのは「身近な現象から自らセンサー等でデータを計測・収集し,比較・分析すること(一次データの生成)」です.
また,プログラミングにおいて大切なのは,すぐにコードを書き始めることではありません.「処理のフローや条件を事前に徹底して考える(全体の8〜9割は思考に割く)」というアルゴリズム設計の姿勢を体験してもらうことを目指しました.
授業は50分×2コマの構成で進めました.
1. micro:bitとセンサーの基礎知識
まずはmicro:bitに搭載されている各種センサー(明るさ・温度・磁気・加速度など)を紹介.身近な電化製品や自動車のエアバッグ,スマホの自動回転などにも使われている技術であることを解説しました.MakeCodeエディタを使って,加速度センサーの値をLEDの棒グラフやパソコン画面上のリアルタイムグラフとして表示する体験を行いました.
2. 無線通信を活用した「歩行揺れ」の予備実験
パソコンに有線接続したままでは歩きにくいため,2人ペアでの無線通信機能を活用しました.
送信側:電池ボックスを取り付けたmicro:bitをダブルクリップで胸ポケット等に固定し、歩行時の加速度データを送信
受信側:ペアの番号(無線グループ)を合わせ,送られてくる揺れデータをパソコン画面上にリアルタイムでグラフ化
静止している時と歩いている時の振動数値を比較・整理し,「数値がいくつ以上であれば『歩行中』と判定できるか」という基準値(閾値)を試行錯誤しながら見つけ出しました.
3. 歩きスマホ時間を測定するアルゴリズム設計
見つけた閾値をベースに,歩きスマホの時間を自動計測するプログラムのロジックを考えました.「歩きスマホ中かどうか」を判別する変数や,計測開始時刻を保持する変数,条件分岐(もし〜なら)をどのように組み合わせればよいかを論理的に整理しました.
授業後の振り返りアンケート(全11名)では、大変頼もしい結果が得られました.
身の回りの現象をデータ計測・分析で捉え,課題解決できると感じた(約91%が肯定)
今回学んだ手法(センサー計測等)を自分の探究学習に活かせそうだと感じた(約73%が肯定)
答えがひとつではない課題に対しても,自分でアイデアを考えて取り組む自信がついた(約91%が肯定)
自由記述でも「データを無線で相手に送って表示するのが楽しかった」「小さな基盤で色々なことができると知りワクワクした」といった声が寄せられ,テクノロジーを自分の手で動かす楽しさを実感してもらえたようです.
今回の名張青峰高校での実践を通して,身近な問いから自らデータを生み出し,試行錯誤しながら課題解決に向き合う高校生たちの素晴らしい集中力とアイデアに触れることができました.
情報科の学びや総合的な探究の時間において,こうした「データ計測×プログラミング思考」のアプローチが全国に広まっていくよう,これからも授業実践とサポートを続けていきたいと思います!
(名張青峰高校の生徒の皆さん、先生方、ありがとうございました!)
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